芥川賞作家たちが絶賛のSF不倫漫画を描く『米代恭』について

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2017年11月14日放送「セブンルール」まとめ

◆異才の漫画家『米代恭』(25歳)


https://matome.naver.jp/odai/2151088763759857601/2151111681802507703

スピリッツで連載開始以来、瞬く間に話題になった

「あげくの果てのカノン」

◆異色のSF×不倫

舞台は近未来の東京。
主人公の一途な想いが不倫へと暴走していく。
狂気と純愛の物語は読む人を没頭させ、単行本は売り切れ続出。

◆重版を繰り返している

芥川賞作家他、数々の表現者たちも賛辞を惜しまない。

村田沙耶香
「ド天才だと思った。」

中村文則
「意外性とおもしろさを兼ね備えた物語設定とハイセンスな表現。はっきり言ってこれは凄い才能。」

尾崎世界観
「相手の中に居る自分の存在が変わっただけで、自分はずっと自分なんじゃないかな。きっとそうだ。ずっと感じていた疑問を晴らしてくれたこの作品に感謝と嫉妬と敬意を。」

◆ネームの作業

>>>8:00pm

東京都内にある築43年のアパートへ。

ここが米代の作業場。

普段は祖母の家で二人暮らしだが、漫画を描くときはこの素朴な部屋が落ち着くという。

ネームの作業をしていた。

《ネーム》
コマ割り、コマごとの構成、セリフやキャラクターの配置などを絵で大まかに表したもの。マンガの設計図。

>>>ペンが止まった。

「ちょっと、行きましょうか。」

「ダメだなあ、なんでだろう。全然ハマっていかないわ。。。」

雨が降る夜道を歩き始めた。

「歩いて、もうちょっとイメージを固めるみたいな感じです。」

かなりうつむき加減で、セリフや設定を口にしながら、上下左右を指さしながら歩く。

20分後、再びペンがスムーズに動き始めた。

◆早寝早起き

月1回、1話30ページ以上の連載を約10日間 缶詰状態で書き上げる。

9:30pm 作業を終え、10:00pm 就寝。
4:00am 動き出す。

「だいたい12時~3時位がいつも眠たくなっちゃって作業効率が落ちるので。」

「1年前くらい前からこういう感じの生活をしています。」

◆初めてマンガを描いたのは小学生の時だった

幼いころから絵を描くのが好きだった。

「全然友達がいなかったので、小学校の時は。だからずっと一人でクラスで絵を描いてて。
でも絵を描いてたら珍しいから普通に寄って来たりとかするから、そういうのが楽しかったなぁっていう。」

高校の時は友人とオリジナル設定のストーリーを作り、その漫画を描いて見せ合っていた。

友人たちの喜ぶ顔が嬉しくてマンガを描くことに没頭。

いつしか漫画家を志した。

◆美術大学在学中に描いた漫画が評価された

美術大学在学中に描いた「砂上の娘」がレベルが高いと評され、アフタヌーン四季賞 佳作を受賞(2011年)

大学を中退し、本格的なプロの道へ。

デビュー作は「いつかのあの子」(2012年)

現在は男性誌 月刊!スピリッツ作品を連載している。

◆金城さんと二人三脚

>>>ビッグコミックスピリッツの担当編集者「金城小百合(34歳)さん」との打ち合わせ

「プリンセスメゾン」
「花のズボラ飯」
ファッションカルチャー誌「Maybe!」

ドラマ化された漫画など多くのヒット作品を手掛けている。

米代恭の作品「あげくの果てのカノン」は金城さんのアイデアから生まれたものだった。

連載が始まる前から知り合いだった二人。
年は少し離れているがプライベートでも遊びに行くほど仲がいい。

しかし、二人の関係を繋ぐのは友情ではない。

金城)でも、絶対これもさ、今、米代さんがさ過去作よりも売れているから成り立ってる関係でさ。

米代)そうなんですよね~。だから仕事が上手くいってれば二人の仲もいいし、多分上手くいってなかったらどんどん仲悪くなってくるんだと思う

金城)仕方ないよね~。

米代)人間性的な良さみたいなものを別にお互いそんな求めてないよね。

金城)そういうの全然ない。

金城さんと二人三脚で描いてきた。

エイリアンの襲来により破壊され荒廃した東京に暮らす主人公。
彼女が恋するのは8年間想い続けた既婚者の先輩。

世界が異常事態でも主人公の頭の中は愛しい先輩の事だけ。
SFの設定を加えたことで恋の持つ異常性が際立ち不倫という普遍的なテーマでも斬新なストーリーが生まれる。

◆他人の恋愛を漫画に生かす

しかし、米代は恋愛が苦手だという。
それでも衝撃の恋を描き出す。

「ちょっと前まではすっごい劣等感がひどくて。恋愛出来ない事とか。諦めたというよりは向いてないし。」
「恋愛ものとかも元々苦手で描きたくないみたいなところから始まって、本当に私何でこんなに恋愛から遠いのに恋愛漫画描いてるんだろうみたいな感じ。」

恋愛に向いてないという米代がどうやって恋愛を描くのか?

金城さんとの打ち合わせが終わると始まったのが、

金城)高校が一緒で塾も一緒だった先輩が数学とか教えてくれて、ゴミ箱にその紙捨てたから、そのごみ箱に捨ててる紙と、一緒に捨ててあった紙パックを持って帰るっていう、家に持って帰って伸ばすっていうのあったから。

「恋バナっぽいエピソードがありそうな人とかにどどんどん聞いて掘り下げていったりとか、なんでその人はそんな行動に出るんだろうとかを考えたり調べたりっていうのから、そのままマンガに落とし込める物は落とし込んでるっていう感じでです。」

◆お昼ご飯はファミチキと納豆巻1個

>>>12:00pm

向かったのはコンビニ。

ランチに買ったのは、ファミチキと納豆巻1個。

翌日も、その翌日も、ファミチキと納豆巻1個。

「固定ですね。考えるのが面倒くさい。」

「作画中は特にそれ以外に気が散る事を入れたくないので。」

◆頭の中はマンガを描くことでいっぱい

>>>締め切りまで1週間

この日も会っていたのは担当編集者金城さん。

描いたネームを金城さんがチェックしていく。

意見をぶつけ合いながら直していく。

金城)米代さん、直すと絶対良くなるから。そこは安心してやってます。より良くなるっていうのを信じてるから。それが一番良い漫画家さんだなって思います。

打ち合わせで出たアイデアや直しを書き留め、メモ帳を埋めていく。

このメモ帳、ずっと同じものを使い続けている。

「2012年から全部このタイプのノート。」

色違い多数あり。

さらに、デビュー前から使っているバッグと10年物の定期入れ。

なにより驚かされたのが、玄関には黒いくつが一足だけ。

「これ(黒い靴)は6年くらい。」

コンビニに行くときも、夜道を歩きまわるときも、この一足の靴を6年間履き続けている。

その理由はマンガへの強い思いからだった。

「買い物がまず好きじゃない。何買おうみたいな、そこに思考を割かなくてもいい部分だから。」

余計な思考は要らない。

◆遊びの約束は月3回まで

>>>月刊スピリッツ!坪内崇編集長との飲み会に参加。

編集長)男性からしたらスゴイ意外性のところを描いてくれてるんで、だから男性誌で描いてる意味があるなと思う。

米代)嬉しいです

楽しそうな笑顔を見せ、お酒も進む。

しかし、

「すごい仲いい人とかじゃない限り、大体月3回まで位にしようとしてて、それ以上だと結構気持ち的にしんどくなっちゃったりとかして仕事に支障が出るので。」

「しゃべっててすごく楽しいし、人に対してスゴイ興味とかもあるんですけど、会ったらその人にスゴイ楽しんでもらおうとするし、嫌な時間にしたくないっていう風に思うし、それで、反動ですごい疲れちゃうんですよね。」

*金城さんは除く

◆瞳に心を描く

>>>締め切り5日前

ネームを元に作画作業が始まった。

作画中はアシスタントを呼び、分担して作業を進めていく。

アシスタントには主に背景を任せている。

米代が描くのは物語の登場人物。

コマ割りの書かれた原稿の上に紙を敷き、まずは人物の輪郭を描いていく。
紙を裏返し、今度は裏面に描いていく。
裏から見ることでデッサンの狂いを確認しながら修正を入れていく。

表に戻して裏面に入れた修正を確認。
表側にさらに修正を入れる。

これを何度も繰り返し徐々にデッサンを完成させていく。

こうして完成した絵を元に原稿用紙に下書きを描いていく

「だいたい一発で描けなくて。何回も違う紙にしながら描いていくっていうのが1番自分の良い形に辿り着けるやり方です。」

納得いくまで何度も描きなおす。

中でも拘っているのがキャラクターの瞳。

「キャラクターが抱いている感情に従って瞳をどう描くかが決まってくるっていう。別にセリフが無くても瞳の描き方とかでそこが印象的なシーンになったり。この感情だからこの瞳みたいな感じの描き方は特にしてないというか、その都度その都度結構変えてますね。」

喜び、悲しさ、戸惑い、虚しさ、米代が描く瞳に一つとして同じものはない。

>>>締め切り当日

最後の仕上げ作業はパソコンを使う。

「ベタ塗ったり、トーンを貼ったりとか。」

《ベタ塗り》ある範囲内を黒一色で塗りつぶす事
《スクリーントーン》一定の比率で様々なパターンが印刷されている特殊なシール状の画材

さらに絵の修正も行う。(目の位置を少し下げたり)

そして、合計34ページ。1回の連載分の原稿が完成。

これを担当編集者金城さんにメールで送り納品する。

「送りました~!」
「終わりです!」

こうして毎月約180時間かけて1話が作られる。

今や毎月の連載を待つ多くの読者がいる。

しかし、

「もともとこの話自体も金城さんが喜んでくれたら嬉しいなみたいな。そういう感じで描きだして。普通に金城さんが面白いって言ってくれるのが1番嬉しいから。」

「1個1個の話を面白くして、喜んでもらいたいみたいな感じ。」

◆金城さんに面白いと思ってもらえるものを描く

大衆に合わせるのではなく、まず、目の前の人を喜ばせる。

◆売れたい

金城)売れないと一緒にいる理由が無いからね

米代)そうそうそうそう。

金城)友達になりたいと思ってやってない。やっぱ漫画家と編集担当でやってたい。

米代)私が全然売れなくてくすぶってたら、金城さんはもっと他の売れる才能のある人間の方とやると思うし、それぐらいの緊張感を持ってやった方が頑張れるかなっていう

金城)米代さんが他の担当の人とさ、めっちゃ売れてたら、私多分遊べないと思うんだけど。

次の締め切りに向けて二人だけの打ち合わせがまた始まった。

売れる漫画を作るため。一緒にいる理由を作るため。

↓米代恭が描いた「セブンルール」オリジナルマンガをYouTubedeで配信中だそうです。

https://matome.naver.jp/odai/2151088763759857601
2017年11月20日