佐村河内氏で誤解される【聴覚障がい】知っておきたい耳の障がいのこと

wafumickey
佐村河内氏が謝罪会見を開き、障害者手帳を返却したと語りました。「聞こえてるじゃないか」と多くの批判がありますが、実際に健常者と同じなのでしょうか。佐村河内氏の一件で、聴覚障がい者について誤解があるのではないかと思い、このまとめを作成致しました。より多くの方に障がいを知って頂ければ幸いです。

佐村河内守氏は全聾ではなく難聴と判明

3/7の謝罪会見で質疑応答に応える佐村河内氏

正常値が100のところ、佐村河内氏の聴力レベルは50。難聴に当たる数値だという。耳が不自由であることは本当だったと証明できる結果だが、一方で、全ろうではなかったことも裏付ける結果となってしまった。
佐村河内氏 再検査の結果は「全ろう」ではなく「難聴」 (スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース

障害者手帳を交付した横浜市の求めで受けた聴力の再検査の結果ですので、今度こそ信用出来るものではないでしょうか。では、佐村河内氏の聴力レベル50とは、どの程度聞こえているのでしょうか。下記にまとめました。

区分が難しい、耳の障がいをちゃんと理解しよう

聞こえの不自由な人を聴覚障害者と言いますが、聴覚障害の原因や種類、聞こえの程度が様々なため、聴覚障害者を分類し定義することは非常に難しい。聴覚障害者は、 「中途失聴者」、「難聴者」、「ろう(あ)者」に分かれますが、その人がどれに当たるかは、その人自身がどう思っているかというアイデンティティの問題でもあるのです。
聴覚障害の基礎知識

聴覚障がいの方は話すことが出来る?出来ない?

聴覚障がい者の方が全員、手話が必要かというと違います。要はいつ耳に障がいが生じたかによります。言葉を覚える前に障がいが生じると(=先天性)、手話を必要とする場合が多く、言葉を覚えた後ですと、健常者と同様に話すことが出来る方もいらっしゃいます。

①中途失聴者〜言葉を獲得した後に耳に障がいが生じた方〜

5~7歳以上のある程度母語が確立した後での失聴の場合、教育環境にもよりますが文章の読み書きはほぼ問題のないレベルです。声も普通と変わりないか慣れれば判別できる程度の方が多いです。
「聴覚障害者とは」 | 東京都聴覚障害者連盟

②ろうあ者〜先天性の聴覚障がい〜

音声言語を習得する前に失聴した人で、そのため、手話を第一言語としている人がほとんどです。
聴覚障害の基礎知識

③難聴者〜微かに聴力が残っている方〜

「難聴」とあるとおり、聴くのが難しいため聞き間違えたり、体調によっては聞こえなかったりで、中途半端に聞こえることから誤解されたり、大丈夫と思われてサポートしてもらえないため苦しんでいることがあります。
「聴覚障害者とは」 | 東京都聴覚障害者連盟

検査の結果をもとに考えると、佐村河内守氏はこの区分となります。

身体障害者福祉法で明記されている基準

2級
両耳の聴力レベルがそれぞれ100dB以上のもの

3級
両耳の聴力レベルが90dB以上のもの

4級
1.両耳の聴力レベルが80dB以上のもの
2.両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下のもの

6級
1.両耳の聴力レベルが70dB以上のもの
2.一側耳の聴力レベルが90dB以上
Link | 身体障害者福祉法における聴覚障害者の程度等級

ちょっと不思議に思われるかもしれませんが、日本では聴覚障がいの等級は2級〜6級までです。聴覚障がいと更に言語障がいが加わると、1級として認定されることがあります。

等級の基準となるdB(デシベル)とは?

健聴・・25dB以下(ささやき声などもよく聞こえる)
軽度の難聴・・26~40dB(小さな声での会話が聞こえにくい)
中度の難聴・・41~55dB(普通の声が聞こえにくい)
やや高度の難聴・・56~70dB(大きな声が聞こえにくい)
高度の難聴・・71~90dB(補聴器などがなければ聞こえない)
非常に高度・・91dB以上(補聴器を使用しても聞こえない)
障害者手帳(聴覚)の交付申請手続きと等級

ちなみに普通の話し声は約60dBです。つまり、日本では普通の話し声が聴きづらくなった時点で聴覚に障がいがあると認められます。佐村河内氏は50dBですので、中度の難聴です。

dB(デシベル)だけで語れない、聴覚障がいの複雑さ

「聞こえにくさ」は平均聴力レベル(dB)だけでは表せない。 同じ聴力でも高音部に落ち込みがあったり、音の高さや音色が歪んだり、 二重に聞こえたりすると、言葉の聞き取り(言語弁別能)はずっと悪くなる。
聴覚障害の基礎知識

日本の定める等級に当てはまらない=生活に問題がないとは限りません。聞こえる音と聞こえない音があるので、本来は等級だけではまとめることは出来ません。

日本は聴覚障がいの認定基準ハードルが高い

聴覚障害の認定基準が福祉先進国と比べて非常に厳しいことである
障害の定義から生じる難聴者・中途失聴者の現状と課題

世界保健機関(WHO)は、平均聴力レベルが良耳41デシベルから福祉サービスを必要とする聴覚障害をもつ者という基準を提唱している。しかし、身体障害者福祉法による障害程度等級には該当する区分が存在しない。
障害の定義から生じる難聴者・中途失聴者の現状と課題

世界的には41dBから、聴覚に障がいがあるとしていますが、日本では70dBからと定められています。このWHOの基準からすると、佐村河内守氏は聴覚に障がいがあるといえます。

手帳交付を受けている聴覚障害者は、全国で約36万人とみられています。しかし、国連の世界保健機構(WHO)では”41dBから補聴器の装用が推奨される”とされており、この基準に基づくと600万人にのぼるとみられます。
Link | 身体障害者福祉法における聴覚障害者の程度等級

つまり、単純計算でも約570万人が聴覚障がいを認められていないことになります。

知っておきたい、聴覚に障がいを持つ方が不便に感じる4つの事

①周囲の方に気づいてもらえない

聴覚障害は、一見してその障害がわかりません。特に言語障害は、知りたいことを質問できない不便さを理解されず、日常生活にさほど不自由しないと思われがちです。そのため周囲の方に気づいてもらえないばかりか、心ない言葉を受けることもあります。
聴覚障害の基礎知識

②放送や呼びかけにも気づかない

放送による呼び出しや声をかけることでは通じない場合があり、銀行や病院などで不在だと思われることもあります。また店内放送や駅の構内放送などにも気づかずに、適切な行動がとれないこともあります。
聴覚障害の基礎知識

③音によって周囲の状況を判断できない

日常生活の中で、音などから周囲の状況を判断できない場合があるため、事故や事件が起こったとしても、どうすればいいのかわからないことがあります。そのため不自由を感じるだけでなく、危険な目にあうことも多いようです。
聴覚障害の基礎知識

④コミュニケーションの方法を間違われる

聴覚障害者には、手話や筆談など、その方なりのコミュニケーションの方法があります。コミュニケーションの方法が適切でないと、話を伝えることができません。その方に合ったコミュニケーションの方法をまず理解することが大切です。
聴覚障害の基礎知識

聴覚障がい者は同じ権利をもつ国民

「障害者は、社会の異なったニーズをもつ特別の集団と考えられるべきではなく、通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである」とあります。

障害者と健常者は同じ権利を有する住民であり、対等な立場で社会参加する一人として障害者を支援する時代へと、国の考え方も大きく変化してきました。
聴覚障害の基礎知識

https://matome.naver.jp/odai/2139415596889372601
2014年03月07日