進次郎氏は総資産100兆円という農林中央金庫を突然、やり玉にあげた。
「融資のうち農業に回っている金額は0.1%しかない。農家のためにならないのならいらない」
「農協の主な業務には、農産物の販売や農業経営に必要な資材を提供する経済事業と、保険や金融を担う信用・共済事業があります。
政府の規制改革会議は、一般企業による農地売買自由化を繰り返し提言している。
これについても進次郎氏は、経済誌「エコノミスト」のインタビューで、「選択肢のひとつとして持っていい」(2月2日号)と、前向きな発言をしている。
経済事業は赤字で、金融サービスの黒字で穴埋めしている。金融を切り離す規制改革をすれば、農協マネーを狙う米国、企業、投資家は喜ぶでしょう。
農業資材は値上がりし、特に赤字事業の多い地方のガソリンスタンドや金融業務は閉鎖せざるをえない。
結局は、地方に住む人々が打撃を受けることになる。
「企業による農業への参入は、農地をリース契約することで何の問題もない。
農業大国の米国だって企業の農地売買は厳しく規制しているのに、なぜ、必要なのか。食糧安全保障の視点が欠落している」
経済界の意向も見え隠れする。
国家戦略特別区域諮問会議で農地売買の自由化を熱心に提言しているのが、人材派遣大手パソナグループ会長の竹中平蔵慶大教授だからだ。
「自自らの会社への利益誘導のためではないか」民党の農林議員は言う。
農地売買の一部自由化は、兵庫県養父(やぶ)市で特区として認められている。養父市では、オリックスの子会社が農業に参入しているが、竹中氏はオリックスの社外取締役
特区の旗振り役は菅官房長官で、進次郎氏は官邸と経済界の操り人形だよ」
農林部会長には、官邸の急進的な農政改革のブレーキ役も求められているが、その存在感は薄い。
「進次郎さんは、印象的なキーワードを拾って人を巻き込むのがうまいが、討論はできない。数字の間違いもあるから」(官僚)
いったい誰のため、何のための改革なのか――
安倍晋三首相(60)が前のめりで進める農協改革に、農協関係者のみならず、自民党議員からも批判が噴出している
そこには隠された狙いがある。約400兆円の農協マネーの奪い合いだ。
日米両政府の思惑に、日本の農村は食い物にされるのか。
農協は、金融サービスを提供する信用事業(JAバンク)と、民間の保険にあたる共済事業(JA共済)を展開している。
その保有資産は莫大で、JA共済の契約保有高は約300兆円。組合員に事業融資や住宅ローンなどを提供するJAバンクの貯金残高は約90兆円で、日本の個人の預貯金残高に占める割合は10.5%にのぼる
政府は、このカネに手を伸ばそうとしている。政府の諮問機関である「規制改革会議」は昨年11月、「農業協同組合の見直しに関する意見」という文書を発表。
貯金や共済の利用制限について「(一般の人も加入できる)准組合員利用量の規制は、数値基準も明確に」と書いている。
実は、これが農協の信用・共済事業を弱体化させる核心という
「たとえば、准組合員がJAバンクで利用できる貯金総額が正組合員の50%以下に制限されると、50%を超える分の貯金額は准組合員に返却しなければなりません。経営が不安定になり、地域農協に与える打撃は計り知れない」
米国も農協の信用・共済事業を狙っている。
郵便貯金・簡易保険の民営化に続き、再び日本人の資産が標的になっているのだ。
在日米国商工会議所(ACCJ)が、JAグループの組織改革について意見書をまとめた。
その内容は規制改革会議の活動を高く評価するもので、結論には「日本政府および規制改革会議と緊密に連携」していくと書かれている
米国の規制見直し要求にある「組合員の利用高の一定の割合までは員外利用が認められていること」という項目だ。
「員外利用」とは、農協に出資している正・准組合員ではなくても、農協のサービスが利用できる枠組みのこと。信用・共済事業を中心に、各農協ごとに20~25%まで認められている。これが特別待遇にあたるとして、制度撤廃を求められている。
規制改革会議の意見にあるのは先述した准組合員への利用制限だけ。員外利用の禁止は書かれていない。ここにカラクリがある。
「まず、准組合員に利用制限がかけられると、正・准組合員の貯金総額が減ります。そうなると当然、員外利用の比率が自動的に高まってしまう。それが25%を超えれば、員外利用者に貯金を返却しないといけない。准組合員の利用量規制をすれば、員外利用者にも同時に制限できるのです」
農協は単純計算で准組合員約305万人分の信用・共済事業の資産を扱えなくなる。
農協の正組合員は461万人、准組合員は536万人(12年度)。准組合員の利用制限が2分の1になると、農協は単純計算で准組合員約305万人分の信用・共済事業の資産を扱えなくなる。JAグループの関係者は言う
農協改革の最大の狙いもそこにあるのでしょう
准組合員に返却された貯金などは、国内外の金融機関や保険会社にとって顧客獲得の商機になる。信用・共済事業の規制改革は、これまでも繰り返し意見が出されていた
今回の農協改革でも、規制改革会議の意見を受けて准組合員の利用制限が論点に入っている
「規制改革会議が神様なら、国会議員はいらない」 と不快感を隠さない。











