田母神氏も受賞した「真の近現代史観懸賞論文」について

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「真の近現代史観」懸賞論文(しんのきんげんだいしかん けんしょうろんぶん)とは、都市開発・建設業を中心としたグループ企業であるアパグループが主催した、近現代史観の論文に対する賞である。
「真の近現代史観」懸賞論文 – Wikipedia

第1回最優秀藤誠志賞は航空幕僚長の田母神俊雄氏

田母神俊雄氏
受賞作は「日本は侵略国家であったのか 」

しかしこれが原因で幕僚長をクビに

航空幕僚長という立場にある者が、このような政府見解と明らかに異なる意見を公にすることは航空幕僚長として相応しくない不適切なものでありまして、引き続き航空幕僚長の要職に留まることは望ましくないと考えたことから、10月31日付で田母神航空幕僚長の任を解き、航空幕僚監部付とする人事措置を行った
大臣会見概要 平成20年11月4日(11時01分~11時23分)

詳しい内容は後述するとしてまずは2回目以降の最優秀者を紹介したい。

第2回最優秀藤誠志賞・竹田恒泰

竹田についてはこちらもご覧ください。

第3回最優秀藤誠志賞・佐波優子
第4回最優秀藤誠志賞・高田純

高田についてはこちらもご覧ください。

第5回最優秀藤誠志賞受賞・一色正春
第6回最優秀藤誠志賞受賞・松原仁
第7回最優秀藤誠志賞・杉田水脈

しかしこの懸賞論文は非常に胡散臭いのです。それは第1回から明らかになっていました。田母神さんの「論文」を見ていきましょう

日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めることになるが相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

満州事変は?

これは満州事変を考えればすぐに崩れてしまう論です。満州事変は関東軍が南満州鉄道を爆破し、一方的に始めた戦争ですから。
15年戦争資料 @wiki – 週刊朝日:田母神論文は「上杉謙信が女だった」という珍説と同じだ

現代史家・秦郁彦氏の発言

実は蒋介石はコミンテルンに動かされていた。1936 年の第2 次国共合作によりコミンテルンの手先である毛沢東共産党のゲリラが国民党内に多数入り込んでいた。コミンテルンの目的は日本軍と国民党を戦わせ、両者を疲弊させ、最終的に毛沢東共産党に中国大陸を支配させることであった。我が国は国民党の度重なる挑発に遂に我慢しきれなくなって1937年8 月15 日、日本の近衛文麿内閣は「支那軍の暴戻を膺懲し以って南京政府の反省を促す為、今や断乎たる措置をとる」と言う声明を発表した。我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者なのである。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

日本を戦争に引きずり込むために、アメリカによって慎重に仕掛けられた罠であったことが判明している。実はアメリカもコミンテルンに動かされていた。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

出た!コミンテルン陰謀論!

ハリー・ホワイトらを通じてコミンテルンの工作を受け、戦闘機100 機からなるフライングタイガースを派遣するなど、日本と戦う蒋介石を、陰で強力に支援していた。真珠湾攻撃に先立つ1 ヶ月半も前から中国大陸においてアメリカは日本に対し、隠密に航空攻撃を開始していたのである。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

しかしこれも事実と異なるという。

この時期、フライング・タイガースはビルマで訓練していたんです。ひどい作り話です。
15年戦争資料 @wiki – 週刊朝日:田母神論文は「上杉謙信が女だった」という珍説と同じだ

秦氏の発言

大東亜戦争の後 、 多くのアジア 、 アフリカ諸国が白人国家の支配から解放されることになった。人種平等の世界が到来し国家間の問題も話し合いによって解決されるようになった。それは日露戦争、そして大東亜戦争を戦った日本の力によるものである。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

しかしこれもよく考えればおかしなところもある。

日本はアフリカに行っていません。では、アジアだけでなく、アフリカの国々が独立したのはなぜか。それは植民地帝国だった英、仏の力が弱まったことが大きい。となれば、英仏を弱らせたナチスの功績が大きいということにもなってしまう。
15年戦争資料 @wiki – 週刊朝日:田母神論文は「上杉謙信が女だった」という珍説と同じだ

軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏の発言

全体としてトンデモな内容に満ち溢れた「論文」なっているのである。

「上杉謙信は実は女だった」というのと同じくらいの珍説です。
15年戦争資料 @wiki – 週刊朝日:田母神論文は「上杉謙信が女だった」という珍説と同じだ

秦氏の発言。この発言に尽きると思う。

航空自衛隊のイラク空輸活動を違憲とした名古屋高裁判決に「そんなの関係ねえ」という驚くべき司法軽視の発言をした空幕長とはいえ、閣僚なら一行一行が辞職に値するような論文で、アジア諸国との外交関係を危うくするのは間違いない。自衛隊法は自衛官に政治的な発言を過剰なまでに制限し、倫理規程は私企業との付き合いも細部にわたって規制している。内容のひどさは言うまでもないが、最高幹部が底の抜けたような政治的発言をして三百万円もの賞金をもらうのは資金援助に近い
『小学校から勉強を』 「低レベル」論文内容 識者らあきれ顔(東京新聞) gataro

こんなんで300万円がもらえたらそりゃあ楽だよねえ

田母神氏とアパとの癒着、そして自衛隊の能力低下も危惧されることに

懸賞主催者であるアパグループ代表・元谷外志雄と田母神は非常に親密な間柄であることが明るみに出ており、適切な関係であったのか、との疑惑が浮上している。
「真の近現代史観」懸賞論文 – Wikipedia

癒着はいろいろとあるが一番面白いのはF15に搭乗させたことだった。

また自衛隊の将来を不安にさせるデータも

この懸賞には田母神以外にも複数の現職自衛官が応募している事が判明している。応募総数235人のうち97人が航空自衛官であった。
「真の近現代史観」懸賞論文 – Wikipedia

にもかかわらず他は誰も入選しなかった。自衛隊が低レベルになってしまったのか?それとも出来レースだったのか?

ですがこれは出来レースだったと確信します。なぜならばその後の入選者を見れば明らかだからです。

まずは最優秀以外の入選者を見てみましょう。面白い傾向がわかります。

たった8回しかやっていないのに複数回受賞者が多い

高田純 (③,4)
落合道夫(①,4,5)
西木戸未來(3,4,5,6)
諸橋茂一(1,3,6)
森嶋雅仁(2,3)
塩澤修平(3,4,⑥)
有馬光正(3,4)
青柳武彦(⑥,7,8)
高山秀幸(6,7)
杉田水脈(⑦,8)
中村敏幸(7,⑧)
山下英次(7,8)

丸数字は優秀賞以上、半角は佳作。(ほかにもう1人いますが、後で紹介します)

身内であるアパの人間も受賞している

木下雅敏(アパ株式会社・室長)(1)
大林敬史(アパグループ常務取締役 代表室長)(5)
石井よしあき(アパグループリスク管理室長)(6)


https://matome.naver.jp/odai/2138209161230198801/2152799919717841103
また、受賞者の1人である清水馨八郎氏は「小沢一郎は済州島の出身」と書いたことも。

しかし小沢一郎の父親は岩手出身の国会議員・小沢佐重喜

母親が済州島出身と言うことらしいが、母親のみちは千葉県の庄屋の娘である。仮に済州島出身であったとしても母親の出身地をそのまま本人の出身地とするのは無茶苦茶である。

そもそも清水自体が非常に怪しい人間である。

清水はイオンド大学の筆頭教授として名を連ねている。

しかしこのイオンド大学はとんでもないシロモノなのだ

イオンド大学はディプロマミルの1つ

ディプロマミル(diploma mill)あるいはディグリーミルとは、実際に就学せずとも金銭と引き換えに高等教育の「学位」を授与する(と称する)機関・組織・団体・非認定大学のことであり、その活動は学位商法とも呼ばれる。
ディプロマミル – Wikipedia

そしてイオンド大学は解散させられた。

これだけでも清水馨八郎のトンデモさ、そしてその論文を佳作に選ぶアパの良識のなさがわかるだろう。しかしこんなのはまだまだかわいいのである。とんでもない人間が優秀賞になってるのだから。

あのドクター中松が優秀賞に!

サー中松義郎博士(セントルイス大学教授)
アパグループ第4回「真の近現代史観」懸賞論文募集

第4回の優秀賞、第6回も佳作受賞。

サー中松義郎博士ことドクター中松

タイトルは”「日本は負けていない」~超経験者しか知らない史実~”

超経験者とは、「まじめに高度な勉強をした昭和一桁初期の日本人」のことを言うらしい。
アパグループ 第4回「真の近現代史観」懸賞論文受賞者発表:優秀賞作品(社会人部門)

本論文はフィクションではなく本筆者が自ら直接見聞きした事実に基づく真の近現代史である。
アパグループ 第4回「真の近現代史観」懸賞論文受賞者発表:優秀賞作品(社会人部門)

でも内容は架空戦記そのもの

陛下は米の原爆に対し非道だと禁じた原爆で応じたのなら「人類の文明が滅亡する」と終戦を御聖断された。米が原爆を落とせば日本もこれに応じて米に原爆を落とす。このことによって日米の多数の人が死に、この原爆戦争が世界に及び世界中の人が死ぬ。これを防ぐために米が日本に原爆を落とした時点で終戦にされたのであって、日本が原爆を落とされたから、または負けたので終戦にしたのではない。日本は負けていないのに終戦したのである。
アパグループ 第4回「真の近現代史観」懸賞論文受賞者発表:優秀賞作品(社会人部門)

「太陽と水と大地」があれば永久に生産出来るバイオ燃料を創り出す事に成功した。しかも空襲に耐えるため蒸留工場を全国に分散して建設し、ここで製造した。この蒸留装置製造を実現できたのは海軍艦政本部が木山中佐の依頼に全面的に協力し蒸留装置を急速に造り全国に設置したからである。日本は永久に戦える燃料を終戦前に用意できたのである。
アパグループ 第4回「真の近現代史観」懸賞論文受賞者発表:優秀賞作品(社会人部門)

すごい、だったら原発がなくてもそれで十分ですね。

全ての文章がツッコミどころと言う逆の意味で稀有な文章です。突っ込む気力もないので下のリンク先を見てください。

この内容が本になってましたorz

そんなわけでこの懸賞論文はもはやまともな内容ではなく、右翼の遊びと化しているのです。おそらく第8回も有名人が最優秀賞になることは間違いありません。(実際その見方は当たることに)

最優秀藤誠志賞 (懸賞金300万円及び全国アパホテル巡りご招待券)(1年間有効)※
ケント・ギルバート(米国カリフォルニア州弁護士)
「日本人の国民性が外交・国防に及ぼす悪影響について」
真の近現代史観 懸賞論文

ケント・ギルバート

その他のメンツもいつもの通り。

優秀賞(社会人部門)中村 敏幸
優秀賞(学生部門) 小野寺崇良
佳 作  青柳武彦
大石英樹
呉亮錫
杉田水脈
辻本貴一
針原崇志
松木國俊
山口富士夫
山下英次
ロバート・D・エルドリッヂ
田母神さんで有名になったあのアパ懸賞論文、ケント・ギルバート氏が今年の最優秀賞(300万円他)に輝く – NAVER まとめ

青柳氏は3回連続の受賞、杉田氏・中村氏・山下氏は2年連続の受賞である。
田母神氏も受賞した「真の近現代史観懸賞論文」について – NAVER まとめ

ちなみに審査委員は以下の方々

渡部昇一(審査委員長・上智大学名誉教授)
小松崎和夫(報知新聞社社長)
元谷外志雄(主催者、アパグループ代表、小松基地(第6航空団)金沢友の会会長)
田母神俊雄(軍事評論家、元航空幕僚長)
小堀桂一郎(東京大学名誉教授)
小山常実(大月短期大学名誉教授)
原田義昭(自由民主党衆議院議員)

渡部についてはここを見てください。

原田についてはここを見てください。

ね、すごいでしょう?

6回目の受賞者が発表となってのネットの反応

ペーパームーン@undecided_now

今年のアパGP論文で受賞された山本みずき(@Mizuki_Y_0111)氏が事務局運営を務める「日本国史学会」、今度11月30日に「大東亜会議70周年記念シンポジウム」を慶應義塾大学・日吉キャンパスでやるそうですね。 yamamotomizuki.blog.fc2.com

儒艮さん@dugongsan

アパグループ「真の近現代史観」懸賞論文、優秀賞塩澤修平(慶應大教授)「毅然として歴史観の発信を」→apa.co.jp/newsrelease/ne…。竹田某さんより塩澤さんをどうにかしたほうがいいですね。公式サイトも妙に豪華だし。
慶應+アパ論文、破壊力ヤバい
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