灰と幻想のグリムガル SS【ライトノベル 二次創作 小説 ネタバレ 画像 メリィ ユメ シホル】

古市智
「目覚めよ」という声を受けて目を覚ましたハルヒロは、自分がどこともしれない闇の中にいること、そして名前以外の何も思い出せないことに気付く。

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目覚めると知らない土地、知らない常識、知らない生き物、過酷な状況

戦わなければ生きられない、そんな世界で振り回されながら俺たちは生きていく

惨めでも、情けなくても、弱くても、生きていくんだ


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――――目覚めよアウェイク――――

そう聞こえた誰かの声で――
そう聞こえた何かの声で――
俺は暗闇の中で目覚めた。
目覚めた。筈の視界が暗闇である事からこの場所には灯りも無く光も射していないことが分かる。


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ここがどこかも知らず、何の為に戦うのか明確な理由も無い。

それでも戦わなくては生きられない。

たとえ、何かの命を奪っても。

誰かの命が散ってしまっても。

今日も僕は仲間の為に剣を振るう。


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目を覚ますとそこは見たこともない土地。

思い出そうとしても思い出せない過去の記憶。

集まったのは名前も知らない13人の人間。

俺たちがやることは義勇兵!?

信じられるものは己の意思のみ。

己の意思で明日への道を切り開け!


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その日も獲物は手に入らなかった。徐々に増していく雨の匂いのせいか、唯一まともに相手取れるゴブリンの姿はまるでなく、足跡も降り始めた雨でたどることすらできない。

それでもなにかしらの成果を得ようと小雨のなか探索を続けたが、残念ながら無駄足にしかならなかった。


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夜中にふと目を覚ますと、マナトのベッドが空だった。

また、シェリーの酒場で情報収集でもしてくれているのかな、とぼんやり思いながら寝返りをうつと、窓の外の月がずいぶん低い位置に見える。

夜の間は時を知らせてくれる鐘が鳴らない。

懐中時計なんて高価なものを持ってるはずもないから、最近は夜中に目が覚めても窓から見える月の位置で、だいたいの時間の見当がつくようになったのだけれど、マナトがこんなに遅くまで帰ってこなかったことは今までになかったと思う。夜明けというにはまだ早い中途半端な時間だが、もうしばらくしたら月が沈んで、朝日が顔をのぞかせるだろう


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いつも誰かしらが周りにいて、教室でも目を引く同級生のマナト。
イケメンで愛想が良くて気が利いて、老若男女問わずに好かれるタイプ。

一方の俺、ハルヒロは特別に得意なことも趣味もなく、今のところごく普通に普通で地味な人生を歩んでいる最中だ。
いや、最中だった…ついこの間までは。


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朝起きたらマナトが口をきいてくれなくなっていた。目を合わせてもくれない。

みんなの手前、露骨に無視したり冷たくされるわけではないけれど、マナトは徹底的に一線を引いてハルヒロを拒絶していた。


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「みんなを起こしてくるよ」

朝食を用意するモグゾーの背に声をかけて、まずは女部屋に向かう。

ぼろい扉を軽くノックして、扉越しに声をかける。

「ユメ、シホル、おはよう。起きてる?」

「お、おはよ…!」

「ん~起きてんよ~」


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時々、自分がひどく汚いもののように感じる。自分はどうしようもなく穢れた存在で、ここにいてはいけない。

よくもまあまっとうな人間に混じって笑っていられるものだ。自殺衝動にも似た罪悪感はふとしたときに湧き上がり、マナトにしか聞こえない罵声となって耳の奥で反響し続けていた。

どうして、どこがという明確な形は無いのに自分が醜くおぞましい化物であるという感覚は常にマナトの根底に付きまとっていて、振り払おうとしてもへばりついてはがれない。


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深夜、ハルヒロはほのかなくすぐったさにうすく意識を浮上させた。頬に温かいものが触れている。

ちょっとこそばゆい、しかし不快ではないやわらかな感触がハルヒロの頬に触れたりはなれたりしていた。

夢うつつでまどろみに浸かりながら、ハルヒロはそのなにかに意識を傾ける。

ハルヒロは悩んでいた。

普段から些細なことでもいちいち思い悩んでしまうたちではあるけれど、それ以上に、比べ物にならないレベルで悩んでいた。

少し言いすぎたかもしれない。

これ以上に深く悩んだことも、考え込んだこともある。


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オルタナには義勇兵と呼ばれる若者たちがいる。

どこから来るのか、彼らがなぜ義勇兵になったのかは誰も知らない。義勇兵達本人ですら。

義勇兵なんて名前がついちゃいるが、彼らは望んで兵士になったわけではなく、仕方なくそうなっている、というやつがほとんどだ。

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2016年06月08日