イングランド(英国)の「反ムスリム過激派」の組織、EDL
「ヘイトスピーチ」という本で表紙に使われているように、この団体は「ヘイトスピーチ」の団体と見なされています。「俺たちがこのまま行動を起こさず黙っていたら、イングランドはシャリーア法に乗っ取られる」という脅威論がその主張の中核です。
(彼らが「対抗」している「イスラム過激派」、つまりAnjem Choudryらの一派もヘイトスピーチを行なっています。)
J. Ali@junayed_

パーカーなどならまだしも、こんなふうな「ロゴ入りバラクラバ(目出し帽)」まで。
(バラクラバかぶってるようなメンバーには、北アイルランドのロイヤリスト武装組織、UDAにあこがれちゃってたりするようなちょっとイタい子もいるようです。)
その創設者はルートンのサッカー・フーリガン
創設者のスティーヴン・ヤクスレイ・レノンはルートン(ロンドン近郊のアイリッシュの街だが、最近はムスリム人口が多い)の日焼けサロン経営者で、ルートンのサッカークラブの伝説的なフーリガンの名前をとって「トミー・ロビンソン」と名乗っています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Tommy_Robinson_%28activist%29
写真、サングラスでマイクを持っているのが「トミー・ロビンソン」。EDLの集会のときのもの。
「EDLの中の軍人組織」のように名乗っている集団(班)もありますが、軍歴がなくても、軍が好きなら入れちゃうといういい加減なもの。
実際には、EDLが英軍負傷者の支援をするNGOのためにといって集めた募金を、その当のNGOが受け取りを拒否する(無関係を貫きたい)という状態で、いわば「片思い」の状態。
Tim@Frightsight5
Take a look at what these awesome British soldiers think of the shameless #EDL & criminal Tommy Robinson. pic.twitter.com/FUQLHDShex

▼Twitterの「活用」
ここに例示したもの(画像検索で見つけたもの)のように、有名人(この例ではトニー・ブレアのオフィス)のアカウントにメンションして、大演説をぶちかます(ギャラリーに聞かせるため)、という手法もよく取っていました。
「俺らの街がムスリムに乗っ取られた」というのが《原体験》の彼は、「問題は過激派だけ」と主張しながら、実は「ムスリム全体」を攻撃していました。
J. Ali@junayed_

英国では組織的な少女売買春が社会問題化しています。多くは、ムスリムのコミュニティで起きており、ムスリム男性のグループが摘発され、起訴されて有罪になることが続いてきました。
「トミー・ロビンソン」は地元ルートンでの少女売春組織のケースについて、文書を画像にしてツイートしています。これに対し、「クレア」という女性が「そういうことは人種を問わずに起きているのに、あなたはムスリムの場合だけ騒ぐ。なぜでしょう。でもあなたはレイシストではないとおっしゃる。なら、ただのバカですね」。これに対し、「ロビンソン」はfワードで切りだして「話がつまんねーんだよ、このデブのおばさん」云々……
http://twitter.com/junayed_/status/424592025988509696
Tim@Frightsight4

「当方、現役の英国軍人ですが、あまりの妄想っぷりにあきれ返ってしまいます」ということを非常に厳しい言葉を使って書いたジョンHさん。「陸軍にも海軍にも空軍にも、ムスリムはいます。彼らはあなたなどよりよほどこの国のために尽力している。その彼らにも、出て行けと?」
しかしこの創設者、「俺が作った組織が “極右に乗っ取られて” しまったのだが、俺はもう限界かもしれない」と言って、突然組織を脱退(2013年10月)
作成: 2013年10月8日
この、全世界(の何分の一か)が椅子から落ちたような青天の霹靂のニュースのあと、「トミー・ロビンソン」はBBCなど大手メディアにひっぱりだこ、その「改心(?)」を記録したテレビ・ドキュメンタリー(素材映像がなぜか存在する)も話題になり……
Mohammed Ansar@MoAnsar

(モハメド・アンサールさんは、「トミー・ロビンソン」と直接対話することで、「ロビンソン」の翻意を促した……とされています。実際、18か月にわたる2人の交流はBBCのカメラに記録されており……って、何かおかしくないっすかっていう)
「俺はムスリムに対するヘイトゆえに行動したのではない」と言いながら、その後もいろいろと、発言は活発で……
Mehdi Hasan@mehdirhasan
huffingtonpost.co.uk/mehdi-hasan/wh…
(メフディ・ハサンさんは、一連の「EDL離脱」騒動に対する批判的な発言により、クィリアム・ファウンデーションのマジド・ナワズさんなどから「またあいつか」的に見られることが多いようですが、元々、仲がよかったとは考えられません。)
Sunny Hundal@sunny_hundal
ここでの文脈で簡単にいえば、「Tシャツにジャージにスニーカー」とは対極にある、「背広にネクタイ」のようなものが「レスペクタブル」。
Sunny Hundal@sunny_hundal
Daily Mirror@DailyMirror
が、当然、計画はオシャカに。(どの口で「寛容」を語るか、と。)
「講演」をする人としては、Ipswichの会場を使ったCollege(大学なのか専門学校なのかわからん。いずれにせよ伝統的な高等教育とは違う系)の企画にも呼ばれてて(しかもホロコースト・メモリアル・デーのものに)、それもポシャったと。
Tommy Robinson, the ex-EDL leader was to be a key speaker at a Holocaust Memorial Day event at a college, until concerned trustees told organisers HMD could not be associated with the event, The Huffington Post UK can reveal.
The event was organised by the Suffolk New College & University Campus Suffolk chaplaincy at the college in Ipswich next Monday, in conjunction with controversial Muslim charity JIMAS.
The event has now been pulled, according to Tell MAMA’s Fiyaz Mughal…
Tommy Robinson Invited To Speak At Holocaust Memorial Day Event, Now Cancelled
JIMASについては:
http://www.5pillarz.com/2013/06/06/muslims-outraged-over-jimas-march-with-edl/
※このリンク先もクソみたいに重いので注意。
▼アメリカのあの筋
21世紀の欧州極右には珍しいことではないのですが、彼らの人種主義の矛先は「自分たちの街を侵食するイスラム」に向けられており(英国の場合、Asianと呼ばれる南アジア人、特にパキスタン人への組織的差別は70年代には既に問題化していましたが)、イスラエル(ユダヤ人)は彼ら同様、「イスラム」の脅威に立ち向かう《仲間》です。
なので、「ネオナチ」の「ナチ」の成分を「反ユダヤ主義」に(のみ)求める場合、EDLなど欧州の21世紀の極右は「ネオナチ」には該当しなくなります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3
「宣伝」したくないのであとはご自身でお調べください。日本語圏でもかなり知られています(検索すれば出てきます)。
ゲラーとスペンサーはEDLとは非常に強いつながりがあり、EDLがイベントでこの2人を招いたこともあります(騒乱になることが予想されており、英内務省が入国拒否しましたが)。
Matthew Goodwin@GoodwinMJ
パメラ・ゲラー: https://twitter.com/Atlasshrugs/status/395987882600460291
ロバート・スペンサー: https://twitter.com/jihadwatchRS/status/395990092210122753
※この2人のツイートはエンベッドすることもしたくないのでURLだけ。
そういったこととは別に、「トミー・ロビンソン」はローン詐欺で起訴。
Catrin Nye@CatrinNye
BBC News England@BBCEngland
Sunny Hundal@sunny_hundal
この人、実刑くらうの2度目なんですよ。
His barrister Charles Sherrard QC said that in January 2013, when Robinson was jailed for 10 months for using someone else’s passport to travel to the USA, he had spent the whole time in solitary and was moved to four different jails for his safety.
BBC News – Tommy Robinson, former EDL leader, jailed for fraud
前回の実刑は2013年1月、他人のパスポートを使って米国に渡航したことで有罪となって10か月。この間、身の安全のためずっと独房で、4か所の刑務所を転々とした、と。
(他人との接触が基本的にない「独房」は「人権侵害」の危険性を常に有しています。それにしてもこのBBCの記事、「ロビンソン」の人権と身の安全の話ばっかりで、長い。BBCはそんなにこの犯罪者が好きなのか、という感じなんだけど、一連の経緯がほんと明らかに…ごにょごにょ)
Robinson admitted two counts of conspiring with others to obtain a mortgage by misrepresentation from the Abbey and Halifax building societies.
Judge Andrew Bright QC described him as the “instigator, if not the architect” of some of the frauds.
Passing sentence, the judge told him: “This was an operation which was fraudulent from the outset and involved a significant amount of forward planning.”
BBC News – Tommy Robinson, former EDL leader, jailed for fraud
今回の件は、つまり、「ロビンソン」は別の人々と共謀し、虚偽の情報を示すことで、2社でローンを組んだ。判事は「ロビンソン」が一連の詐欺事件で主導的な役割を果たしたことを指摘し、「最初から詐取することを目的とした行為で、事前の計画はたっぷりされていた」と述べた。
ITV News@itvnews
Steve Rose@steveplrose
※URLはリンク切れ。
なお、「トミー・ロビンソン」は複数アカウントを使っていました。EDLの頭目として@EDLTRobinsonというアカウントを使い、もうひとつ、@TRobinsonNewEra(Tロビンソン新時代)も使っています。前者はツイートを全部消し、後者のアカウント名を書いて「EDLをやめたので今後はこちらで」と指示するツイート1件だけになっています。アバターも卵。
https://twitter.com/EDLTrobinson
EDLを辞めたあとに、Twitterのアカウントも「EDLのトミー・ロビンソン」と名乗っているのは捨てて、「新時代」というアカウントを使い始めているわけですが、ほんとうに改心したのなら、こういうところで「トミー・ロビンソン」という源氏名を使い続けてはいないと思うんですよね。
スティーヴン・ヤクスレイ=レノンは「トミー・ロビンソン」として有名になってしまったので、名誉欲的に(あるいはほかの目的で)その名前は捨てられないということかもしれないけれど、歌手の「キャット・スティーヴンス」が「ユーセフ・イスラム」になったような事例を知ってると、「昔の名前への執着」がどうにも……。あるいは元々、本名が好きでないのかもしれませんが(実の父親はイングリッシュで、「レノン」は母親の再婚相手の名字だそうです。母親はアイリッシュ)。
ともあれ、こうして「ロビンソン」は塀の中へ……
Maajid Nawaz@MaajidNawaz
▼……と言ってたら、刑務所で暴行を受けたと。
Paul Weston@paulwestonlibgb
組織名をコロコロ変えるからわかりづらいけど、Liberty GB = 元BFP (British Freedom Party) です。このBFPというのが、EDLの「ロビンソン」と彼の右腕のケヴィン・キャロルという人物が絡んだ極右政党(キャロルも「ロビンソン」と一緒にEDLを脱退)。
http://en.wikipedia.org/wiki/British_Freedom_Party
Liberty GB@Liberty_GB
Brian Whelan@brianwhelanhack
EDL Founder Tommy Robinson in Fear of Muslim Attack Beaten up in Woodhill Prison
By Dominic Gover February 5, 2014 18:22 PM
http://www.ibtimes.co.uk/edl-founder-tommy-robinson-fear-muslim-attack-beaten-woodhill-prison-1435264
※URLクリックすると多分、問答無用で動画ニュースが再生されるというクソ仕様なのでご注意ください。うるさいです。
掲載媒体のInternational Business Timesは、2006年にスタートしたオンライン・メディア。運営会社は2013年にNewsweekを買って「一流」の仲間入り、みたいなステータスですが、このIBTというメディア、まともに分析をするような人は誰も読んでないし、実際記事の質がかなり問題あり(日本の週刊誌程度)。
http://en.wikipedia.org/wiki/International_Business_Times
ここで言及されている「トミー・ロビンソンが監獄で暴行を受けた」という記事も、「誰かの主張をそのまま文字にしている」だけで、信頼に足る報道の体をなしていません。
しかし……
Last month, Robinson’s Twitter page described his “black eyes, bloody nose, sore neck” after he was allegedly attacked in HMP Woodhill. The Ministry of Justice said a prisoner had been treated for minor injuries following an incident on 5 February.
BBC News – Ex-EDL chief Tommy Robinson has Twitter account suspended
3月2日付のBBC記事より。「先月、ロビンソンのTwitterで、ウッドヒル刑務所で襲撃されて『目の周りにあざができ、鼻血が出て、首が痛い』との主張がなされた。司法省は、2月5日にある事態が発生し、囚人が1人、軽傷の治療を受けたと述べている」
※具体的に誰が治療を受けたか、どんな傷だったかは、司法省は言わないはずです(「個別案件についてはコメントしない」という基本方針)。
で、この3月2日の記事の内容が……
BBC News England@BBCEngland
The Twitter account of English Defence League co-founder and former leader Tommy Robinson has been suspended.
Robinson, whose real name is Stephen Yaxley-Lennon, is serving 18 months in prison for a £160,000 mortgage fraud.
A Twitter account in his name with more than 87,000 followers regularly discussed his time inside.
BBC News – Ex-EDL chief Tommy Robinson has Twitter account suspended
つまり、「トミー・ロビンソン」ことスティーヴン・ヤクスレイ=レノンは、16万ポンドのローン詐欺で18か月の刑に服しているが、彼の名前のTwitterアカウントで常態的に、刑務所の中の話をしていた。Twitterのアカウントのフォロワー数は87,000人以上。
The Ministry of Justice said an inmate cannot publish material if it contravenes prison policy, and this included sending it via a third party.
BBC News – Ex-EDL chief Tommy Robinson has Twitter account suspended
司法省は、刑務所のポリシーに反している場合は、収監者はmaterialを公表することはできないと述べている。これには、サードパーティを介した送信も含まれる。
※どうでもいいけどこれ、…, and *that* this included … のthatが抜けてますよね。
Last Wednesday, the BBC contacted the Prison Service to ask for its views on the account, which contained details about Robinson’s prison number and address.
BBC News – Ex-EDL chief Tommy Robinson has Twitter account suspended
先週水曜日、BBCは刑務所当局に連絡し、当該のアカウントについての見解を質した。ロビンソンのTwitterアカウントでは、彼の刑務所番号や住所に関する詳細が投稿されていた。
In response, a spokesman said: “The justice secretary has made it clear that it is totally unacceptable for prisoners to access social networking sites or instruct others to do so on their behalf.
“No prisoner should be in any doubt that if they break the rules they will be stripped of their privileges and may be reported to the police for further action.”
BBC News – Ex-EDL chief Tommy Robinson has Twitter account suspended
BBCの問い合わせに対し、司法省スポークスマンは、「司法大臣は、囚人がソーシャル・ネットワーキングのサイトにアクセスしたり、自分の代わりに誰かに依頼してそうしたりすることは完全に受容範囲外だとはっきりと述べている。ルールを破れば特権を剥奪されることになり、さらなる対処のため警察に通報されるかもしれないということについて、疑問の余地は誰にとってもないはずである」と述べた。
※イングランドの刑務所の制度は日本のとは違っています。「トミー・ロビンソン」は凶悪犯罪やテロ行為で収監されたわけではないのでかなりの行動の自由はあるはずです(ただ、刑務所でほかの囚人からシメられる可能性は高いので、独居房生活を余儀なくされるかもしれない)。
Tentacle Sixteen@latentexistence
御意。
Miss T@CreativeTymes
うーん。政府の要請があれば、企業はアカウントの削除まですべきという考えなのでしょうか。
▼一方、「ロビンソン」はTwitterでこんなキャンペーンをやってまして……うーん。

https://matome.naver.jp/odai/2139377056440999901/2139504833712009303
“A big thank you to all the people that have supported me and donated via my website link to my family”
「俺のウェブサイトのリンク経由で家族に寄付してくれた方々に感謝します」
Sue #KeepTommySafe@OZzSue












この団体の概要については既に書いてあるのでそちらを参照↓(下記「まとめ」の1ページ目冒頭)。
https://matome.eternalcollegest.com/post-2139126324582822301
「反ムスリム過激派」とはいいつつ、実体は「極右」です。(ただし「2000年代の欧州極右」の一部は、かつてのネオナチの「ユダヤ人排斥」の色は薄くなっており、それを根拠に「極右ではない」との強弁がなされることもあります。EDLも「親イスラエル」の極右です。)