より具体的に考えるうえでも、説得力のある説明をするためにも、数字を使って考えることはビジネスマンにとって必須と言える。しかし、数字に対して苦手意識を持つ人も多い。どうすればそれを克服し、うまく数字を思考に取り入れられるのか!?
☆大事なのは「計算力」よりも「数字を創る力」
▼数字で表現すれば「なるほど!」が得られる
「数字で考える」ことは、ビジネスマンにとって重要なスキルです。そのメリットは、考える行為の結論を具体的に伝えられることです。たとえば「頑張って売上げをアップさせます」と言うよりも、「客単価を1.5倍にして売上げをアップさせます」と言ったほうがより具体的です。
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数学は矛盾を排除した学問ですから、「数学的に考える」ことで「なるほど!」という納得感を得ることができます。
「数字」と聞くだけで苦手意識を持つ人は多いのですが、じつは数字はとても楽しいものです。たとえば、「○+■=5」の○と■に好きな数字を埋めてみてください。たくさん答えを出せた人が勝ち!――という問題を子供に出すと、いろいろな数字を答えてくれます。
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続けてこんな質問をしてみます。「その中で好きな数字はどれ? それはどうして?」「お母さんの誕生日の数字だから」「じゃあ、お母さんを数字で表現するとどうなる?」「いつも6時くらいにご飯を作ってくれるから、6」「あなたが生まれてから今日まで、お母さんは何回ご飯を作ってくれたかな?」――このように考えていくと楽しいですよね。これが「数字で考える」ということです。
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ところが多くの人は、「2+3=5」といった計算は習ったものの、曖昧なものを数字で表現する楽しさは経験していません。手元にある数字を捏ねくり回すことはできても、手元にない数字を自分で創り出し、表現することが苦手です。後者こそビジネスマンに求められる「数字で考える力」であり、それが上手にできないことが、現代のビジネスマンが数字に抱く苦手意識の正体なのです。
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▼毎日一分の「定量化」で数字への苦手意識を克服
ビジネスの場面で身につけたい数学的思考力は、大きく分けて二つあります。一つは「手元にない数字を作る力」、もう一つは「手元にある数字を分析する力」です。
まずは「手元にない数字を作る力」ですが、これはたとえば新規事業の市場規模を推測する場合などに必要な力です。
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例として、「日本のメガネ市場」の規模を推測してみましょう。
社員研修でこの問題を出すと、室内をキョロキョロ見回す人が現れます。「室内を見回す」という行為には、数字を作るうえで重要なポイントが隠されています。
彼らがやろうとしていたのは、会議室という限られた世界でのメガネ人口をつかむことでした。「会議室にいる三十人のうち、メガネをかけている人は十人だから、全体の三分の一。研修の参加者は若い人が多いから、高齢化社会の日本ではもう少し比率は上がりそうだ。日本人が一億二千万人だから、メガネ人口はその半分の五~六千万人くらいだろうか。メガネの単価はいくらくらいだろう?……」と考えていくことで、日本のメガネ市場を概算できます。
このように、実際には計算や測定が困難な数量を推定することを、「定量化」と言います。その場合、会議室内のメガネ人口を数えたように、「目指す数量に近く、かつ勘定できるものを探すこと」が定量化のコツです。
定量化は、慣れない人にとっては難しく感じるかもしれませんが、普段のスキマ時間にちょっとトレーニングするだけで苦手意識を克服できます。
▼数字に強い人ほどいきなり数字に触らない!?
次に、「手元にある数字を分析する力」について考えてみます。
数字を分析する場面としてよくあるのは、売上げを分析する場面でしょう。たとえばA店とB店の優劣を判断するのに、「売上げ額」「従業員数」「店舗面積」の三つの数字があるとします。このとき、仕事で成績を出す人と、仕事で成績を出せない人、もしくは数字が苦手な人とでは、数字の扱い方に大きな違いがあります。
仕事で成績を出す人は、いきなり数字を操作せずに、「その数字で何を分析したいのか」という目的を明確にし、「数字をこう操作すれば目的の結果が得られそうだ」と仮説を立ててから始めます。もし「従業員一人あたりの売上げ額」だけで評価すればよいのでしたら、「売上げ額」÷「従業員数」だけを計算するため、数字の扱いがとてもシンプルです。
一方、仕事で成績を出せない人や数字が苦手な人は、何も考えずにいきなり数字を操作し始めます。手元にある数字を使って、取りあえず足したり引いたり、掛けたり割ったりします。その結果、計算した数字が何なのか、本人にもわからないということが本当に多いのです。
数字を分析するうえでは、ただ計算すればいいというものではなく、この数字で何をしたいのかという目的意識を持って数字を扱うことです。普段から「これはどういう数字だろう」と数字を読み、「このように操作したらどうなるだろう」と想像し、確かめる。これを繰り返すことが、目的意識を持って数字を扱うトレーニングになるでしょう。
掛け算で分解すれば会社の数字が見えてくる
数字の分析において、もう一つのポイントは数字を細かく分解して考えることです。
最近の売上げが低迷していて、その原因を探りたいという場合を考えてみます。「売上げ額」の構成要素を次のように因数分解してみます。「売上げ額」=「広告リーチ数」×「認知率」×「来店率」×「成約率」×「客単価」×「リピート率」。あるいは「雑誌の販売部数」=「書店数」×「平均配本数」×「消化率」。このように数字を分解し、「現実」を丸裸にすることで、どの要素に改善余地があり、そのために何をすべきかが具体的に見えてきます。
数字や数式は、細かくすればするほど、教えてくれることがたくさんあります。普段から「この数字は何と何の掛け算になっているだろう」と考えることが、数字の因数分解に慣れるトレーニングになります。
ビジネスマンに必要な二つの数学的思考力を紹介しましたが、これらの力を身につけるために難しい数学の学び直しは不要です。中学までの数学の知識を使って客観的に物事を考えることができれば、ビジネスの問題解決に大いに役立つはずです。






