ロシアのラブロフ外相は7日、訪問先のイタリアで記者会見し、北方領土問題を含む日ロ間の平和条約締結交渉について、日本が第2次大戦の結果を認めることが「最初の一歩」になると述べた。
北方領土支配は合法=ロシア外相、「大戦の結果」受け入れ要求|ニフティニュース
ロシアによる北方領土の実効支配は合法的だという従来の立場を改めて示した形で、ラブロフ氏と河野太郎外相を責任者とする交渉は難航しそうだ。
ラブロフ氏は「平和条約締結は第2次大戦の結果を認めることを意味する」と述べ、「このことは平和条約に関するすべての過程において疑う余地のない最初の一歩であると日本側には話している」と強調。
「そのような歩みが行われることを期待する。さもなければ他に何も議論できない」とけん制した。
日本政府は、ロシアの前身であるソ連が第2次大戦末期の1945年8月に当時有効だった日ソ中立条約に違反して対日参戦し、北方四島を不法に占領したと主張してきた。
年明けの安倍晋三首相訪ロの前には日ロ外相会談が予定されており、厳しいやりとりが予想される。
ロシア国内では、北方領土の引き渡しに応じる環境が整っていると言いがたいのが実情だ。
北方領引き渡し「支持せず」74%…露世論調査|ニフティニュース
ロシアの独立系世論調査機関が11月30日に発表した北方領土問題に関する世論調査結果によると、日本への領土引き渡しを「支持する」が17%、「支持しない」が74%だった。
日露関係を「良い」と答えたのは61%で、昨年12月より13ポイント上がった。対日感情は改善する一方、領土引き渡しへの反対世論が根強いことが浮き彫りになった。
ウクライナ南部クリミア半島周辺で先月25日にロシアがウクライナ艦艇を拿捕だほした問題を巡り、欧米から批判を受けていることも、北方領土問題に影響するのは確実だ。
プーチン氏はクリミア併合で求心力を高めてきた経緯があり、「領土問題に注目が集まる中、北方領土交渉で譲歩するのは難しい」(露専門家)との指摘もある。
本当の交渉相手は米国だ。14日の日ロ首脳会談で1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意。
日露に浮上した北方領土「2島先行返還論」を日米安保「基地権密約」の壁が阻む?|ニフティニュース
56年宣言には平和条約締結後に歯舞・色丹の2島を引き渡すと明記してあるため、にわかに浮上した「2島先行返還論」に立ちはだかるのが、日米安保の壁だ。
これまでロシアのプーチン大統領は、引き渡した島が在日米軍の拠点となる可能性に懸念を表明。
16年11月に谷内正太郎国家安全保障局長が、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談した際、島に基地が置かれる「可能性はある」と伝え、プーチンが態度を硬化させた経緯がある。
それにしても米軍はなぜ、北方領土に基地を置けるのか――。
日露に浮上した北方領土「2島先行返還論」を日米安保「基地権密約」の壁が阻む?|ニフティニュース
その謎をひもとくのが日米安保条約だ。第6条で米軍は事実上、日本全土を基地として使える権利を持つ。基地提供について、日米地位協定2条は「日米合同委員会」なる組織で協議すると定めているが、その内容は国民に明かされることはない。
また、日本は米軍に本土上空を自由に飛び回り、国境を越えて他国を攻撃できる権利まで与えている。
これだけ破格の特権を許しているのは世界でも日本のみ。
米国の植民地だったフィリピンは戦後独立の際、米軍基地の設置は23カ所に限ると、具体名を地位協定に明記。
日露に浮上した北方領土「2島先行返還論」を日米安保「基地権密約」の壁が阻む?|ニフティニュース
03年に1カ月で米軍に敗れたイラクでさえ、駐留米軍に国境を越えた他国への攻撃を禁じる地位協定を締結した。
1960年の安保改定で、世界に例のない不平等関係を許したのは、安倍首相の祖父・岸信介元首相だ。
「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」の著者・矢部宏治氏は昨年11月の日刊ゲンダイのインタビューで、「岸信介首相がウラ側の『基地権密約』で、朝鮮戦争勃発時に生まれた『占領下の戦争協力体制』を法的に固定してしまった」と語っていた。
ロシア側の懸念は当然で、56年宣言の4年後の安保改定による状況の変化を盾に、2島返還を渋ることが予想されます。
プーチン大統領を軟化させるには、安倍首相が腹をくくってトランプ米大統領に『北方領土の非軍事化』を認めさせるのが大前提ですが、米軍に握られた都心上空の飛行ルートの一部返還さえ、難儀なありさまです。米軍から特権を剥奪できるのかは実に怪しい
16日の朝日新聞によると、安倍首相はプーチン大統領に2島に米軍基地を置くことはないと伝えたそうだが、本当に米国を説得できるのか。
グランド・ファザコンでトランプ大統領のポチ首相に、2島先行返還など絶対に期待できない。


