私は、漫画でいう編集のような仕事をしています。
作家さんと長く付き合えるようにと、それなりの条件をしているためか、ありがたいことに非常に多く応募をいただきます。しかし残念なことに、そのうち99%以上の方は、採用を見送っています。そういった自称作家、イラストレーター志願者との付き合いの中で思うようなことを、まとめてみたいと思います。
95%は単純に画力不足
画力不足は「努力不足」「練習不足」「意識不足」
自称絵師で月数点程度しか描かないような人は一体なにがしたいのであろうか?
実力が足りなくても伸びしろがあると思えば、後に繋がる対応をします。逆にされないないなら、三行半通告
テンプレートのような断り対応は、「あなたには実力もないし、努力している風にも見えない。今後お取引することもないでしょう」という意味だ(少なくとも私は)
非常にシビアで厳しいようだが、努力をする姿勢も見えないような人間が目指していいような仕事でもない。
実力が乏しくとも、前向きに努力をしそうな人間は、必ずコミュニケーションを取るようにしている。そういった人間しか残っていけないし、そういった人間が将来のパートナーになるからだ。
漫画の持ち込みで言えば、編集から名刺を貰えるかどうかがラインと言うが、そういったことだ。
逆にそうでない人間に時間を割くことは、絶対にしない。目指す人間のほとんどが消えていく業界。消える人間との話など、ただの無駄でしかない。
もし3社でテンプレート対応を受けたのであれば、「自分自身」を見つめ直すべきだろう。
漫画『重版出来』3巻「新人さんいらっしゃい」(漫画家の選考の話)は、非常に共感できる内容でした。「本当に上手くなりたいと思う新人はしっかり見てくるし、そういう奴は必ず伸びる」 その通りだと思います。
営業なんて後からでいい
イラストレーターのなり方と検索すると、「営業の仕方」「営業の重要性」を語るサイトが多い。しかし、営業は「きちんとした実力」がなければ何の意味もないと言いたい。
数うたなければ当たらないような実力で営業をしたところで、先は見えている。
所詮1山いくら程度の絵師。長くは続かない。
営業に時間を割くくらいなら、1枚でも多くの絵を描き、実力を向上させるべきだろう。
■イラストレーターに向いている人
絵を描くのがまったく苦にならない人
自称さんは多いが、本当に苦にしない様な人は限られている。
こういった人は、例えイラストレーターとしてある程度成功をしても、「次の休みは、新しい画風を練習したいんですよね。」と言ってくる。彼らの貪欲さには脱帽する。
こういった人の特徴は
①とにかく描き続けている。
②手を抜かない。
③新しいこと・方法・手法にチャレンジする。
④これらを本当に楽しそうにやる。
自分の絵にいつまでも自信がもてない人
自分の絵の粗を見つけては、「下手だ、もっと上手くならなければ」と鬼気迫るように練習を繰り返す。強迫観念に近い感情だろう。どんなに絶賛しようが「大丈夫ですか?本当に大丈夫ですか?」と不安いっぱいの声で問いかけてくる。(私はあなたが病まないかが心配です。)
■イラストレーター志願者のとんでもエピソード
「どうして採用してくれないんですか!あなたんとこの絵師より私の方がよっぽど上手いわよ」と暴れる
お断りを申し上げたところ、すごい剣幕で叫び暴れられた経験がある。
そんな人は後にも先にも1度だけだが、強い口調で「なぜダメなんですか?」と言われるようなことは多い。こういった性格の方は、絵師として向いていないとしか言い様がない。
チラシの裏に描かれた絵をもってくる。
「チラシの裏に描かれたような落書き」という意味ではなく、本当にチラシの裏に描かれたものを送ってこられたことがある。もちろん実力はおさっしの通りでした。
おじいちゃん
アナログの募集に、おじいちゃんが来ることもしばしばある。
もちろんほぼちゃんとした経験も実力もなく、「定年して好きだった絵を描いてみたくて」「油絵教室で絵を習っていて」
絵を描いたことがない
こういったことを言うのも申し訳ないが、これで来るのは大体主婦の方。「要経験」の文字が見えないのだろうか。
当然、知識もないので非常にトンチンカンなことを言われる。
「絵の実力といっても、絵なんて人の好みでしょ」
「お給料は必要ありませんので、ご指導いただけないでしょうか?」