世論調査は本当に世論を反映しているのか?アメリカ大統領選挙からみる世論調査の限界。

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下馬評ではヒラリー・クリントン氏(民主党)有利との見方が圧倒的だったアメリカ大統領選で、ドナルド・トランプ氏(共和党)が「逆転」勝利を収めた。事前に州毎の選挙人獲得予想を明らかにしたアメリカの主要メディアは10社以上あった。

米国の世論調査業界は、この10年ほど予想を立てるのに苦戦するようになってきている。この国がどちらに傾きつつあるかを予想する従来の方法論は、どんどん通じなくなってきているのだ。
データと民意── “分析屋”Civisの、選挙と世論調査のリエンジニアリング « WIRED.jp

数々の世論調査の結果、民主党候補のヒラリー・クリントンがアメリカ大統領選で楽勝すると思われていたが、今となっては世論調査の予測モデルに問題があるのは明らかだ。現在データサイエンティストが大慌てでその原因を探っている
ソーシャルメディアの情報が世論調査よりも正確にアメリカ大統領選の結果を予測していた | TechCrunch Japan

◆2回連続「ほぼ完全的中」のネイト・シルバー氏が大敗北

中でも目を引いたのは、過去の大統領選で驚異的な的中率が注目されてきた「ファイブサーティエイト」のネイト・シルバー氏の予想だ。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

そのファイブサーティエイトの最終の予測では、70人近い差でヒラリー氏が勝利するとしていた。そして、同サイトが開票前最後に公開した「ヒラリー氏が勝利する確率」は実に71.4%に達した。対するトランプ氏はわずか28.6%だった。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

こうした現象が示す意味は「データに忠実であればあるほど、情勢を読み誤りやすかった」ということだ。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

専門家の予想の大半が完全に外れた背景には、いわゆる「隠れトランプ支持者」の存在が調査結果を歪ませる影響を与えた、とする分析が多い。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

トランプ氏は「ポリティカル・コレクトネス」(政治的公正さ)を無視した過激な課題提起を行い、それがためにKKKなどに代表される人種差別的主張をする勢力の支持すら得てきた。トランプ氏を支持すると名乗ることが、社会的にレイシストだと誤解されると恐れた「隠れトランプ支持」の有権者がかなりの数存在したのではないか、という見立てだ。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

結果として、いわゆるポリティカル・コレクトネスを無視した候補やその支持者には、ポリティカル・コレクトネスを前提に「建前」を聞くかのような従来の世論調査が通用しない、という新たな課題を突きつけられたのかもしれない。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

そもそも、選挙情勢を探る世論調査とは、不透明感や不確実性を排除するために行われるものだ。つまり、その調査の結果導き出された「全うな予測」がこうも外れるということは、調査が不確実性を抑えるどころか逆に増やすことになる。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

不確実性即ちリスクを値踏みし、あるいは払拭するためにやっている調査が、逆に疑心暗鬼を生じパニックを誘う原因を作ったわけで、私たちを含む世論調査の担い手には重大な課題が突きつけられている。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

こうした世論調査をめぐる問題自体は、実は突然降って湧いた問題ではない。昨年2015年にイギリスで行われた総選挙で注目され始めた問題だ。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

2015年イギリス総選挙では、当時のデービッド・キャメロン保守党政権とエド・ミリバンド氏率いる野党・労働党がいずれも過半数を取れない「ハング・パーラメント」の状態になる、との見立てが世論調査機関や報道機関の「相場観」だった。ところが、蓋を開けてみるとキャメロン保守党が大勝しただけでなく、大きな躍進が「危険視」されていた極右のUKIP(英国独立党)が1議席の獲得にとどまるなど「過去70年で最悪」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)と評されるほどの外れ方だった。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

今回のアメリカ大統領選がBrexitと同じようにならないか、という心配はアメリカでも事前に議論されてはいたが、専門家はアメリカで長く、多く積み重ねられた世論調査の実績など様々な理由を総動員して「イギリスとは違う」とする見立てを説明する向きが目立った。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

今回、図らずもこの「外れ世論調査」問題がイギリス以外でも発現する問題だということを、衝撃的な結果をもって突きつけられた
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

「社会調査」としての世論調査の限界をどう克服するか、これからのトランプ政権の行方と合わせて、重要な課題が浮かび上がってきた。
報道の敗北、トランプの勝利 「世論調査」はなぜ外れた?(米重克洋) – 個人 – Yahoo!ニュース

◆ソーシャルメディアの分析が有効か?

ソーシャルメディア分析サービスを提供する企業の多くは、彼らの方が上手く現実を把握できていたと共に、彼らはドナルド・トランプが選挙で勝つ可能性があるとずっと前からわかっていたと謳っている。
ソーシャルメディアの情報が世論調査よりも正確にアメリカ大統領選の結果を予測していた | TechCrunch Japan

調査会社の4C Insightsも似たような動向に気付いていた。本日のThe Wall Street Journalにも引用された同社のレポートによれば、10月初めから11月7日までの間、FacebookとTwitter上ではクリントンよりもトランプの方が支持されていたのだ。また、トランプに対する意見のうち、肯定的なものが58%を占めていた一方で、クリントンに関する肯定的な意見の割合は48%だった
ソーシャルメディアの情報が世論調査よりも正確にアメリカ大統領選の結果を予測していた | TechCrunch Japan

この結果を受け、将来の選挙ではソーシャルメディアがもっと注目を集めるようになるかもしれないが、同時にソーシャルメディアも全てを予測できるわけではない。だからこそ私たちには世論調査が必要なのだ。
ソーシャルメディアの情報が世論調査よりも正確にアメリカ大統領選の結果を予測していた | TechCrunch Japan

https://matome.naver.jp/odai/2147960168206364501
2016年11月20日