不思議な名前の植物がある
その名もベラドンナ。
ラテン語で“美しい淑女”という意味です。
ベラドンナ | 01~10 | 植物の話あれこれ | 植物図鑑DB | ハーブの館|日本新薬株式会社
なぜそんな名前なのかというと…
この植物のことを、ベラドンナと呼ぶようになったのは、ルネッサンス期にイタリアのベネチアなどで婦人たちがこの植物の葉の汁を点眼して目を大きく美しく見せるために化粧用に使ったことに由来すると言われている。
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しかし、実はこれは毒草…
この植物の葉や根には「アトロピン」と呼ばれる成分が含まれている。この成分には、瞳孔を拡大する散瞳作用がある。上に述べた「目が大きく美しく」見えるようになるのは、このアトロピンの作用によるものである。「アトロピン」は、またオウム真理教事件でサリンの解毒薬として有名になったこともよく知られている。
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ベラドンナは古くから「悪魔の草」と呼ばれ、その強い毒性が恐れられていた。
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悪魔や魔女はことのほかこの毒草を好み、ワルプルギスの夜(魔女たちがブロッケン山に集まって魔王と宴を張る五月祭りの前夜)を除いて、一年中忙しく、この植物の手入れに励んでいると言い伝えられている。
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しかし、昔の淑女たちはそれでもこぞって目薬として使用した
ルネッサンスの一時期、ヨーロッパでは貴婦人たちの間で「魔女の草」の汁を目にさすのが流行りました。その草汁に含まれるアルカロイド成分には、目の瞳孔を開く作用があるので、バンビのようにキラキラと輝く美しい目に見えるのだそうです。
くすりと健康
きらめく瞳と引き換えに、「魔女の草」の副作用で目に障害が残ったり、失明したりという不幸な事故も後を絶たなかったようです。薬草として間違った使い方ではありましたが、女性の美への憧れがそうさせたのでしょう。
くすりと健康
それこそ、美しくなりたいと願う女性たちへの悪魔のささやきだったのかも知れません。
くすりと健康
現在も、なおヨーロッパでは「アトロピン」入りの目薬が市販されていると聞く。興味ある方は、一度試してみられてはいかがであろうか。
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