〈閲覧注意〉3分で読める『短編怖い話』まとめ【2】~18選~

COHA7
3分で読める怖い話を集めました。

赤い服の人

ある時、3人で沢登りに行ったが、15メートルほどの滝が、状態が悪くどうにも直登できなかった。
やむを得ず、滝の左側の斜面を大きく回りこみ、滝の頂上に出ようとした時、先頭を行く友人(A)が突然落下した。
滝つぼには岩が突き出ており、Aはその岩に顔面をぶつけたように見えた。
苦労してよじ登った斜面を、別の友人Bとふたりで転がるように駆け下りたが、その時、俺の耳に甲高い笑い声が響いた。
そして眼前に、哄笑する男性の顔。
その顔に構わず突っ込んだ刹那、足がもつれて俺は転んでしまった。

とにかく、そんな事は気にせず起き上がり、下まで降りると、先に下りたBが、Aを滝つぼから引き摺り揚げている所だった。
Aの顔は腫れ、膨れ、鼻と目から出血していた。
鼻といっても、完全に潰れて顔の中に埋まっている。
のっぺらぼうというのは、あのような顔の事を言うのかもしれん。

麓のキャンプ場で救急車を呼び、救急隊員が滝に到着し、Aを担架に固定した。
滝までは獣道があるだけなので、救急隊員と俺とBの4人が交替で担架を持ったが、顔面からの出血がひどく、その血が流れてくるので、担架を持つ手が何度も滑り、その都度担架は大きく揺れ、Aは痛みを訴え続けた。

ようやく救急車にAを乗せ、Bは病院まで同行する事になった。
俺はもう一度滝まで引き返し、散乱している荷物を回収し、麓まで戻った。

Aの車で出かけた為、仕方なくヒッチハイクしたが、あちこちに血をつけた俺を良く乗せてくれたもんだと、妙な感心をしている。

退院後、Aは「落ちる直前に、滝の上に赤い服を着た釣り人の姿を見た」と言い、それから後の事は、良く覚えていないらしかった。
病院に担ぎ込まれた直後、「赤い服を着た人が居る」とか、その人を「滝で見た」とか、大騒ぎしたらしいが、それも本人にすればうわごとで、一切覚えていないとの事。

Aはかなりの手術の末に一命を取り止め、結婚し、子供にも恵まれた。
そして2年ほど前、仕事中の事故で高所から落下し、死亡した。

赤毛布の男

最初に書いておくが、この事件は迷宮入りであり、犯人はわかっていない。
昭和10年代、福井のある村で、ある小売商の家に夜半10時頃、訪問者があった。
本家からの使いです、といって表戸を叩くので、細君が起きて出てみると、赤毛布を頭からすっぽりかぶって、本家の提灯を持った男が軒先に立っている。
本家で急病人が出たから、呼んできてくれと頼まれたというのだ。

急いで亭主はその男とともに家を出ていった。
本家からその家までは8キロほどある。
亭主を送りだしてやった妻は心配しながらも、子供たちを再度寝かしつけて、自分もうとうととした。
しかし2、3時間後、また戸を叩く音がした。

出ていくとまた赤毛布の男である。
彼は「病人はとても朝までもたなそうだから、女房も呼んでくれと言われ、迎えに来た」と言った。
細君はすわ大変とばかりに、子供と親しい近隣の家にあずけて男とまた一緒に出ていった。
すると1,2時間たって、今度は子供を頼んだ隣家の戸を叩く者がいる。
また赤毛布の男で、顔は見えない。

「両親が、子供も連れてきてくれというので迎えに来た」と男は言った。
しかしその家の細君は、こんな夜中に子供に風邪をひかせては大変だし、もうぐっすり眠っているから明日にしておくれ、と言った。
男は再度頼んだが、彼女は頑として応じなかったので、赤毛布の男は不承不承、帰っていった。

ところが数日後、この小売商の夫婦は惨殺されて河に投げこまれているのが発見されたのである。
犯人があの赤毛布であることは明らかである。
が、物取りにしてはひとりひとり誘い出すなど、念が入りすぎている。
また子供まで誘い出して殺そうとしたことなどから考えるに、怨恨としても相当根の深いものだ。

本家の提灯を持っていた、ということからしてすぐに犯人は割れるものと思われたが、結局何ヶ月たっても犯人の見当はつかず、迷宮入りになってしまった。

しかし男が終始顔を見せなかったこと、子供だましの嘘でふらふらと夫婦ともども出ていってしまったこと、子供だけは、まるで隣家の細君が護符でもあったかのように守ってみせたことなど、まことに不気味な事件と言っていいだろう。

走る男

そうタイトルだけ記された、何とも斬新? なパッケージのビデオ。
「しょうがない、どうせ百円だし暇つぶしになればそれでいいか」
Aは自宅に帰ると早速ビデオを再生した。
タイトルも出ずに、いきなりホームレスのようなボロボロの服を着た痩せ型の男が走っている映像が映し出された。
「? 手に何か持っている…鋸だ。何で鋸なんか持っているんだ?」
それにしてもこの男、こんな全力疾走しているのにバテるどころか汗一つかかず、スピードを落とす気配さえ一向に見せない。
「ん…? そう言えばさっきからこの男、見たことあるような道を走ってないか?」
Aは段々と胸騒ぎがし始めた。…嫌な予感がする。
「あれ? この道は…? この角を曲がったら…?」
次のカットで胸騒ぎは確信になった。
ああ、ヤッパリだ。この男は家に向かってきている。
しかし、気付いたときには男は家のすぐ前まで着いていた。
いつの間にか、カメラは男の視点になっていた。
画面は古いアパートのAが住んでいる二階部分を映している。
急いでベランダから外を覗くと…いる。あの男が。
男は迷わずベランダの柱を鋸で切り始めた。
訳の分からないAはとりあえず、
「おい! なにすんだよ! やめろよ!」
と男に怒鳴った。
すると男はAを見上げた。Aは思わず息をのんだ。
画面からは確認できなかったが、男は両目がロンパッてカメレオンのようだ
そしてボロボロの歯をむき出しにしてニヤッと笑い、走って視界から消えたかと思うと、階段を駆け上がる音が聞こえる。
「ヤバい! ここに来る!」
鍵を閉めようと玄関に急ぐが、男はもうそこに立っていた。
居間まで追いつめ、鋸を振りかざす男。Aはとっさにリモコンで停止ボタンを押した。
その瞬間、男は居なくなっていた。鋸もない。
Aはすぐにビデオからテープを引っ張り出してゴミ箱に捨てた。
Aの部屋のベランダの柱には、深々と鋸の痕が残っていた。

ガリガリに痩せた子供

漏れにはちょっと変な趣味があった。
その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。
遠くに見えるおおきな給水タンクとか、酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。

漏れの家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ漏れの家の方に向って下ってくる。
だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。
その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。
「なんだ?」と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。
奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、漏れと目も合いっぱなし。
ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。

ドアを閉めて、鍵をかけて「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」って怯えていたら、ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかに漏れを探してる。
「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」って心の中でつぶやきながら、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。
しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。
もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。
「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」って感じで、奴のうめき声も聴こえる。
心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。
さらにガクガク震えながら息を潜めていると、数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。
日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。
あいつはいったい何者だったんだ。

私の手紙

昨年の5月頃、会社の先輩が実際に体験した話。

先輩は当時、アパートの一階に住んでいた。その日も仕事を終え、疲れながら夜9時頃に就寝した。
すると午前0時くらいに『ピンポーーン』と部屋のチャイムが鳴った。
「うるせーなこんな時間に…無視無視」と寝ぼけながらに無視する事に決めたらしい。
その後間もなく『タッタッタッタ…』と廊下を走るような音が聞こえた。
玄関の鍵は閉めているはず「これはまずい!」と思い、ガバッと意識を覚醒させた。
ベッドから数メートル横にソファーがあるのだが、気配を感じた先輩が薄く目を開け横目で見ると、ソファーの上に小さな女の子が立っていた。
関わってはまずいと感じた先輩は、目を閉じ気が付かないフリをした。すると

「わたしの手紙、読んでくれた?」

と声が聞こえた。
(何を言っているんだこいつは…!そんなもん知らねーよ!)と先輩はもちろん手紙など知るはずもなく、恐怖に震え、目を固くつむる。

「手紙読んでくれた?」

声が徐々に近づいてくる。それでも先輩は頑なに無視を続けた。

「ねえ手紙読んでくれた?」

「ねえええ私の手紙読んでくれたあ!?」

全く反応を示さない先輩に憤慨したのか、女の子は叫びながら近づいてくる。
胸の辺りに嫌な重みを感じた先輩が薄めを開けると、黒い煙のようなモヤがあり、少しずつ大きくなっていく。
すると突然「ガッ!」と自分の両手がクロスする形で自分の肩をつかみ、金縛りになり動けなくなった。
「私の手紙読んでくれたああああああ!?」という声が鳴り響き、金縛りで動けない中、先輩は耐え続けた。

どれくらい時間が経ったのか、いつの間にか金縛りはとけ、女の子はいなくなっていた。
時計を見ると午前4時。どうやら4時間も格闘していたらしい。

この話にオチはないのだが、どうやら先輩のアパートのすく隣が墓だったらしい。
今現在、先輩は転職し、このアパートから離れて住んでいる。

案山子の神様

田舎住まいなので、通学するときにはいつも田んぼの脇道を通っていた。
その日も家に帰る為、いつものように田んぼの脇道を、カエルの鳴声を聞きながら歩いていた。
すると田んぼの中に、ピンク色の割烹着のような服を着た人が立っているのに気が付く。
「ああ、田植えか何かしているんだな」
そう思って良く見てみると、何か動きがおかしい。
片足で腰をクネクネさせながら、
白いビニールの紐のようなものを、新体操をしているかのように、体の回りでグルグルさせている。
何と言うか、フラフープをしているような、そんな動き。
変な汗が、俺の体中からフツフツと湧き出てきた。
しかもソレは片足でケンケンしながら、少しずつコチラに近付いて来ている。

ゲコゲコと蛙の鳴声が響く夕焼けの田んぼの中で、俺は何故か動けずにソレを見ていた。
腰をクネクネさせて、ピョコピョコとコチラにやって来るソレに、顔は無かった。と言うか見えなかった。
写真でブレた時みたいな、激しく顔を振っている。そんな感じ。
体は普通に見えるのに、まるで顔の部分だけぼやけていると言うか・・・。
俺は目がかすれたのかな?と思い、何度も目を擦ってみたが、ソレの顔は相変わらず見えない。
しかも、もう目の前まで来ている。
「ああ、こらもう俺の人生終わったな」
そう思ったと同時に、涙が物凄い勢いで流れた。目が痛くて開けていられない程に・・・

俺はその痛みと恐怖で気絶してしまったらしく、次に目を開けた時には自宅の布団の中でした。

そこには俺を囲むように、親父と祖父、祖母と近所の坊さんが居て、なにやら念仏のようなものを、声を揃えて唱えている。
なんだかその状況が可笑しくて、「ブフッ!」と吹き出すと、祖母がグッっと俺の体を押さえ付けて、「ジッとしてろ!」と低い声で言った。

結局それは、俺が目覚めてから1時間程続いたのかな。
その後、祖母に聞いた話しでは、俺が出会ったアレは『案山子の神様』とかなんだけど、その案山子は寂しかったのか何か知らないが、俺を自分の仲間にしようとしたらしい。
「連れてかれたら、一生泥の中で暮さなきゃいけねえんだぞ」
と、祖母は最後に言いました。
おかげで今でも、田んぼに案山子がポツンと立っていると、恐くてしょうがないです。

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親父に電話で色々聞いてみました。

気絶した俺を見つけたのは近所の人だった。
田んぼの脇道に人(俺)が倒れていたので、「まさか・・」と近付くと、涙を流したまま倒れている俺。
その目の前に、俺を見下ろすような形で立っている案山子。
「やっぱり」と思い、俺の祖父や坊さんに知らせたそうです。

昔も似たような事件が、何回かあったみたいです。
殆どの人は助かっているそうです。
しかし、発見された時に、目の前の案山子を見つめたままケラケラと笑い続け、案山子の側を離れようとしない者も、何人かいたそうです。

さらに嫌な話も聞いてしまいました。
なんでも、昔昔の食糧難の時に、その村にいる役立たずの人を、食いぶちを減らす為に殺してしまうそうです。
しかし、ただ殺すだけではと、田んぼを荒らす獣除けに、逃げられないように足を片方切断して、白装束を着せ、田んぼに立て掛けた十字型の木に縛り付けてしまう。
片足両手等を縛られて、殆ど身動き出来ないその人は、そこから抜け出そうと体をくねくねさせる。
それを遠くで見る村人は、「あれならあと2、3日は余裕で持つな」と話すそうです。
縛られた人は、大体餓死か日射病?で死ぬが、中には熊や野犬などに食われてしまう人もいるそうです。
(獣除けになっていない・・・)

まあ、そんな非道な事をやってれば、祟りや何だで、その村に色々起ったので、(ここら辺の事は、親父も祖父に教えてもらえなかったみたいです)生きたまま案山子にされた人を、『神様』と祭り上げた。

まあ、俺の親父も死んだ祖父も無類の酒好きなので、何所まで本当か何所までが嘘かわからんです。

豹変した会社の女の子

15年前に会社の女の子を夜中に送った時の出来事です。
昔のことですから記憶が曖昧な部分があると思いますがご容赦下さい。

確か、忘年会の時だったと思います。
私は会社から社用車を借りていたので、よく飲んだ時は酔いを醒ましてから車で自宅まで帰っていました。

経理部に属していたその子はずいぶんと酔っていたみたいで、私が介抱する役目を上司から言われて、仕方なしにその子を車まで連れて行き、私の酔いざましも含めて小一時間くらい休んでいました。

目を覚ますと12時を過ぎていて、相手の子を起こしましたが電車がないのでそのまま送っていくことにしました。
確か、その子は会社から相当離れた地域から通っていたので自分が帰宅できるのは明け方くらいかなぁと思いました。

その子はT市に住んでいましたが、眠いだろうから近くまできたら起こしてナビをしてもらおうと
ひたすら運転してT市郊外まできたところで彼女を起こしました。

ナビをしてくれている彼女の様子がおかしいと気付き始めた矢先に、道は林道から森の道へと変わっていきました。
明らかにこんな先には民家さえないだろうと思われる場所を走っていたように思います。

彼女は淡々と「次は右へ」「十字路を左へ」とナビしていきました。
声が上ずっていて、ゆっくりと話す感じです。
私は気分でも悪いのかと思い、
「少し休もうか?」
と言いましたが、彼女は大丈夫と言い、ナビを続けました。

彼女が小声で呟くように
「・・・許せない・・・許さない・・・」
と言っていたのを聞き取りました。
私は
「え?なんか言った?」
と彼女に問うと
「許さないんだよっ!!」
と大声でそれも男性の声に近い声で叫んだのです。
その瞬間、車がガクン!と揺らいだので、私はブレーキを思いっきり踏み込みました。
2~3度、車体が揺らいで車が止まった時、ヘッドライトの先には2~30メートルで道路がなくなって“工事中”の看板が立っている情景でした。

私は彼女に怒鳴りつけるようにいいました。
「全然違うじゃねえかよっ!殺す気かっ!」
と言うと、彼女はドス黒い目付きで前方を見たまま、瞬きもせず、小声で一言
「・・・・ちきしょう・・・・」
と言いました。

私は彼女の胸倉を掴んで、
「何が“ちきしょう”だ!!!」
と怒号しながら吠えました。
彼女の頭部がガクン!と揺らいだのですが、ハッと正気に返ったようで、泣きながら私に言ったのです。

「どこ走ってるんですかぁ、私の家と逆方向じゃあないですかぁ~」
わんわん泣きながら訴えていましたが、事の起こりを詳しく説明すると彼女はT市郊外に入った途端に、急な睡魔に襲われたそうです。
そして私がこう言ったそうです。
「家に着いたら起こしてあげる」
と奇妙な笑顔で言ったそうなのですが、彼女の意識がなくなる寸前に街頭の明りに照らされた私の横顔を見た彼女は、明らかに私の顔ではなく知らない男の横顔だったそうです。

P.S.
あのあと、彼女の自宅に無事に送り届けたのは良かったのですが、彼女のご両親からとんでもないお礼(?)を言われてしまいまして、確かに自分も彼女もあのまま進んでいたらこの世にはいなかった訳ですが、そのあと「命の恩人」と彼女から思われてしまい、付き合い始めたのですが、まぁ、可愛かったのでいいでしょうと思っています。
現在、彼女は私の嫁さんとして活躍中です。

ここまで書くつもりなかったのですが、最後、つまらないこと書いて済みませんでした。
長々、読んで頂いてありがとうございます。

ペン

俺は留学生で大学のイベントでインターナショナルな怪談話大会 というのがあった。
雰囲気だけは盛り上げるんだけど、感覚が違うので、欧米の話は恐くなかったな。
ただ、その中で韓国人のした話は、日本と感覚が近かったのでいけるかも。
でもほとんど忘れたのでかなり脚色して紹介してみる。

主人公は高校3年の女子生徒。
定期テスト直前だった彼女は、深夜まで自室で勉強をしていた。
学習机に向かって必死に問題を解いている。
—瞬間的に集中力が途切れた彼女。持っていたペンを指でいじくる。
ふと、そのペンを自分の背後に投げてみたい衝動にかられた。
本当に、なんとなく。特別な意味はなかった。
そして、机に座ったまま、背後にペンを投げる。

・・・床に落ちたはずのペンだったが、何の音もしなかった。

彼女の部屋はフローリング。ペンが落ちれば当然、音がする。
ぞっとした彼女が、背後を振り向くと、ペンは偶然クッションの上に落ちていた。
「そんなわけないわよね」一人つぶやき、安堵する彼女。

翌日、学校で・・・
「実はね、深夜の2時頃、背後にペンを投げて、ペンが床に落ちる音がしないと、原因不明の理由で死んじゃうって話、聞いたことある?
・・・実はね、私、昨日その通りに夜中の2時に、背後を振り向かずにペンを投げてみたの・・・」
その話を聞いていた友達は、ごくりと唾を飲みこんだ。
「・・・そしたら、ペンの落ちる音がしなかったの!!」
彼女が大きな声で盛り上げると、友達は悲鳴交じりで、驚きに近い反応を示した。
それを見た彼女は、
「実際は、クッションの上にペンが落ちただけだったの。ははは」
このように、休み時間を利用して友達に昨夜の出来事を、多少脚色して笑い話に変えて話したのだった。

その夜。
昨日と同様に、深夜までテスト勉強を頑張る彼女。
勉強も一段落して、何となしに机の上の置時計を見ると、2時を5分ほど回っていた。
2時という時計の針に、友達が自分の話で恐がっていたことを思い出させられ、再び右手に握られていたペンを見つめた。
そして、背後に投げてみた。

・・・やはり、音はしなかった。

おかしい。実は彼女は確認していた。
前日のクッションは、すでにベッドの上に移動させていたのだ。
思いつく限りで、彼女の背後にペンの音を吸収するようなものはない。
投げた感覚でペンの落ちる位置は予想できる。そこには何もないのは確かなのである。
彼女の前身に鳥肌が立った。悪寒が鋭く身体中を走る。
彼女は、一瞬の迷いの後、ゆっくりと背後を振り返った・・・

そこには友人が立っていた。

「・・・あなたの話の通りにやってみたの」

冷たく、低い声で、ささやくようにそう言った友達の右手には、しっかりと彼女のペンが握られていた。

帰らないで

インターネット怪談コンテスト 電脳百物語ふたたび
秋が近くなると、私はいつもあるいやな出来事を思い出します。
当時、私は中学3年生、その頃、学校ではこっくりさんが流行っていました。
興味を持った私達は、仲のよかった4人でM子の家に集まり、こっくりさんをする計画を立てました。
深夜12時ちょうど。
4本のろうそくのゆらめく明かりの中で、こっくりさんが始まりました。
「こっくりさん・・・あなたは、いくつですか?」
「…10サイ・・・デス」
「この辺に住んでいたのですか?」
「ハイ・・・。ナマエハ・・・アヤカデス。」
遊びではない異様な空気。余りの恐怖に3人から悲鳴が上がります。
私は
「手を絶対離さないで。すぐ帰ってもらうからこのままジッとして」
と皆に言い聞かせました。
「アヤカさん。ごめんなさい。私たちはもう寝るので帰って下さい」
しかし、4人の指は何かに取り憑かれたように文字盤の上をすべり続けます。
「ワタシハ5ネンマエ、クルマニ ヒカレマシタ。イキテイレバ ミンナトオナジ チュウガクノ
3ネンデス・・ミンナイッショニ イテクダサイ」
「解りました。本当にごめんなさい。もうお帰りください。」
「イヤデス。ワタシハ10ガツ10カ、クルマ二ヒカレマシタ。オトモダチヲ ヒトリ ツレテイッテイイデスカ?・・・ソレナラカエリマス。」
ついにこらえ切れず、友達は悲鳴をあげて指を離してしまいました。
「誰も連れて行く事はできません! ごめんなさい。さようなら!」
私はまだ滑り続ける嫌な指先の感触に耐え切れず、半ば強引に10円玉を真中に戻し、こっくりさんを終らせました。
その途端、・・・カタン・・・と  机の1本のろうそくが倒れました。
その後、私達4人の間でこっくりさんの話はタブーとなりました。
4人は別々の高校へ行き、暫くバラバラになっていました。
ある、秋のお祭りの日。かつての友達から誘いがありました。
ですが、私はなぜか気乗りがせず、その誘いを断り家で過ごしていました。
すると突然、友人のY子から電話がありました。
「M子が・・・たった今、酔っ払いの車にはねられて・・・死んじゃった!」
翌朝の新聞の右下、小さな記事として16歳のM子の死を告げる記事がありました。
その祭りのあった日こそ、あのアヤカと言うこっくりさんが告げた
10月10日だったのです・・・。

オオオカタダタカ

あなたはおかしなメールが届いているのに気付いた。
それは、こんな文章で始まっていた。

「突然のメールさぞかし驚かれたことと思います。
単刀直入に申し上げますが、やはり私はあなたとはおつきあい出来ません。
いえ、むしろおつきあいしたいくらいなのですが、私とあなたとでは歳が22も離れており、あなたの親御さんがまず反対すると思われます」

全く心当たりがない内容。
間違いメールと判断したが、少し面白く思って読んでみた。
どうやら差出人の男性に、22歳も年下の女性が片思いをしており、「私もあなたの気持ちには以前から気がついていました」が、「年齢差はもちろんですが、私は現在無職」で、「交際するべきではないと結論を出し」たらしい。

本当ならおっさん凄いな、でもおっさんの勘違いだったら間抜けなメールを、それも間違って他人に出しちゃったってことだな・・・と思ってあなたは送信者の欄を見た。
なぜかあなたのアドレスだった。
首を傾げる。
しかし特に気にはならない。
そのまま放置した。

次の日。郵便受けにDMが入っていた。
見ると住所は確かにあなたのうち宛だが、宛名が『オオオカ タダタカ』になっている。
あなたの名前ではない。

このアパートに引っ越して半年経つ。
今頃前の住人宛に手紙が届くのもおかしい。
が、きっと前の住人宛だろうと思い込み、2階に住んでいる大家に手渡す。
大家は、
「あら、確か前の人は伊藤さんだったはず・・・でも何人も代わってるし、大岡さんて方もいたような・・・
とりあえず、私が郵便局に渡しときますね」
と受け取った。
あなたは4階の自分の部屋に戻り、コートを脱ぎながら考えた。
オオオカ タダタカ。
漢字で見たらなんとも思わなかったかもしれないが、カタカナだと奇妙な名前だ。

そんなことも忘れた一週間後の夕方。
あなたはアパートに帰って来たが、ふと違和感を感じて玄関に入る前に、4階の自分の部屋の窓を見上げた。
誰かが立っていた。
カーテンを開け放した窓際に、誰かが立って、放心したように遠くを眺めている。
部屋の中が薄暗くてよく見えないが、中年の男のようだ。
緑色のコートを着ている。

あなたは凍り付いて、その場で携帯から110番する。
5分ほどで警察が来てくれたが、その頃には男の影は消えていた。
警察2人とあなたは一緒に、アパートのあなたの部屋に入った。
隈なく調べるが、どこにも男はいない。
鍵も全てかかっている。
またなにかあれば連絡下さい、と警察は去っていったが、「気のせいでしょ」と言いたげな態度だった。

あなたはすぐに大家の部屋をノックする。
大家に、
「前の住人がまだ鍵持ってて、今日勝手に入ったんじゃないんですか」
と怒りながら尋ねるが、大家は戸惑った表情で、
「いえ、鍵はつけかえてますし、そんなはずは・・・・」
と言葉を濁すので、あなたは大家が鍵の付け替えを怠ったのを誤魔化してると思い、憤りながら自分の部屋に戻るとチェーンをかけた。

そして洗面所へ行った時、気付いた。
昨日の夜から使っていない、バスマットとバスタオルがずぶ濡れだった。
あなたは鞄を持って、そのまま部屋を飛び出した。

友達の家に泊まったあなたは、明るいうちにアパートに戻る。
気味が悪いので引っ越したいが、とりあえず引っ越し先を探し、荷物もまとめなくてはいけない。
郵便受を見ると、またDMが入っている。
オオオカ タダタカ宛。
「・・・・・・・・・」
そのDMを持ったまま、部屋に戻る。
ざっと中を見回す。
クローゼットや押入れ、トイレ、浴室を見てまわる。
誰もいない。
DMはフジコーポレーションと印字されている。あなたは開封してみた。

中に入っていたのは、8枚の写真だった。
両手のアップ。
両足のアップ。
膝のアップ。
局部のアップ。
腹のアップ。
胸のアップ。
唇のアップ。
目のアップ。
中年の男の体の一部をアップで写したものだった。
あなたはハッとして、メールのチェックをする。
新しいメールが一つ。
たった一行。
「勝手に他人宛の手紙を開けるな」

マネキン工場

幼い日、何てことなく通り過ぎた出来事。その記憶。
後になって当時の印象とはまた違う別の意味に気付き、ぞっとする。

そんなことがしばしばある。
例えば。
小学生の頃、通学に使っていた道は一面田圃の田舎道だった。
途中に寂れたマネキン工場があり、あとはそのずっと先に駄菓子屋が一軒。
人家は田圃の向こうに点在するのが見えるだけ。
マネキン工場は既に廃工場だったらしく、人が働いている姿を見た記憶が無い。

封鎖された敷地の隅にはバラバラになったマネキンの残骸が積んであり、それが金網越しに見える。
その様は面白くもあり、不気味でもあった。

工場の敷地を幅が広い側溝が取り囲んでいて、酷い悪臭を放っている。
濁り、ヘドロ状になった水。無造作に捨てられた大量のゴミ。

ある日寄り道をして、いつもは行かない工場の裏手に回ってみた。
側溝の惨い有様は道路側をはるかに上回っている。

そこで、ゴミに混じって半身を浮かせた女性のマネキンを見つけた。
白く整ったその顔立ちは掃き溜めに鶴といった風情。

引き上げて友達連中が集まる溜まり場に持って行けばヒーローになれる、とは思ったが、水が余りに汚いし場所も遠いので諦めた。

他の奴がヒーローになったら嫌なので、この発見は誰にも教えずじまい。
それからしばらくは、その人形の様子を確認しに行くのが日課となった。
けれど、哀しいことに彼女が日に日に朽ちて行くのが分かる。

数日も経つと白い肌は薄汚れて変色し、見る影も無くなって来た。
やがて、豊かな頭髪は抜け落ちてまばらに。

艶を失った肌は黒くぼこぼこ。鼠に齧られたらしき痕すら見える。
諸行無常。最早すっかり興味を失った。

最後に見た時には、水面を覆い尽くすゴミに埋もれて、透明度ゼロの汚水に大部分が沈んでしまっていた。

かろうじて水面に覗いた部分も、水を吸って醜く膨らんでいる。
それはもう、ただのゴミだった。

けっこう日が過ぎてからもう一度見に行った。
けれど、もう、彼女の姿はそこには無かった。

やがて小学校を卒業すると、その道を通ることすら無くなった。
高校3年の夏休み。気まぐれに思い出の場所を自転車で回った。

あの場所にも行った。景色は一変している。
田は潰されて住宅が立ち並び、工場跡は駐車場になっている。

マネキンのことを思いだし、感慨に耽る。
ふと気付いた。怖い考え。

プラスチックがあんな朽ち方をするだろうか?
既にグロ画像を多数目にしている自分。

そこで得た知識ゆえに嫌な考えを振り払えなくなった。
あれは人が腐敗して行く過程そのものだったのでは・・・?
本当の事はもう分からない。
ただ、懐かしい思い出だったものは、今では見知った人には話せない忌まわしい記憶になっている。

ヒサルキ

最近、保育園で保母さんをやってる友達に聞いた話。

その子が行ってる保育園ってお寺がやってるとこで、すぐ近くにお墓があったりする。
お墓に子供が入っていたずらしないように、周りに柵がしてあるんだけど、柵の杭の尖った先っちょに、虫やトカゲなんかが串刺しになってることが良くあるらしい。
園児のイタズラかもしれないけど、お寺も兼ねてる保育園だから、けっこう人の出入りは多くて、広場で小学生なんかがしょっちゅう遊んでるから、誰がやってるのかわからない。
まぁ、鳥のせいかもしれないし~って感じで、誰もたいして気にはしてなかった。

ところがある日、その柵にモグラが刺さっていた。
さすがに哺乳類はグロいんで、すぐに園長先生(=寺のお坊さん)が片づけてくれた。

で、しばらくすると、今度はネコが突き刺さってた。
これはさすがに酷かったんで、保母さんやお坊さんが集まって、誰の仕業か?どうしたらいいのか?って話をした。
でも、犯人はわからないし、再発防止の名案も出なかった。

結局、どーするんだろうね~ってムードでダラダラと時が過ぎたある日、ウサギが突き刺さってた。
保育園で飼っていたウサギだった。これは、友達が見つけたらしい。
早朝に、お坊さんがお墓の掃除に行った時には無かったのに。
その日は、たまたま友達より早く来ていた子供がいたんで、その子に何か見た?って聞いてみた。
その子は一言、「『ヒサルキ』だよ」って言った。
「『ヒサルキ』ってなあに?」と聞いても、上手く説明できないみたいだった。
あとで、ほかの子に『ヒサルキ』の事を聞いてみた。みんな知っていた。
でも、誰も『ヒサルキ』がどんなモノなのか説明できなかった。
子供達は、ウサギが死んだのを、あまりかわいそうだと思っていないようだった。
何となく、しょうがない、みたいな感じで醒めていた。

変だと思ったのは、『ヒサルキ』のことは、園児の親も知らなかったこと。
子供がそんな言葉を使っているところも、誰一人覚えていなかった。
テレビや本のキャラでもなかった。
すると保母さんの一人が、昔そんな名前の絵を見たことがある、と言い出した。
子供が描いた絵は返してあげるので、保育園には残っていない。
ただ、絵を描いた子がその保母さんの近所の子だったので、名前を覚えていた。
「その子に聞いたら・・・」と友達が言うと、その保母さんは「引っ越した」と答えた。
そして、「その引っ越しが変だったんで、覚えてる」とも言った。
なんでも、挨拶もなく急に引っ越していったらしい。
さらに不思議だったのは、引っ越す時にチラッと見たらしいんだけど、その絵を描いた子が、両目に眼帯をして車の中に座っていたんだって。
それで、どこへ行ったのかはわからずじまい。

それからニワトリが串刺しになったのが最後で、『ヒサルキ』騒動は終了。
結局、犯人も『ヒサルキ』の正体もわからずじまい。
前みたいに、虫なんかは突き刺さってるみたいだけど。

変なモノが撮れたんだ

私が学生の時の話です。
同じゼミに気の合う友人がいました。
なぜか気の合う友人で、よく飲みいったりするそんな仲でした。
ある日、なんだか神妙な顔をして彼が話し掛けてきました。
「変なモノが撮れたんだ・・・」
彼曰く、先週の飲み会の時に撮った写真の仲に変なモノが移ったという事。
さっそく見せてもらおうとお願いしましたが、彼は何故か躊躇し、中々その写真を見せてくれようとしません。
もちろん気にはなりましたが、彼の落ち込みようを見てると強く押し通すことは躊躇われました。
その3日か4日後、彼は更に深刻な顔で落ち込んでいました。
目にクマまで作り、暫くの間、安睡できていないことは一目瞭然でした。
きっとあの写真が原因だろう、そう思った私は其の時湧き上がる嫌な予感を押し込めるようにして、彼にあの写真を見せてくれるように再度頼んでみました。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「わかった・・・」

何かを決意した彼は、やっとその写真を見せることを了承してくれました。
(本当に見ていいのか?)
自分でお願いしておきながらも、その写真を見る事への不安は纏わりついたままで、私は何だか気持ち悪くなっていました。
彼の家で其れを見せてもらう事を約束し、その場を後にしました。

その日の夜、彼のアパートを訪れました。

「ピンポーン」

何度チャイムを鳴らしても、彼は一向に出てきません。
部屋の電気はついているのに。
(寝てるのか?)
そう思った私は、ドアのノブに手をかけました。

「カチャリ」

開いてます。
狭い部屋なので、ドアを開け部屋を覗いた瞬間、不在か否か確認できます。
彼は家を開けたまま、不在でした。

(いいよな、別に・・・)
と思いつつ部屋に勝手に上がらせてもらい、彼の机の上にふと視線を向けてみました。
灰皿があって・・・燃え滓が残っていました。
・・・写真とネガの燃え滓です。
この時、なぜかわかりませんが物凄い押しつぶされそうな不安に捕らわれた事を、今でも覚えています。
その燃え滓については、燃え尽きてしまっていて、何が映っているのか?までは判別できませんでした。
そして次に、その机の下に一枚だけ写真が落ちている事に気づきました。
その写真には異様なモノが映っていました。
彼の顔がねじ切られるようにグニャリとしたものになっているのです。
(禍禍しい)
一言で言ってしまえば、それ其の物です。
もう其処には一秒たりともいられませんでした。
彼は其の日を境に行方不明になりました。

夢にいざなわれる

ここでいいのかな?

夢で不思議な話を。
同じ家とか場所とかを繰り返し夢に見ることはあるだろうか。
別に続きモノって事ではなく、ホラーであったり日常的であったりと、関連性はないけど舞台がいつもそこってやつ。
大抵は昔住んでた家だとか友人や親戚の家だったりとか、でも全く覚えがない場所だが、よく夢に見るということがある。
学校でそんな話をしていて、友人が教えてくれた話。

彼は昔からよく夢に見る場所があった。
ちょっとばかり洋風の普通にある住宅で、2階建てだという。
いつから見るようになったのかは覚えていないが、中学に入ったときにはすでに、ああまたかと
思えるくらいだった。
彼にはとても仲のよい友人Kがいた。
家が近所で母親同士も仲がよかったため、お互いの家を行き来して毎日のように遊んでいた。
好きな漫画もゲームで使うキャラも一緒。
成績も同じくらいで、身長体重も変わらない。

中学1年の時にいつも通り遊んでいると、夢の話になった。
「いっつも同じ家の夢をみるんだよ」
食いついてきたKも同じような体験をすることがあるらしい。
メモ用紙に家の間取りを書いて説明すると、Kも同じだと言った。
いろいろ話している内に全く同じ家のように感じた。
奇妙な偶然に好奇心が刺激され、お互いの夢の話をすることが多くなった。
家は割と広くて4,5人の家族が住めそうな所。
だけど二人とも1階の角部屋だけは入ったことがない。
中学という微妙な年齢のこともあって、どちらが先にあの部屋に入るか競争しようということになった。
その頃から悪夢が続くようになった。
家の中を包丁をもった殺人鬼に追い回されたり、姿の見えない幽霊に追いかけられたり、例の部屋に近づくことは出来なかった。
最初は「俺たち前世で兄弟だったんじゃね?」と盛り上がっていたが、次第に夢の話はしなくなった

彼曰く、あまりに似すぎている自分たちが正直気味が悪くなったと、顔は似てるわけではないけど、本人達にしか分からないシンパシーのような物があるんだと。
それは彼も同じだったようで高校は別の所を選んだ。
でも仲のよい親友であることには変わりなく、電話で話したりはしていた。
部活や進路を決めるような時にはお互い別々にしようと暗黙の了解があった。

大学に進む頃には違う生活環境で次第に疎遠になっていた。
冬休みに実家に帰省すると久しぶりにKから年賀状が届いていた。
年賀状にはペットの犬の写真。
ああ、チョコまだ生きてるんだと懐かしかった。
印刷のあけましておめでとうの下に小さく書かれたKの筆跡。

「あの部屋に呼ばれた。俺が先に行くぜ」

その言葉に血の気が引いた。
数日前に見た夢で彼も部屋に呼ばれたのだ。
変わらず一定周期であの夢は見ていたが、そのときはなんだか雰囲気が違った。
誰もいない家の中を歩いていると、なんとなく、ああ、今ならそこに行けるなという気分になったという。
ただ彼は行けなかった。
行こうとしたときに携帯が鳴って起こされた。

学校が始まってしばらくしたときに母から電話がきた。
Kが行方不明になったらしい。
一人暮らしをしていたアパートから忽然と姿が見えなくなったと。
何か知らないかとKの親が聞きにきたというのだ。
もちろん夢の話など出来るはずもなく、知らないと言うしかなかった。
それから半年以上が経ったが、まだKは見つからない。

疎遠にはなっていたが、とても寂しくて仕方がないと落ち込んでいた。
先を越されたと悔しい気持ちもあるんだと。

対して怖くもないかもしれないけど、正直俺はぞっとした。
俺もまた同じように毎度でてくる家がある。
夢で見たことを他人に話してはいけないと祖母が言っていた。
それまでなんとなく言いつけを守っていたけど、そういうことかと納得した。

ジンクス

私の通っている大学で体験した恐ろしい話です。
ある時、学内にあるリフレッシュスペースという休憩室のような部屋で、私は友人と共に提出期限が明日に迫っているレポートを必死で書いていました。
しかし、予想以上に手こずってしまい気がつけばすっかり日は暮れて、リフレッシュスペースには私と友人しか残っていませんでした。
2人で雑談を楽しんでいるうちに、よくあるパターンで雑談はいつの間にか恋愛話になっていたのですが、友人が突然こんなことを言い出しました。
「先輩が教えてくれたんだけど、誰でも恋愛が必ず成功するジンクスがあるんだって。」
ジンクスという単語はマイナスの意味で使われるほうが多いんじゃないか?という疑問がありましたが、愚直ながら誰でも恋愛が成就するという内容に興味を引かれ、友人の話に聞き入っていました。
「7号館の近くにある表現棟って知ってる?体操部が活動しているところなんだけど、あそこにある人体模型に願い事をすればいいんだってさ」
学校にまつわる噂話は色々と聞いていましたが、その話は初耳でした。人体模型なんかに神頼みのようなマネをするのは想像するだけで滑稽でしたが、その場の雰囲気もあって友人と表現棟に行ってみることになったのです。

表現棟は学内のどの建築物よりも古めかしく、地震が起きたら簡単に崩れてしまいそうな感じでした。
友人の方を見ると、先ほどの恋愛話でのテンションの高さが嘘だったかのように黙り込み、表現棟の2階のある部屋をじっと見つめていました。
さすがに気味が悪くなってきたのですが、友人は「行こう」と言うなり表現棟にスタスタと入っていきました。
しかし私はその時の友人の後ろ姿を見て、とても不気味な感じがしました。
既に階段を上り始めていた友人に、怖いからやっぱり帰ると告げると、友人は「わかった、じゃあね」とだけ返事をしてさっさと上ってしまいました。
私は外で待っていようかとも思いましたが、そこにいるだけでも嫌で仕方なかったので、友人にリフレッシュスペースで待ってるという旨のメールをしました。
30分ほど友人が戻ってくるのを待っていましたが、なかなか来ません。
友人は多少ルーズな面もあるので、表現棟を出て違う所に行っているのかもしれないと思い、
今どこ?とメールをしてみました。
すると、すぐに返信がきました。
「全然ダメみたい、説得できなくて・・・あんたも早く来て手伝ってよ。」
文意が掴めない内容でした。
肝心な場所についての答えがありません。
私はそのおかしなメールが怖くなって、
「すぐに戻ってきて!リフレッシュスペースにいるから。」
と友人にメールしました。

すると返信が。
「すぐには戻れないよ、説得に時間が掛かるから。表現棟の2階だから早く来てよ。」
恐ろしくて体が震えてきました。
話は通じているけど、明らかに言ってることがおかしい。
冗談で私を怖がらせようとしているのかと疑いましたが、文面にはいつものふざけた感じが全くなく、サークルや仕事での事務的なメールを受信した時と似ていました。
友人は人体模型を説得するのに手こずっているから私の手を借りたい、と言っているのだろうか。
私は
「もう帰らなきゃならないからごめんね。また明日。」
とメールを送り、それ以上は深く考えないようにしました。
その後、友人からメールは来ませんでしたが、
翌日、学校に行くと友人はいつも出席している1コマの講義にいませんでした。
心配した私は、友人の携帯に
「大丈夫?昨日あの後で何かあったの?」
とメールを送りました。
返信はすぐに来ました。
「ちょっと体調崩して家で寝てるだけだから平気だよ。気遣ってくれてありがとう」
普通の反応に安心しましたが、立て続けに友人から2通目のメールが来ました。
そのメールを見て、私は友人に返す言葉が見当たりませんでした。
「実は今朝、彼氏が自殺したんだ。今も警察とか色々大変みたい。意味分かるよね?説得できたんだよ、すごいでしょ。私自身が怖いくらいだもん」

それ以来、友人とは一度も関わりを持たないようにしています。

煙突

数年前のことですが、私の職場にKさんという人が転勤してきました。
Kさんは、私と同じ社員寮に住むことになったのですが、しばらくして、私と雑談している時に、
「寮の窓から見える高い煙突は何だ?」
と訊いてきました。
その時のKさんは心なしか青ざめていたようでした。

私には心当たりはなかったのですが、同じ社員寮でも、私とKさんの部屋は離れていましたし、Kさんの部屋の窓から見える風景と、私の部屋から見える風景が同じとは限りません。
それに私もその土地では余所者でしたし、詳しい地理を知っていたわけでもありませんので、銭湯か何かの煙突でしょう、と適当に話を合わせ、その話はそれきりになっていたのです。

ところが、それからひと月ほど経って、Kさんが寮から程近い住宅街で死んでいるのが発見されました。
死体の状態は無惨なものだったそうです。
奇妙なことに、Kさんはかなり高い所から、墜落して死んだらしいのですが、Kさんの遺体が発見された付近は、住宅ばかりで墜死するほどの高所は見当たりません。
とはいえ、自動車事故でもなく、他殺の疑いはまったくなく、結局事故死として処理されたようです。

さて、私はKさんの本葬に参列するため、Kさんの郷里を訪れました。
Kさんの郷里というのは、九州のある海辺の町だったのですが、遺族の方の車に乗せてもらって、Kさんの実家に向かう途中、海沿いの道路に差し掛かった時、現れた風景に目を奪われました。
そこには、古びた工場に、巨大な煙突が立っていたのです。
遺族の方によると、それはお化け煙突と言われる煙突で、かなり昔から町のシンボルとしてそこに建っているそうです。
私は何となく、Kさんが寮の窓から見た煙突というのが、この煙突ではないかと思えてなりませんでした。

ところで、私は最近たいへん不安な日々を送っています。
私の寮の部屋の窓から、高い煙突が見えるようになったのです。
心なしかKさんの郷里で見た、あのお化け煙突に似ているような気がしました。

煙突はかなり遠くに見えますので、以前からあったのに気づかなかった可能性もないとは言えません。
また、最近になってできた建造物かもしれませんが、私にはその煙突が最近になって忽然と現れたようにしか思えないのです。
職場の同僚に訊いてみてもあいまいな答しか返ってきません。

私には、あの煙突の近くまで行って確かめてみる勇気はありません。
皆さん、お願いです。今すぐあなたの家の窓から、外を覗いてみてほしいのです。
それまで見たこともなかった煙突が見えるということが、あったら教えてほしいのです。
いったいそんなことが、あり得ることなのでしょうか?

自分の名前で検索

自分(女)の名前で検索をかけてみた。
すると十数件、同姓同名の人たちが検索に引っかかった。
研究者や会社の経営者、同じ名前でありながら全然別の生活をしている人たち。
その中に「○○○○○(自分の名前)のページ」というHPがあった。
それはプロフィール、BBSだけの初心者が作った感じのよくある個人のHPだった。
プロフィールを見ると、自分と同じ歳であり、趣味なども良く似ている。
BBSなどを見ると、常連っぽい人が5~6人いるらしく、この手のHPとしては、まあまあ流行ってる感じだった。
何となくお気に入りにして、時々見るようにした。

しばらくすると、コンテンツに日記が増えた。
日記は、まあ、そのへんのサイトによくある内容の薄い日記だ。
今日は暑かったとか、日本がサッカー勝ったとか、そんな感じの。
ある時、日記の内容が自分の生活とよく似ていることに気づいた。
始めに気づいたのは野球観戦に行ったときだ。
その日、そのサイトの管理人も同じ球場に行ったらしい。
その時はもちろん偶然だなとしか思わなかった。球場には何万人もの人間が行くのだから。
次の日の、日記は会社でミスをしたことについて書いてあった。
私もその日、会社でミスをして少々落ち込んでいた。
次の日も、その次の日も、よく見ると日記の内容はまるで自分の生活を書かれているようだった。
大半は「カレーを食べた」とか「CDを買った」など対した偶然ではない。
しかし、それが何ヶ月も続くと気味が悪くなってきた。
ある日、掲示板を見ると、常連たちが管理人の誕生日を祝っていた。
その日は私も誕生日だ。

それでいよいよ怖くなってきて初めて掲示板に書き込みすることにした。
しかし、書き込みしようとしても、名前や内容を書くところに文字が打てない。
色々やってみるが書き込めないどころか文字すら打てない。
「おかしいな?」と思っていると、あることに気づいた。
それは掲示板ではなく、ただのページだった。
つまり、一人の人間が掲示板っぽく見せかけて作った一つのページだったのだ。
「いったい何のためにこんなこと…」とすごく怖くなり、管理人にメールを打った。
「初めまして。私は貴方と同姓同名の人間で、よくこの~」のような当たり障りのないメールだ。
そして次の日、そのページを見ると、全て消されていた。
メールボックスには一通
「見つかった」
という返信があった。

後ろを見るな

うちの会社の部長、若い頃『林業』やってたんだって。 正直『林業』なるものよく分からないんだけど、山で木材を調達する って感じかな?
で、部長が若い頃だから昭和40年代らしいが、山の中の作業で使い走りみたいな仕事をしていたらしいんだけど、徒歩で山越えた作業場から2、3時間掛けて 山の入り口に有る詰め所(現場監督とか、正社員が居る事務所)まで往復する 事になったんだって。
その時に木こりみたいなオッサン達にさんざん脅かされた って言う怪談を聞いた。

新人のアンちゃん子(鬼太郎のチャンチャンコの駄洒落らしい)が山から下りて 詰め所まで行く事になった。
親方がそいつに
「もしかすると山の悪戯好きな妖怪 が後を付けて来るかも知れないぞ」
って言った。
ビビッたアンちゃん子は
「勘弁 して下さい」
と泣きを入れた。
始めは面白がってアレコレ怖い話をかましてた 木こり達も、腰が抜けてしまった新人君を送り出す為に最後は励ます事になった。
木こりのオッサンも自分が代わりに行くのはイヤだったんだろう。
「妖怪が後を付けてきても決して後ろを見るな。最後まで後ろを見なければお前の 勝ちだ。あいつ等も諦めるから、な。」

何とか出発した新人君、すっかりビビりながら歩いていた。
(ああ~妖怪が来ない でくれ~)って必死にお願いしながらね。
しばらくして気が付いてしまったんだが、誰か後ろをついて来てる感じがし始めた。
首に力を込めて(絶対に後ろは見ないぞ!)って念じながら歩いてると、その内 気配が自分の横に迫ってくる。
右へ廻って来たので、ちょい首を左に向けていると 今度は左の方へ来る。
(うわ~見せようとしてるんだ・・・)
新人君はそれでも 前方にしっかり首の力を込めて両脇と後方は視界に入らない様に頑張っていた。

頑張っているんだけど、人間そう前方だけに視界を限定出切るもんじゃない。
その内に横に廻った気配が見えそうになるんだけど、その度に右、左、と少し ずつ首を動かして辛うじて視界に入れるのを防いでいた。
そうすると新人君の耳元で“かちっ”とか“かぽっ”という小さな音が聞こえる。
何なんだろう?って思っていた新人君だったが、ある瞬間にフッと気が付いてしまったんだ。
自分の顔の横に来た時、口を開けていたそいつはオレが反対を向いた時に口を閉じているんじゃないか?
“かちっ”って音はヤツの歯の音じゃないか!
そう考えると、顔の横にそいつの生暖かい息まで感じる様になったらしい。
遂に限界に来てしまった新人君は目を閉じて駆け出してしまった。
するとそいつの気配は後ろの方に置いていかれた様だった。
(やった!)とばかり に駆け出した新人君はギュッと目をつぶったまま走っていたんだけどバーンと物凄い 衝撃を顔に受けて目を開いた。
(おおっ?)と気が付くと目の前に看板が立っている。そこには真っ赤なペンキで ぶっとい矢印が『 ↑ 』と書かれていた。
思わず上を見上げた新人君。
真後ろに立った大木の枝が自分の上を覆っている。
その枝の更に上から葉っぱを掻き分ける様にして覗き込んでいる真っ白な顔の女が大きな赤い口をパッカパッカ開けたり閉じたりしていたそうだ。
“かちっ” “かぽっ” って音がしっかり聞こえたって。

まあ、子供相手の古典的な怪談なんだけど、部長の一言が嫌なんだよなぁ。
『結構恐がるわりに、人って怪談好きだろ?皆馬鹿にして聞いてるんだけど、なんかの拍子に昔聞いた怪談をフッと思い出す時が有るんだよな。そういう時って瞬く間に思い出すからさ、お前らも酔っ払って深夜に帰る 時に思い出すかもしれないぞ』
オレ、いつも団地を抜けて帰るんだけど、深夜バスが着いて団地を抜けてる時に 後ろを振り返るのがたまらなくイヤになる時がある。
部長の話を思い出して、更に話が膨らんできてね。
3階建ての団地の屋上から 真っ白な顔の女がオレを見下ろしてたらどうしようか?って妄想が。
いや~聞かなきゃ良かったですよ。部長。

続き

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2019年06月06日