セブンイレブンが食料品スーパーを食いつぶす?新たな展開への攻勢と課題とは

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セブンイレブンが今年から新レイアウトでの店舗を展開しています。今後4年間で半分程度の店舗を新レイアウトに切り替える方針。今回のレイアウト変更で攻勢をかけるセブンイレブンと、他の業界へ与える影響、課題をまとめてみました。

セブンイレブンの新レイアウトがコンビニをミニスーパー化する

これらの新レイアウト店舗と既存の店舗との大きな違いは、冷凍食品や生鮮品といった、食料品スーパーが得意とする商品群の品揃えを特に強化している点です。この施策の狙いは、ここ5、6年で獲得が進んでいる主婦・高齢者客の更なる囲い込み。つまり、食料品スーパーからの顧客奪取です。
セブンも全面対決へ。コンビニが殺そうとしている「食料品スーパー」 – まぐまぐニュース!

以下に紹介する表は、食品や生活必需品といった商品群の、平均的な年間支出金額を調査したもの。なお、表の右側にある「CVS取扱い」とは、既存コンビニの取扱い状況を独断で評価したものです。
セブンも全面対決へ。コンビニが殺そうとしている「食料品スーパー」 – まぐまぐニュース!

生鮮野菜・生精肉・生鮮魚介といった、食料品スーパーの得意分野である商品群に関して、既存のコンビニがいかに弱いかが、これを見ればよくわかると思います。家計のなかでも大きなウエイトを占めている、これら生鮮品の取扱いの強化、いわゆるミニスーパー化で、コンビニは更なる集客と売上アップを狙っているわけです。
セブンも全面対決へ。コンビニが殺そうとしている「食料品スーパー」 – まぐまぐニュース!

レイアウトの新旧の違い

従来の店舗は、入り口を入ると左手にレジカウンターがあり、右手に雑誌が配置されるケースが大半でした。雑誌を立ち読みする人が外から見えるようにして、来店を促す仕組みです。カウンターの近くには、お弁当やチルドの棚があり、カウンターの反対側には飲料が入る大型冷蔵庫があります。店舗物件の間取りにもよりますが、基本的にはどの店舗もこの方針に沿って棚を配置してきました。
セブン‐イレブンが店舗のレイアウトを全面刷新へ その狙いとは?(THE PAGE) – goo ニュース

新しい店舗では、入り口の右側に雑誌があるという点は同じですが(もしくはイートイン)、雑誌のスペースは大幅に縮小され、一方、入り口の左側は冷食の棚となります。また、レジカウンターは奥に移動し、おでんや揚げ物、コーヒーを拡充するためカウンターが3割ほど長くなります。全体を通してみると、雑誌のスペースが縮小し、冷凍食品とファストフードが大幅に拡充されていることが分かります。
セブン‐イレブンが店舗のレイアウトを全面刷新へ その狙いとは?(THE PAGE) – goo ニュース

セブンは新レイアウトを今後展開していく方針

セブン‐イレブンは店舗レイアウトの全面刷新を打ち出しており、今期中に新レイアウトを新店で1000店、既存店で800店、展開する予定です。2021年までには既存店のうち1万店が新しいレイアウトになる計画です。セブンの店舗は全国に約1万9000店ありますから、4年間で半分近くが新レイアウトになるわけです。
セブン‐イレブンが店舗のレイアウトを全面刷新へ その狙いとは?(THE PAGE) – goo ニュース

社会構造の変化に対応

10年前には20~30代が中心だったコンビニの客層は大きく変わった。セブンイレブンでは現在、40代以上が来店客の5割強を占め、高齢者や働く女性も増えて客層は多様になっている。新レイアウトの店舗では家庭の夕食に使える冷凍食品や暮らし全般に関わる日用品などの品ぞろえを充実させ、幅広い需要の取り込みを目指す。スーパーやドラッグストアなど異業種との競争は一段と激しくなりそうだ。
セブン、ゆったりコンビニ3割広く 郊外向け新型店  :日本経済新聞

一連のレイアウト変更の背景にあるのは、社会構造の変化です。女性の社会進出が進み、食品類をコンビニで買いたいというニーズが以前よりも高まっているからです。この分野は「中食」と呼ばれていますが、これは、飲食店で食べる「外食」と、家庭で料理する「内食」の中間という意味で、調理された食品を家に持ち帰って食べる形態の事を指します。
セブン‐イレブンが店舗のレイアウトを全面刷新へ その狙いとは?(THE PAGE) – goo ニュース

「中食市場」の拡大に対応

新レイアウトの店舗で特徴的なのが、弁当や惣菜といった「中食」の売り場を大幅に拡充していることだ。背景にあるのは、「中食需要の拡大」と「食の外部化」である。日本惣菜協会によると、2016年の中食市場は9.8兆円で前年比2.7%増加している。共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化の進展などによって、自炊の手間を省く人が増え、中食市場が拡大している。
店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2/4

一方で雑誌や書籍、雑貨品の売上は減少傾向

同じ理由で、冷凍食品の需要も増えている。セブンでも16年の冷凍食品の売上高は、10年前の06年と比べ、実に4.7倍も増えた。中華まんや揚げ物などのカウンター商品も2.6倍増えている。一方、雑誌や書籍は約6割減少し、雑貨品は約2割減った。
店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2/4

新レイアウトのセブンでは書籍コーナーは縮小

新レイアウトのセブンイレブン、窓際に雑誌なし。ひとつの文化の終焉を象徴してる… pic.twitter.com/EoqWqxd0iY

大手コンビニは大口の顧客、この刷新されたレイアウトでは書籍の棚はかなりの縮小を強いられます。
ただでさえ本が売れない時代にコンビニの書籍棚という貴重な市場を奪われる雑誌業界
本をコンビニで買うという習慣さえなくなってますし…
これが雑誌業界へのトドメになってしまうのでしょうか
セブンイレブン店舗レイアウト全面刷新!書籍コーナー縮小で雑誌の危機

今のセブンの集客力を考えれば、雑誌の立ち読み客でわざわざ繁盛感を出す必要はなく、売り上げが激減している雑誌のために窓際の広いスペースを確保する理由はないのだろう。
店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2/4

「イートイン」コーナーを設けることも中食市場拡大への対応

中食需要の高まりとともに、イートインへの対応も迫られている。イートインは、ゴミを自宅に持ち帰りたくない単身者や、カフェ代わりに使いたい女性らに支持されている。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170531-OYT8T50042.html?page_no=3&from=yartcl_page

中食で簡単に食事を済ませたい消費者志向を巡って、ファストフード店はもちろん、スーパーとの競争も激しさを増しているのだ。
店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 3/4

売上を伸ばすために生産性が高い業態を狙った理にかなった戦略

以下の表は、コンビニをはじめとした様々な業態における「1事業所あたりの年間商品販売額」と「売場面積1平方メートルあたりの年間商品販売額」をまとめたものです。
セブンも全面対決へ。コンビニが殺そうとしている「食料品スーパー」 – ページ 2 / 3 – まぐまぐニュース!

表を見ると、コンビニの売場面積あたりの売上が非常に高いことが分かります。お客さんが欲しい商品を欲しい時間に陳列するという、まさに「便利なお店」を極限まで突き詰めたことで、ここまでの高い生産性をたたき出しているのです。
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いっぽうで、食料品スーパーやドラッグストアといった業態も、コンビニに次いで高い生産性を誇ります。コンビニ業界が「生産性は多少犠牲に(店舗面積を大きくする等)したとしても、他業態が持っている売上を奪いたい」と考えた時に、どの業態と提携(コラボレーション)するのが魅力的で成功しやすいか。それは、生産性がかけ離れている衣料品スーパーや住関連スーパー(ホームセンター等)ではなく、生産性が比較的高い食料品スーパーやドラッグストアであることは自明でしょう。
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新レイアウトによって平均日販「70万円の壁」突破を目論む

セブンの全店ベースの平均日販(1日当たりの平均売上高)は、長らく60万円台で推移しており、17年2月期は65万7000円だった。同業他社より10万円程度多いとは言え、なかなか「70万円の壁」を越えられないのが実情だ。セブンでは、店舗レイアウトの刷新が日販を3~4万円押し上げる効果があると見ており、期待通りの効果が得られれば、いよいよ「70万円超え」が視野に入ることになる。
店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 4/4

ミニスーパー化したコンビニの課題は「鮮度を守るための物流」

生鮮品は言うまでもなく「鮮度が命」です。そのため食料品スーパーでは、例えば精肉なら各店舗のバックヤードで新鮮な塊の肉を切り分け、すぐさまパック詰めにして、鮮度が良いまま売場に並べています。
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現状では食品スーパーに鮮度は勝てない

ところが、物流センターを経由して各店舗に商品を行き渡らせるという、現状のコンビニの物流体制だと、温度管理ができるトラックによる配送が各店舗に1日3回が限界といったところ。これでは食料品スーパーに並んでいる生鮮品の新鮮さには勝てません。
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また、食料品スーパーと同様に店内バックヤードで加工するというのも、コンビニの生命線であるアルバイト中心のローコスト運営オペレーションが崩れてしまうため、現実的ではありません。ミニスーパー化の成功にはやはり、これまでのコンビニのインフラ・強みを活用したうえでの、物流面における革命的な変化が必要となってくるでしょう。
セブンも全面対決へ。コンビニが殺そうとしている「食料品スーパー」 – ページ 3 / 3 – まぐまぐニュース!

「コンビニのミニスーパー化」に対抗すべく、「スーパーのコンビニ化」も進んでいる

イオンは、都心部などで小型の食品スーパー「まいばすけっと」を展開し、コンビニ客の取り込みを図っている。まいばすけっとに限らず、同様の小型スーパーは近年、増加傾向にある。そういう意味でも、「コンビニのスーパー化」「スーパーのコンビニ化」が進み、業界間の垣根はなくなりつつあると言える。
店舗大刷新のセブン 挑む70万円のカベ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 3/4

セブンが「新レイアウト効果」でファミマ、ローソンを突き放すのか。それとも、業界再編を図るファミマ、ローソンがセブンに肉薄するのか。他業界も巻き込んだ競争はさらに激化しそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170531-OYT8T50042.html?page_no=4

ただ、コンビニとスーパーの争いの中でドラッグストアが猛追してきている

ドラッグストア業界は、少子高齢化などで国内需要が先細る日本で、毎年成長を続ける数少ない小売市場だ。2016年度の市場規模は前年度比5.9%増の6兆4916億円。百貨店の市場規模を上回り、コンビニを猛追している。
ドラッグストアが「日本最強」である理由 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

ドラッグストアは利益率が高い医薬品・化粧品を扱える+食料品や日用品は客寄せの道具

好調の理由は一言でいうと規制があるからだ。医薬品は販売するために薬剤師など専門知識を有する人材が必要で、化粧品も参入障壁がある。誰でも参入できる業界ではなく、コンビニやスーパーのような自由競争の市場とは環境が違う。
ドラッグストアが「日本最強」である理由 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

さらに、利益率の高い医薬品や化粧品で稼げるので、食料品や日用品では儲けられなくても問題はない。客寄せやついで買いの客をひきつけられればそれでよいため、そのぶん価格も安い。競合であるコンビニやスーパーからすれば、武器を持った相手と素手で戦うような状況なのだ。
ドラッグストアが「日本最強」である理由 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

「医薬品・化粧品を扱う」ドラッグストア+「新鮮度が高い」スーパー+「便利な立地」コンビニができるのか?これからの課題

https://matome.naver.jp/odai/2150449778628758201
2017年09月04日