清水次郎長(しみずのじろちょう)「江戸時代・侠客列伝 3」

来栖崇良
〝海道一の大親分〟として、浪曲、講談、映画、芝居に取り上げられ人気を博した。そのため、虚と実が入り交じって、実像をとらえにくい部分もなくはない。しかし、幕末から明治の中頃まで、幾多の修羅場をくぐり抜けて73歳の生涯を全うしたのは、やはりひとかどの人物だったからに違いない。

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伝説のキッカケは余命5年
本名は山本長五郎、1820年(文政3年)2月14日、駿河国有渡郡清水の美野町に、船持ち船頭・高木三右衛門(雲不見三右衛門)の次男として生まれる。

母方の叔父で米穀商の甲田屋の主・山本次郎八の養子となったため、次郎八の家の長五郎、縮めて〝次郎長〟と呼ばれるようになった。

養父の死去により次郎長は甲田屋を継ぎ、最初の妻きわと所帯を持つが、旅の僧から〝余命は5年〟と言われ、太く短く生きようと賭博や喧嘩を繰り返すようになる。


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伝説の始まり
1843年(天保14年)、賭博のもつれで人を斬ったことから妻を離別し、甲田屋の家産を実姉夫婦に譲って、江尻の大熊ら弟分と共に故郷を捨て無宿人となる。

渡世人として諸国を旅し交際を広げた次郎長は、ほとぼりが冷めるのを待って清水港へ帰り一家を構えた。


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仲間の助太刀は迅速に
1845年(弘化2年)、甲斐の津向の文吉と次郎長の叔父・和田島太右衛門の出入りを調停して男を上げる。

翌々年には江尻の大熊の妹お蝶を妻に迎えた。

1858年(安政5年)甲州勝沼の祐天仙之助と江尻の大熊との間に争いが起き、次郎長と江尻の大熊は祐天の親分である甲府の三井卯吉を殺し役人に追われることになる。


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恩ある巾下の長兵衛が死ぬ
次郎長は清水を出奔、名古屋の巾下の長兵衛の家に厄介になるが、そこでお蝶を病気で亡くす。

更に、かつて次郎長が世話をしたことのある保下田の九六の密告で役人に踏み込まれ、次郎長は脱出したものの巾下の長兵衛は捕らえられ牢死する。


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仇は必ず討つ
復讐に燃える次郎長は1859年(安政6年)、知多半島に潜伏していた保下田の九六を殺害。

更に1861年(文久1年)、子分の森の石松を殺した都田吉兵衛を殺す。

こうした抗争の中で次郎長の勢力は拡大していった。

その前に立ちはだかったのが、甲州の黒駒勝蔵である。


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4年間におよぶ抗争
黒駒勝蔵との対立の根底には富士川、天竜川の舟運の権益を巡る争いがある。

山岳地帯から舟で下ってくる黒駒一家、清水港で迎え撃つ清水一家、次郎長と勝蔵の血で血を洗う争いは、1863年(文久3年)、捕吏に追われて遠州に現れた黒駒一家を、次郎長が大和田友藏に協力して甲州に追い払って以来、1864年(元治1年)の三河平井村の殺戮戦、1866年(慶応2年)3月の荒神山で次郎長一家対穴太徳・黒駒一家との戦い、同年6月の黒駒一家50余人による清水港急襲など4年間も続いた。

しかし、明治維新の動乱は2人の対立を歴史の大波に飲み込んでしまった。


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明治になってからは地域のために尽くす
維新後の次郎長は、有度山の開発、三保の新田開発、巴川の架橋工事、遠州相良での油田発掘、富士の裾野の開墾など、地域に尽くした人情家、社会事業家として活躍する。

1893年(明治26年)6月12日に病没した。

享年73歳。


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清水次郎長が登場する映画は数多い
代表的なものは

中川信夫監督「東海の顔役」
(1936年、市川右太衞門出演)

松田定次監督「任侠シリーズ」
(1957年、1960年、片岡千恵蔵出演)

森一生監督「次郎長富士」
(1959年、長谷川一夫出演)

など

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2019年05月19日