北海道最後のローカル線、豪雪地帯を駆け抜けた鉄路、深名線

87gottame
北海道の豪雪地帯を走り抜けた深名線。大赤字の中、道路整備が整っていないため廃線を免れてきましたが、平成7年についに廃線となりました。ここではたくさんの人を魅了した昭和の時代を駆け抜けた鉄路「深名線」について動画や貴重な写真でまとめてあります。

■深名線とは

函館本線の「深川駅」と宗谷本線の「名寄駅」を結んだ約121kmの路線

北海道の鉄道で最も寒いところを走る路線として有名でした
深名線

営業係数は常にワースト10に入るという大赤字の路線
深名線 – Wikipedia

始終着駅の名寄と深川を除けば、これと言って大きな街や有名な観光名所は無く、過疎化が進む小さな町や集落を、121.8kmのレールが細々と結んでいた。
深名線〜記憶の中の旅路〜

他の赤字ローカル線が次々と廃止される中、代替道路が未整備であるという理由でかろうじて存続したが、平成7年(1995年)9月3日の運行を最後に廃止された。
街道の行く先へ 深名線廃線跡

深名線の名寄~朱鞠内間は名羽線(未成線)の一部で、朱鞠内から羽幌に伸びる区間を運行される予定だった。
大日本ノスタルジィ鉄道 深名線

羽幌~朱鞠内間の工事は順調に進んでいたが、国鉄再建のため中止に至った

■深名線時刻表

昭和36年時刻表(下り)
昭和47年時刻表
昭和58年時刻表
平成7年時刻表(上り)、この年に廃線となった

■深川駅(ふかがわえき)

現役、函館本線の駅で留萌本線の起点駅でもある。
深川駅
日本

■円山駅(まるやまえき)

平成2年頃の円山駅、元々は仮乗降場だった。
円山駅
日本、〒074-0028 北海道深川市 道道875号線
国道からも離れ、周囲は田んぼだけという寂しい駅だった
平成23年頃の円山駅跡、痕跡はほぼない

■上多度志駅(かみたどしえき)

平成元年頃の上多度志駅舎、周辺に民家があるのがわかる
上多度志駅
日本、〒074-0141 北海道深川市多度志1580
平成2年頃の上多度志駅

かつては交換設備のある島式ホームを持ち、貨物も扱う有人駅で、開業当初より利用者の多い駅であったらしい。
深名線 �@ (深川駅、円山駅、上多度志駅、多度志駅、宇摩駅)

平成7年頃の上多度志駅とホーム。現在は空き地になっており痕跡はない
http://www.youtube.com/watch?v=rpq5WU2U_Vk

■多度志駅(たどしえき)

平成2年頃の多度志駅舎、置いてある自転車からも利用者がそれなりにいるのがわかる。
多度志駅
日本、〒074-0141 北海道深川市 道道429号線
平成7年頃の多度志駅とホーム、深名線の中ではどっしりとした部類に入る駅でした。

かつては交換設備のある相対式式ホーム2面2線、構内踏切、側線を有し、貨物扱いも行う有人駅で、深名線の中では幌加内駅と並んで利用者の多い駅であった
深名線 �@ (深川駅、円山駅、上多度志駅、多度志駅、宇摩駅)

■宇摩駅(うまえき)

平成2年頃の宇摩駅、元々は仮乗降場だった。現在痕跡はない
宇摩駅
日本、〒074-0142 北海道深川市宇摩1265

■幌成駅(ほろなりえき)

平成2年頃の幌成駅、駅舎は深名線で唯一の貨車を利用した駅舎
幌成駅
日本、〒074-0145 北海道深川市 国道275号線
有人駅時代は木造駅舎だった

具体的な時期は不明ですが1980年代に元の駅舎が取り壊されたそうで、車掌車が改造されて駅舎に転用されました。
JR北海道深名線の旧・幌成駅舎 ( 鉄道、列車 ) – 札幌学院大学鉄道研究会OB会のブログ – Yahoo!ブログ

平成7年頃の幌成駅、ホーム側
幌成駅の駅舎は深名線廃止後は民間工場に移設され使われています

■下幌成駅(しもほろなりえき)

平成7年頃の下幌成駅、単式ホーム1面1線の小さな駅だった。現在痕跡はない。
下幌成駅
日本、〒074-0145 北海道深川市 道道920号線

■鷹泊駅(たかどまりえき)

平成2年頃の鷹泊駅舎、昭和59年までは有人駅だった
鷹泊駅
日本、〒074-0144 北海道深川市 道道693号線

かつては相対式ホーム2面2線、構内踏切と複数の側線を有し、木材(原木)の貨物輸送で栄えた大きな有人駅であった。
深名線 �A (幌成駅、下幌成駅、鷹泊駅、沼牛駅、新成生駅)

平成7年頃の鷹泊駅、ホーム側より
平成25年頃の鷹泊駅、駅舎やホームなどが残っている。
平成25年頃の鷹泊駅舎正面。入り口や窓にはベニヤ板が貼り付けられている。

■沼牛駅(ぬまうしえき)

平成2年頃の沼牛駅、駅は小さな集落の中にあった
沼牛駅
沼牛駅 〒074-0403, 下幌加内 幌加内町 雨竜郡 北海道 074-0403 日本
平成7年頃の沼牛駅、昔は貨物も取り扱っていたため、駅舎脇には側線の後も残っていた
平成9年、廃止後の沼牛駅構内

2015年7月18日、当年9月で廃止後20年になるのを記念して、町民や鉄道ファンにより数か月をかけて倉庫として使用されてきた駅舎を清掃・修復して、駅名板を旧ホームに設置するなど廃止前の姿を復元するイベント「おかえり沼牛駅」が開催された。
沼牛駅 – Wikipedia

■新成生駅(しんなりうえき)

平成2年頃の新成生駅、元々は仮乗降場、昭和62年より駅に昇格した
新成生駅
日本、〒074-0402 北海道雨竜郡 道道72号線
廃止の約3ヶ月前の新成生駅ホームと線路、現在痕跡は全く残っていない。

■幌加内駅(ほろかないえき)

昭和52年頃の幌加内駅。深名線の途中駅では、朱鞠内駅と幌加内駅が、廃線になるまで駅員の常駐した有人駅でした
幌加内駅
〒074-0426, 政和第二 幌加内町 雨竜郡 北海道 074-0426 日本

日本一縦に長い町、幌加内町の中心地の駅。交換できるのは幌加内・朱鞠内のふたつだけでした。
想い出の鉄道写真館・深名線駅めぐり

平成2年頃の幌加内駅正面。駅は町の北東端にあった
平成9年頃の幌加内駅跡、レールが取り払われた幌加内駅ホーム

幌加内の駅舎は今はバスの待合室となっており、出札窓口の壁が取り払わるなど若干の手が加えられて広々としている。地元の人が整備しているようだ。中には真新しい記念スタンプも置いてあった。
’97 夏・北海道旅行記

平成12年、駅舎は原因不明の出火で焼失
平成23年頃の幌加内跡。駅の設備はすべて撤去され正確な位置は特定が難しい

旧駅前広場の片隅には駅跡のモニュメントが設置され、駅名標や線路の一部が移設されている。
深名線 �B (幌加内駅、上幌加内駅、雨煙別駅、政和温泉駅、政和駅)

国道275号線沿いにある幌加内交流プラザに「旧JR深名線資料室」が開設されている。
幌加内町交流プラザ2階にある「旧JR深名線資料室」

深名線の現役時代の駅の写真や通票(タブレット)閉塞機など、深名線に関わる多数の資料が残されています。
LM徒然草 ~駅と列車と情景と~ 【2013.08 北海道旅行記】深名線跡探訪(5) 幌加内駅跡

■上幌加内駅(かみほろかないえき)

平成2年頃の上幌加内駅、元々は仮乗降場だった
上幌加内駅
日本、〒074-0423 北海道雨竜郡 国道275号線
平成25年頃の幌加内駅跡、一部の木造ホームや駅名標枠などが残る

■雨煙別駅(うえんべつえき)

昭和55年頃の雨煙別駅とホーム、この頃すでに付近の住民はわずかに1世帯のみだったらしい。
雨煙別駅
日本、北海道雨竜郡 国道275号線

もともと交換設備もあり、駅員も常駐する立派な駅だった
風太郎のPな日々 雨煙別

昭和57年頃の雨煙別駅、駅舎の青い煙突の長さが、ここが豪雪地帯であることを物語っている
昭和61年頃の雨煙別駅、周辺に民家(廃屋の可能性大)があるのがわかる
昭和63年頃、廃駅を真近に控えていた雨煙別駅と列車

有人駅時代の駅舎は積雪による倒壊が原因で解体されていた。
雨煙別駅 – Wikipedia

平成2年の雨煙別駅跡、冬季休業中のまま廃駅となり全ての施設が撤去されていて痕跡はない。
http://www.youtube.com/watch?v=S77Jzijkgwo

■(臨)政和温泉駅(せいわおんせんえき)

昭和62年頃の政和温泉駅、もともとは仮乗降場、この年より臨時駅に昇格した
(臨)政和温泉駅
日本、〒074-0425 北海道雨竜郡 国道275号線
政和温泉駅前にあった温泉旅館、昭和61年に廃業した

昭和62年から冬季(12月1日~4月20日)営業休止の扱いとなり、やがてただ1軒の駅前温泉旅館も閉鎖となったため、平成2年3月9日限りで廃駅となっている。
不思議な小駅”仮乗降場”について

昭和55年、(臨)政和温泉駅と列車、現在痕跡はない

■政和駅(せいわえき)

昭和55年頃の政和駅、駅名標とホーム
政和駅
日本、〒074-0426 北海道雨竜郡 国道275号線
平成2年頃の政和駅

長らく駅員が常駐する有人駅だったが、昭和59年(1984年)無人駅に。
街道の行く先へ 深名線廃線跡

平成7年、廃止約2ヶ月前の政和駅
廃線後、平成15年から食堂となって利用されていた

駅舎は平成15年(2003年)から”飯処せいわ”として食堂に転用されていたが、現在は食堂も廃業したようだ。
街道の行く先へ 深名線廃線跡

■新富駅(しんとみえき)

昭和60年頃の新富駅、駅名標
新富駅
日本、〒074-0747 北海道雨竜郡 国道275号線
新富駅は路線の廃止より早く平成2年9月1日に廃止された。駅関連施設はすべて撤去されている。

■添牛内駅(そえうしないえき)

昭和60年頃の添牛内駅、かつては列車交換可能な交換駅だった。
添牛内駅
日本、〒074-0746 北海道雨竜郡 観月国道
平成2年頃の添牛内駅、駅は山間の集落の外れにあった
豪雪の添牛内駅(時期不明)

昭和20年代に添牛内地区の人口は約1800人を数え、郵便局や診療所、旅館をはじめ商店や理容院等が軒を連ね、人口増加を象徴するように駅前にはパチンコ屋もあったようだ。
街道の行く先へ 深名線 添牛内駅跡

平成5年頃の添牛内駅、列車車窓から見た現役当時の旧駅舎

■大曲仮乗降場(おおまがりかりじょうこうじょう)

利用者の減少により1976年(昭和51年)2月1日に廃止となった。
大曲仮乗降場 (北海道幌加内町) – Wikipedia

大曲仮乗降場跡全景、周囲に民家はない
大曲仮乗降場
日本、〒074-0744 北海道雨竜郡 空知国道

すべての施設が撤去され、駅跡と路盤跡はヤブに埋もれ、全くわからない状態である。
深名線 �C (新富駅、添牛内駅、大曲仮乗降場、共栄駅、朱鞠内駅)

昭和30年の国勢調査で48世帯335人もあった「大曲」部落の人口は、昭和50年には6世帯18人となっていた
不思議な小駅”仮乗降場”について

■共栄駅(きょうえいえき)

平成6年頃の共栄駅、板張りホームと小屋の様な待合室だけの小さな駅だった
共栄駅
日本、〒074-0743 北海道雨竜郡 空知国道
平成7年頃の共栄駅、もともとは仮乗降場、昭和62年より駅に昇格した
共栄駅付近、周囲に何もないのがよくわかる。現在痕跡はない。

何もないところに共栄駅はあった。もともと仮乗降所だったということもあり、こんな駅を利用する人がいるのかと思ってしまうほど周囲には何もない。
くにすけの鉄道趣味

■朱鞠内駅(しゅまりないえき)

昭和53年頃の朱鞠内駅、「深川行き」と「名寄行き」の列車が停まっている
朱鞠内駅
〒074-0742, 朱鞠内 幌加内町 雨竜郡 北海道 074-0742 日本
昭和62年頃の朱鞠内駅
昭和62年、朱鞠内駅構内
平成5年頃の朱鞠内駅、規模は小さいながらも深名線の中心的な駅だった
昭和57年頃、朱鞠内駅の駅構内に残る使われなくなって久しい転車台

名羽線が開業すれば、当駅は名羽線と深名線とをスイッチバックで接続する乗換駅になる予定だった。
朱鞠内駅 – Wikipedia

平成3年頃の朱鞠内駅に停車中の列車、雪深さがよくわかる
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