【ゴシック推理小説】黒死館殺人事件 無駄な知識が無駄ではなくなる

koitate2016
「黒死館殺人事件」の完成によって、それまで発表した幾つかの短篇は、いずれも、路傍の雑草のごとく、哀われ果敢ないものになってしまった。何が役立つか分からない。唯ほもびでおが役立つことは永遠にない。絶対にない。

楽聖モッツァルトの埋葬は、霙を交えた北風の吹き荒む、十二月の空の下に行われた。しかし、その葬儀に列なったものは、宮廷合唱長のアントニオ・サリエリー、友人ジュスマイエルほか四人に過ぎなかったが、柩が墓地門に着いた頃は、それ等の人も一人去り二人去りして、残ったのは、僅かに柩車を駆る馭者一人のみ。また、それを迎えたのも、穴掘ハルシュカ一人だったと云う、まさに、芸術史上空前の悲惨事なのであった。

小栗虫太郎の代表作です。日本の三大奇書の一つです。

ジャンルはゴシック推理小説とでも、言えば良いのでしょうか?

多数の衒学知識が述べられて、登場人物と読者と作者を混乱させる。

ディエゴ・ベラスケスの有名な絵画『ラス・メニーナス』と被る。

見れば見るほど、読めば読むほど、わけが分からなくなる。

作者も混乱してるから、へーきへーき。

【黒死館殺人事件】著/小栗虫太郎
三大奇書の一つ。本文は特殊な専門用語、殺人事件の実行、解決に用いられるのは神秘思想・占星術・宗教学・物理学・医学・薬学・紋章学・心理学・犯罪学等と雑学だらけ。読破するのは非常に困難。
〈あらすじ〉
名探偵が広壮な屋敷内で起こる連続殺人事件に挑む。

ホリディ@109holiday

「確かに十代で読む『黒死館』は難物だが、二十代で読めば知的関心をくすぐられ、さらに三十代で読めばむしろ快いといっていいほどである」
杉江松恋  
昭和ミステリ秘宝「失楽園殺人事件」解説(扶桑社刊)

ポリゴ糖@porigo10

黒死館殺人事件/小栗虫太郎
読み終わった……いやこれ読んだって言っていいのか? 話の流れはともかく衒学的な部分一切理解できんかったんだが??? さすが三大奇書である
しばらくは再読とかはいいや……

聖アレキセイ寺院の殺人事件に法水が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂が立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

冗談じゃない。どうしてあれが、そんな遊戯的衝動の産物なもんか。あれには、悪魔の一番厳粛な顔が現われているんだよ。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

しかるにワルドシュタインの左翼は、王の右翼よりも遙かに散開しいたれば、王ウイルヘルム侯に命じて戦列を整わしむ。その時、侯は再び過失を演じて、加農砲の使用を遅らしめたり
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

もう私には、自分が犯人でないと主張するのが厭になりました
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

ところで、それがもし事実だとしたら、僕等はとうてい平静ではいられなくなってくるのです。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

ところが、その真相と云うのが、判って見ると、すこぶる悪魔的な冗談なんだよ、驚くじゃないか。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

――華美な邪魁な夢は、まさにいかなる理法をもってしても律し得ようのない、変畸狂態のきわみではないか。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

あのファウスト博士は、まだまだ私を苦しめ足りないのですわ。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

なに、悪魔ですって!? いや、黒死館という祭壇を屋根にしている――人生そのものが、すでに悪魔的なんじゃありませんか
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

こうして、四人の神秘楽人の正体が曝露されると同時に、過去における黒死館の暗流には、ただ一つ、二つの変死事件のみが残されてしまった。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

この闡明を最後にして、黒死館を覆うていた、過去の暗影の全部が消えた。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

運命の星は汝の胸に横たわる!
イン・ダイネル・ブルスト・ルーエン・ダイネ・シックザールス・シュテルネ!
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

その突如として起った、絶命――喪心――宿命感、そう云った感情が十字に群がってきて、それまでの心の平衡を保たせていた、対立の一方が叩き潰されたのだ。
『黒死館殺人事件』小栗虫太郎

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2020年04月18日