初音ミク6周年。「ボカロ」の歴史が10分でわかるまとめ (1)

RUN4U
初音ミクは8月で6周年を迎えましたが、実は「VOCALOID」製品自体は今年で10周年。世界初のボカロから、パーカー事件や「AKB/千本桜」までわかりやすくまとめます。苦手な方の意見や、今後への課題も。【全3回、UP完了しました。】

★追記:2014年版を更新しました。

1.【初期】2007~2008 「ボーカロイド」誕生

そもそも「ボカロ」って何?

VOCALOID(ボーカロイド)とはヤマハが開発した音声合成技術、及びその応用製品
Wikipedia | VOCALOID

←このように作曲していきます。
「V1」世代から始まり、
現在は「V3」までのボカロが登場。

「初音ミク」以前にもボカロは存在していた

「LEON」 / 「LOLA」
ソウルシンガーを想定したVOLALOID。

#写真は「LEON」。
パッケージには「唇」の写真のみで、イラストはありません。

Zero-G社から2004年3月にLOLAとともに発売された、まさにボーカロイド界のアダムとイブ
初音ミクWiki | LEON

性能上メインボーカルを務めさせることは容易ではなく、用途としてはバックコーラスへの利用が想定されていた
LEON・LOLA – Wikipedia

サンプリング元も公開されていないそうです。

この後、外国でもVOCALOID製品が発売されていきますが、知名度はそれほど高くないようです。

その「VOCALOID」開発の立役者がこちら

ヤマハ株式会社の剣持秀紀氏
「初音ミクのお父さん」とよく言われる方。
全てのボーカロイドの父でもあります。

その頃は「DAISY」というプロジェクト名で、1961年にコンピュータが世界で初めて歌った歌にちなむそうです。
「デイジー・ベル」は『2001年宇宙の旅』の元ネタにもなっています。

この「クリプトン」こそ、「クリプトン・フューチャー・メディア株式会社」。
「初音ミク」の生みの親であり、「ボカロ」文化を牽引してきた存在です。

同2004年、日本初のVOCALOIDが発売。

「MEIKO」
LEON・LOLAの8ヶ月後、
クリプトン・フューチャー・メディアから発売。
サンプリング音声は当時ヤマハに在籍していた歌手の拝郷メイコさん。

大人の女性、パワフルかつソウルフルな本格派シンガー
咲音メイコとは (サキネメイコとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

http://www.youtube.com/watch?v=HXpWbWnbGaU

ニコニコが見られる方はこちらから!

続いて2006年、日本初の男声VOCALOID

「KAITO」
2006年2月、VOCALOID1日本語ライブラリの第2弾として発売。
サンプリング音声は歌手の風雅なおとさんが担当。

当初は売上が伸びず、初音ミクのヒット後もしばらく知名度が低かったため、発売元からは「男じゃダメなんだと思った」、ミクファンからは「誰?」と言われるほど不遇な扱いを受けていた。
やる夫 Wiki | KAITO

VOCALOIDで曲を作る、いわゆる「ボカロP」は、男女比でいうと男性がかなり多いようです。
それもあってか、男性ボカロは女性ボカロに押されがちとも言えます。

http://www.youtube.com/watch?v=vWVdgdtHkMI

ニコニコが見られる方はこちらから!

そして2007年8月31日、ついに「初音ミク」が発売。

「初音ミク」
2007年8月31日に発売。
「V2 」世代最初のボカロです。

※2013年8月31日、「V3」バージョンが発売予定。

画像は、2007年の 7/2~9/17 にかけてのサウンド関連ソフト販売本数。
クリプトンの勢いがえらいことになっています。

声は声優の藤田咲さんを起用。キャラクターのデザインは千歳出身のイラストレーターKEIさんに依頼した。
北海道新聞 | 初音ミク」異例のヒット 仮想アイドルが歌う音楽ソフト 2ヶ月で2万本(2007/10/27)

よく「北海道」がクローズアップされるのは、発売元であるクリプトンが札幌にあるため。

3000~4000本売れれば大ヒットと言われるこの種のソフトで発売から2カ月弱で2万本を売り上げている。
北海道新聞 | 初音ミク」異例のヒット 仮想アイドルが歌う音楽ソフト 2ヶ月で2万本(2007/10/27)

※この記事の明察はすごいので是非読んでみてください。

バーチャルアイドル歌手」として明確なキャラクター像を設定したことが特徴
blog.metaplace.jp: 初音ミク


https://matome.naver.jp/odai/2137740310174482601/2137764060694138403

この頃、「ITmedia ニュース」は「初音ミク現象」を何度も取り上げています。
2007年の9月~11月で、30件弱。
当時の活気、熱気が伝わってきます。

「買ってから数日は、毎日曲を作ってた。リビングのPCに(鍵盤の)キーボードをつないで。音声が出るから家族に不審な目で見られるけど、それも気にならないくらい楽しい」
DTMブーム再来!? 「初音ミク」が掘り起こす“名なしの才能” (1/2) – ITmedia ニュース


https://matome.naver.jp/odai/2137740310174482601/2137764060694138303
ニコニコ動画はこんな感じ
色々な動画が、新着やランキングに上がってきます。

作った楽曲をニコニコ動画に投稿すれば、多くの人に聴いてもらえ、コメントも見られる。すぐに見える反応が、“職人”のやる気をヒートアップする。
DTMブーム再来!? 「初音ミク」が掘り起こす“名なしの才能” (1/2) – ITmedia ニュース

楽曲だけでなく、「描いてみた」「弾いてみた」など、自分のできる分野で、ユーザが参加していきます。

ニコニコが見られる方はこちら!

発売後は、初音ミクを使用したカバー曲がニコニコ動画に次々とアップされ、 しばらく後には投稿者自ら作曲したオリジナル曲が人気を得るようになっていく。
ニコニコ大百科 | 初音ミク

9月4日、ミクとネギとの出会い、「持ち物」論争のきっかけ

http://www.youtube.com/watch?v=faQSs6UBDok

「BLEACH」の井上織姫がスーパーで買ってきたネギを振るシーンを「Ievan pollca」という曲にあわせてみたというのが元ネタといえば元ネタです。

その動画で井上織姫の代わりに初音ミクにネギを振らせたのが始まりです。
初音ミクはなんでいつもネギが近くにあるんですか? – Yahoo!知恵袋

当時、世界的にネットで流行した「ロイツマ・ガール」。
その派生動画として作られたのが↓です。

http://www.youtube.com/watch?v=kbbA9BhCTko
発売されて5日。この動画が、ミクとネギのなれそめであり、「はちゅねミク」というキャラクターもここで誕生しました。
この後、「新しいボカロが出たら持ち物(イメージ)を決める」という流れが定着していきます。

10月14日、TBS「アッコにおまかせ!」騒動が勃発

記事内の「wat」は、クリプトンの広報である佐々木渉氏です。

ミクは入力した通りの歌詞とメロディで歌を歌ってくれるソフトでー
これをつかって曲を作ってますよーって話をしてその制作風景を撮ったんだよ。
その合間に時々タマ姉のタペストリーとかのネタを振られてたんだけど
最終的にはその部分しか残らなかった(゚д゚)
「アッコにおまかせ」の初音ミク特集があまりにもひどくて大騒ぎに – GIGAZINE

上記は取材されたご本人のtask氏の証言。

参考画像:タマ姉。
ゲーム「ToHeart2」のヒロインです。

実際の放送はOtomania氏の「あの鐘を鳴らすのはあなた」は一切流れず
「アッコにおまかせ」の初音ミク特集があまりにもひどくて大騒ぎに – GIGAZINE

ミクがカバーした曲を作成したが、全カットだったとのこと。

最後に、ナレーションがこのユーザーに対し「普段は何を」と質問。ユーザーが「コンビニでアルバイトを」と返答すると「ふーん、ご立派ですねえ」とナレーションが返して特集ビデオは終了した。
TBS「アッコにおまかせ」の初音ミク特集に批判相次ぐ – ITmedia ニュース

※当該動画は探せば出てきますので、「そんな言うほどのことかなぁ…」とおもった方は見てみてください。

時を同じくして、検索最大手の画像検索で「初音ミク」が出てこなくなる

Googleでサーチ
当時のスクリーンショット。
1件も「初音ミク」が出てきません。

「Yahoo」でも同様の結果に。

検索結果から「初音ミクが消えた」とされる検索エンジン各社は、作為的に結果を改竄した事実はないとしている。
亞北ネルとは (アキタネルとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

機械的に拾ってくる部分でそこが対象になっていなかったというだけ
“初音ミク問題”に証券アナリストも懸念!? ヤフーの決算説明会で話題に | ImpressWatch

Yahooの公式見解です。

「MSN」でサーチ
同じく当時のスクリーンショット。

「検索できたサイト」「できなかったサイト」、その理由はよくわかりません。

この時、いわゆる祭り状態となっていた2ちゃんねる掲示板上で騒ぎを沈静化させようとするコメントを繰り返す人物が見られ、その人物をモチーフに萌え美少女化された。
VOCALOIDの派生キャラクター – Wikipedia

「飽きた、寝る」という『火消し』コメントが、「亞北ネル」のネーミングの由来です。

ネルを生み出したスミス・ヒオカ氏のサイトの記事です。

今ではゲームにも登場する「亞北ネル」
ネルの生みの親であるスミス・ヒオカ氏と、クリプトン社が取り決めを交わし、公式なキャラクターとなりました。

このような「派生キャラ」は他にもいます。
詳しくは下記を。

ちなみに2012年、Google ChromeのCMにミクが出演。

chromeには2009年から初音ミクのテーマがありましたが、まさかCMになるとは…。
かつてのGoogle事件がまるで嘘のようです。
両者の新しい出発に幸あれ!!
Googleと初音ミク:防火ロイド「亞北ネル」

同、スミス・ヒオカ氏のブログの記事です。
あのCMは…良かったですよね。泣けました。

12月17日、「みくみくにしてあげる♪」のJASRAC信託が発覚。

登録時のアーティスト名について、「作家名+featuring初音ミク」と表記にするようクリプトンから依頼を受けていたが、手違いで「初音ミク」と登録してしまった
「みくみく」JASRAC登録で「手違い」 ドワンゴ・ミュージックが謝罪 – ITmedia ニュース

ドワンゴ(ニコニコ運営)の子会社が、発売元の意向に沿わず、勝手に「初音ミク」を登録したことが問題になりました。

ネット上では「みくみくを使ったMAD作成にも著作権料が発生することになり、自由な2次創作ができなくなる」
「みくみく」JASRAC登録で「手違い」 ドワンゴ・ミュージックが謝罪 – ITmedia ニュース

「みくみく」自体が、ブームを牽引する存在だったため、ショックが大きかったようです。

さんざん商業展開、メディアミックスされている2013年からはあまり想像つかないですが…
黎明期の苦労が忍ばれます。

12月27日、「鏡音リン・レン」発売

「鏡音リン・レン」
2007年12月27日に発売。

声のサンプリング元は声優の下田麻美さん。

ここでやっと年が明けます。

2008年7月、「がくっぽいど」発売。

「がくっぽいど」
2008年7月31日、株式会社 インターネットから発売。

日本初、クリプトン以外のボカロ。
そして、サンプリング元はあの「Gackt」さんです。

この後、中期の隆盛を経て、何かと話題に事欠かない現在のボカロへと繋がっていきます。

2.【中期】2009~2011 「ボカロ」という遊び場の発展

3.【後期】2012~2013 商業への進出、ファンの流入

https://matome.naver.jp/odai/2137740310174482601
2014年08月31日