まぼろしのお好み焼きソース
まずは長田区が舞台の小説「まぼろしのお好み焼きソース」。神戸の中でも長田区は「焼きそばをそば焼きと呼び、お好み焼きにそばを載せればモダン焼き、ご飯と切れ切れにしたそば麺を混ぜればそば飯、すべてが長田発祥である」らしいです。もちろん、ソースへのこだわりも半端ではないでしょう。この小説はそんな「ソース」のお話です。「さすらいのマイナンバー」の続編ですが、こちらの小説だけでも十分面白いです。
シェアハウスかざみどり
二冊目は「シェアハウスかざみどり」。このタイトル、そしてこの表紙、もちろん舞台は神戸。文中に出てくる街や駅の名前は違っていますが、神戸の街が描かれています。この小説では、おためしキャンペーンとしてこのシェアハウスに集められた住人達、そして管理人の過去と現在を行き来しながら物語が進んでいきます。想像とは違って、感動して何度も泣きました。とっても優しい、癒される小説です。
トラットリア・ラファーノ
三冊目は神戸・元町にある兄弟で経営するイタリア料理店「トラットリア・ラファーノ」が舞台の小説です。友情と恋愛を描いた小説ですが、友情や恋愛は楽しくもあり、時に悲しくもありますが、それでもやっぱり良いなって思わせるストーリーです。この小説の後半では異人館を巡りますが、坂の上の異人館の狛犬、山手八番館のサターンの椅子、うろこの家のカリドンの猪などのパワースポットも登場します。地元の人の方が意外に知らない気がしますがどうでしょうか???
きょうの日は、さようなら
四冊目は新開地が舞台の小説「きょうの日は、さようなら」。親の再婚で兄弟となった「キョウスケ」と「キョウコ」。その後、親の離婚で引き離され音信不通に。しかし、十数年後、新開地の街で偶然出会いストーリーが進んでいきます。新開地で出会えそうなユニークな登場人物や二人の掛合が面白く、すごく引き込まれる小説ですが、何だかちょっと悲しかった…。でも、お勧めの小説です。
盤上のアルファ
最後は「盤上のアルファ」。同じく塩田さんの作品「女神のタクト」とどちらを選ぶか迷いましたが、女性向けの小説が続いたので男性向けのこちらの小説を選びました。新聞記者の秋葉とアマチュア棋士の真田、そして小料理店を経営する静。ある日、静の店で真田と出会い将棋の世界に引き込まれていきます。プロ棋士を目指す人々の真面目な話から笑ってしまう話まで幅広く網羅した作品でとても面白かったです。特にニヒルな秋葉さんがどんどん崩れていくところが本当に面白くて一気読みしてしまいました。