1 エイズウイルス(HIV)予防薬の臨床試験
米科学誌サイエンス(Science)が23日発行の最新号で、「2011年の画期的10大成果」を発表し、抗レトロウイルス薬療法(ART)でパートナーへのHIV感染リスクを96%減らせることを示した臨床試験が1位に選ばれた。
2 小惑星探査機「はやぶさ」ミッション成功
小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の分析で、太陽風が小惑星を変色させることが分かった。
3 化石の遺伝情報で人類起源に新知見
2010年に発表されたヨーロッパ人とアジア人がDNAの2~6%をネアンデルタール人から受け継いでいるとの研究成果に引き続き、ネアンデルタール人との性交渉が現生人類の免疫機能を高めたことが新分析で分かった。また、道具を器用に作っていた「セディバ猿人(アウストラロピテクス・セディバ、Australopithecus sediba)」は人類の直系の祖先なのかという新たな疑問が提示された。
4 光合成に関与するたんぱく質構造解明
日本の研究チームが、植物が光合成で水を水素と酸素に分解する際に使用するたんぱく質(光化学系II複合体)の詳細な構造を解明した。この構造を用いれば、クリーンエネルギー分野が飛躍的に進歩する可能性がある。
5 宇宙創成期の組成を示す水素ガス雲
ビックバンから数億年後の初期宇宙に見られるような原始的な水素ガス雲が発見された。また、初期宇宙の星のように金属をほとんど含有しない星が発見され、深宇宙の大きな領域が宇宙嵐にもまれず、無傷で生き延びたことを示している。
6 ヒト腸内微生物の生息条件解明
人間の腸に宿る微生物には、高たんぱく食を好むものと野菜を好むものの2種類がいることが分かった。
7 有望なマラリアのワクチンの開発
アフリカで大規模な臨床試験が行われている世界初のマラリアワクチン「RTS,S」について、子供の感染リスクが半減したとする有望な初期結果が得られた。
8 太陽系の常識を超える天体の発見
深宇宙で不思議な太陽系外惑星の発見が相次いだ。地球から2000光年離れた主星「Kepler-11」を周回する密集した6個の大型惑星、主星の自転方向と反対の向きに公転(逆行)する巨大ガス惑星、主星を持たないと見られる10個の惑星、主星が2つある惑星などだ。
9 ゼオライトの製造技術進歩
多孔質の天然鉱石ゼオライトの孔の大きさを変更するという新たな方法で、薄くて安価な皮膜を開発した。空気や水の浄化に活用でき、石油・ガス産業のほか、家庭の洗剤としても使えるかもしれない。
10 老化細胞を除く抗加齢研究
マウスの実験で、老化細胞を体内から取り除くと白内障の発症や筋力の衰えが遅れることが分かった。古い細胞を除去すると生活の質を向上できる可能性が示された。
リンク&ニュース
海外の科学系ニュースサイト「livescience」が、創設10周年を記念して、過去10年間における科学的大発見ベスト10をまとめ上げていた。