『損害は自己負担』知らないと後悔する火事被害【地震保険と付帯契約】

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地震保険料が引き上げられます。地震時に火事を出さないのはもちろんですが、もらい火した場合の被害は自己負担です。不幸中の幸い、延焼しなくても煙による「すす」の被害や、消防活動による水浸しの被害も自己負担になります。経験しないことに越したことはありませんが、知らないと備えることもできないことばかりです。

火災保険の基礎について

火災保険では、一戸建てやマンション、ビルなどの“建物”と、建物の中にある家具や什器などの“動産”を補償します。
「火災保険」ってナニ?|火災保険の基礎知識|じぶんでえらべる火災保険

火災保険と言う名前でも、住まいにかける損害保険の代表的なものです。

”建物”に保険をかけただけでは、火事で家が燃えてしまった場合に保険金を受け取れるのは”建物”が受けた被害の分だけになります。
「火災保険」ってナニ?|火災保険の基礎知識|じぶんでえらべる火災保険

”動産”の被害についても補償を受けるには別途”動産”を対象にお申込みいただく必要があります。
「火災保険」ってナニ?|火災保険の基礎知識|じぶんでえらべる火災保険

火災保険という名前でも、対応するリスクは火災だけではありません。落雷や台風、大雨、盗難なども範囲に入ってきます。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

地震保険は単独では加入できず、必ず火災保険とセットで契約する仕組み。

地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30~50%の割合で設定する。ただし限度額があり、建物は5000万円、家財は1000万円まで。
意外と知らない 地震保険のウソとホント :日本経済新聞

災害時でも火事を出さないのが基本

地震火災は、電気器具もしくは燃焼器具(ガス・石油など)が原因で起こります。器具単体で起こるのではなく、発生した小さな火がガスなどの可燃物に触れることで火事へと発展します。
地震火災の6割はコンセントからの電気が原因?|漏電・トラッキングの防止・対策コンセントならキャピタル・アート

1.器具から可燃物に燃え移って出火する「直接出火」
2.発熱したものが可燃物に触れて発火して出火する「間接出火」
地震火災の6割はコンセントからの電気が原因?|漏電・トラッキングの防止・対策コンセントならキャピタル・アート

電気が原因で起こる地震火災とは?
□通電火災
コンセントから器具まで通電した状態で起こる火災□再送電火災
停電後、再送電されたときに起こる火災

□トラッキング・過電流火災
テーブルタップやプラグから出火する火災

もらい火により延焼した場合や消防活動で「水浸し」、煙の「すす」の被害

実は、火災保険は、原則としてかけた本人のためのもの。保険の趣旨としては、他人への賠償金などは範囲に入っていません。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

そもそも、失火法という法律により、故意であったり、大きな過失があったりしない限り、ある人が起こした火事で他人が被害を受けても、被害を受けた人は火元の人に責任を求めることはできないとされています。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

ただし重大な過失があればこれに該当しないとありますが、重大な過失とは、例えば以下のような例があげられます。
Yahoo!保険 – 火災保険を学ぼう“失火責任法とは”

重大な過失
・電熱器を布団に入れて使用し、火災が発生した
・寝たばこが原因で火災が発生した
・てんぷらを揚げている途中で台所をはなれたため、過熱されたてんぷら油に引火した例

<例>
1.
台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱中、その場を離れて出火させた場合。
2.
たばこの吸殻が完全に消えたことを確認せず、その吸殻を紙類が入ったビニール製ごみ袋に入れて放置したまま外出し、出火した場合。
3.
漏電の可能性があり回線の修理や不在時の回線遮断の指摘を受けたが、修理せず、指摘を聞き間違えて不在時には別の回線を遮断していたところ、漏電により出火した場合。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

また、軽度な過失であっても、それが2度目となると重大な過失に該当するという考え方もあります。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

お隣からのもらい火で家が燃えてしまい、その肝心のお隣さんはご自分たちの火災保険や地震保険で家を建て直せたのに、もらい火をした被害者側が火災保険や地震保険に加入していなかったために補償されない、ということになるわけですから、ちょっと納得がいかない気もしますが、しかし失火責任法とはそういう法律ですので知っておいてください。

これは、もともと日本では木造家屋が多く、火事の被害が大きくなりがちなので、その責任を個人に負わせるのは過酷すぎるということで決まった法律であるようです。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

もらい火、その他の被害には自己で火災保険に入っておく必要がある。

隣家の人の故意もしくは重大な過失がある場合以外には損害賠償請求をすることは出来ません。つまり、自分の家からの出火だけでなく延焼火災にも備える必要があるということです。
隣家からのもらい火で自宅が焼失した場合、隣家に損害賠償請求を出来ますか? : 株式会社保険ステーション

自らが火元となってしまった際に(重過失もしくは故意でない限り)隣家への法律上の賠償責任を負わなくても良いということです。
隣家からのもらい火で自宅が焼失した場合、隣家に損害賠償請求を出来ますか? : 株式会社保険ステーション

ご自宅が火災保険に加入されていれば補償されますが、火元である隣家が加入していた火災保険では補償されません。
価格.com – 火災保険でもらい火も補償されますか? | 火災保険 相談Q&A

自分の家からの出火の場合だけでなく、隣家からの延焼火災に備える意味でも、各自が火災保険を契約しておくことが必要ということになります。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

ただし、ご自身で火災保険に加入していない場合や、加入していても十分な復旧ができない場合に限り、隣家が「類焼損害補償特約」に加入していれば隣家からの補償を受けることができます。
価格.com – 火災保険でもらい火も補償されますか? | 火災保険 相談Q&A

この特約があれば、賠償責任を追及された場合にも保険金でまかなうことができます。ただし、個人賠償責任保険は、あくまでも賠償責任が発生した場合の保険ですので、失火法上の責任がない場合(重過失でない場合)は、この保険は使えません。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

類焼させてしまった隣家などに対して無視するわけにもいかないのが人情でしょうから、これについては「類焼損害担保特約」という特約を用意します。また、費用保険金の中に、見舞金費用が含まれていることも。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

借家の場合は!受けた損害は補償されないが、与えた損害は賠償しないといけない。

(但し、民法における債務不履行責任は免責となりません。)例えば借家人が借家を焼失させてしまった等の場合には家主に対して損害賠償責任を負うことになります。
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例えば、賃貸住宅の場合、賃借人(入居者)は賃貸人(家主)と賃貸借契約を締結しますが、退去時には原状を回復して返還する義務を負っているのが一般的です。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

この民法第415条は失火責任法の適用を受けないため、失火を起こしてしまった賃借人(入居者)は賃貸人(家主)に対して、債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことになります。

賃貸住宅の場合、建物自体は家主の所有となるため、家主が建物と家財に対し火災保険を契約していることが考えられますが、その保険で補償される家財は家主自身の所有物であり、入居者が所有する家財は補償されません。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

入居者が家財の損害に備えるには、自らが家財に対する火災保険を契約する必要があります。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

失火によって戸室を焼失させた場合の家主に対する損害賠償責任に備えるため、家財の火災保険に特約として「借家人賠償責任補償特約」(借家人の責に帰すべき火災、破裂・爆発等で借用戸室を損害し、家主に対して損害賠償責任を負ったときの損害を補償する火災保険の特約)を付帯(セット)するなどして、これに備える必要があります。
日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険

さらに損害の評価基準が細かくある。

火災損害の区分は、「焼き損害」「消火損害」「爆発損害」に分けてとらえている。その区分に従って、火災報告取扱要領に従って、損害額評価を計上している。
火災時の焼損程度

「消火損害」と言うときに「消火のために受けた水濡れ損害」「消火中に生じた破損や汚損などの損害」があるが、如何にも「消火活動による被害」そのものに見れる。

また、火災時には、「煤けた」「匂って商品価値がなくなった」「火災時の停電による解凍物被害」「火災時の搬送時に壊れた」などの雑多な火災時の損害がある
火災時の焼損程度

火災時の焼損程度(詳しく解説されています。)

その他、まだ知っておかないと、後悔します。

罹災証明書を発行してもらう

火災・風水害・地震などで被災した家屋や事業所などの被害の程度を証明する書類。市町村が自治事務として現地調査を行い発行するもので、全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊・全焼・半焼・床上浸水・床下浸水・流出などの区分で被害の程度を認定する。
罹災証明書(リサイショウメイショ)とは – コトバンク

罹災証明書
罹災証明書は消防署が発行する証明書で、罹災建物の滅失登記や税金の雑損控除の申請などの際に必要と なります。火災に遭われると、通常消防署から「罹災届」を提出することを求められます。

被災者生活再建支援金や災害復興住宅融資などの被災者支援制度の適用を受けたり、損害保険の請求などを行う際に必要となる。→被災証明書
罹災証明書(リサイショウメイショ)とは – コトバンク

「罹災届」提出後、所轄の消防署に赴き、所定の用紙に必要事項を記 入のうえ、 申請します。この際、認印が必要となります
火災罹災後の諸手続き | 損保ジャパン日本興亜

火災保険の保険金請求時に、罹災証明書の提出をお願いすることがあります。
火災罹災後の諸手続き | 損保ジャパン日本興亜

ここが知りたい、事故サービス  火災罹災後の諸手続き が詳しく解説されています。

火災保険の限界も知っておきたい。

必ずおさえておきたい重要な点として、地震を原因とする損害は、火災保険では補償されません。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

地震があると、火災が発生することがよくありますが、この火災による被害は、同じ火災でも火災保険の補償対象外なのです。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

津波も同様です。地震を原因とする被害はすべて「地震保険」によって補償されます。地震保険は、火災保険に付帯する形で加入するもので、火災保険に入らずに地震保険だけに入ることはできません。

また、地震保険は国(財務省)によって運営されている制度で、どの保険会社の火災保険に付帯しても保険料などは一律です。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

火災保険・家財保険・地震保険の守備範囲を図で整理すると以下のようになります。
戦争や暴動による被害などはどんな火災保険でも補償されません。保険は、保険会社が損害が起こる確率を統計などから予測することで、保険金の準備をしているものです。普通の火災と、地震による火災とでは起こる割合はかなり違います。これを一緒にしてしまうと、正確な予測ができないので、対応するためにはかなり多めに見積もった保険金準備が必要になり、保険料を上げざるをえません。

まとめ:火災保険を理解する7つのポイント

(1)「火災保険」と言っても、補償の範囲は火災だけじゃない。風災や水災、盗難など幅広い「住まいのリスク」に備えるための保険。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

(2)火災保険は「建物」と「家財」のどちらか、または両方にかける。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

(3)「家財保険」は「家財」が補償の対象になっている火災保険のこと。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

(4)地震を原因とする損害は火災保険では補償されない。別に地震保険に入る必要がある。地震保険は単独では入れず、つねに火災保険とセットで入る必要がある。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

(5)火災保険の保険金額は建物や家財の評価額から決まる。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

(6)保険金は設定金額を上限として、実際の損害額のぶんだけが支払われる。ご近所への賠償金などは個人賠償責任保険の特約などで補償される。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

(7)火災保険の保険料は補償内容のほか、建物の構造、面積、住所、保険期間、家族構成などによって決まる。
火災保険の基本を理解する7つのポイント

最近地震が頻発し、火山活動もあちらこちらで起こっています。地震災害に備えることも大切ですが、万が一災害を避けられた場合でも、隣家や近隣から建物や家財に被害が及ぶ可能性がないとはいえません。
備えあれば憂い無しです、事前にさまざまな事例や情報にアンテナを張っておきましょう。

https://matome.naver.jp/odai/2143343992119956401
2018年09月08日