はじめに
皆さんは”ロヒンギャ問題”を知っていますか?朝のニュースで聞いたことがあるとか、新聞で読んだことがあるという方もいるかもしれません。同じアジアで起きている深刻な差別と迫害について、我々にもできることがないか考えてみましょう。
1.ロヒンギャとは
ロヒンギャとは、ミャンマー西部に暮らすイスラム系少数民族で、15~18世紀に現在のラカイン州に存在したアラカン王国のムスリムや19世紀前半のベンガル地方からの移民、第二次世界大戦後のベンガル移民をルーツとする人々です。
ロヒンギャはミャンマーにもともと住んでいた民族よりも彫りが深かったり、肌が黒かったりといった身体的差異のほか、ミャンマー国民の多くが信仰する仏教ではなくイスラームを信仰していたりと文化的にも他民族との違いが多い民族です。1962年に軍部独裁政権が発足するまでは「ロヒンギャ」という呼称は認められており、国会議員を務める者もいましたが、独裁政権は彼らを「不法移民」として扱い、迫害をはじめました。
2.現状
ロヒンギャへの迫害が現在のような状況に変化したのは2012年のことです。ロヒンギャが仏教徒の女性を襲うという事件が起き、それを機に地元の仏教徒がロヒンギャを襲いはじめたのです。少数民族のロヒンギャは土地を追われ、当時のテイン・セイン政権は彼らの保護を目的としてロヒンギャを収容所に入れました。収容所内の環境は劣悪で、多くの病死者が出ており、援助に訪れた外国NGOも現地の人々の抵抗にあって思うように支援活動をできていません。
収容所に入らなかったロヒンギャはボートで国外に逃亡しており、その多くがタイ経由でインドネシアやマレーシアに流れ込んでいます。ボートを使用して脱出するのはロヒンギャの中でも最下層の人々で、彼らは非合法の渡航業者の手によって移動しており、バングラデシュ国籍の人を含めて毎年10,000人が難民として脱出しています。裕福なロヒンギャも飛行機などで世界中に逃れており、難民全体の数は計り知れません。
3.アウンサンスーチー体制の対応
ミャンマーは2016年以降、事実上のアウンサンスーチー政権が統治しています。人権活動家として国際的に高い評価を得てきたスーチー氏ですが、ロヒンギャ問題に関しては口を閉ざしており批判を集めています。スーチー氏らNLDが政権を握る以前は、軍部独裁体制が敷かれていたミャンマー。ロヒンギャを優遇したりすれば、彼女らの支持層からの反感を買う恐れがあるのはもちろん、緊張関係にある軍部を刺激することにもつながりかねません。いまだに不安定な状態が続くミャンマーだけでは、ロヒンギャ問題に正面から向き合うだけの力がないのも事実です。
スーチー氏の方針は、ロヒンギャが正当な国民として受け入れられづらい原因の一つである国籍法の改正を行うこと、さらに憲法改正によって軍の政治干渉権をなくすことです。しかしそれには長い時間がかかり、その間にもロヒンギャ難民の数は増えていくばかりです。
4.私たちにできること
国連UNHCR協会は、国連の難民支援機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の活動を支える日本の公式支援窓口です。UNHCRの活動資金は、各国政府からの任意の拠出金ならびに民間からの寄付金に支えられていますが、もっと広く民間からも支えていこうという機運が世界的に高まり、日本では2000年10月に、民間の公式支援窓口として、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会が設立されました。
ご挨拶・協会概要|国連UNHCR協会概要|国連UNHCR協会
現在、国連UNHCR協会ではロヒンギャ難民への寄付を募集しています。彼らの生活を守るために現地ではUNHCR職員が現在も懸命な活動を続けています。募金以外でも、現在でも差別を受けている彼らのためにできることを考えてみてください。
参考:https://www.japanforunhcr.org/archives/14342” rel=”noopener noreferrer”>https://www.japanforunhcr.org/archives/14342
https://www.japanforunhcr.org/archives/14342