【日本のお正月と】新年快楽! 台湾で過ごす旧正月【どう違う?】

台湾たびオン編集部
旧暦でお正月を祝う台湾。台湾だけでなく、東アジア圏では日本を除くほぼすべての国が正月といえば旧暦なのだ。中華圏では「春節」または「過年」といい、独自の風習に則って過ごす。今年はもう終わってしまったけれど、旧正月に台湾に来るチャンスがあるのなら、伝統の文化や習慣を覚えておいて損はなし!

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春節とは?


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爆竹に宴会、賑やかな中華スタイルの年越し
中華圏で最大の年間行事といえば、旧正月の「春節」。台湾人の間では「過年(グォニェン)」と呼ばれ、反対に12月31日から1月1日の新暦正月は「跨年(クワニェン)」といいます。
今年の旧正月は1月25日(土)。台湾ではその2日前の23日(木)から29日(水)までが連休となり、この期間はお休みまたは営業時間を短縮するお店も多いので要注意。
実は旧暦で正月を祝うのは台湾のほか、中国、韓国、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイにモンゴル。日本を除く東アジアの各国が旧暦を採用しているということに驚きますね。

「過年/春節」はつまり日本人にとってのお正月ですが、除夜の鐘を聞きながら静かに年を越す日本人とも、広場に集まってカウントダウンする欧米人とも異なり、独自の過ごし方をする台湾。独特の文化や風習について、解説していきましょう。

過年由来の「沈島伝説」って?


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過年の風習の由来として伝えられている台湾の民話「沈島伝説」
古代の人々は年末になると、家具に宿る神に感謝していたが、テーブルの上の「行燈」のことを見逃していた。ある年、行燈の精霊が道教の最高神である「玉帝」に訴え出ると、玉帝は人々を懲らしめるため4人の龍王に大晦日の夜、洪水を起こして台湾の島を海の底に沈め、世界を再建するよう命を下した。これを知った土地の神や台所、寝台、門に宿る神は玉帝を止めようとしたが叶わず、人々に夢でお告げを与えると人々はこれを深く信じ、ごちそうを用意して〝最後の日〟を迎えた。
しかしながら観音菩薩と天上のあらゆる神々が玉帝に嘆願したおかげで玉帝は思いとどまることになり、翌日を迎えた人々はこれを喜び祝った。

また一説では、年末になると人々が家具などに団子「湯圓」をくっつけて供える風習がある中、行燈は油が満たされていて団子が付かないため省略されたことを不満に思った精霊が同じく玉帝に人々の罪をでっちあげて訴えたが、玉帝は下界に神々を送り込み調査。行燈の精の話が嘘であると知り、正月15日目の「元宵節」に爆竹を鳴らし行燈を灯す「放炮燒燈猴」が始まったとされる。
(旧暦12月29日は親族が集い、旧年を送る儀式を行う。赤いランプはもともと行燈を灯していたもの)

文化・風習から見る台湾的正しいお正月の過ごしかた

尾牙(ウェイヤー )

旧暦12月26日のことで、農家や商家は土地の神様にごちそうを備える。日が暮れたらごちそうで宴会を開き、親族や使用人(現在では社員)を招いて盛大に年の暮れを祝うことから、今では「尾牙」といえば「忘年会」の代名詞に。抽選やビンゴゲームなどで豪華なプレゼントを出す会社も多いとか!


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春聯(チュンリエン)
「春聯(春貼門聯)」または「対聯(ドゥイリェン)」とは、ドアの両側に貼る赤く長細い紙のこと。吉祥(縁起の良い)の言葉やその年の干支を表す絵が描いてある。中でも「福」の字を逆さにした「倒福(ダオフー)」は「到福」と音が同じ、つまり「福がやってくる」の意、左の画像の「招財進寶(財運を呼ぶ)」を一文字にしたものは街中でもよく見られる代表的なもの。

掃塵(サオジン)

大晦日にあたる「除夕(チューシー)」は大掃除の日。
一年の汚れをきれいにし、新しい年を迎える。ただし除夕当日ではなく数日前に済ませたり、エアコンやお風呂、窓ガラスなど面倒なところは業者に任せてしまう場合も!


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搶頭香(チャントウシャン)
元旦の夜明け前、その年1本目の香を焚くために人々は寺に集まる。1本目を競い合うことから「搶(奪う)」、「頭香(最初の香)」の名が付いた。ほかにもその年最初のものを争って奪い合うことを「搶頭香」と呼ぶことも。

元日から1週間はタブーがいっぱい!


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初一(チューイー )
元日、正月1日は「初一」といい、この日は掃除をしてはならない。箒で運気を掃き出してしまい、金運が悪くなるという。どうしても掃除が必要な場合は外から内へ、ゴミを捨てるのも水を撒くのもNG。またこの日は爆竹を鳴らして伝説の怪「年獣」(左の画像)を追い払い、賑やかに過ごす。親しい友人の家を訪ねることも。

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初二(チューアール)
正月2日目は嫁に行った娘が家族を連れ帰省する日で、「迎婿日(インシューリー)」とも呼ばれる。この日、娘は手土産と紅包(お年玉)を持参し、親戚の子どもに配る。

初三(チューサン)

3日目は「赤狗日」または「赤口」と呼ばれる。「赤狗(赤犬)」は「怒りの神」を指し、不吉を呼ぶとされる。この日は外出せず家で過ごすため「初三睡到飽(心ゆくまで寝る)」の言葉が生まれた。

初四(チュースー)

4日目は12月24日、天上に戻った神様を迎える日。また三が日に食べ残したものを組み合わせて食べ切る。部屋の中をきれいにし、ゴミは一カ所にまとめて積んでおく。

初五(チューウー)

5日目になると数々の禁忌が破られ始めるため「破五」とも呼ばれる。この日に新年の希望や期待を持ち始める人が多いため禁忌が特に多く、たとえば「餃子を必ず食べる」、「生米を調理してはいけない」、「女性が家に遊びに行ってはいけない」など。店や会社は仕事始めになる。

初六(チューリウ)

この日は「送窮」といって貧しさを送り出す、つまりこの日になって掃除とゴミ捨てが許される。ゴミを捨てることによって一年の貧しさを払い、富を引き寄せる。農家は田起こしの初日となる。


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初七(チューチー)
1日から数えて7日間で神が万物を創造する順序「一雞二狗三豬四羊五牛六馬七人八穀」になぞらえ「人日」または「七元」とも言われる。台湾ではほうれん草、セロリ、ニンニクの芽、ニラ、カラシナ、ナズナ、白菜の7種を使った「七宝羹」を食べて邪気を払い、百病を治すとされる。

縁起を担いだ年夜飯(ニェンイエファン)メニュー

年夜飯とは日本でいう「お節料理」のこと。「團年飯」、「團圓飯」ともいい、こちらは「家族みんなで囲む食事」や「一家団欒の食事」という意味合いがある。
日本では北海道を除き、ほぼ全域で大晦日までにお節を仕込んでおき元旦になってから食べるが、台湾では大晦日から食べる。メニューはすべて長寿を願った「長年菜」で、嘉義縣以北の地域ではカラシナ、台南や高雄、屏東では根付きほうれん草。いずれも切らずに長いまま食べることで百歳まで長生きできると言われている。


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火鍋(フオグオ)
鍋料理はみんなで一緒に食べるものなので、団欒を代表するものとして台湾ではよく食べられる。

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麺線(ミエンシエン)
細い素麺のような麺で、長いものを食べると長寿になる、と言われる。

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豆乾(ドウガン)
豆乾は豆腐の一種で、干した硬い豆腐のこと。台湾語で「陞官」、つまり「昇進」と同じ音を持つことから食べる。

水煮蛋(シュイジューダン)(ゆで玉子)

殻を剥いて食べることで、「殻を破り新しく生まれ変わる」ことを意味する。主に南部で食べるものとされる。


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魚(ユー)
魚料理は欠かすことのできないもので、これは「余(余る)」と同じ音であることに由来する。魚の頭と尾は食べず、また食べ切らないで少し残すことで「年年有余(ニェンニェンヨウユー)」、お金が余る、裕福になることを祈念する。

韭菜(ジウツァイ)(ニラ)

ニラは「韭」の音が「久」と同じであることから「久久長長」、良いことが末永く続くように、との願いを込めて食べる。炒めものやスープ、鍋の具材として使われる。


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餃子(ジャオズ)
古代の硬貨「元寶(ユエンバオ)」に形が似ていることから、金運や財運を願い「招財進寶(財運を招く)」として縁起がいいとされている。

食蚶(シーハン)(アサリ)

アサリは一般的には「蛤蜊(グーリー)」と呼ばれるが、古代は貝を通貨として用いていたことから財運を祈願して食べる。食べた後の殻はベッドの下に置いておくとさらに縁起が良い。


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魚丸(ユーワン)(魚のすり身団子)
魚丸は蝦丸、肉丸と合わせて「三元」といい「歲之元、月之元、時之元(年の初め、月の初め、時の初め)」を大切にすることを指す。また丸いものは「團圓」で「一家団欒」の意。

年貨大街で台湾の年越しの雰囲気を味わおう


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過年が近づくとそわそわし始める台湾の街。

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迪化街が有名な「年貨大街」は、正月用品の買い出しに訪れる人で賑やか。

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台湾の年越しの雰囲気が味わえる。

世貿年貨大展

住:台北市信義区信義路五段5號台北世貿一館
U: souvenir-fair.top-link.com.tw

迪化街商業圏

住:台北市大同区迪化街一段

新化老街

住:台南市新化区中正路

三鳳中街

住:高雄市三民区三鳳中街

※その他新北市の淡水老街や九份老街、台中の天津街、繼光街でも行われているが、規模は小さめ

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2020年03月27日