1時間あれば読める物語 心に響く厳選10話 (女性向け)

naricoco
普段本を読まない人でも、きっと楽しんでいただける物語を揃えました。ぜひあなたの時間をお貸しください。

【選出ポイント】
✔1時間あれば読み終われる(ゆっくり読んでの目安をつけています、ご参考に)
✔連作短編でなく、これだけ読めばOK(でも一冊読んでいただけたら嬉しい)
✔どちらかといえば女性向け
✔心に残るものがある
※ネタバレしない程度に感想付き

◆大島真寿美/ふじこさん

講談社文庫『ふじこさん』収録
✔100ページ強、1時間程度

離婚調停中の両親に親権を争われうんざりしているリサと、
父の愛人ふじこさんとの妙な交流を描く。
リサは自分自身に無関心で、人生への倦怠感が溢れている小学生。
支配しようとし、当然の権利のように自分を引き取ろうとする母と祖父母への反感を持ち、
同時に父親への同情的好意が大きくなっていた。
そこにふじこさんの存在が加わり、リサは新たな視点を獲得する。
「男は身勝手で無神経」

◆長嶋有/サイドカーに犬

講談社文庫『猛スピードで母は』収録
✔70ページ強、1時間以内
✔主人公が小学生の女児ということで、ふじこさんとあわせて読んで欲しい

ダメ男の父に愛想を尽かして母が家出し、父の愛人の洋子さんがやって来た。
主人公が洋子さんと過ごした短くも鮮やかな日々を回想する。
とにかく洋子さんのキャラがかっこよく、人物描写が鮮やか。
快活で豪気な洋子さんがふと見せた女性としての顔が印象的である。
「強い女なんて男の都合のいい妄想」

竹内結子主演で映画化もされている
愛人の洋子役

◆西川美和/1983年のホタル

ポプラ文庫『きのうの神さま』収録
✔40ページ弱、20分程度
✔監督作品『ディアドクター』の血を分けた一冊

村からただひとり、バスで町の塾に通う小学生のりつ子が主人公。
塾帰りに乗るバスの運転手とのささやかな接点が物語を作っているけれど、全体としては少女の自意識や自我というものが丁寧に描かれている。
「村」から「町」へ出ようとするりつ子の思考は、同じような経験をした人みんなに共通する感覚ではないか。
「ただここではない場所に行きたい気持ちは誰もが持ってる」

◆宮部みゆき/サボテンの花

文春文庫『我らが隣人の犯罪』収録
✔30ページ強、15分程度

とある小学校で、六年一組の子供たちが卒業研究のテーマに「サボテンの超能力」を選んだことから起こる騒動。
定年を間近にした子供思いの教頭先生と子供たちの絆を、ささやかなミステリも交えて描いた物語。じんわり染み入る。
「最も素晴らしい人生の報酬は人から与えられる」

舞台化もされています

◆沢木耕太郎/虹の髪

新潮社『あなたがいる場所』収録
✔20ページ弱、10分程度

通勤バスで見かける女性の美しい髪。
堅実な人生を歩んできた中年官僚の心が乱される。
「やらなかった後悔は自分への情けなさに変わってしまう」

◆沢村凛/とっさの場合

講談社文庫『カタブツ』収録
✔文庫40ページ強、30分以内

主人公は幼稚園児の息子を持つ主婦。
強迫神経症気味の彼女は、
「絶体絶命の状況に陥った息子を目の前にして何も出来ない」自分の夢を見、それが現実になった場面を妄想する。
「いざというとき助けられないからといって、愛情が足りないわけじゃない」

◆津村記久子/十二月の窓辺

講談社文庫『ポトスライムの舟』収録
✔80ページ弱、1時間程度

上司にパワハラを受ける主人公。
自分を否定されすぎて、辞表を持ち歩いているのにどこの職場でも同じかもしれないと思って辞められないでいる。
彼女は会社の窓辺から、展望台やおしゃれなカフェがある隣のタワービルを眺めている。
そこからは最終面接で落とされた会社の印刷室が見えて、そこで働く自分と同じ年頃くらいの社員に親近感と羨ましさを抱いている。
「毎日がキラキラしている人なんていない」

働く女性にオススメ

◆三崎亜記/二人の記憶

集英社文庫『バスジャック』収録
✔20ページ弱、15分以内

主人公は恋人と自分の記憶に食い違いがあることに気づく。
一緒に行っていない旅行の思い出を語る彼女、見知らぬ指輪を自分からのプレゼントだと言う彼女。今食べた食事のメニューも違う。
日に日に大きくなっていく記憶のズレに、彼は不安を大きくする。
「たったひとつ揺るがないものがあれば、ずっと一緒にいられる」

◆小川洋子/薬指の標本

新潮文庫『薬指の標本』収録
✔80ページ強、1時間程度

人々が持ち込んだものを標本にすることを生業にする男と、彼の手伝いをする”私”の物語。
サイダー工場で働いていた私は不注意で薬指を欠損する怪我を負い、
人々の思い出の品を標本にする標本室で働き始める。
「完璧に理想に叶った部分があれば、男は女の残りすべてを愛せるのかもしれない」

フランスで映画化

◆嶽本野ばら/世界の終わりという名の雑貨店

小学館『ミシン』収録
✔80ページ弱、1時間以内
✔文庫も出ていますが、単行本で読むのがオススメ

世界の終わりという名前の雑貨店を経営する主人公の店に、美しい少女が通い始める。
店主と客でしかなかった二人の関係が、店の閉店をきっかけに変わっていく。
ラスト3ページは一生私の心に残り続けると思います。
「このまま雪が降り続けて君がいない世界を終わらせてくれればいいのに」

高橋マリ子、西島秀俊主演で映画化
https://matome.naver.jp/odai/2136283824908645601
2013年03月11日