ベトナム戦争物だけではない!ベトナム映画

kws78

ベトナム映画で検索しても、ベトナム戦争を扱ったアメリカ映画ばかりしか出てきません。
しかし、それらのアメリカから見たベトナム戦争とは異なる、ベトナムから見たベトナム戦争(対米戦争)を中心に、ベトナムで制作された映画にも面白いものがあります。
ここでは代表的なもの・最近のものを紹介します。

Taxi: Em Tên Gì (タクシー:名前は?)

監督:Đỗ Đức Thịnh
出演者:Trường Giang、Angela Phương Trinh、Thanh Hiền
公開:2016年

あらすじ:アメリカで博士号を取ったThượng Phongは、3年間離れていた恋人のHạ Mâyに会いにDa Latに向かう。Ho Chi Minh市からの飛行機に乗り遅れた彼は、3月8日(ベトナムでは大事にされる国際女性の日であり、Hạ Mâyの誕生日であり、かつその他様々な記念日である)に何としてもHạ Mâyに会うべく、タクシーでDa Latに向かうことにする。たまたま乗ったタクシーのドライバーはBình Chiという女性で、ひと悶着のあとDa Latに向かうが、その後も様々なすったもんだが発生し・・。

見どころ:例によってベトナム映画に多い(というか、ほとんどそうではないかと思われる)ドタバタ恋愛コメディーである。主役のThượng Phongを演じるTrường Giangは、下の49 NgàyやLật Mặt にも登場する3枚目俳優で、この種のコメディーには欠かせない。
タクシードライバーBình Chiを演じるAngela Phương Trinhは、最初ボーイッシュなスタイルで登場するが、時がたつにつれて美しい女性に変貌してくる様がよくできている。
題名の「Em Tên Gì」(あなたの名前は?)は、PhongがChiに名前を聞く際で、Chiが「Chi」と答え、それに対して何度もPhongが「Em Tên Gì」と聞く場面から来ているようだ。「Chi」には南部方言で「なに?」という意味があることを調べてみて初めて知った。

49 Ngày (49日間)

監督: Đoàn Thanh Liêm
出演者: Trường Giang, Nhã Phương, Hoàng Phi, Khả Như
公開:2015年

あらすじ:
孤児で貧乏でイケメンでもない主人公は、唯一の拠り所だった彼女にも振られ、自殺を図る。一命をとりとめた彼のもとになぜか3人の幽霊が現れる。それぞれ夫、母親、姉にメッセージを伝えるために手伝うなかで、彼女が去っていった理由を知り・・・。

見どころ:
どうも同名の韓国映画のリメイク・ベトナム版らしい。主人公は2つ下のLật Mặtでも相方を務めるTrường Giang。3枚目俳優としていい味を出している。最初の30分は見始めたことを後悔する感があるが、だんだんと面白くなってくる。最後はいい話だったな、と。

Bước khẽ tới hạnh phúc (邦題:祖国)

監督:Lưu Trọng Ninh
出演:Ngân Khánh, Quách Ngọc Ngoan, Doãn Tuấn, Minh Béo
公開:2014年

あらすじ:
NGOの仕事で初めてベトナム・ホーチミンに入った越僑アメリカ人のVivian。最初は道も渡れず苦労し、NGOのプロジェクトに関する汚職にも気づいてしまうが、靴磨きのストリートチルドレンやその友人の設計士と親交を深める中で自分の生き方を見出していく。

見どころ:
越僑に対するベトナム人の態度、越僑1世・2世の祖国に対する態度、汚職、ストリートチルドレンなど、非常にステレオタイプな感はあるが、ベトナム人監督自身がこのように描いていることは興味深い。
主役のNgân Khánhは、魅力的で一見の価値がある(特に走っている姿が・・)。

Lật Mặt (逆転)

監督:Lý Hải
出演:Lý Hải, Võ Thành Tâm, Long Đẹp Trai, Trường Giang
公開:2015年

あらすじ:
ダイヤモンド採掘現場で働いていた主人公は、同僚を殺害した嫌疑をかけられ組織と警察の両方から追われる。逃げる途中で出会ったバイクタクシーに乗ってサイゴンに出た彼は、バイクタクシードライバーとともにドタバタの逃走劇を繰り広げる。

BỘ BA RẮC RỐI (3人組の混乱)

監督:Võ Tấn Bình
出演:Kathy Uyên, Thúy Nga, Hoàng Oanh
公開:2015年

あらすじ:
それぞれの事情でチャム島(Cù Lao Chàm;ホイアン沖合の島)に行くことになった3人の女性。島に行くボードで出会い、意気投合してその夜飲みに行き、泥酔してしまう。
翌朝起きてみると、どこだかわからない打ち捨てられた舟の上で、一人は怪我をし、一人は赤髪になっており、一人は処女を喪失していた。
3人が混乱していると、突然非通知で電話がかかってき、「盗んだ物を返せ」と言ってくる。
前日の記憶がなく、どこに行って何を盗んだのかも覚えていない3人は、あちこちを回り、段々と事情がわかってくる。

みどころ:
まずチャム島の自然の美しさに魅せられる。ストーリーはあちこちに笑いを散りばめたドタバタ喜劇だが、島で行われる先祖崇拝の年次行事の様子、伝統的生活と開発とのせめぎあい、貞操感、夫婦関係など、ベトナムの文化的思考が垣間見れて興味深い。

Thương nhớ đồng quê (邦題:Nham)

2 trong 1

監督:Đào Duy Phúc
出演:Thành Tâm, Ngô Thanh Vân(女), Thành Lộc

あらすじ:
運転手をクビになりかけた男と父親が賭博で損をして家を取られそうになっている男。たまたま「宝の地図」を発見し、そこに書いてある劇場に潜入。2人は潜入の過程で出会った女優に恋をし、ライバル関係に。宝探しも以外な展開に・・。

Luoi Troi

The White Silk Dress

フランス植民地時代からベトナム戦争の頃まで、時代の荒波に翻弄されたベトナムの貧しい一般市民の様子を描いた作品。
貧しいながらも懸命に生きる家族。
娘たちの学校の制服として必要な白いアオザイを作ることができず、不気味な仕事にも手を染める。2人の娘が1枚のアオザイを交代で着るということも。
そんな家族をさらに不幸が襲う・・。

衣服であるアオザイは、ベトナムの誇りであり象徴である。映画に登場する夫婦は、ひどく貧しくとも、アオザイのことだけは特別に考えている。一家のアオザイは、時代の荒波のなかで母から娘へ、そしてまたその娘へと継がれていく。ベトナムの苦難の歴史を背景に、アオザイをとおしてベトナム女性の波乱に満ちた人生を描いている
2007年アジアフォーカスで観客賞を獲得したベトナム映画「アオザイ」:アジア映画の世界 福岡発 :So-netブログ

青いパパイヤの香り

トラン・ヌー・イェン・ケー (出演), リュ・マン・サン (出演), トラン・アン・ユン (監督)

ドキュメンタリー出身のベトナム系フランス人、トラン・アン・ユンの初めて劇映画。サイゴンのある資産家の家に、10歳の少女ムイが奉公人として雇われて来た。その家には優しい女主人と根無し草の旦那、三人の息子たち、そして孫娘を失って以来二階にこもりっきりのお婆さんがいた。ムイは先輩女中に教えられ、一家の雑事を懸命にこなしていく。そして彼女は、ある日長男が連れてきた友人クェンに恋心を抱く……。
解説・あらすじ – 青いパパイヤの香り – 作品 – Yahoo!映画

シクロ

レ・ヴァン・ロック (出演), トニー・レオン (出演), トラン・アン・ユン (監督)

「青いパパイヤの香り」で一躍名を馳せたトラン・アン・ユンの長編第2作で、今回は現代ヴェトナムの抱える様々な問題を描き出している。“シクロ”と呼ばれる輪タクを女親方から高額で借り受け、その運転手をして生計を立ている青年。ある日、彼はシクロをヤクザたちに盗まれてしまい、女親方の愛人である若いヤクザに匿われる。詩人と呼ばれるそのヤクザは青年の姉に客を取らせて稼いでいたが、そんな姉も詩人に恋心を抱いていた。
解説・あらすじ – シクロ – 作品 – Yahoo!映画

Three Seasons 季節の中で

べトナム出身のアメリカ人監督トニー・ブイが、ベトナムの都会に住む人々の個人的なエピソードを叙情的に綴ったヒューマン・ドラマで、サンダンス映画祭史上初のグランプリ、観客賞のダブル受賞となった作品。蓮摘みの少女と屋敷の主人で病に冒された詩人との心の交流。シクロの運転手と娼婦のある愛の形。都会の片隅で懸命に生きるストリートキッズ。戦争中にベトナム女性との間に生まれた娘を探す元米兵。現代のベトナムを舞台に、4つのストーリーが並行して語られていく。
解説・あらすじ – 季節の中で – 作品 – Yahoo!映画

Me Thao, Once Upon a Time

ヴィエット・リン(監督) 2002

Nguyen Tuanの小説「Chua Dan」(Dan寺)が原作。20世紀初期のベトナムが舞台。婚約者を交通事故で失ったNguyenは近代的なものに背を向けて生きている。

10月になれば

英語題:When the Tenth Month Comes
原題:Bao giờ cho đến tháng Mười
製作年:1984年
監督:Đặng Nhật Minh

まだ南北に分かれていることの北部ベトナム。
夫の戦死を夫の家族に伝えられず、他の男性に夫からと偽った手紙を代筆してもらうことに。

「空中で羽ばたく」(Dap canh giua khong trung)

「空中で羽ばたく」の世界観は一見しては悲観で暗いが、ロマンチックで詩のように描かれている。2014年ベネチア国際映画祭の併催「批評家週間」に最優秀映画賞に選ばれたり、ハノイ国際映画祭に審査員特別賞を受賞したりして注目を集めた。
ベネチア映画祭で高評価「空中で羽ばたく」、ベトナムで上映へ – ホーチミン経済新聞

ハノイの少女

原題:Em bé Hà Nội
製作年:1974年
監督:Hải Ninh

その他ベトナム映画が紹介されているページ

https://matome.naver.jp/odai/2140750831770668301
2016年06月04日