殺傷事件、一家心中…家庭崩壊のリスクが高まる「引きこもり」

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趣味の用事や近所のコンビニに行くほかに自宅から出ない人という定義である引きこもり。その引きこもりに中高年が増え高齢化しており社会問題化しています。この問題は高齢の親の死後に残された息子が困窮しての孤独死、または老衰した親が一家心中を図るリスク、引きこもりによる家族への殺傷事件という最悪な展開です。

元農水次官に懲役6年 44歳長男殺害、東京地裁

東京都練馬区の自宅で6月、長男=当時(44)=を刺殺したとして殺人罪に問われた元農林水産事務次官熊沢英昭被告(76)の裁判員裁判で、東京地裁(中山大行裁判長)は16日、懲役6年(求刑懲役8年)の判決を言い渡した。
元農水次官に懲役6年 44歳長男殺害、東京地裁(共同通信) – Yahoo!ニュース

検察側は公判で、長男と同居を再開した5月に暴行を受け、殺害を考えるようになったと指摘し「強い殺意に基づいた悪質な犯行だ」とした。

弁護側は「殺すぞと言われ、自らの命を守るためとっさに刺した」と計画性を否定。発達障害があった長男を長年、献身的に支えてきたことなどを挙げ、執行猶予付きの判決を求めた。

熊沢被告は起訴内容を認めていた。
元農水次官に懲役6年 44歳長男殺害、東京地裁(共同通信) – Yahoo!ニュース

元次官「これしか方法無い」妻に手紙 長男殺害 起訴内容認める

農林水産省の元事務次官が長男を殺害した罪に問われている事件の初公判で、被告は起訴された内容を認め、弁護士は「長男による家庭内暴力で殺されると思い刺してしまった」と主張しました。

農林水産省の元事務次官、熊澤英昭被告(76)は、ことし6月、東京・練馬区の自宅で、長男の英一郎さん(44)を包丁で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われています。
元次官「これしか方法無い」妻に手紙 長男殺害 起訴内容認める | NHKニュース

11日、東京地方裁判所で初公判が開かれ、被告は黒いスーツを着て、伏し目がちにやつれたような表情で法廷に入り、証言台の席に座りました。

裁判の冒頭で裁判長から起訴された内容に間違いがないか問われると、被告は「間違いありません」と述べて認めました。
元次官「これしか方法無い」妻に手紙 長男殺害 起訴内容認める | NHKニュース

検察は「長男は以前から人づきあいが苦手で家庭内で暴力を振るっていて、被告は事件の前のことし5月にも暴力を受け、インターネットで『殺人』や『執行猶予』といったことばを検索するなど、長男の殺害を考えながら生活していた。具体的な殺害の状況は被告の供述があいまいなためはっきりしないが、台所にあった包丁で首や胸を何度も突き刺した」と述べました。

一方、被告の弁護士は「被告は長男を必死に支えていたが、事件の前から家庭内暴力でひどいけがを負い、恐怖を感じて生活していた。事件当日も『殺すぞ』と言っているのを聞いて殺されると思い、とっさに刺してしまった。被告が事件を起こさざるをえないほど殺されると思ったのはなぜなのかに着目して審理してほしい」と述べました。
元次官「これしか方法無い」妻に手紙 長男殺害 起訴内容認める | NHKニュース

検察は証拠についての説明の中で、熊澤被告が妻に宛てた手紙が寝室から見つかったとして、内容を示しました。

それによりますと、手紙には「これまで尽くしてくれてありがとう。感謝しています。これしかほかに方法は無いと思います。どこかで死ぬ場所を探します。どこかで散骨してください。英一郎も散骨してください」などと書かれていたということです。
元次官「これしか方法無い」妻に手紙 長男殺害 起訴内容認める | NHKニュース

同居する23歳無職の男を殺人未遂容疑で逮捕 名古屋市港区で3人刺され1人死亡

24日夜に名古屋市港区の住宅で3人が刺され、このうち1人が死亡した事件で、3人と同居する23歳の無職の男が逮捕されました。

殺人未遂の疑いで逮捕されたのは港区西福田の無職遠藤純容疑者(23)です。

警察によりますと遠藤容疑者は24日午後10時ごろ、自宅で同居する妹(19)の背中や肩などを包丁で刺し殺害しようとした疑いがもたれています。

調べに対し容疑を認めています。

妹は意識不明の重体で、このほかにも遠藤容疑者の祖母の好美さん(77)が死亡し父親(52)が意識不明の重体となっています。

3人にはいずれも刃物による傷があり、警察は遠藤容疑者が好美さんと父親も刺したとみて、詳しい状況を調べています。
同居する23歳無職の男を殺人未遂容疑で逮捕 名古屋市港区で3人刺され1人死亡(メ〜テレ(名古屋テレビ)) – Yahoo!ニュース

「(好美さんから)ずっと家の中に、引きこもりという感じとは聞いてましたけど。家にいて全然外に出ないということは聞いてました。親御さんみえるもんだから、おばあちゃん(好美さん)としてはそう口出せれないから、見守るよりしょうがないですよねって言ってた。人並みに立派に働いたりして、人並みのことをしてほしいとは言ってみえたけど」
逮捕の23歳長男は『引きこもり』状態…家族3人を包丁で刺し祖母が死亡 重体の父親も“周囲に相談”(東海テレビ) – Yahoo!ニュース

2、3年前に仕事を始めたものの、すぐにまた引きこもり状態に…。父親の栄二さんも周囲に相談していたといいます。
逮捕の23歳長男は『引きこもり』状態…家族3人を包丁で刺し祖母が死亡 重体の父親も“周囲に相談”(東海テレビ) – Yahoo!ニュース

「川崎の事件浮かんだ」元次官供述… 長男暴力に“危機感”

東京・練馬区で、農林水産省元事務次官の父親に包丁で刺された44歳の長男が死亡した事件で、父親は、「川崎の事件が頭に浮かび、第3者に危害が及ぶかもしれない」との趣旨の供述をしていることが新たにわかった。

3日朝に送検された農水省元事務次官の熊沢英昭容疑者(76)は1日、練馬区早宮の自宅で、長男の英一郎さん(44)の胸などを包丁で十数カ所を刺して現行犯逮捕され、英一郎さんは死亡した。
「川崎の事件浮かんだ」元次官供述… 長男暴力に“危機感”(フジテレビ系(FNN)) – Yahoo!ニュース

熊沢容疑者は、容疑を認めていて、犯行の動機について、「川崎市で小学校児童など20人が死傷した事件が頭に浮かび、第3者に危害が及ぶかもしれない」との趣旨の供述をしていることが新たにわかった。

熊沢容疑者は事件の当日、長男が「近くの小学校の運動会の音がうるさい」と言い出したことで、口論となっていた。

また、「家庭内暴力があり、身の危険を感じた」と話していて、長男が中学2年のころから家庭内暴力があったとみられることから、警視庁は、家庭内暴力に耐えかねた可能性もあるとみて調べている。
「川崎の事件浮かんだ」元次官供述… 長男暴力に“危機感”(フジテレビ系(FNN)) – Yahoo!ニュース

「私が生きているうち、何とか息子を社会につなげないと…」

家族に知られないようにと取材場所に指定された福岡市中心部のビルの一室で、白髪交じりの女性(79)はため息をついた。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

女性は自宅で、50歳近くになった息子と暮らしている。息子は定職に就いておらず、生活の頼りは両親の年金だ。

息子は幼少時から引っ込み思案で、人付き合いが苦手だった。学校で孤立し、いじめられることもあった。高校で不登校になり、受験に失敗してからは家族との会話も減った。浪人して私立大に進学した後も、サークル活動やアルバイトはせず、キャンパスと自宅を往復するばかりだった。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

卒業当時は、平成初期のバブル崩壊を機に始まった就職氷河期の真っただ中。息子は気後れして、企業の説明会に行くこともできなかった。

弟が先に就職した春。家族が喜んでいると、家中に「ガー」とうめき声が響いた。2階の部屋で布団にうずくまり、震える息子が叫んでいた。父や他の兄弟は有名国立大出身で、プレッシャーや負い目があったのかもしれない。「気持ちを分かってあげられず、ごめんね」。女性は息子に寄り添い、涙ながらに謝った。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

それから20年ほどの間、息子は仕事に就かず「ひきこもり」となった。知人のつてで携わった事務の仕事は、人間関係をこじらせて1年余りで辞めた。近所に買い物で外出しても、家族以外との交流はほとんどない。
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「兄弟には迷惑をかけられない。息子が1人で生きられるようにするのが、親の最後の責任です」。女性は支援団体に通い、相談を続けている。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース


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・ハードルは高い中高年の社会復帰

中高年となると、ハードルは高くなる。「働いていなかった人が50代から急に職に就いても、続けるのは難しい」と村上さん。ひきこもり期間が長期化するほど、社会に出る恐怖心は強くなる。社会復帰には、ひきこもった歳月の倍以上の期間をかけ、ボランティア活動から仕事経験へと段階的に支援していくことが不可欠という。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

サポートする親も高齢化する。最近は、継続的に相談に訪れていた親自身が介護の必要な体調になり、解決しないまま退会したケースもある。村上さんは「いずれ、90歳の親が60歳の子を養う『9060』も現実になる」と話す。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

・ひきこもりの子を隠そうとする親

バブル崩壊を経て「失われた20年」と呼ばれる経済低迷が続いた平成の時代。日本社会がなお経済成長を追い求める陰で、ひきこもりという問題は令和へと持ち越されようとしている。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

世間体を気にし、ひきこもりの子を隠そうとする親もおり、実態は見えない。「自治体の調査を踏まえると、実際には200万人を超えている可能性もある」。精神科医の斎藤環さんはそう指摘し、行政の支援充実を訴えている。

「昭和から引きずる価値観を問い直す時期に来ている」。そう指摘するのは、福岡県立大の四戸智昭准教授(嗜癖(しへき)行動学)。「学歴や年収を重視する世間のレールに乗れず、企業の就労に合わない人がひきこもりになる。現実には終身雇用は既に崩れ、働き方、生き方も多様化しつつある。強引に社会に引き戻すのではなく、地域貢献活動など、ひきこもりの人の居場所を見つける必要があるのでは」と話した。
「私が生きているうちに…」ひきこもりの中年息子、惑う79歳母(西日本新聞) – Yahoo!ニュース


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・札幌で親子が衰弱死

2019年1月、札幌市中央区のアパートで82歳の母親と52歳の娘がともに遺体で見つかりました。死因はいずれも栄養失調による衰弱死でした。近所の人の話では、娘は10年以上ひきこもり、近所付きあいはほとんどなく、高齢の母親が娘の生活を支えていたということです。
8050問題 孤立する親子|ひきこもりクライシス“100万人”のサバイバル|NHK NEWS WEB

近所の男性は「娘は家からほとんど出ず、年2、3回しか会わなかった。母親も助けを求めたりしなかった。近所づきあいは少なかったかもしれない」と話しています。

遺体の状態から母親が先に死亡し、娘はしばらくたってから亡くなっていました。娘は母親の遺体のそばで生活していたのです。遺体が見つかる10日ほど前、アパート近くで1人うずくまる娘の姿が目撃されていました。近所の人が声をかけましたが、娘は「大丈夫」とだけ答え、1人家の中に入っていったといいます。
8050問題 孤立する親子|ひきこもりクライシス“100万人”のサバイバル|NHK NEWS WEB


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・4分3が男性…理由最多は「退職」

2019年内閣府が3月29日、初めて発表した驚きの調査結果…。
それは、中高年の引きこもり数が61万3000人という数字。

町の人からは「えっ!そんなにいるの?」「ちょっと多すぎますよね。40代50代ですよね」などの声が。

満40歳~満64歳を対象にした引きこもり調査。今回の調査では「自室からほとんど出ない」など4つの問いを設定。そのうちいずれかに該当し、かつ6カ月以上その状態が続いているケースを広い意味での引きこもりと定義した。
中高年の引きこもり“61万人超”…なぜ4分の3が男性?「学歴や職歴が厳しい」から!? – FNN.jpプライムオンライン

男女比だと、その4分3は男性。理由は「人間関係がうまくいかなかった」「病気」などに加えて最も多かったのが「退職」だった。
中高年の引きこもり“61万人超”…なぜ4分の3が男性?「学歴や職歴が厳しい」から!? – FNN.jpプライムオンライン

「(夫も)どちらかというと家にいるのが好きなので予備軍かもしれない」「退職後とか、私たちの年代はそろそろ見えてくるところがあるから、どうなるかなという不安はある」などと不安を口にする町の人も…。

また就職氷河期を経験した40歳~44歳の3人に1人が「20歳~24歳」で引きこもり状態に。そのため就職活動の失敗も原因の一つである可能性が浮き彫りになった。
中高年の引きこもり“61万人超”…なぜ4分の3が男性?「学歴や職歴が厳しい」から!? – FNN.jpプライムオンライン


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・100万人の中心層は就職氷河期世代

中高年当事者の4分の1を占める一大勢力が、40~44歳の「ポスト団塊ジュニア」だ。彼らは「就職氷河期」の2000年前後に大学を卒業し、就活の失敗などを機にひきこもり状態となった人が多い。

だが、自治体のひきこもり支援策の対象者は、多くが「39歳未満」。40代の当事者が支援を受けられないままに年を重ねれば、親が死去したり要介護状態になったりした時、共倒れしてしまいかねない。
ひきこもる就職氷河期世代。ひきこもり100万人時代、中心は40代。家族が苦悩する「お金問題」 | BUSINESS INSIDER JAPAN

ひきこもり問題に詳しい境泉洋宮崎大准教授は「ひきこもりの中心層は就職氷河期世代。彼らは10年後に50代となり、80代の親を抱えることになる」と指摘する。

すでに今も50代のひきこもり当事者と、80代の親の苦境が「8050問題」として社会的に注目されるようになっている。子どもが親の年金や収入に頼って暮らしていると、親が死亡したとたんに、家計が行き詰まるためだ。
ひきこもる就職氷河期世代。ひきこもり100万人時代、中心は40代。家族が苦悩する「お金問題」 | BUSINESS INSIDER JAPAN


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30年引きこもる60の兄

都内に住むエディトリアルデザイナー、間野成さん(51)には、故郷の新潟県長岡市に88歳の母親と、30年以上ひきこもっている兄(60)がいる。兄は20代の終わりに地元の工場を退職してから職が見つからず、自室にこもった。

間野さんは長いあいだ、兄を重荷に感じていたが、2017年に父親の死をきっかけに、約30年ぶりに会話ができるようになった。「兄のひきこもりの原因」だと思い込んでいた父親と、死の直前に和解したことも転機となり、兄を受け入れられるようになったという。
ひきこもる就職氷河期世代。ひきこもり100万人時代、中心は40代。家族が苦悩する「お金問題」 | BUSINESS INSIDER JAPAN

ただ最近は母親の衰えが進み、身の回りのことができなくなりつつある。1日前に電話で話した内容も覚えていないなど、物忘れも激しくなった。今はデイサービスを週1回利用しているが、ホームヘルパーも使わざるを得なくなり、介護費用もかさみそうだ。

生活は教員だった父親の遺族年金で賄われているため、母親が死去したら年金支給も止まる。間野さんは、兄に障害年金を受給させるための手続きを始めた。
ひきこもる就職氷河期世代。ひきこもり100万人時代、中心は40代。家族が苦悩する「お金問題」 | BUSINESS INSIDER JAPAN

「社会復帰の望みを完全にあきらめてしまうのか、という思いから申請をためらっていましたが、今後を見据えて手続きだけはしておこうと考えました」

継続的にサポートを受けているひきこもり相談所の料金も、1時間半ごとに9800円かかる。間野さんは「8050問題とは、突き詰めればお金の問題とも言えます」としみじみと話した。兄は簡単な炊事はするものの、ケアマネージャーとのやり取りや介護に関する判断ができる状態ではない。間野さんが忙しい仕事の合間を縫い、帰省しながらこなしている。
ひきこもる就職氷河期世代。ひきこもり100万人時代、中心は40代。家族が苦悩する「お金問題」 | BUSINESS INSIDER JAPAN

・「孤独死」は自分と家族の未来か?40代、引きこもり男性の葛藤

「孤立死は、他人事とは思えない」

こう明かすのは、ある地方都市の実家で、両親と3人暮らしをしている40歳代のAさん。

一時、豊かな山の自然を切り開いて、宅地開発が進められたこの地域でも、いまは所々に空き家や空き地が広がる。駅前の商店街も歯が抜けたようにシャッター通りと化していて、かつての活気は見られない。
「孤独死」を他人事とは思えない!引きこもる家族が直面する壮絶な生活苦 | うつ、ストレス、不眠 | 健康 | ダイヤモンド・オンライン

Aさんは大学を卒業後、都会で会社員生活を送っていた。ところが、遊んでいるわけでもないのに、勤務中にウトウトと眠くなる日々が続き、ついに体調を崩して退職。バブル崩壊後の雇用環境の悪化によって、その後の再就職もうまく行かず、やがてこの故郷の実家に戻った。

気づいてみたら、社会とのつながりもすべて喪失。以来、近隣の目が気になるようになり、10数年にわたって、引きこもり状態に陥っていた。

地方の町には、なかなか仕事がない。
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この2ヵ月の間にも、Aさんはアルバイトの求人に3件応募した。

その中に、観光施設で飼育する動物の世話や清掃などを行うアルバイトがあった。

元々、動物の好きな優しいAさん。実家でもずっと動物を飼ってきて、いまも猫と一緒に暮らしている。
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「年齢制限もなかったし。僕にとって、いちばんできそうな仕事だと思っていたんですけど…」

しかし、面接に行く前の書類選考で落とされた。

「これでダメだったら、もうキツイのかなって…」

他の2件については、不採用の返事すら来なかった。

「このままでは、家族と共倒れになる。そうなると、テレビでよくやっている“孤立死”が、現実に僕の家族の未来の姿に重なって見えてきて、何とかしなきゃいけないって、ますますあせるんです」
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一家の収入は母の年金8万のみ

家庭の収入は現在、唯一、母親の年金のみで、月に8万円ほどだ。

しかし、母親は、3枚のクレジットカードからのキャッシングの返済のため、ここ何日も、次のカードの支払いに追われている状態。支払日に払えなければ、どんどん利子が増えるだけでなく、カード会社の信用情報も悪くなる。
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Aさんの母親は、こう説明する。

「2年くらい前までは、キャッシングの限度額が3枚とも数十万円ずつありました。枠いっぱいに借りれば、3枚で百数十万円借りられたのです。ところが、貸金法の改正によって、融資の限度額が年間収入の3分の1までに制限がついたんです」

父親はすでに、カードで事故を起こし、借りられない状態にあった。

大手企業に勤めていた父親は、退職金を先物取引に注ぎ込んだあげく、多大な借金を背負いこんでしまったのだという。
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Aさんの一家は、数年前まで暮らしていた自宅の土地を売却。そのときの貯金を切り崩して、生活してきた。つまり、カードでキャッシングすることもなかったのである。

ところが、生きていくために必要な生活費が二進も三進もいかなくなり始めたのは、2011年に入ってからのこと。

「カードを使い始めたときは、カード会社も把握できなかったのか、限度額を超えて借りてしまったんです。その後、限度額を超えているとのお知らせが次々に来て、一斉に融資可能額がゼロになってしまいました。いまは、3枚のリボ払い分を返済するだけで、ひいひい状態です。私は国民年金なので、年収はせいぜい90万円。そこから容赦なく健康保険や介護保険料、光熱費なども取られて…。私も、もうくたびれました」
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現在、現金は家にまったくない。食料や生活のための最低限の買い物は、カードが使える店でショッピング。綱渡りのような生活を続けている。

それでも、母親は息子をこう思いやる。

「家を出て、当面の生活ができるようになるまで、どうしたらいいのか。どなたかに現状を知ってもらわないと、不安で仕方がないんだと思います。お金を工面してくれとか、そういうことではないんです。私にも息子にも、そんな気持ちは一切ないんです。でも、どなたに相談すればいいのか…」
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「うちが経済的に破たんしてしまったのは、僕と父親のせいなんです」
と、Aさんはいう。

「母は一生懸命、生活費をやりくりして、家を守ってきました。それを僕と父が食いつぶしてきてしまったんです」

Aさんが都会へ仕事を探しに行きたくても、その交通費さえままならない。

「僕が家を出るだけでも、相当な生活費が浮きます。そういうやり方しか、いまの僕にはできない。それに、僕自身、物心ついたころから、父親を『父親』だと思ったことは一度もありません。そういう意味でも、一緒に暮らしていれば、気持ちもすさんでいきます」
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家族3人は現在、古ぼけた民家を借りている。Aさんは、その家の3畳間に暮らしている。

この地域では、近所付き合いがほとんどない。隣の住宅まで適度に離れている。

「家の中にまったく逃げ場がありません。僕も、事件の被疑者になるのではと思ったことが何度もあるんです」

だから、Aさんは狭くても1人で生活できるような住居を探しているという。

「精神的にも相当参っています。でも、家の中で、そういう話をするわけにもいかない。お金がないという話をこうやって外部にお話しするのも、家族は嫌がるんです」
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2019年12月16日