1994 平井憲夫さん 藤沢市にて tweets + プルトニウム元年

jeneux
【以降(「番号:」のもの)は、youtubeにアップされた「1994 平井憲夫さん 藤沢市にて」を文字に起こしたものです。※映像が切れており内容が飛んでいるところがあります。】

1:「反対、反対」ばかりじゃ駄目なんだと。「どこの何号機を閉鎖しなさい」と、具体的にやりなさいと。ただ鉢巻してビラまいて石投げて電力会社に文句言ったって駄目だということ。
2:具体的に、「どこの何号機をとりあえず閉鎖しなさい」「それについては電力会社に責任があるだろうが」と。これをやってほしいと言うんです。ただ反対、反対というだけでは、お題目を唱えていては駄目。
3:(どこの原発が危ないか?)これは「古いから危ない、新しいから安全」ということはないんですよ。で、はっきり言うと46基全部危ない。特に今、私が反対と言っている人にやってほしいのは、関西電力と九州電力の玄海一号機。
4:蒸気発生器を取り替えするんですよ。新しいのに。穴がいっぱいあいてしまったから。原子炉そのものは古い物、蒸気発生器だけ新しい物にする。これは取り換える時に物凄い被曝するんですよ。今、美浜のをやってデータがでてるんですが。

5:だからとりあえずそれを閉鎖しなさいと。6基をね。玄海の一号を含めて、閉鎖。それと、日本原電の敦賀一号機ね。これはもうガタガタ。

6:それから中部電力浜岡の一号機。これは、冷却水漏れを起こしてるんですから。今でも漏れている。冷却水が漏れてるんですよ?自動車でいったらラジエータの水が漏れながら運転してるんだから。こんなこと平気でやってる。考えられない。※09年1月に廃炉
7:で、私が言うのは一番新しい原発。北陸電力の志賀原発というのがあるんです。これは恥ずかしいんですが、私の元の部下が監督責任者で造った物なんです。今、原発は全部裁判やってるんです。差止め訴訟という。
8:しかし、あまりにも原告側が素人だからどの裁判でも、負けてしまう。負ける裁判をやっている。その志賀原発の差止め訴訟。これは裁判所が運転の前に現場検証をした。初めてだったんですが。裁判官も素人です。私に特別補佐人、説明役で入ってくれと。
9:情けなくなるくらい、運転したらすぐ事故起こしそうなところがいっぱいあります。でもこれも、訴えているのは、主蒸気系、再循環系。原告はこれしか訴えてない。だからそれ以外に危ない所があっても、裁判に関係ない。
10:現場検証では、証拠の写真を撮ります。写真は裁判官も書記官も写しては駄目。電力会社が用意するカメラマンが写すんです。「ここを写してくれ」と裁判官が言う。しかし、主蒸気系、再循環系というのは保温材で巻いているから、元がどうなっているかわからないんです。
11:だからそれ以外に危ない所を全部指摘しました。裁判官、書記官もカメラを持って入っていました。本当は写しては駄目なんだけど、裁判官は自分で探し出していました。「ここもおかしい、どこもおかしい、こんなに曲がっている」と自分達で写真を写していた。もう、私は格好が悪くて。
12:新しいと言っても、それ位安全じゃないということ。検証が終わって私も「本当に一体どういう工事をやったんだ?」と。でもやっぱり、全然職人がいないんだ、と。工場である程度プレハブというのを作ってるんです。それをマニュアルを見て繋ぐ。だけど繋ぐのでも職人がやるのとでは全然違う。
13:溶接工でも、溶接工が本当に細かい仕事ができるのは、30歳まで。火花で目をやられるんです。細かい仕事というと、30歳まで。30歳過ぎると目が上がる、っていうんです。そうすると、「原発に行こうか」と。だから原発には本当の職人さんも、来るんです。
14:原子力っていうから、何か素敵なことやってるんじゃないか、と(職人が)来るんです。で、来て、「マニュアル通りにやれ」というのを見るでしょう?「こんなもんやってられるか」と仕事をせずに辞めて帰ってしまう。
15:本当の職人は、仕事がわかっているから、「なんでこんなことができるか」と。マニュアルを見ただけで。それくらい幼稚なマニュアルなんです。だから余計に職人が集まらない。それと一番の癌は。他の仕事だったら無理をしてでも後継者を育てることができるでしょう?

16:これは20何年やってて私が誇りに思ってることですが、下請けであろうと孫請けであろうと、これから結婚するとか、これから子どもを作るとか言う人間は絶対に採用するなと。というのは、子どもの白血病のことがやっぱり心配だから。

17:そうすると若い後継者を、原発の職人に育てるのももう不可能なんです。監督は指示してすぐ出てくるから放射線を浴びる量も少ないです。だから学校でたての若い人も採用します。だけど実際作業する人間には私はそんな風にしてきた。
18:(映像が飛んでいます)…仕事に来てるんですよ。でも農業、漁業が暇な時に来てるでしょう。本職じゃない。だから仕事を覚える気がない。一日行けば日当いくら。だから覚える気がないから何十年やってもダメ。10年やったらいっぱしの職人になれるんだけど、覚える気がない。
19:だからこれから、今ある46基だけでもこれを維持してくことですら難しいのに、果たしてこれから、プルトニウム、ウランを使うだけのために40基造ろうかというのはどうするのかと。
20:私も本当にこういう仕事じゃないんですよ。本職があるんです。でもうちの番頭さんがしっかりしてくれてるからこういう風に歩けるんですが。時間がある限り私は永田町に行って国会議員さんに話をする。そこに役人を呼んでもらって話をするんです。機会を見ては国会で議論もさせてる。
21:本を書くのも大事だと思う。大学の先生が講演をして原発反対の人を集めるのも大事だと思う。でも私がいつも言うのは、国会議員などに働きかけていこう、と。集団で押し寄せるのではなく、相手の言うこともよく聞き、理解する。自分の言いたいことも言って、話し合っていかなきゃと。
22:ただ意見書を渡すとか、署名を集めて渡すとか、それをどうしろと言ったって、私は、駄目だと思う。本気で、少人数で、腹を割って話をしようということが必要だと思うんだけど、なかなか他の方がそういうことやってくれないので、私もちょっとイライラしているところがあるんだけど。
23:(被曝労働者)救済センターを手伝ってるお母さんたちからは、その人たちは感情と向かい合う自信がないんじゃないか、自分が原発を見たことがないから、というような話も出るんだけど。これは本当言って、原発反対の人を集めて、原発が怖いという話をするだけの方がものすごく楽。

24:労働組合なんかに動員で講演やるんですよ。でも、一時間半なら一時間半話して、「はい今日はご苦労様」って言ってそれで終わらしてしまうから。ただ動員で来てるだけだから楽。でもそれじゃあやっぱり駄目だと思う。

25:私はおこがましいかもしれないけれど、石川県でも鹿児島でも宮崎でも、講演をやると、「私の話はここまで。話を聴いただけでは駄目。明日から何をやろうかを、4~5人、輪になって、話し合いなさいよ、たとえ30分でもいいから。」と言う。
26:帰りに信号をふたつかみっつ渡ったら忘れてるんですよ、半分以上。そんな(原発の)話を聴いたということを。だから、明日から何をするのか、が一番大事じゃないかなという。
27:10人集まったら話がまとまらないけれど、4~5人だったら黙ってる人はいない。何かを言わなければ駄目だから、4~5人でやる。それが必要じゃないのかな、と思うんですが。質疑応答とかじゃなく、もうざっくばらんに、座談会みたいに。なんでもいいんですよ。

28: (質問:政府や警察や消防署は、事故が起こった時に、パニックになった住民をどう管理しようと思っているのか?)原子力防災というのがあるんです。中央では「各自治体独自のものを作りなさい」と指導している。だけど自治体は独自の物を作るだけの能力がない。はっきり言って。

29:で、横浜市も今作りつつあるんですよ。でもこれは横浜市が勝手に作ってるんじゃない。市民と一緒に作っていくわけです。今までは、お上が作ったものを、お前ら守れ、だったでしょう。そうじゃなくて、自分達でつくる。それを行政へ持って行ってどうするか、こうするかという。
30:原子力防災に関して、勉強会するんだったらいくらでも行きますよ。これは、いっぱい集まったらできない。これは楽しく作っていくもの。そのいわゆるたたき台にするものは、私の所にいくらでもあるから。色々な所で作ったものが。
31:今月9日に横須賀に行ったんですが、横須賀の人たちも勘違いしていた。「ここには原発がないから」と。原潜がいつも入ってるんですよ。原子炉そのものはあるんです。それから核燃料を造ってる工場もあるんです。それについて防災をやっぱり何も考えてなかったらしいんですよ。
32:国がそういう指導をしています。各自治体独自のものを作りなさいと。川崎市も作ったでしょう?横浜市も作った。今、平塚市も作りつつあります、みんなで。みんなでつくるんですよ、これは。
33:もうひとつ、私もよく自治体の市長なんかに呼ばれて、消防署でとか看護婦さんとか先生とかに話をしてくれと言われるんですね。防災の。防災というとみんな、逃げることを考える。でも原子力の場合そうじゃないんです。

34:原子力の場合は仮に、東海村で事故があったとする。放射性物質をくっつけたまま逃げてくるんですよ。東海村から。じゃあその人たちの除染はどうするか、知らないでしょう。それも防災の中に入るんですよ。これは現場の経験で私がお話をするんです。

35:というのは、定検工事をやってて作業員がグラインダーで頭を切ってしまった。現場の事務所に行ったら、「今救急車で病院へ連れていった」という報告を受けたから、「これはえらいことをやってしまった」と思った。怪我をしたことじゃないんですよ。
36:各会社には放射線管理責任者というのがいるんです。それに「すぐに病院行って、救急車の放射線量を計ってみろ」と。測ってみたら汚染されてるんです。汚染されたまま作業員を乗っけてるんです。病院では看護婦さんがそういう知識がないから、そのまま患者を受け取った。

37:看護婦さんも汚染されてしまった。そのまま他の患者を触った。そのおばあさんは帰ってしまったという。おばあさんを探しだしたら、帰りにスーパーに寄ったという。もう一人動いただけで大パニックで午後の作業は全部中止、4000人の作業員が除染して歩いたんですよ。一人が動いただけで。

38:事故が起きたからといって、事故地の人間を、来るななどというわけにいかないでしょう。だから、そんなことも防災の中に入れていくわけです。逃げるだけを考えては駄目ですよ、というのです。
39:(藤沢市の防災は?)私が話をしているので、取り組んでる所はだいぶできてます。今一所懸命取り組んでます。(消防庁など、全国的組織で企画を作ることはなされてないのですか) 消防庁と、科学技術庁というのが、いつも喧嘩してるんですよ。
40:というのは核燃料輸送ひとつとってみても、警察庁は知らせるんです。でも消防は知らされないんです。いつ、何時何分にどこを通るのか。(危険だと知らせる義務はないんですか?)いわゆる消防は警察よりも少し、安く見られているんです。
41:消防署の人は、全員じゃないけど、おぼろげながら知ってる。一番怖いのは、核燃料輸送にしても、原発の事故にしても、消防団という人がいるでしょう。法被を着ている人。この人達には何の知識もない。そういう人たちにも徹底してそれをやらなきゃ駄目。
42:石川県の場合は、羽咋市の市長さんなんかに呼ばれて、消防団員にもずっと話をしていたんです。やっぱり消防団の人はほとんど知らない。それから病院の看護婦さんも、医者も知らない。
43:(インタビュアー:そういえばウランの核燃料輸送の追っかけをやっていたけど、ガソリンスタンドで給油するとき、火事になったら大変なことになると思うんですけど、消防関係は誰もいないかったですね。警察だけですよね。)

44:いつも(核燃料輸送の)追っかけをやってる人にいうんだけど、もう少し勉強してほしい。というのは、仮に横須賀から燃料を運ぶ。原発の中に入るでしょう。入った途端に放射線管理区域になる。走っている所は管理区域ではない。何故それを問題にしないのかというんです。

45:放射線管理区域ではきちっと管理されるのに(核燃料輸送車が)走っている時、サービスエリアにいる時は放射線管理区域にならない。放射線管理区域になったからどうという訳ではないですが、やはりきちっとした対応を取らなければ駄目。その辺から問題にしていかなければ。
46:日本でも電力会社の近くになると(核燃料輸送車が)本当に軒先をすれすれに走っている所もあるんです。で、トラックが通った後に(放射性物質が)必ず残っているんですよ。殆どが夜明け一番頃に入っていく。ちょうど残っている時期に子どもが学校に行くためにそこを通ったりしている。
47:必ず(放射性物質が)残っている。(核燃料輸送車から)漏れているし。せっかく追っかけて行ったなら、そこを調査して「これ位残っているじゃないか。どうするんだ」ということもやらなければ。(残るとは大気汚染ですか)大気ですね、あと、下へたまる物もあります。
48:だから韓国ほどきちっとした原子力防災でなくても、それに近い原子力防災を日本でもやらなきゃだめだということ。韓国の原子力防災は徹底している。こういうと笑う人がいる。「韓国が?」と、頭から馬鹿にしたような言い方する人がいますが、きちっとしていますよ。※インタビューは94年

49:日本も今、ヨウ素剤を置いてるんです。役所か保健所に。でも事故が起きて誰が取りに行くんだと。韓国なんかは学校に行くとき、ランドセルにヨウ素剤を持たせてるんです。で、学校できちっと教えている。事故が起きたらこれ2粒飲むんだよと。※インタビューは94年

50:日本の場合は、おいているけど保健所か役場においている。どっちが親切か。(質問者:藤沢市はヨウ素剤をおいてないって言ってましたよ)藤沢市は、ないですね。※インタビューは94年
51:(質問者:問い合わせたことがあって、扱い方がわからないと言ってましたね。放射線の技師の方の話を聞いたんですけど。ヨウ素剤、薬局で買えるんじゃないの?みたいな感じで、自分も服用のさせ方がよくわからないと。)
52:これは大阪守口の田辺源というところで、田辺製薬の子会社なんだけど、作っているから。薬局に言えば取り寄せてくれる。でも防災計画の中にそれを盛り込むわけ。行政で用意しておく。(質問:ヨウ素剤はどういう系統の事故にどの程度効果があるんですか)※インタビューは94年
53:事故が起きて、放射性物質が飛んでくるでしょう。これは大人にはあまり関係ないのね、子供に飲ませるでしょう、そうするといわゆるここ(甲状腺)で止まるわけね。人工的なヨウ素が。ある一定まで来たら体が受け付けない。だから前もって飲んでおく。
54:で、仮に被曝するでしょう、3時間たって飲んだら3割しか効かない。2時間で5割。だから、事故を早く知らせてもらうことと、防災の中に、いわゆる測定器を行政に買わせる。何百台でもいいけど。
55:それ(行政に買わせた放射線測定器)を市民が管理すること。そして、市民同士のネットワークを作っておく。測定器が感知したら誰にどういう風に知らせる、と。
56:一番大変なのは学校の先生なんですよ。学校にいる時にそういう事故があったら。でもそういう風に事故があったのを知らないで子供を帰したりした場合大変なことが起きてしまう。
57:これは石川県の場合、教育委員会にいっても買ってくれなかったというので、教職員組合で、簡単なR-DANというのがあるんですがこれを300台位買ってね、学校にも置いているし、いろんなところに置いてるんです。
58:(質問:新しい機種ですか?最初に出たのは8万位の…)それがR-DANで、次はタンポポ。今は色んなの出ているからね、10万以下で。(はかるくんを、科技庁から借りて測ったことはあるんだけど、あれでは原発の現地でも反応があまりなかったと現地の方の話を聞いてます)※動画は94年

59:まあ、原発の現地というのがどういう風に測ったのかわからないけど、常時スイッチは入れっぱなしにしてね。中国が核実験なんかやるときも必ず反応してるから。そうしたらネットワークで生野菜子供に食べさせたら駄目だよ、今この位あるから、というのをやるべき。原発の事故だけじゃなしに。

60:去年(※インタビューは94年)ですか、中国が大きな核実験やったでしょう。(質問者:でも(線量計が)振れないんですよね。)あまりにも数値を大きくセットしているのでは?(低くしています)家の中?外でも雨のかからない所でね。
61:中国が核実験やった時、まあ私の所へずっと色んな所から電話がかかってきて。こういうことがあると、一番に原発がどこか事故があったんじゃないか、と私の所へかかってくる。山口の人が一番最初、それから九州、ちょうど3日後に北海道から電話がかかってきた。
62:私はたまたまテレビで臨時ニュースで中国の核実験のニュースを見ていたから、それ(線量の上昇)は核実験だよと言ってね。
63:防災計画をきちっと作って、測定器を行政に買わせること。(質問者:藤沢市は何台か持っていますが。)だから、役所の人間が持ってたって駄目。一般市民が管理をして、自分たちで知らせるネットワークを作って、きちっと防災計画を作る。面倒じゃないから。
64:山口の上関は原発の予定地なんです。そこの防災計画を作ってるんですけれど。年間を通して風向きがどっちへ行っているとか、こういうのは気象協会にいえば送ってくれる。藤沢市を中心とした年間の風向きのデータを送ってくれといえば、この辺の何カ所かのを送ってくれる。
65:1月はどっち方向の風が何日あるとかね。電話をくれれば住所をお教えします。産業資料情報室ってところかな? 300円の小為替を入れて請求すれば送ってくれる。※94年当時(以降音声が飛んでいます)
66: (質問者:チェルノブイリ位の事故になると一気に大気汚染をしていくわけですよね。おそらくチェルノブイリ位の事故になると日本列島なんて一日で…そういう本当の脅威というものを知ると防災というのはどこまでやっていれば安心していられるか、まるで無力に感じます。)
67:だから私自身の防災計画の狙いは、100%の防災はできない、だからこれ以上(原発を)造ったら駄目だよ、ということ(を伝えること)が一つ。きちっとしたものはできないから。もう一つは広域防災じゃないと駄目。藤沢市だけがやっても駄目。日本全国が一緒に作らないと。

68:これがまた矛盾があるんだけど、ICRP。ここでは「0.01ミリシーベルト浴びたらコンクリートの建屋にすぐ逃げなさい」というのがある。日本で国が作ってる原子力防災は1ミリシーベルト。千倍浴びて初めて知らされる。そういう矛盾がある。※インタビューは94年。

69:それまでは浴び続けてる。それで初めて知らされる。避難はそれからだから。それから今の国の原子力防災というのは発電所で事故が起きても、電力会社、この敷地内だけの責任。電力会社は国に知らせる。国から県に行く。県から自治体へ行く、その間に物凄い時間がかかるわけです。
70:でも、今は「国の役人が判断してやる、お前らは勝手に考えなくていい」という意識がある。そこで、神奈川県は、国に知らせるのと同時に神奈川県に知らせなさいということを決めた。これでもまだ遅い。
71:やはり国のそういうところを変えていかなければ。なんでも国の役人が判断してやろう、だから。だから独自の物を作って、東電にしても中電にしてもどこでもいいから、市と直接安全協定を結んでいくんです。※インタビューは94年
72:で、無力なようですけれどとりあえずコンクリートの建物に逃げること。食糧とかいろんな問題あるけど、とりあえずは。普通の地震とか台風の避難とまた違うからね、いつになったらそこから出られるかわからない。
73:だから、こういうようなことをずっと出していくとこれは駄目だなと。最終的には。だから(原発を)造るなと。勘違いしたらダメですよ。それ(防災)ができたからもう安心というのではない。絶対に100%のものはできないんだから。でも最低限、知っとかなきゃ駄目なものがあるわけです。
74:私は前、科学誌に論文載せたのは、原発推進をいう人は、原子力防災計画というのを前もって作れと。それで100%安全だといって、それから造りなさいと。100%安全なんて絶対にないのだから。それができないのなら造ってはいけないというのね。
75:今までも、周辺へ放射能漏れを起こした事故はいっぱいあるんですよ。でも周辺市町村へ知らされた試しがない、今まで(※94年の映像)。電力会社に文句言うでしょう?電力会社は国に報告してますよ、という。国がそう判断しない。国の方で潰してしまって。

76:美浜の大事故の時、関電が国へ報告したんです。土曜で担当がいなかった。家に電話したら担当者がお風呂に入っていた。次の担当者へ電話したら旅行に行ってた。結局連絡がついたのは6時間経ってから。風呂を出たらすぐ連絡をくれと言っていたらしいけど、忘れてたという。その程度。

77:おかしなことで、(事故について)地元へ言う前に国へ言って、それで電力会社は責任が終わってるっていうんだからね。まあ防災計画というのはひとつは意識を持ってもらう、という意味が大きい。
78:(質問者:4年ほど前参院選の時に環境政党でボランティアをやったんですけど、NHKで代表者が環境が今一番大事じゃないかって言いますよね。でも結局原発だけは口にしなかったんです。(※聞き取れない個所があります)→※94年
79:→これはもうやはり次の時ははっきりと情報を知らせるという意味でだけでも、また選挙という形を使うかもしれないんですよ。そう言う時に一番主張する点は、今ここの原発が危ないから止めろ、新設をやめろというのが一番効果的ですか?)※インタビューは94年
80:あの、よく脱原発っていう人がいるでしょう、これも私はちょっと解らない。脱原発というのは。ゆくゆくは原発のない暮らしにしようというのは解るけど、とりあえず脱原発といったって、どういうことなのか。解らないのね。※インタビューは94年
81:(脱原発と)言っている人に訊いてもわからないんだけど。(質問者に対して)どういうこと?ゆくゆくは原発のない暮らしというのはわかるんだけど、とりあえず今すぐ脱原発って言ったって、不可能じゃないかなと思うのね。

82:私が地方とか行って、議員さんとかよく来るんですよ。私がいうのは、原発反対なんて一言も議員さん言うことないんだと。いわゆる公共の建物を建てるでしょう。そこへコージェネレーションの発電設備を造るようにさせなさいと。すると電気は余って来るでしょう。
83:神奈川県警察本部なんかはコージェネレーションでしょう。東電の電気なんか予備だから。そうしてやっていくと県民税も安く上がるわけね。県警だけでも東京電力の電気を使うのより年間7千万位安く上がってるんです、コージェネの方が。(映像はここで終わり)※インタビューは94年

*****

【以降は 広島テレビ「プルトニウム元年」第3部「広島から~日本が核大国になる!?」(1993年8月放送)youtube.com/watch?v=vp0aBL…平井憲夫さん出演部分(動画4/5)の書きおこしです。】
1/(ナレーター:労災申請のニュース(93年29歳の浜岡原発作業員の男性の白血病死についての労災申請)は各地で原発の実情を知ろうという運動を盛り上げた。平井憲夫さんは原発の建設や検査の現場監督として20年余り働いた。原発の作業を知り尽くした男として原発の裁判で保佐人も務めた)
2/(平井さん講演映像)私が原子力発電所を辞めた理由、色々ありますが、一番何が問題かというと、とにかく夜が明けると嘘をつかなきゃ駄目だということなんですね。事故が起きる。でも一般の作業員には、「これは事故じゃないんだ」ということを一番にやらなければ駄目。
3/というのは、そういうことが世間に出るということは非常にまずいんですよ。電力会社にすれば。殆どの人が被曝をする。でも、本人には知らせない。それから仮にそういうことが起きても、「いや大丈夫だよ」と、こういうことから始まるんですよ。私自身も、内部被曝は何百回もしてます。
4/定検工事が終わり試運転が始まる。24時間動かすんです。現場にいると、カラカラと配管の中を道具や工具が音を立てて流れている。これは必ずあるんです。それ(工具)は、ストレーナーというところで止まっている。そのストレーナーを突き破る可能性は充分すぎる位あるんです。
5/次回の定検の時に(原発の配管の)ストレーナーを外してみると、ハンマーがあるわ、差し金はあるわ、溶接の棒はあるわ、もういろんなものがそこへ出てきている(講演映像はここで終わり)。
6/(ナレーター:平井さんの放射線管理手帳を見せてもらうと、不思議なことが目に付いた。昭和55年2月に2日続けて福島県の医院と、300km離れた神奈川県の医院で受診している。
7/平井憲夫さんを診察した医師を横浜で探した。その結果、同じ名前の医師はいたが、すでに昭和59年9月に廃業届を出していた。現在その医院はなく、保健所でも調べられなかった。再び平井さんに会って確かめることにした。)
8/(インタビュアー:この神奈川県の医師を探したんですが見当たらないんですが、これはどこのお医者さんなのですか?)――実はそのお医者さんは架空の病院です。異常があった場合は放射線管理区域も入れなくなるということで、こういう風な架空の健康診断書を作ってしまうと。
9/(インタビュアー:それは誰が作るんですか?)これは勿論私が現場の責任者として事務員に指示をして書かせます。これについてもいろんなゴム印とか必要なんですが、前もって準備をしている。非常に、これは犯罪行為なんですけどね。/終
https://matome.naver.jp/odai/2135548588180968001
2012年12月14日