某国のバス
290 :1 :2010/01/30(土) 10:45:21 ID:F1pkt0W50
我が家には訳あって母の親友母子が一緒に住んでた。
子の名前をAとするが、Aと俺は本当の兄弟以上に仲が良い。
一緒にいると何かと頼もしいんで、先日二人で某国を旅してきたんだが、
その国の寂れた観光地で妙なバスに乗ってしまったんだな。その国ではバスは必ず遅れて来るものだが、それは定刻通りに来た。
それだけでも十分変なのに、中の様子はそれ以上におかしかった。
バスのいたるところに季節外れのサンザシの花が飾られており、
それより気になったのが、乗客達の不自然な態度だった。
一方には酷く暗い顔をした人々がいて、俯いて身動き一つしない。
もう一方には、明るい顔の非常に騒がしい人々。
ヨコハマタイヤみたいな気味の悪い笑顔を浮かべており、歌ったり喋ったり踊ったりと、やたら陽気に騒いでいた。
楽しそうに見えなくもないが、どこか排他的な雰囲気を纏う人達で、声をかけようなんて気には全くならなかった。
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暗い人達は、彼らにちょっかい出されても身じろぎせず俯いていたが、
教会の前を通過する時だけ弾かれた様に身を起し、一斉に十字を切ってた。妙な雰囲気の中、しばらくは我慢して大人しく乗っていたものの、
段々気味悪くなってきて、俺は予定外の所で降車ブザーを押してしまった。
だが、運転手に「まだだ!」と一喝されて、停留所を通過されてしまい、
英語わからん俺の代わりにAが抗議してくれたが、取り合ってくれないようだった。
Aが怒鳴ってても他の乗客の様子は全く変わらなくて、俺はただ不気味に明るい人たちの顔を見るのが怖くて縮まってた。291 :2 :2010/01/30(土) 10:46:47 ID:F1pkt0W50
で、しばらく口論が続き、イラついたAがふいに煙草に火をつけたんだ。
普段吸うところ見たことないのに、珍しいなと思っていたら、
それまで俺達のことなんて無視してた明るい人たち全員が、突然ヨコハマタイヤ顔をこっちに向けた。
そして同時に表情を一変させ、真っ赤になって怒り出し、
英語じゃない聞いたことのない言語で喚きながら、俺達に詰め寄って来た。
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んで、俺とAは車外に引きずり出され、まさかのフルボッコw
かなりの距離を走って逃げたのに、奴らは群がるように追いかけてきた。
無我夢中で走り続け、Aに腕引っ張られてトゲトゲした生垣乗り越えると、ようやくあきらめたようで、
ゾロゾロとバスの方に戻って行った。
俺には何が起こったのか、本気で訳分からなかった。その後立ち寄った教会で、神父さんにそれまでのこと話したら、(怪しい目で見られはしたが)
こんなこと教えてくれた。
「そいつらはこの世のものではなく、明るい顔をしたのはきっと悪いスピリット。
暗い顔をしていたのは、運悪く奴らに捕われた人間の魂で、
死ぬこともできぬまま、イエスに救いを求め続けているのだろう」292 :3で終わり :2010/01/30(土) 10:47:30 ID:F1pkt0W50
その辺りでは、「定刻の針の上に訪れる者は禍を連れてくる」という言い伝えがあった。
ほんの数十年前までは、俺達と似た体験をしたなんて話も多かったそうで、
帰ってこられた人もいるし、定刻のバスに乗ったまま行方不明の人もいるんだとか。
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助かるのは普通敬虔なキリスト教徒だけだから、俺達が助かったのは実に運が良かったと言われた。
なんでも、大抵のスピリットは火を嫌うから、煙草を吸う人間を自分達の乗り物に乗せておきたくなかった。
また、ハリエニシダ(俺達が乗り越えた生垣のトゲトゲ)は、昔から魔除けになるといわれているから、
生垣を乗り越えてきたのもよかったのかもしれない、と。なんで非喫煙家のくせに煙草吸おうとしたのか、また、無茶して生垣乗り越えたりしたのかAに聞いたが、
「すごい偶然でしたね(`・ω・´)ノノノシ!」ということらしい。ちなみに、タコ殴りにされたというのに、俺達二人とも引っ掻き傷や小さな痣位しかなく、
生垣を超えた際の傷のほうが酷かった。
どう説明すればいいか見当もつかず、結局警察にも届けてないし、生垣の修復はもちろんやらされたし。
そして俺が持っていたバッグには、子供よりも小さい足跡がたくさん付いていて、怖いから即効捨てて買い替えたし(´;ω;`)
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299 :本当にあった怖い名無し :2010/01/30(土) 15:50:28 ID:lKRkZzuH0
なんで非喫煙者が煙草を持ってたの?301 :290-293 :2010/01/30(土) 18:15:16 ID:F1pkt0W50
>>299
俺への質問でいいのかな?
本人は前に飯食いに入ったパブで、地元の爺さんにもらったって言ってる。331 :本当にあった怖い名無し :2010/02/02(火) 22:29:30 ID:jWrPqQfB0
こんにちは。>>290に同行していた者です。
書き込みは初めてなので、失礼があったらお許しください。290が書き込んだ体験は確かに恐ろしかったのですが、
私としては、バスに乗り込んだ時の290の様子のほうが不気味で気にかかり、どこかで吐き出したい気分でして・・・
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そもそも例のバスは、私たちが待つ停留所に向かって走ってくる時、すでにおかしかったんです。
“ヨコハマタイヤ顔”をした連中が皆窓から身を乗り出して、
私たちを品定めするように指さしながら大騒ぎしていたんですから。
はじめはジャンキーの集団でも乗っているのかと思い、危険だからこのバスは見送ろうと何度も頼みましたが、
290は全く聞こえない様子で、私を無視して一人でどんどん乗り込み、
その挙句、我に返ったように突然脅え出しまして。後々話を聞いた神父に言わせると、“スピリットたちの住む世界”に近い人間、
例えば病人、老人、子供、妊娠した女などは、奴らに目をつけられやすいらしく、
290が今後大病でも患うのではないかと、気が気ではありません。369 :本当にあった怖い名無し:2010/02/05(金) 17:05:52 ID:xbSjMuig0
>>290
えっと、呪いの土人人形に祟られた人?
それだったら>>331さんは、当時6歳にして嫌がる神主さんを説き伏せて呪い返しをさせた人?
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その時は半分しか返せなかったから、最近また呪いが再発してゴタゴタしたけど上手く解決して、
Aさんは霊能力者から能力はないのに何で次々と先手を打てるんだ、と不思議がられたのが印象に残っている370 :本当にあった怖い名無し:2010/02/05(金) 17:24:48 ID:xbSjMuig0
気になって探してみた
この人?
『迫りくるモノ』371 :290:2010/02/05(金) 21:00:12 ID:MMdZhoS40
>>370
びびった、覚えてる人いると思わなかった。
確かに以前それを書いたのは自分です。
今読んでみると、自分の脅え具合と支離滅裂な文章がすごく恥ずかしいwwwwwでも>>331については俺の同行者かどうかわからないっす。
2chとかあんまりやるタイプじゃないと思うんだけどなぁ。
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414 :本当にあった怖い名無し:2010/02/09(火) 21:28:54 ID:RUTqix9b0
>>331
同行者に聞いたぞ。2chに書き込みなんかしないって言ってた。
あんた誰だよwwww・・・てかやめてよ、俺的にほんのりじゃすまないじゃん(`;ω;´)モワッ
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川さらい
同級生で柔道部仲間だった友人なんだけど、そいつ警察官やってて、仕事関係の怖い話。
高卒からすぐ警官になったそいつは、幸か不幸かすごい上司に気に入られていて、
何かにつけては現場に駆り出されたそうで、その日も非番なのに深夜に携帯がなった。
線路の飛び込みがあり即死、死体の欠損がひどくて、
踏切そばの川に部位が落ちてる可能性があるから、川をさらえとの事だった。 春先の水もまだ冷たい時期、最悪だわマジで…と思いながら現場へ飛ばして、着いた時は深夜の3:30くらいだった。
既に到着してる先輩方は案の定くわえタバコで駄弁っていて、川の中へは誰も入っていなかった。
「医者が来て死亡確認する迄にみつけてねー」とか言われて、友人は探し始めた。
川さらい : 怖い話らぼ −怪談・都市伝説まとめ−
死体は轢かれた後に車輪に巻き込まれ、両足が膝から下がなかった。
右足と靴は見つかったが、左足が見つからない。
こりゃあ明るくなる迄は無理かなーと思ったら、
川のの上から「もっと下流ですね、橋からもっと下流!」と声が聞こえて、
見上げると医者が指をさしてる。
「ご苦労様です!すぐ見つけます!」
見つかる前に医者が到着してしまったか、いびられないといいけど…と思いながら、
車一台通れるくらいの小さな橋をくぐって下流へいくと、草むらの中に欠損した足を見つけた。
「すみませんねえ!」
医者の声に「いえいえ、どうもありがとうございます!」と言い、川からあがった。
川さらい : 怖い話らぼ −怪談・都市伝説まとめ−
すると、医者がいない。
向こうと合流したのか?と思い部位を持っていくと、医者はまだ着いてないとの事。
彼はもしやと思い、死体の持ち物から免許を見せてもらった。
暗くてよく見えなかったが、眼鏡をかけた男だった。
「似てるわ…」
医者は明るくなってからようやく来たが、
その後、家族などと連絡を取り調べて行くうちに、自殺者が薬品販売の営業マンと言う事が分かった。
開発畑から営業に回され、厳しいノルマでノイローゼ気味だったらしい。
遺族にこの体験を話すと、「白衣の方が良かったなー」と口癖の様に言っていたそうだ。
「医者と見間違えた白衣の男は、白衣を着ていたかった自殺者だったのかもなぁ」と友人は言った。
川さらい : 怖い話らぼ −怪談・都市伝説まとめ−
「事故物件とかの現場はよく有るんだわ、でもねえ、
本当に身の毛もよだつ様なのは、生きてる人間の方がよく起こすよ」
その話はまたの機会に。
川さらい : 怖い話らぼ −怪談・都市伝説まとめ−
クラス替えアンケート
379 :1:2012/02/02(木) 18:49:00.78 ID:Dnz/1ww30
子供の頃の奇妙な体験ってけっこうあるよな。
皆の話を聞いてて、ずっと気になってたことを書いてみる。毎年3月が近くなると『クラス替えアンケート』のことを思い出すんだけど、俺以外にこんな体験した人っているかな?
俺が小学校4年生のときの話で、俺が当時かよう小学校はけっこうな大規模校で、毎年クラス替えがあった。
春休み中、3月の終わりに先生方の離任式があって、そのときに体育館に新しいクラスの名簿を張り出すんだけど、
親友や好きな女の子と一緒になりたいとか、毎年すごくドキドキしたことを覚えている。その年、3学期の2月に入ってすぐ、俺に一通の封書が来た。
クラス替えアンケート
『クラス替えアンケート』という文字が表に大きく印刷され、教材会社の主催になってたけど、
これまで調べた限りでは、その名前の教材会社は存在しないんだ。
中身はどんな内容かというと、
俺の小学校の4年生の中で、絶対に同じクラスになりたくない人の名前を一名書いてください、というもので、
それを出した人には文房具のセットが当たるかもしれない、ということだった。
当時俺は雑誌の懸賞に応募するのが趣味だったし、返信用のはがきが入っていたので、
特に変だとも思わず、同学年で一番嫌ないじめっ子の名前を書いて出してやった。実は俺はその名前を書いたやつと家が近所で、登下校でよく嫌がらせをされていた。
別のクラスだからまだよかったものの、同じクラスになれば本格的なイジメを受ける可能性があって、
絶対に同じクラスにはなりたくないと思っていた。
5年生は6クラスあるから可能性は低いんだけど。
クラス替えアンケート
その後、すっかりそのアンケートのことは忘れていたんだけど、
3月に入ってすぐに、同じ名前の教材会社から大きな封筒が届いた。
それで前のアンケートのことを思い出したんだけど、内容は俺に文房具セットが当選したというもの。
そこまでは不思議はないんだけど、
その文房具セットが送られてくるには条件があって、一つやってほしいことがあると書いてあった。
それから、俺が名前を書いてやったいじめっ子とは同じクラスにはならないだろう、ということも書かれていて、
まだクラス替えの先生方の会議も行われていない時期のはずだったので、それはちょっと不思議だった。その封書の中には一つ、厳重に和紙でくるまれたお守りのようなものが入っていた。
その表には俺の住んでいる地域から遠く離れた県名と、知らない小学校名、
それから5年生という文字と、やはり知らない男の子らしい名前が、気味の悪い赤い字で大きく書かれていた。
それを俺の住んでいる地域にある神社。
クラス替えアンケート
これは古くて由緒があるけれど、大きなところではなくて、
ほとんど普段は参拝する人もいない、忘れ去られたようなところなんだけど、
そこの境内にある松の木に、3月8日の午後9時以降に釘で打ち付けてほしい、という内容だった。
それをやったら、懸賞のセットを送ってくれるということみたいだった。
それから、その封書は一切が済んだら、前に来たものとともに近くの川に流してほしいと、も書かれていた。これはすごく不思議で、最初は仲のよかった中学生の兄に相談しようと思ったけど、
封書にはこのことは誰にも話してはいけない、と書いてあったのでやめにした。
神社は自転車で5分程度のところにあり、そのお守りのようなのを釘で木に打ち付けるのは難しいことではない。
雪の降る地域でもないし。(寒いけど)
9時過ぎに15分ほど家を空けるのは何でもなかった。
その封書とお守りは、自分の勉強机に入れておいた。
クラス替えアンケート
3月8日になった。
おれは手紙の依頼通りにやることに決めていて、
夕食後9時を過ぎてから、 そのお守りとどこにでもあるような釘とカナヅチを持って、
グランドコートを着て、自転車で神社に出かけた。その神社は住宅街のやや小高い岡の上にあって、俺は下で自転車を降りて幅の狭い石段を登っていった。
石段にも神社の境内にも一つずつ街灯があったので、暗いけど足元は見えた。
もちろんまったく人影はなく、さすがに気味が悪くて、
早く終わらせようと、コートのポケットからお守りと釘とカナヅチを取り出し、
走って何本か鳥居をくぐり、神社までの参道からわきに入って、
おみくじが結びつけられたりしている松の木を一本選んで、
自分の頭の上くらいの高さに名前が書かれているほうを表にして、真ん中に強く二,三度釘を打ち付けた。
クラス替えアンケート
すると、手の中でそのお守りが微妙に動いた感覚があって、俺は思わず手を離したけど、
お守りは木に固定されて落ちなかった。そのとき、10mほど離れた神社の脇から急に人が出てきて、こっちに向かって大きな声で「見届けた」と言った。
その人の姿は暗くて、あとで思い出してみてもどんな服装だったかもわからなかった。声は男のものだった。
俺はもう完全に怖じ気づいていたので、そのまま後ろも見ないでカナヅチを放り出して走って石段を下まで降り、
自転車に飛び乗って家に帰った。ここから書くことはあまりない。
俺がアンケートに名前を書いたいじめっ子は、その1週間後に、
自転車に乗っているときにトラックにひかれて死んだ。
封書などは指示どおり近くの川に流した。
クラス替えアンケート
4月に入って、有名なデパートから立派な文房具セットが送られて来たが、
封書にあった教材会社名はどこにもなかった。
その後一回も連絡はない。
神社には何年も立ち寄らなかったので、木に打ち付けたものがどうなったかわからない。
カナヅチをなくしたので親父に後でしかられた。
一番気になるのは、そのお守りに名前があった知らないやつだが、
どうなったかはもちろんわからないし調べてもいない。
クラス替えアンケート
改めて書いてみるとやっぱり奇妙な体験で、すべて自分が想像で作り出したことのような気もする。
文房具セットは兄にずいぶんうらやましがられたけど、たんに懸賞に当たっただけなのかもしれない。
こんな経験をした人って他にいるんだろうか?
クラス替えアンケート
営業会社の話
34 :営業会社の話(1/3):2011/01/19(水) 21:09:13 ID:iumaAo9x0
昔、訪問販売の営業をしていた会社で聞いた怖い話です。分り易い様に小説風に書きました。
長いですが、お付き合い頂ければ幸いです。怖くなかったらごめんね(´・ω・)前提:営業5人程のグループ毎に車両長と云うものが付き、車両長が指示した場所(集合住宅)に降ろされます。
営業はそこで契約まで話を持って行き、車両長が契約書を持ってきて書いてもらうと云うシステムです。以前、本社の方に、とても業績の良いAという若い男が居た。
グループBの車両長Gは、入社の時から特別Aを気に掛けていて、AはGの車両に乗る事が多かった。ある日のこと、その日もGの車両に乗っていたAは、最近調子が良かった事もあり、
契約の決まりやすい新築物件(ファミリー)に優先的に降ろされた。
しかし、その物件は留守・居留守が多く、インターフォンにすら全然出て来ない。
まあ、良くある事ではあったので、余り気にせず最後の家のインターフォンを押した。
『営業会社の話』 – 怖い話まとめブログ
『はい』
若い女性の声が出た。美人だったらいいな、と思いつつ、意識しなくても勝手に出てくる挨拶を口にした。
程なくして玄関を開けた女性はとても感じの良い人柄で、有り体に言えば“決めやすそうな”雰囲気を持っている。
しかも、中々居ない美人。否応なしにモチベーションが上がった。
“これはいけるな”
これまでの営業である程度の勘が働いたAは、咄嗟にそう思った。話している感じもはまっている。
Aの予想は当たり、女性は玄関口で話しただけでかなりノリ気で、すんなりと室内に招き入れてくれた。カウンターキッチンに通されたAは、ある事に気付いて顔を青くした。
天井にびっしりと、赤ちゃんの写真が貼ってあったからだ。
それはサイズも被写体も様々だったが、兎に角隙間無く貼られていた。異様な光景だった。
Aはその光景に恐怖を感じたが、先程まで話していた女性の感じは決して悪く無かったし、
むしろニコニコと感じの良い笑みと気さくな態度には、好感を抱いていた位だった。
何より、これ位の事で契約が取れるかもしれないチャンスをふいには出来無い、と云う思いが一番強かった。
『営業会社の話』 – 怖い話まとめブログ
35 :営業会社の話(2/3):2011/01/19(水) 21:11:50 ID:iumaAo9x0
“天井の写真は確かに変だけど、気にしないでおこう。”
Aは自身にそう言い聞かせて、商品説明や機器の実演を冗談も交えながら話した。
ファミリーでは旦那問題で契約が流れる事が多いが、そういった問題も無く、
かつて無い程にスムーズな流れで、さして時間も掛からずに契約の了承を貰う事ができた。Aは女性に了承を取ってから、契約の為にGを呼んだ。
部屋に入ったGは、Aと同じように天井の写真に面食らったようで、
契約の最終確認の際もどこかぎこちない様子だった。
Aもこの部屋は不気味だったので、
出来ればさっさと契約を終わらせて早く部屋を出たい、と云うのが正直な気持ちだった。しかし、後は契約書に捺印さえすれば契約完了、と云う所で異変が起きた。
「ではココと、ココと…」
Gが捺印の場所を指示していると、隣の部屋へ続く襖の向こうから、男の呻き声が聞こえてきたからだ。
ううー、うー、と、それは男性にしても低い声で、
思わずぞっとする位にはとても苦しそうに、恨めしそうに聞こえた。
『営業会社の話』 – 怖い話まとめブログ
流石にAとGも面食らって、襖を見やったあと、次いで女性の顔を伺った。
つい先程まで人のいい笑みを浮かべていた女性は、ぞっとするほど無表情にAを見ていた。
Aは恐怖を払拭する為に何かを喋ろうとして、女性の異様な雰囲気を感じ取って言葉を飲み込んだ。
心底目の前の女性を気味悪く感じた。それは、きっと本能的なものだった。
それはGも同じだったようで、二人ともまるで金縛りに遭ったように女性をただ見つめていた。
その間にも、ううーーー、うーー、と云う呻き声は止まる事無く、むしろ段々と大きくなっている様に感じた。突然、女性がギギ、ともググ、とも言い難い声を漏らした。
多分、笑い声だったのだとは思うが分からない。女は相変わらず表情を少しも動かさなかったからだ。
「印鑑を…」
ぼそり、と女が呟いた。
は、と何とか声を出したAに、女性は口元だけを動かしてにいっと笑った。
「いいいいいいい、ん、」
女性がまるで引き伸ばしたテープの様に言った途端、今までは呻き声だった襖の向こうの声が、
「ア゛ー!ア゛ァーーー!」という叫び声に変わっていた。
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36 :営業会社の話(3/3):2011/01/19(水) 21:12:46 ID:iumaAo9x0
“なんだ、こいつら?!やっぱり変な奴だったのか?”
Aがパニックに陥りそうになった時、更に不可解な事が起きた。
女性の頭が目では追えない速度で左右に動いたのだ。余りの速さに首から上がブレて見えた。
「ケケッ…」
女性は甲高い声で笑い始めました。相変わらず女性の顔は真っ直ぐにAを向いたままで。
Aは恐怖で泣き出しそうだった。
襖の向こうから聞こえる男性の叫び声と、女性の甲高い笑い声。「お、おい、帰るぞ…!」
Gの震えた声を聞いて、Aは荷物を掻き集めて必死に玄関まで走った。
女性が追ってくる気配は無い。
玄関を出る瞬間に思わず振り返ってしまって、Aは後悔した。開け放った扉からリビングが見えたからだ。
そこには正座した女性がこちらを向いていて、その向こうの襖少しずつ開いて居るようだった。
ぽっかりと見えた暗闇の向こうを想像して鳥肌が立った。
AとGは死に物狂いで車に戻ると、急いでその場を後にした。
『営業会社の話』 – 怖い話まとめブログ
翌日、Aは例の家に商品の機器を忘れてしまった事に気付いた。
またあそこに戻るのは嫌だったが、取りに行かない訳にはいかない。
AはGに頼んで、一緒に昨日のアパートに向かった。躊躇いながらも、意を決して部屋のインターフォンを押そうとしたAは、ある事に気付いた。
「Gさん、これ…」
Aが指差したのは、玄関の傍に設置されていたガスメーターのタグで、
それは本来、入居者が居ない場合に取り付けられるものだ。
驚いて電気メーターを見ると、止まっている。少しも動いていない。
「嘘だろ…」
Gが呟く。何度もインターフォンを押して反応がない事が分かると、
苛々した様子で管理会社へ連絡し、早口に事情を捲し立てた。
数十分で来た管理会社のKは、Gの話を聞いて頻りに首を傾げながらも、勢いに押されたのか、
「確認するだけですよ」と前置いて、部屋の鍵を開けた。
部屋は、信じたくは無いが未入居の状態だった。昨日の風景はどこにもない。
ただ、ぽつん、と鎮座していた商品が、昨日の出来事を現実だと突きつけてた。
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37 :営業会社の話(後日談):2011/01/19(水) 21:15:27 ID:iumaAo9x0
先日の出来事を酷く怖がったAは、その後会社へ出勤して来なくなり、部屋に閉じ篭ったらしい。
しかし、稼ぎ頭だった事もあり、会社の上司等に説得され、
“例の物件近くには行かない、新築物件には絶対に行かない”事を条件に、一ヶ月後には復職した。
ただ、彼はあの場所で出会った“何か”に、魅入られてしまっていたようです。Aが復帰して一週間程経ったある日、GはA君をある物件に降ろした。
何の変哲もない普通のマンションだった。
以前他の者が何度か訪問した事があり、A自身も叩いた事のある物件だった。十数分後、Gの電話が鳴った。Aからだ。
「もう決まったのか、やるなぁ、Aの奴。」
Gはわざと車両に乗っている他のメンバーに聞こえるように言って、電話を取った。
「もしもし」
電話は無言だった。
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「もしもし?A?」
数十秒後、Aの叫び声と、ばたばたと騒がしい音が聞こえた。妙な声も聞こえる。
「A?!どうした?!」
ただ事ではない、と感じたGは車をそちらに向かわせながらAに聞く。
『…Gさん、自分、もう、仕事辞めさせて下さい…』
泣きながら、Aは言った。
「A?なにがあったんだ?」
車両長は出来る限り冷静に問いかけた。
『また、出たんです、あいつ』Aの話を話を要約するとこうだった。
今度はポスターも何も無い普通の部屋で、普通の女性だった。
だが、話がトントン拍子に進んで、Gに電話を掛けた瞬間、
女性の顔が奇妙にぐにゃりと歪み、以前会った女性の顔になった。
そして、「また会ったね」。
そう言って、またあの奇妙な笑い声で笑ったそうだ。Aは翌日から会社に来なくった。
そして、彼はそのまま失踪し、見付かっていない。
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38 :34:2011/01/19(水) 21:21:16 ID:iumaAo9x0
以上が、私の会社で実しやかに噂されていた怪談話です。
実際、直叩き営業をやってる時に聞かされたので、結構ガクブルモノだったのですが、
書き起こしてみるとそうでもありませんでした(´・ω・)ネー上司は「うちの本社であった実話だ」と言っていましたが、真偽の程は分かりません。
もしかしたら業界で有名な怪談話等ではないか、と言うのが私の見解です。
色んな場所に行く仕事柄、営業中に霊を見る人は結構居るみたいですし。47 :本当にあった怖い名無し:2011/01/19(水) 23:13:50 ID:aM/lrbUC0
>上司は「うちの本社であった実話だ」と言っていましたが、真偽の程は分かりません。なぜヤル気を削ぐような事を部下に言うのか
そこが不可解
『営業会社の話』 – 怖い話まとめブログ
48 :本当にあった怖い名無し:2011/01/19(水) 23:17:42 ID:mWuMAsIj0
もっと恐ろしい現実がその会社にあるんだろ51 :34:2011/01/20(木) 10:19:15 ID:l5xj0Qmw0
皆さんコメ有難う。ほんのりじゃなかった人ごめんなさい(´・ω・)
今見ると脱字多いね。確認したつもりだったけどスマソ。>>47 皆モチベーションだだ下がりだた。
でも>>48の言う通り、ブラック会社だったもんで、
出会うか分からない幽霊よりも、今日契約取れない時のが怖いというのが本音。
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