國枝孝弘@TakaKunieda
卒業論文に描きやすい作家とは?
ずばり、明快なテーマを持った小説です!
しかし、『ハックルベリー・フィンの冒険』などは結末に賛否両論があり、論文を書くのに大量の文献を読まないといけない可能性も・・・。
おすすめしたい作家がこの人!
参考文献が見つけやすい!
訳が柴田元幸
ポール・オースターを日本で翻訳しているのは、現代最高峰と名高い柴田元幸先生!生まれて初めて訳して出版されたのもオースターの『幽霊たち』だったそうです!レベルの高い訳は読んでいてストレスがありません!また彼の出している雑誌でオースターが特集されているので、参考文献も集めやすい!
おすすめの本①ムーンパレス
人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。
Amazon | ムーン・パレス (新潮文庫) | ポール・オースター, Paul Auster, 柴田 元幸 | ア行の著者
最初にオススメするのは『ムーン・パレス』です!青春小説で読みやすく、かつテーマがわかりやすい!
原型にあるのは旅小説・ロードノベル
なんとこの作品の中では5度もの「アメリカ西部への移動」が出てきます。『ハックルベリー・フィンの冒険』や『オン・ザ・ロード』のような旅の物語でありながら、明らかにそういったものとはズレていきます。なぜなら舞台となる60年代は社会不安で誰もがアメリカン・ドリームを想えない時代だったから。とても面白くわかりやすい。
文学的素材の詰め合わせ
アウトロー(三代)・父殺し(2人)・孤児(三代)・フロンティアの消失(無数)・帝国主義の反省(インディアンとベトナム戦争)・赤いスポーツカーで西へ、ウッドストックフェスティバルに月面着陸、アイデンティティを求める移動、といった風に、アメリカ小説の文学的素材がマシマシです!どこから論じていっても面白い!
語りの構造(ポスト・モダニズム)
中年になった主人公が若き日の自分を笑い飛ばすという形の語りです。しかも若き日の自分が別の人物たちの半生を聞くために3重の構造になっています。それどころか、中心的プロットは、「うそつき老人の語り→聞き取ったことをメモ→清書→出版社に送るために編集→それを中年の自分が語りなおす」というものすごく真実味が薄れそうなプロセスが設定されています。何が何だかわからないと思いますが、読んだらわかるのでぜひ。
②ニューヨーク三部作
原型にあるのは探偵小説
今度は探偵小説が原型です。『ガラスの街』『幽霊たち』は探偵が主人公で、『鍵のかかった部屋』も謎を追い続ける語り手が主人公です。しかし普通の探偵小説であるわけがなく…。反探偵小説と呼ばれています。これだけで卒論が書けるテーマ。
面白い象徴性
『幽霊たち』は登場人物の名前が全て色です。アイデンティティーが希薄で色に置き換えられてしまう都市の人間を読み込めます。また色の内訳から分析する論文もありました。主人公は探偵・Blueです。
書くという行為
これは『ムーン・パレス』と共通しますが、全ての作品が「書く」とはどういうことなのか、というテーマを持っています。そのため、作中に多くの有名な小説家が出てきたり、ネタバレになるので深くは言えませんが、『書く』という行為がものすごく重要になったりします。
ドッペルゲンガー
『ガラスの街』ではドッペルゲンガー性がPoeの「ウィリアム・ウィルソン」によって示唆されます。そして『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』ではドッペルゲンガー的存在が登場し、主人公たちは自らのアイデンティティのゆらぎを感じます。
③幻影の書
その男は死んでいたはずだった──。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のへクター・マン。その妻からの手紙に「私」はとまどう。自身の妻子を飛行機事故で喪い、絶望の淵にあった「私」を救った無声映画こそが彼の作品だったのだから……。へクターは果たして生きているのか。そして、彼が消し去ろうとしている作品とは。深い感動を呼ぶ、著者の新たなる代表作。
幻影の書 (新潮文庫) | ポール オースター, Paul Auster, 柴田 元幸 |本 | 通販 | Amazon
主人公が共通性を持つ
主人公が半分くらい『ガラスの街』の主人公クインと共通点を持ちます。しかし決定的に異なる結末を迎えます。この点に関して論文を書くと、かなりカッコいいものが書けるんじゃないでしょうか。
書くことと生きること、フィクションとノンフィクションとが偶然の連鎖のなかで次第に絡まり合い、影響を与え合うなかで、やたらに奇妙な物語が形成されていく
『幻影の書』/ポール・オースター | 裸足になって公園で
その他にもたくさんの強烈な作品が
あらすじだけでも読んでみてください。興味を持てる物語で書くのが一番!
まさかの犬が主人公『ティンブクトゥ』
優しかったウィリーに再会するために、ティンブクトゥへ行こう。出会いの喜び、別れの悲しみ。言葉の分かる犬と放浪癖のある飼い主の可笑しくて感動的な物語。オースターの最高傑作ラブストーリー。
ティンブクトゥ (新潮文庫) | ポール オースター, Paul Auster, 柴田 元幸 |本 | 通販 | Amazon
衝撃のディストピアSF『最後の物たちの国で』
人々が住む場所を失い、食物を求めてさまよう悪夢のような国――鬼才オースターが極限状況下の人間の愛と死を描く20世紀の寓話。
最後の物たちの国で (白水Uブックス―海外小説の誘惑) | ポール・オースター, Paul Auster, 柴田 元幸 |本 | 通販 | Amazon
寓話は書きやすいです!すべてが現実に起こっていることのたとえ話になっています!
自由の女神をぶっ壊せ『リヴァイアサン』
一人の男が道端で爆死した。製作中の爆弾が暴発し、死体は15mの範囲に散らばっていた。男が、米各地の自由の女神像を狙い続けた自由の怪人(ファントム・オブ・リバティ)であることに、私は気付いた。FBIより先だった。実は彼とは随分以前にある朗読会で知り合い、一時はとても親密だった。彼はいったい何に絶望し、なぜテロリストになったのか。彼が追い続けた怪物リヴァイアサンとは。謎が少しずつ明かされる。
リヴァイアサン (新潮文庫) | ポール オースター, Paul Auster, 柴田 元幸 |本 | 通販 | Amazon
すごく気になるあらすじ
石を積み上げて壁を築こう『偶然の音楽』
妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。すべてを捨てて目的のない旅に出た彼は、まる一年赤いサーブを駆ってアメリカ全土を回り、〈十三カ月目に入って三日目〉に謎の若者ポッツィと出会った。〈望みのないものにしか興味の持てない〉ナッシュと、博打の天才の若者が辿る数奇な運命。現代アメリカ文学の旗手が送る、理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語。
Amazon | 偶然の音楽 (新潮文庫) | ポール オースター, Paul Auster, 柴田 元幸 | ア行の著者
その他いろいろ
自伝的世界から夢想の空間へ入っていく散文作品『孤独の発明』やヒッチ・コックを思わせるロードノベル『ミスター・ヴァーティゴ』などなど。
おすすめの決め方
最初に貼った作家ガイドにはすべての作品の要約が載っています(その本自体も卒論への第一級の資料)そこから興味のある作品を見つけて手に入れるのが良いでしょう。












