好きな漫画をめっちゃネタバレしつつ紹介する。「BLUE GIANT」

chikkis
好きな漫画をネタバレしつつ紹介します。ジャズの漫画 BLUE GIANT note版はこちら https://note.mu/koumuin1041/n/nccbaa1dbf494

世界一のジャズプレイヤーを目指す高校生、宮本大(みやもとだい)の物語です。

現在、日本編が10巻まで、続編となるドイツ編が2巻まで出ています。

この漫画の魅力は、「キャラとセリフと表現」でしょうか。

キャラが「いい奴」ばかりで、熱くなるセリフ回しに魅力があります

仙台編

主人公は宮本大。高校生です。

まっすぐな性格で、高1のときジャズのサックスを見て一目ぼれ。

部活はバスケ部でしたが、サックスは独学で暇さえあれば吹いていました。

ジャズへの愛があふれており、河原でひたすらに吹いていたところ

それに何かを感じた通行人が、ジャズバーを紹介し、そこで、口の悪いおじさんに出会います。

このおじさんは大の「師匠」となり、パワーこそあるがめちゃくちゃな演奏技術の大をスパルタ
教育します。

この師匠はかつて大と同じように世界一のジャズプレイヤーを目指していました。

しかし師匠曰く

「つぼみが大きく膨らんだが…咲かなかった」。

大には厳しくあたりますが、一方で大の才能を認めています。

大が故郷仙台を離れ、ジャズプレイヤーを目指すため上京することを決めました。

最後のレッスンの日、師匠は大に言います。

「お前のサックスの評価だが、10点満点で評価すると・・・

技術1点 他と合わせる力1点、メロディー1点 総合力1点

でも咲いてる。

とてつもなく小さい芽だし、時々しか咲かないが、咲いてるんだ。
お前はハナっから咲いてんだ。

大ありがとう、お前のおかげで俺はまたジャズを好きになった。

仙台を離れるお前に、おれは1つだけ願う。

お前はずっとずっとずっとジャズを好きでいろよ。」

大には兄と妹がいます。

このサックスは、兄が買ってくれました。

妹は、優しい上の兄が大好きで、自分にすぐ意地悪をする大を嫌っている態度こそとりますが、

心の中では大のことも大好きでした。

大が東京行きを決めたとき、妹は寂しさのあまり

「どうせうまくいかなくてすぐに戻ってくるに決まってる」と強がります。

父親が「どうせ東京に行くんだから、最後に家族の前で演奏してくれ」とお願いします。

そこで大は、父、兄、妹の前でサックスを演奏します。

この様子は妹のナレーションが物語っています。

「お父さんとでっかいお兄ちゃんは、ビックリしてナゼかうれしそうでした。

彩花はちっとも楽しくありませんでした。

兄ちゃんの演奏を聴いて、彩花はハッキリ分かりました。

もう、帰ってこないんだって。

兄ちゃんはもう帰ってこないんだ。」

そして大はジャズプレイヤーを目指し東京へ…

大の師匠
家族の前での演奏
家族の前での演奏
家族の前での演奏

東京編

大は高校時代の仲間、今は進学して大学生としてキャンパスライフを送っている玉田のもとに身を寄せ、バイトをしながら自分と組んでくれる人を探し回ります。

そこで出会ったのが沢辺雪祈(さわべゆきのり)。

大とほぼ同い年の超天才的なピアニストですが、見た目、言動、態度がチャラついています。

「才能ある者同士が互いを踏み台にして才能を伸ばすのがジャズ」

という考えをもっており、必要なのは才能、才能を持っていないやつはゴミだとも言います。

しかしその言動に見合うだけの実力を持っているのも事実ですし、何よりもジャズを愛しているのも事実です。

ジャズを始めてから数年という大を馬鹿にし、なかば冗談のように「自分と組めるかどうか試しに見てやる」と大のサックスを聞きます。

聞いたのち「まあ、とりあえず今日は帰れ」と大を無理やり押し返します。

大が帰ったのち、ユキノリは大の努力の結果と才能に、大粒の涙を流して悔しがります。

それほどにジャズというものに対しては真摯なのです。

チャラついた見た目、言動に反して、アルバイトを掛け持ちしながら安いボロアパートに住み、日常の全てをピアノに捧いでいるのです。

そしてバンドを結成。

考え方の違いで大と衝突することもしばしば。

ユキノリがジャズをやる理由は「馬鹿にしてきたやつらを見返すため」

だからこそ、それを示すために才能ある人だけを必要としていました。

バンドのファンも定着したころ、あるジャズ界の憧れの大物に会うために、ファンの人たちのサインをぶっきらぼうに断ってその人に会いに行きました。

そこでユキノリはその憧れの人に真正面から批判されます。

「君のピアノは面白くない 人を馬鹿にしたような態度、演奏、全てが不快だ」

ユキノリは、自分の今までの振る舞いや言動を振り返ります。

そしてユキノリが次にしたことは、
サインを断ってしまったファンに会いに行くこと。

その方は豆腐屋のおじさんでした。夜が明けない時間から、冬の冷えきった水に手を突っ込み一丁ずつ豆腐を丁寧に仕込みます。

「こういう人が…こういう人が、聴きに来てくれてるんだ。

遅くなってすみません。これ、自分のサインです。

次は…もっと良い演奏しますので。」

こうしてユキノリは、人間として、ピアニストとして成長していきます。

ユキノリの成長
ユキノリの成長

ただ、バンドにはドラムが必要です。

このドラムは誰が入っていたのか…

それは、大が身を寄せていた家主、玉田です。

当初は、才能こそが大切だとするユキノリには一切相手にされていませんでした。

そもそも玉田は大学に入って大のサックスを聞くまで、スティックすら握ったことがありません。

ただ、大学の仲間たちが無気力に適当に大学生活を送っていたこと、大のサックスに向かう姿に心を打たれ、一から勉強し、没頭します。

大、ユキノリとは比較もできない程下手なものですが、ユキノリもその姿を認めていきます。

やがて、3人で大勢のお客さんの前で演奏することも多くなってきても、演奏後に声をかけられるのはエネルギーを持つ大と、ルックス的にも女の子にモテるユキノリばかり。

そんな中、自分はこのバンドにいてもいいのだろうかと悩んでいると、演奏後におじさんが話しかけてきます。

「ボクは君のドラムを、成長する君のドラムを聴きに来ているんだ」

初心者・玉田
初心者・玉田
最初の「才能こそ全て」時代のユキノリは否定的

しかし何とか役に立ちたいともがく玉田の目には涙

でも・・・
ユキノリは玉田の努力を認めていますし、バンドメンバーとして欠かせないと思うようになります。

しかし、バンドを襲う悲劇が…

上記でも触れた、ユキノリが憧れていた大物のジャズプレイヤー、平さんがいます。

平さんは日本一のジャズバー、So Blueを運営している人で、その舞台に立つことがユキノリの最大の目標でした。

平さんはユキノリに対して辛辣に批判をしましたが、ある意味、期待の裏返しでもあるのです。

そのジャズバーで世界的に有名なジャズアーティストが舞台に立つ予定でしたが、そのバンドのピアニストが事情により出れなくなってしまいます。

そこで平さんは「面白い人がいるのですが」とユキノリを指名。

ユキノリは幼いころからの念願のSo Blueに立ちます。

そこでしっかり自分の力をアピールしたユキノリ。次はバンドでSo Blueに出させてもらうことが決まりました。

言ってみれば、芸歴1年目の芸人がM-1決勝の舞台に立つようなものです。

大、玉田、ユキノリの3人はSo Blueでの舞台での演奏に向けて練習を重ねます。

公演前日。

ユキノリは深夜の交通整備のバイトをしていました。

そこに、飲酒運転のトラックが追突。

ユキノリの真正面に衝突します。

すぐに病院に運ばれますが、指がグシャグシャにつぶれ、So Blueはおろか…

ユキノリは強がりこそしますが、少なくとも数年はピアノを弾くことも出来ないほど深刻なけがでした。

結果、日本一の舞台So Blueには大と玉田だけが立ちました。

演奏した曲は、ユキノリの作曲した曲。

大喝采を浴び、二人はSo Blueを後にしますが、そこにかつてユキノリを真正面から非難した平さんが声をかけます。

「意味のあるライブだった

とても  意味のあるライブだった」

病院に戻った大と玉田。
ユキノリが、現実的にバンドの存続が出来ないことを確認し

解散します。

そして大は、ロンドンに向かいます。

飛行機で立つその直前、ユキノリに電話します。

「オレは、お前のピアノが好きだ。もしかしたら、オレが一番のファンだ」

「うるせえよ、バーカ・・・」

ユキノリは号泣します。

「早く治ることを毎日祈る。何かあったらオレを呼べ。そん時はすぐに帰るから」

「大、行け。」

こうして日本編が終わり、ロンドン編へと続いていきます。
ロンドン編はまだ2巻しか出ていませんので割愛。

玉田・ユキノリとの別れ
玉田・ユキノリとの別れ

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この漫画の魅力に

キャラとセリフと表現 と挙げましたが、その全てが最高レベルです。

キャラに関しては、ジャズというものに真正面からぶつかっていく大。

熱血キャラによくある悪い意味の「馬鹿」ではなく、信念と情熱をもっており、決して行き当たりばったりで決めるような人ではありません。
友達思いで、「こんな友達がいたら」と思わせるようなキャラクターです。

チャラついてはいるが、それに裏付けされたピアニストとしての実力をもつユキノリ。
東京編のもう一人の主人公と言っていいかもしれません。
はっきり言って横柄な態度で最初は嫌いでしたが、
横柄な言動の全ては、ジャズを極めるという信念のもとに発せられているもので、
いつの間にかこのユキノリという男を認めているどころか、心から応援している自分がいるのです。

そして玉田。大学からドラムを始め、2人の天才に交じる「ただの素人」です。
音楽をやっていない人もこの漫画にハマるのはこの玉田の存在が大きいです。
「実は隠された才能があった」などではなく、才能0努力100のキャラで、
大とユキノリに少しでも近づこうとする姿勢が涙を呼びます。

そしてセリフと表現。

上記で太字であげたセリフはほんの一部ですが、それが絵とマッチして「渋い」感動とでもいいましょうか

心に響く思いセリフとなっています。

音楽表現については多くの人がこう評しています。

「音が聞こえてくる漫画」

こればかりは、読んでもらわないと実感できないと思いますが。

最後に、名台詞を集めたサイトがありましたので紹介させていただきます。

https://meigen-collector.com/blue-giant/

個人的には紹介している漫画も含め全ての漫画の中で一番の漫画だと思っています。

https://matome.naver.jp/odai/2150451590040681801
2017年09月04日