前回
『チームラボ』と猪子寿之さん。
すでに、超有名といって過言ではないチームラボ。その中心、猪子寿之さんも超有名人! 海外でも超高評価。そんな猪子さんは徳島生まれ。東大在学中にチームラボを立ち上げます。
おそらく現在、チームラボはどのクリエイティブチームよりもワールドワイドな活躍をしています。
心に残る話も上手な猪子さん。ときに人は、日本のジョブズと呼びます。この人はきっと歴史に名前を残すでしょう!
1996年3月に徳島県立城東高等学校卒業後、東京大学教養学部理科1類に入学。教養学部時代に1年間、アメリカに留学。
帰国後、工学部応用物理・計数工学科に進学。計数工学科の同級生と共同でチームラボを立ち上げる。2001年3月、東京大学工学部応用物理・計数工学科卒業。チームラボを会社組織とし、代表取締役に就任。2016年4月、四国大学特任教授に就任。2017年、芸術選奨新人賞受賞。
猪子寿之 – Wikipedia
破天荒で自由。当代きってのトップクリエイター。
徳島市で歯科医院を開業する家に生まれた。父は科学好きの職人肌。祖父は政治や芸術が好きで、祖母は敬虔(けいけん)なプロテスタント、母は熱心な真言宗の信者だった。
Globe紙より。意外な幼少期ですね!
チームラボは2000年の年末、代表を務める猪子寿之氏が、「インターネットの誕生に衝撃を受けた」こと、そして「友たちとずっと一緒にいたかった」ため、東大の同級生であった堺大輔氏、東工大に通ってた幼馴染の吉村譲氏(いずれも同社取締役)ら5名とともに同社を設立したことに始まります。
アート×テクノロジーの時代
例えば、『ONE PIECE』の“麦わら海賊団”。船長のルフィは船が操縦できなくて、航海士のナミがいないと死んでしまうので、仲間は絶対的な存在です。そういうふうに、生きるために仲間が絶対に必要な状況、かつ、そんな仲間に迷惑をかけたくないから共に成長していくというのは、理想的な状況だと思います。僕もそう生きたいと思って、チームラボを創りました。
リレーエッセイ Vol.94 猪子 寿之さん|オデッセイ コミュニケーションズ
麦わら海賊団!とってもすてきなチームなのでしょうね。四皇はここから拝借。
凄い成功の数々
teamLab(2001年、Inoko Toshiyuki)は、芸術、テクノロジー、デザイン、自然の融合を目指す共同研究を行う学際的なグループです。 歴史的な日本芸術の伝統に根ざしたチームラボは、超主観空間と呼ぶ空間的な感覚を主軸に動いています。彼らは情報時代の行動を研究し、社会発展のための革新的なモデルを提案します。
Pace Gallery – “Living Digital Space and Future Parks” – teamLab
アメリカの大手ギャラリー、ペースギャラリー(翻訳)
本場ニューヨークでの個展、「teamlab:Ultra Subjective Space」は大成功を収めた。会場となったペースギャラリーは、現代美術を牽引してきたギャラリーであり、ウィレム・デ・クーニングやヨーゼフボイス、ゲオルグ・バゼリッツ、ジャン・ミシェル・バスキア、デイヴィッド・ホックニー、そして杉本博司まで名を連ねるトップギャラリー。
https://www.amazon.co.jp/アート×テクノロジーの時代-社会を変革するクリエイティブ・ビジネス-光文社新書-宮津-大輔/dp/4334039944
近年のアート界での、日本勢最高の活躍といえるかもしれません。
私見ではチームラボの作品群はむしろ日本的な想像力、アジア的な想像力をオリエンタリズムから解放する力を秘めている。便利なマジックワードによって神秘化されてきたものを明晰な論理によって可視化し、大胆なアイデアによって挑戦的な表現に結実させているのが猪子寿之とチームラボの活動だと言えるだろう。
企画展の見どころ 評論家 宇野 常寛 | チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
評論家 宇野 常寛さんのコメント
心に残る、鋭い発言にも注目です。
要は、それまでのビジネスじゃ「愚の骨頂だ」って言われていたことが、そうじゃなくなるターニングポイントがあるってことなんじゃないかな。ビジネス的に著しく合理性が欠落しているモノづくりが、突然「いいね」に変わるというか。今って、その変わり目を迎えてるんですよ、きっと。
「愚の骨頂だったことが『いいね』に変わる」猪子寿之が見据える、次の時代のクリエイティブ【特集:New Order_10】 – エンジニアtype
突然のいいね。
語弊もあるような言い方かもしれないけど、パッと人類の歴史を振り返ってみると、歴史に名を残したのって、新しい国を造った人か、科学者か、アーティスト(芸術家)ぐらいなんだよね。なぜなら、サイエンス(科学)もアートも人類を変えてきたから。
猪子寿之氏「アートは“カッコいい”の基準を動かし人類を変える」 | 『週刊ダイヤモンド』特別レポート | ダイヤモンド・オンライン
言い切れるのがかっこいい!でもたしかにそうですよね。
美しい作品の数々
実際には見たことがないものもあるのですが、私の好きな作品たちの紹介です!
憑依する滝/ Universe of Water Particles
もし、ビデオカメラで切り取った本物の滝よりも、本作の滝の方に、より鑑賞者と作品世界との間に境界線がなくなるような、作品世界に入り込むような感覚、もっと大胆に言えば、その線の集合にすら生命体だと感じ、まるで鑑賞者が滝に憑依するかのような体験をするならば、前近代的な日本の「世界の見え方」と、そこから発生する「世界に対するふるまい」とのつながりが見えてくる。
憑依する滝 / Universe of Water Particles | teamLab / チームラボ
線の集合体すら生命体。難しいですが、なんだか感動します。
花と屍 剥落/ Flower and Corpse Glitch Set of 12
我々が「超主観空間」と呼ぶコンセプトの基、つくられた映像作品。「自然と文明の衝突、循環、共生」をテーマにした絵物語の12幅からなり、それらのビジュアルが剥落し、作品の裏側が浮かび上がる。
作中の竜、ヤマタノオロチは『日本書紀』『古事記』など日本神話に登場する伝説の生物。本作は日本における神話をモチーフに、自然の恩恵と畏怖、古代日本の世界観を表現している。
花と屍 剝落 十二幅対 / Flower and Corpse Glitch Set of 12 | teamLab / チームラボ
やはり徹底して日本が題材ですね。
本作品では、あえてそのテクスチャー(表面)を剥ぎ、制作プロセスを垣間見せることによって、ふたつの示唆をしている。ひとつは「超主観空間」のコンセプトをより強く表現している。そして、ふたつ目は、情報社会という今日の新しい社会においても、文化の本質的な部分は連続するために、多くの新しく生まれてきたことが、前の社会から連続してきたもののように一見すると見える。
しかし、そのような一見連続的に見える事柄も、その裏側にある構築方法では、まったく違う概念とテクノロジーによって構築されている。つまり、連続的に生まれてくることも、実はその作り方、方法論は、まったく違っているということを剥落によって見せるプロセスが示唆している。
花と屍 剝落 十二幅対 / Flower and Corpse Glitch Set of 12 | teamLab / チームラボ
つまり表面と裏側が一致しない、ということでしょうか。
世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返されつつ、いつも違う United, Fragmented, Repeated and Impermanent World
インターネットによって人々と作品の関係は変化し、人々は作品に参加し一体となってきている。
『Nirvana』を発展させ、繊細な線で描かれた升目画の世界と、升目ごとに抽象化された世界とが、鑑賞者の存在により入り混じるインタラクティブ作品。
升目をピクセルとして見立て、空間が動いていきながらも、画面内で固定化された升目で抽象化していていくという新しい視覚効果を作り、鑑賞者の存在によって、繊細な線で描かれた升目画の世界と、升目によって抽象化されて描かれた世界とが入り混じる。
世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う / United, Fragmented, Repeated and Impermanent World | teamLab / チームラボ
追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく
四方と下方が全て映像に囲われたインタラクティブデジタルインスタレーション作品。 光で描かれた八咫烏が空間を飛び回り、その軌跡が光跡となり光の空間に描く書『空書』を描いている。カラスが互いに追い追われる。追うカラスも、やがて追われる側になり、追いつかれカラス同士ぶつかると、カラスは散って花となる。 また、カラスは、鑑賞者を把握しよけながら飛んで行くが、よけきれずに鑑賞者にぶつかると同じように散って花となる。
https://www.teamlab.art/jp/w/crows_blossoming_on_collision
同作はアニメーター板野一郎が『伝説巨神イデオン』や『超時空要塞マクロス』のドッグファイト描写の作画で確立した「板野サーカス」へのオマージュだ。日本画的空間把握で記述されたデフォルメ空間を用いた板野の手法を三次元空間で再現することによって、自由に視点を広げ、実際の空間として再構築することを試みている。
企画展の見どころ 評論家 宇野 常寛 | チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
猪子はロボットアニメの手法――つまり、キャラクターを動かすために発達した板野サーカスの手法を、キャラクター的な感情移入装置を解体していくために用いているのだ。猪子はここでカラスたちの生と死を通して私たち自身の身体をマリオと化すことの快楽を、すなわち世界の一部に同一化する快楽を描いているのだ。
企画展の見どころ 評論家 宇野 常寛 | チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
やはり、様々な出展があるところが、チームラボの深みでしょうか。
花と我と同根、庭と我と一体 / Floating Flower Garden
鑑賞者の動きに合わせて浮遊する花々が、空間に埋め尽くされた庭園。
鑑賞者が、生きた花が埋め尽くされた展示空間に入っていくと、近くに浮遊している草花は、一斉に上がっていき、鑑賞者中心に半球状の空間が生まれる。つまり、空間は花に埋め尽くされているが、常に鑑賞者中心に半球上の空間が出現し続け、鑑賞者は内部を自由に動き回ることができる。複数の鑑賞者が互いに近づくと、ドーム空間はつながり、空間はひとつになる。本作は、鑑賞者が花の中に埋没し庭と一体化する庭園である。
https://www.teamlab.art/jp/w/ffgarden/
幸福に没入できそうです。
9月10日まで、渋谷ヒカリエで大規模な展覧会!
ぜひ行ってみたいですね!
作品はこのサイトに詳しく書いてありました。
ニュースはここにたくさん載っています。
次の記事は、タクラムの田川さん。そのあと、ライゾマティクス、ザ・ユージーンと続きます!ご期待ください!
チームラボですでに息切れ気味ですが、続けます!
まずコンピューター上の空間に立体的な崖、滝壺を作り、そこに水を落下させる。流れる水は、粒子間の相互作用についても綿密な計算がなされているそう。