映像で見る『ロックンロールの始まり』

ekizo
すべての誕生がそうであるように、ロックンロールもいつの頃からか何となく始まっていったようです。それでも画期的な映像がいくつかあって、そういうものを観ると結構、戦慄が走ります。

♪ いろいろな源流~ロックンロールへ

ジャズやブルーズから発展したリズム・アンド・ブルースを直接の源流とし、そこにカントリー音楽やフォーク音楽という白人系の流れが注ぎ込んでロックンロールが生まれた、と概略的に説明されることが多い。(英語版ウィキペディア「Origins of rock and roll」などを参照のこと)

http://www.youtube.com/watch?v=KyRwomM37j8
いろんな動画見て来ましたが、これほど「みなぎってる」のは無いんじゃないですか。
ブルーズの古典を、ベッシー・スミスが。
http://www.youtube.com/watch?v=qEIBmGZxAhg
カントリー音楽の初期のスーパースター、ジミー・ロジャース(1933年没)。
天に昇るようなヨーデルと、地獄を這うようなブルーズの節回し。
http://www.youtube.com/watch?v=TYLbrZAko7E
「ブルーズをスイングする」というコンセプトが、今思えばとてもロック。
カウント・ベイシー楽団のこのスイングは血圧上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=Dpe2wYcO8bc
シスター・ロゼッタ・サープはゴスペル、ジャズ、ブルーズなどのジャンルで活躍したシンガー・ソングライター。
この曲ではスイングジャズ寄りのアプローチがなされていますが、1938年のこれ↓が目玉が飛び出るほどロックンロール(映像が無いため、このまとめには掲載しません)。
http://www.youtube.com/watch?v=kcpgTzDpW-Q(Sister Rosetta Tharpe – That’s All)
http://www.youtube.com/watch?v=2IHnkiXMrWY
カウボーイ音楽とブギウギのコンビネーションで知られる歌。
エラ・メイ・モースの唱法自体はスイングっぽいが、ピアノはまさしくブギウギ。
http://www.youtube.com/watch?v=PR6pHtiNT_k
ジャズバンドのリーダーであるとともに、リズム・アンド・ブルースのスターでもあったルイ・ジョーダンの立ち位置がよくわかる映像。
http://www.youtube.com/watch?v=95aP0OWx4jY
カントリー音楽は白人側から流れ注ぐ、ロックンロールの源流のひとつ。ハンク・ウィリアムズは1950年前後に活躍した。
http://www.youtube.com/watch?v=qE0tjVleQYU
1930年代から「Roll ‘em Pete」などのヒット曲でロックンロールの源流のひとつとなった、ブルーズ歌手ビッグ・ジョー・ターナーのヒット曲。
のちにビル・ヘイリーやエルヴィスもカバーした。
http://www.youtube.com/watch?v=Cf0X7QuK4LI
レイ・チャールズ自身はあくまでロックンロールとは距離を置き、ソウル音楽の創成に関わった。
ただ、初期の彼のヒット曲の数々はロックンロールが持った衝動性を、むしろ誰よりもダイレクトに表現していた。
レイの動画は、ほかにも素晴らしいものがたくさん残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=lJj22Z006ec
1940年代中盤のリズム・アンド・ブルース隆盛時に人気を博したリズム・パターンのひとつであるクラーベを大胆に導入した、ボー・ディドリー。
http://www.youtube.com/watch?v=dbCgz2RKIow
のちにパット・ブーンが「白人ポップス」バージョンをヒットさせた。
大河ミシシッピの流れをほうふつとさせる、ファッツ・ドミノのおおらかなバックビート。
http://www.youtube.com/watch?v=F5fsqYctXgM
ビル・ヘイリーと彼のコメッツによる有名曲。
ロックンロールの最初のレコードとは言えないが、この曲の持つ、笑っちゃうぐらい破天荒な魅力が、どれほど音楽を自由にしたか、筆舌に尽くせないだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=LAa8BW_sR_c
カントリー音楽から発展したロカビリーを代表する、カール・パーキンスの有名曲。
のちにエルヴィスがカヴァーし、さらに有名に。
http://www.youtube.com/watch?v=SpDWnE8rVBo
いかにも癖がありそうな登場とMC、チャック・ベリー。
「ロックンロールの創始者」のように語られることがあるが、彼自身も、例えばGoree Carterのような先人に多大な影響を受けて、音楽の歴史の大きな流れの中にいる。
http://www.youtube.com/watch?v=QFL047fmsgg
ゴスペルからリズム・アンド・ブルース、そしてロックンロールへという軌跡をたどったリトル・リチャード。
そしてこの映像の冒頭で彼を紹介するのが、「ロックンロール」という言葉を全米に浸透させ、白人系音楽と黒人系音楽の邂逅に情熱を注いだ伝説のDJ、アラン・フリード。
http://www.youtube.com/watch?v=ugTe-th7w9I
1956年4月3日。「The Milton Berle Show」サンディエゴ滞留中の空母ハンコックにて。
エルヴィスのもっとも古い映像のひとつ。
ロックンロールという音楽スタイルの成功を、黒人系音楽と白人系音楽のダイナミックな邂逅に帰するなら、やっぱり彼の登場は象徴的。
ブルーズの憂鬱・疲労、カントリー音楽の自由・開放を、遊び心たっぷりに表現し、しかもそれがヤバいほどセクシーで、破壊的にフレッシュ、という、当時考えうるパーフェクトなアーティストだった。
http://www.youtube.com/watch?v=wEV58ztuihs
すばらしいキャリアを築いた、ジョニー・キャッシュ。
ナイン・インチ・ネイルズをカバーし、2003年に愛妻の死去の4ヶ月後、他界。
http://www.youtube.com/watch?v=MMmljYkdr-w
1956年6月5日。「The Milton Berle Show」ハリウッドのNBCスタジオ。
おそらくロックンロールの歴史で、もっとも決定的な瞬間。エルヴィスの「骨盤(Pelvis)」の動きが大問題になった。「ポピュラー音楽は地に堕ちた」という評価まで飛び出した。
一方でティーンエージャーたちは熱狂する。

http://www.youtube.com/watch?v=vTpxJC4AAJ0
映画「女はそれを我慢できない」より。
当時売り出し中だったセックスシンボル、ジェイン・マンスフィールドと、同じく売り出し中だったロックンロール音楽を(安易に)抱き合わせて制作された映画。
リトル・リチャードを中心に、ファッツ・ドミノ、ジーン・ヴィンセントも出演したが、デビュー間もないエディーのこのシーンがもっとも注目を集めた。
http://www.youtube.com/watch?v=xs_bkhqJmRI
ハンク・ウィリアムズから数年で、ここまで自由に。
ジェリー・リー・ルイス、パンクなピアニスト。
http://www.youtube.com/watch?v=WXEp0EYR_1I
まぎれもないロックンロールなのに、この明るさ。
その明るさが決して薄っぺらくないのは、メガネのせいだけでもなさそう。
バディ・ホリーはもっと長生きして欲しかったアーティストのひとり。
http://www.youtube.com/watch?v=vFoIdxLBm_A
「もっと笑いなよ」「20歳?18歳?じゃあパット・ブーンはもうお爺さんだね」
などの司会者のセリフに、薄くシャイに笑うエヴァリー・ブラザーズがクール。
http://www.youtube.com/watch?v=64x-hG0E0ws
1957年のヒット曲「Got My Mojo Workin’」を歌うマディー・ウォーターズ。
60年代の英国ギター・ロックに絶大なる影響を与えた彼(と、これまた素晴らしいサニー・ボーイ・ウィリアムスン)の、私的ベスト動画。
http://www.youtube.com/watch?v=vDU9FP5_B2M
大ブレイク前のビートルズともツアーした、ジーン・ヴィンセント。
印象的なロカビリーと、リーゼント。

♪ 衰退

1950年代末、ロックンロールが衰退を余儀なくされる事件・事故が多発した。
事件のいくつかには黒人系文化の隆盛を抑えたい層の意向が反映されていた、という主張が存在する。

・リトル・リチャード引退、宣教師へ(57年10月)

・エルヴィス・プレスリー、陸軍入隊(58年3月)

・ジェリー・リー・ルイス、13歳の従妹との結婚スキャンダル発覚(58年5月)

・バディ・ホリーやリッチー・ヴァレンスを乗せた飛行機が墜落(59年2月)

・DJアラン・フリード、ラジオ界の汚職スキャンダルに巻き込まれる(59年11月)

・チャック・ベリー、売春を強要した容疑で逮捕(59年12月)

・エディー・コクラン、英国で事故死、同乗のジーン・ヴィンセントも重傷(60年4月)

♪ ポップ化と英国ロックンロールの隆盛

・フィル・スペクターがプロデュースしたガール・グループや、ポール・アンカ、ニール・セダカらの「聴きやすいけど、程よくロックンロール」なポップスが人気を博す。
・また、ツイストをはじめとしたダンスブーム、西海岸ではサーフィン音楽など、娯楽性の高い音楽が勃興。
・一方イギリスではロニー・ドネガンがスキッフルを流行させ、折からのロックンロール・ブームと結びつき、アマチュア・バンドの結成が相次ぐ。
・そんなアマチュア・バンドの一つだったザ・ビートルズが、英国人ならではの音楽素養と独自のビートを獲得。ロックンロールで火がついた(そしてヌルいポップスに飽きていた)若者たちに熱狂的に受け入れられる。
・たくみな広報戦略とともにビートルズが渡米。その新鮮な魅力がアメリカでも受け入れられ、多くのフォロワーを生み、実験的な音楽制作の流れが加速した。

♪ おまけ

http://www.youtube.com/watch?v=wxoGvBQtjpM
「ハウンド・ドッグ」のオリジナル歌手として知られる、ビッグ・ママ・ソーントン。
迫力のスタジオライブ。
http://www.youtube.com/watch?v=VYGGO5pyUjw
締めも「みなぎる」ブルースで。
ソニー・テリー&ブラウニー・マッギー、メンフィス・スリム、ウィリー・ディクスン、T-ボーン・ウォーカー、ヘレン・ヒュームスなどのすごいメンバーによる、大団円。

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2017年06月27日