痛みを伴わない教訓には意義がない、人は何かの犠牲なしに何も得る事などできないのだから
ただもう一度母親の笑顔を見たいだけだった。
それが立ち上がるための足とぬくもりを感じる身体を失う結果となってしまった。
痛い思いをするからこそ人は成長する。
そして壁を乗り越えた時には何物にも代えがたい鋼の心を手に入れているだろう。
立って歩け、前へ進め、あんたには立派な足がついているじゃないか
大切な人が生き返るという望みを絶たれたロゼ。
生きる希望を失いこれから何にすがっていけばいいのかとエドワードに問うも、厳しいながらも足がないエドワードらしい言葉が返ってきた。
炭鉱(ここ)が俺達の家で棺桶よ
ユースウェルの炭鉱の人々は独裁軍人により貧しい生活を送っていた。
そんなに生活が苦しいならよそに移ればいいと言うエドワードだが、旅から旅へと自分の拠点を持たない者にはわからないこともあると諭されてしまう。
……君のような勘のいいガキは嫌いだよ
妻に逃げられたタッカーが「綴命の錬金術師」の資格を取るために錬成したキメラ。
そしてまたエドワードの前に現れたキメラ。
この2つから導き出される1つの真実。
これを理解するには読者にも勘の鋭さが求められる。
なめんじゃないよ、三日だ
スカーとの一戦で右腕のオートメイルを壊し、さらに身長が伸びたことにより左足のオートメールも作りなおすことに。
すべての作業を終えるのに1週間くらいかかるかと問うエドワードにピナコから頼もしい返事が返ってきた。
いかん、雨が降ってきたな
雲行きのあやしい空の下。
部下には雨粒が感じなかったが、親友を失った男の頬には確かに雨が降っていた。
堪えねばならんのだよ
イシュヴァール内戦の復讐として国家錬金術師を殺害して回るスカーのうわさを聞いて尋ねてきた師父。
恨みたい気持ちもわからないではないが、復讐は新たな復讐の目を生むだけであり、そんな不毛な循環は断ち切らないといけないと諭される。
ありえない、なんてことはありえない
人造人間の錬成に成功した事例など聞いたことがなく、存在するなんてありえないというアルフォンスだが、目の前には確かに頭の半分を吹き飛ばされても再生するグリードが存在する。
そう、自分が見聞きしたことがなくとも世界には確かに存在するものがあり、ありえないなんてことはありえないのだ。
やがてこのセリフは作中で多くの人物が使い、テーマの一つとなってゆく。
いつか、ヒューズさんにも食べてもらいたかった……
以前ヒューズの妻であるグレイシアにアップルパイの作り方を教えてもらったウィンリィ。
何度も練習して美味しく作れるようになったのに、食べてもらいたかった人はもういない事実を知ることになる。
置いていくから追いついて来い。私は先に行く
ラストの攻撃により下半身が不自由になったハボック。
そんな自分をまだ部下として見放そうとしないマスタングに対し、切り捨てるよう激高するハボック。
ようやく折れたに見えたマスタングから出た言葉は厳しくもやさしさのある決別だった。
今度お前を泣かせる時は嬉し泣きだ
これまで両親やエルリック兄弟のことが心配で涙を見せることが多かったウィンリィ。
待っていても帰ってこなくなる人を見すぎたウィンリィにとって一時的なエルリック兄弟との別れも永遠になってしまうかもしれないと心のどこかで感じずにはいられなかった。
しかしエドワードのこのセリフを機に今までチビを罵ってきた背中に逞しさを感じるのであった。
一つ、という約束だ
マスタングはブラッドレイにヒューズを殺したのはあなたか?という問いを行い、それに対するNoの回答をすでに得た。
だから「誰が?」という追加の質問には答える義理はないのだ。
…が、チェックメイトには…まだ早い
ハボックを失い、その他の部下たちも各地へ飛ばされ、ついにホークアイまでもが奪われてしまった。
しかしマスタングはまだ諦めていなかった。
信用できるかつての恩人へと協力を要請する。
皆のおかげで耐えられる
ラストとの一件で下半身が不自由になったハボックとついに両親の仇に遭遇するも撃つことができなかったウィンリィ。
それぞれの知人がそれぞれの傷心を心配するが彼らの目はしっかりとその先を見据えていた。
やらない善よりやる偽善だ
アメストリス人でありながらイシュヴァール人を救い続けるロックベル夫妻。
同胞が殺しを働く裏で医療行為を行い点数稼ぎをしている偽善者とののしられるが、患者がいる限り治療をやめられないのが医者の本能。
理不尽を許してはいないのよ
両親の仇であるスカーを完全に許すことはできない。
しかし傷ついたものがいれば放っておくこともできない。
それがロックベル家の人間というものだから。
きっとお父さんもお母さんもそうしただろうから。
私の城に入るのに裏口から入らねばならぬ理由があるのかね?
ブリッグズ兵により完全に落ちたと思われた中央司令部司令部。
しかしそこに単身主が帰還する。「ただいま諸君」
ブラッドレイの戦闘能力はすさまじく、反ホムンクルス勢力の数人が命と引き換えにしても多少の傷を与えるのがやっとであった。
この老いぼれはここで…永遠のいとま…頂戴いたす!!
単身中央司令部に乗り込んできたキングブラッドレイ。その身体能力は絶大で、ブリッグズの戦車隊、リン(グリード)、フーの体術をも圧倒する。最期にキングブラッドレイを道連れにした自爆を試みるもその攻撃すらも通らない。
さらばだ同志、ブリッグズの峰より少し高い所へ先に行っているぞ…
ブラッドレイの刀が刺さり重傷だったバッカニア。フーの決死の攻撃を無駄にしないため、その刀を抜き、フーの陰からブラッドレイに重傷を負わせることに成功する。しかし腹の刀を抜いたことにより出血量が増し、中央司令部の防御をリン(グリード)と部下に託し力尽きる。
なめるなよ、あれは私が選んだ女だ
数々の人間たちと交戦してきたブラッドレイであったが、その最期の場に現れたのはランファンであった。
祖父の仇が目の前でくたばるのを前に妻にすら言い残す言葉はないのかと詰め寄るランファンであったが、すべてを与えられてきた人生の中で、唯一自分で選んだ女に対しては今更言葉に残すようなことは何もなく、ただ静かに消え去るのみであった。
なんて幸せそうな顔で死んでんだい
望まず不老不死の体となってしまったホーエンハイム。
しかし最後の戦いで自身の賢者の石を使い果たし、妻の墓の前にたどり着くのが精いっぱいだった。
最初はただの墓参りかと思ったピナコもその姿に哀愁を漂わすのでった。
等価交換だ、俺の人生半分やるからお前の人生半分くれ
旅に出る前にオートメイルの整備が必要な時は前もって予約を入れるように促されたエドワード。
オートメイルの予約もだがもう一個予約を入れておくかということで出たこのセリフ。
素直になれないエドワードらしい告白に対し、ウィンリィも等価交換の原則を無視した回答をするのであった。


