そもそもダブルスチールのセオリーって?

ginderen
WBCの準決勝、対プエルトリコ戦で様々な議論を呼んだ8回裏のダブルスチールのシーン。今回改めて、ダブルスチールのセオリーをまとめてみました。ただし、ピッチャーが右か左か、バッターが右か左か、あるいは何番打者か、などさらに複雑な要因が絡んでくるものと思われます。あくまで基本中の基本として見てください。

守備側からのセオリー

§ピッチャー.
2塁送球の邪魔にならないようにしゃがむ。

§キャッチャー.
3塁送球。ただし、2塁ランナーにモーションを盗まれて3塁送球が間に合わないと判断した場合は2塁へ送球。キャッチャーの瞬時の判断が重要。
ランナー1,2塁ダブルスチール


https://matome.naver.jp/odai/2136373708977194201/2136373869877378503
フォーメーション

攻撃側からのセオリー

(1)二死のとき多く使用
(2)捕手が弱肩のときにやる
(3)投手のモーションの大きいときにやる
(4)いちかばちかのときにやる
http://senbokudreams.web.fc2.com/image/seori1.pdf

重盗に失敗すると

行けると確信のある時のみ

ランナー2塁の時と同様に行けると確信のある時のみ敢行します。
モーションが盗めている時に仕掛けます。
サインで行うこともありますが、単独で仕掛けることが殆どです。
「2塁ランナーが単独で走ったら1塁ランナーは盗塁出来ないのでは?」と思う方もいるでしょう。
ランナー1,2塁 ダブルスチール‐ケース別の戦術

1塁ランナーは2塁ランナーのスタートを見てから走るケースが多い
実はダブルスチールの多くが1塁ランナーは2塁ランナーのスタート見てから走っています。
ランナー1,2塁 ダブルスチール‐ケース別の戦術

重盗に失敗すると
攻撃側は最後はあえてこうすることもありますが…。守備側は前にいるランナーからまずタッチしていきます。ややこしいですね。

なぜ、これで成功するかと言うと、基本的には捕手は先の塁のランナーを刺しに行くので、3塁送球をするためです。
そのため、1塁ランナーは1,2歩スタートが遅れても成功します。
3塁送球が間に合うかもしれないのに捕手は2塁へ投げません。

但し、2死の場合は2塁へ投げてくる場合がありますので、気をつけて下さい。
ランナー1,2塁 ダブルスチール‐ケース別の戦術

ではWBCプエルトリコ戦のケースは?

バックネット裏から
画像をクリックしてみてください。誰がどのような動きをしていたか、よく分かります。

※残念ながらリンク切れとなってしまったようです。バックネットからの動画ではありませが、プレーの動画はあります。↓↓↓

一、二塁で重盗をする場合には、一塁走者は二塁走者のスタートを見てから自分もスタートを切る。そのため最初の一歩の踏み出しが一瞬だけ遅くなってしまう。その分、捕手が二塁に送球したときには、アウトになる確率も高くなるわけだ。さらにモリーナの強肩も頭にある。

だから「スタートだ」と思った瞬間に、内川は顔を下げて必死に二塁に向かって走ってしまった。
足で勝って、足で負けた侍ジャパン。あの8回裏の重盗シーン、全真相。(3/4) – Number Web : ナンバー

やはり100%成功しなければならないというプレッシャーが、内川にそんな初歩的なミスを犯させてしまったわけである。
足で勝って、足で負けた侍ジャパン。あの8回裏の重盗シーン、全真相。(3/4) – Number Web : ナンバー

キャッチャーは強肩のモリーナ

あの場面を橋上秀樹戦略コーチ は、こう振り返る

――プエルトリコに敗れた準決勝では、8回の重盗失敗が響いた。

「投手はロメロ。投げ始めから捕手に球が届くまで1・8~1・9秒というデータがあった。三盗の目安は1・6秒。100%走れる。まず1球見て、タイムもモーションも確認できた」
橋上戦略コーチが振り返る 8回の重盗失敗「データ上100%走れた」 — スポニチ Sponichi Annex 野球

しかし、バッターの阿部慎之助が左打者なので、キャッチャーにとって三塁送球のブラインドにならない。この点は関係ないのか気になったりはします。

橋上秀樹戦略コーチ

――結果は失敗だった。

「強化試合のときに重盗の注意事項を確認した。一塁走者は、スタートが遅れたら付いていかない。二塁走者はスタートの偽装をしない。それが徹底できなかった」
橋上戦略コーチが振り返る 8回の重盗失敗「データ上100%走れた」 — スポニチ Sponichi Annex 野球


https://matome.naver.jp/odai/2136373708977194201/2136376575583576303
プエルトリコの守護神・左腕のロメロ
モーションが大きいということだったが…

グリーンライト

野球においては、監督が選手に積極的なプレイの許可を与える場合に使用される。

主に、ランナーとして出塁した場合にランナーが自分の判断で自由に盗塁できることを指す。通常の盗塁は監督のサインにより行われる。
グリーンライト – Wikipedia

あの場面はこの「グリーンライト」だったのでしょうか。

福本豊
いわずとしれた世界の盗塁王。しかしキャリア晩年は「待て」のサインが出ていたようです。

「グリーンライト(盗塁をしても良い許可)ではなく盗塁(必ずしろ)のサインでした」

こう話すのは一塁コーチャーの緒方耕一外野守備走塁コーチだった。
足で勝って、足で負けた侍ジャパン。あの8回裏の重盗シーン、全真相。(1/4) – Number Web : ナンバー

むむ、では井端の見落とし??

ただ……「次の1球で走れ」という“ジス・ボール”の盗塁ではなかったということである。
足で勝って、足で負けた侍ジャパン。あの8回裏の重盗シーン、全真相。(2/4) – Number Web : ナンバー

なるほど。ただ、ランナーが二人ですからね。内川の走り方が難しかったのでしょう。あいまいであったがゆえに難しくしてしまったようにも思われます。

「強化試合のときに重盗の注意事項を確認した。一塁走者は、スタートが遅れたら付いていかない。二塁走者はスタートの偽装をしない。それが徹底できなかった」
これも結果論なのかもしれませんね。

緒方耕一外野守備走塁コーチ

イチローのコメント

イチロー
日米で盗塁王を獲得し、日米通算651盗塁(日199、米452)をマークしているイチロー。

イチローも、判断を任せられていることが今までは多かったようです。ヤンキース2年目ではどうなるでしょうか。

イチローもフィリーズとのオープン戦後に、今回のシーンについてコメントを寄せました。
基本的に上記の見解の趣旨と同じです。
まとめると、モリーナの強肩が内川をして二塁に突っ込ませた、ということです。
しかし、緒方コーチが描いていた図とイチローのあの場面への認識にはズレがあるようです。

◆モリーナの強肩が内川をして突っ込ませた

モリーナがいたからでしょう。あのタイミングでは二塁でアウトになってしまう可能性があった。ほとんどの捕手ならそう(=先行走者を見ながら走る)。でも、モリーナでは無理だったんじゃないですか
イチロー 内川を擁護「あのスタートができたのは凄い」(スポニチアネックス) – 2013 WBC特集 Yahoo!スポーツ

左腕ロメロの大きなモーションもイチローは知っている。「あのモーションが迷いを生む。捕手モリーナでは基本無理なんですけれど、あの投手だからよぎるわけです」と一定の理解を示した。
イチロー 内川を擁護「あのスタートができたのは凄い」(スポニチアネックス) – 2013 WBC特集 Yahoo!スポーツ

◆内川に対して一定の理解

井端が2歩半くらいだったと思うけれど、あそこで内川がそれを見たとしても、止まるまで2歩は行ったと思う。そのタイミングで止まったとしても挟まれてしまうんじゃないですか
イチロー 内川を擁護「あのスタートができたのは凄い」(スポニチアネックス) – 2013 WBC特集 Yahoo!スポーツ

あそこで、あのスタートができる。凄いこと。大体(スタートを切らず)止まることを選択する。自分ならあれができたかというと、その自信はなかなかない。ミスかそうでないかと言うよりも、モリーナの存在。それがあの捕手の力
イチロー 内川を擁護「あのスタートができたのは凄い」(スポニチアネックス) – 2013 WBC特集 Yahoo!スポーツ

◆サインについて

“行くなら行け”と言うのは当然。“行くな”という選択はあるけれど、This Ball(ここで走れ)はないと思いますね。青信号で“行けるタイミングを計っていけ”というのは通常だと思います
采配に非難の声も…イチロー「行くなら行け、と言うのは当然」 — スポニチ Sponichi Annex 野球

やはりここがポイントだったようです。

緒方コーチの発言をもう一度まとめると、
①「グリーンライト(盗塁をしても良い許可)ではなく盗塁(必ずしろ)のサインでした」
②ただ……「次の1球で走れ」という“ジス・ボール”の盗塁ではなかった

イチローのコメントの”行けるなら行け”はグリーンライトのことですから、山本監督・緒方コーチの趣旨(グリーンライトでもないし、ジスボールでもない)とは認識がずれていることになります。

3塁コーチャーズボックスにいた高代延博

高代延博 内野守備走塁コーチコーチ

三塁コーチャーズボックスにいた高代コーチは、緒方コーチとは食い違っています。あれはグリーンライトだったとのことです。

・2球目に
・グリーンライトを適用する

ということだったようです。こうなると、どちらかが思い違いをしているか、嘘をついていることになってしまいますね。

そう。グリーンライトと呼ばれるサインだった。相手の投手はモーションが大きいというデータがあった。チャンスはあった。1球目は様子を見て2球目に行ければ行こうという確認をしていた。重盗を作戦として狙っていた。
高代コーチに聞く、あの重盗の真相!(本郷陽一) – 個人 – Yahoo!ニュース

彼(井端)は盗塁を止めて帰塁した。グリーンライトのサインなのだから、その判断は間違っていない。ただ、内川が、井端が止めたことを確認することが遅れた
高代コーチに聞く、あの重盗の真相!(本郷陽一) – 個人 – Yahoo!ニュース

Thisボールはないよ。選手は走る根拠を持ってスタートを切るわけだから、Thisボールにしてしまうと、もしスタートに遅れたらどうするんだという問題が出てくる。
高代コーチに聞く、あの重盗の真相!(本郷陽一) – 個人 – Yahoo!ニュース

https://matome.naver.jp/odai/2136373708977194201
2013年03月28日