そうだったのか!「バイオリンの名器ストラディバリウス」が有名、高価な理由

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アントニオ・ストラディバリが制作したストラドはどうして高名なの?ストラディバリウスが有名、高価な理由について情報をまとめてみました。

■ ストラディバリウス

世界最高峰とされているヴァイオリンの名器
ストラディバリウスの価格が高い理由

ストラディバリウスという名前は、製作者であるアントニオ・ストラディバリが由来になっています。
ストラディバリウスの価格が高い理由

2011年に日本音楽財団がオークションに出品したストラディバリウス。およそ1600万ドル(約12億7000万円)で落札されたものが歴代最高値のもののようです。
ストラディバリウスの価格が高い理由

■実は現代のバイオリンの方が音がいい?

フランス・ソルボンヌ大学のClaudia Fritz氏を中心とする国際研究グループはこのたび、世界的な演奏家によるブラインドテストを行ったところ、現代に作られた新しいヴァイオリンが数百年前に作られたストラディバリウスよりも有意に高い評価を得たとする研究結果を発表しました。この成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されています。
現代のヴァイオリンは、やはりストラディバリウスを超えている ―PNAS – | Technity

実験では、世界的に名の知られたソリスト10名を対象に、1700年代から1800年代にかけて製作されたヴィンテージ・ヴァイオリン6挺(内5挺はストラディバリウス)と、それらの百分の一ほどの価格で購入できる比較的新しいヴァイオリン6挺の計12挺を使用したテストを行っています。
現代のヴァイオリンは、やはりストラディバリウスを超えている ―PNAS – | Technity

参加者には小さなホームスタジオで12挺全てのヴァイオリンを50分間にわたって試奏してもらい、好みの順にランク付けをするよう依頼。その後、ランキング上位2挺のヴァイオリンとソリスト自身が使用しているヴァイオリンの計3挺を、12分間にわたって演奏してもらいました。
現代のヴァイオリンは、やはりストラディバリウスを超えている ―PNAS – | Technity

実験の結果、個々のヴァイオリンの比較で最も高評価を得たのは「新しいヴァイオリン」に分類されるある1挺で、4人のソリストが最も優れたヴァイオリンとして選び、さらに8人が次点としての評価を与えています。また、2番目に好評化を得たヴァイオリンも別の新しいヴァイオリンで、3番手にストラディバリウスの中の1挺がランクインしたとのこと。

さらに新旧の分類による比較では、最も良い楽器として6人が新品のバイオリンを選択し、4人が古いヴァイオリンを選択。また、ソリストが評価したランキングの4位以内に新しいヴァイオリンが登場する頻度は、古いヴァイオリンに比べて実に4倍にものぼったとのことです。
現代のヴァイオリンは、やはりストラディバリウスを超えている ―PNAS – | Technity

論文の共著者の1人であるJoseph Curtin氏は今回の結果について、「かつての巨匠たちをけなす意図などないが、現代の職人たちがストラディバリウスやグァルネリの域に到達できないと考える理由もない」と語っています。
現代のヴァイオリンは、やはりストラディバリウスを超えている ―PNAS – | Technity

・別の研究でも

2010年に行われたある実験では、「現代のバイオリンと1700年ごろに作られた名器『ストラディバリウス』などの間には大きな違いがない」という結果が発表されました。それぞれの楽器を人間の耳で科学的に比較して導かれた結果
「現代の楽器と大差なし」と判断された貴重な楽器が持つ本当の価値とは – GIGAZINE

2010年にインディアナポリスで開催されたバイオリンコンテストに参加。コンテストに併せて実施された調査に協力したナイルズさんをはじめとする23名のバイオリニストは、2台のストラディバリウスと1台のグァルネリ、そして現代の最高級バイオリン3台、合計6台のバイオリンを試奏する機会を与えられました。

調査の目的は「現代の楽器と古い名器は本当に音色が違うのか」を明らかにすることだったのですが、なんと多くのバイオリニストは、作られてから300年以上が経つ1台数億円というバイオリンと、現代のバイオリンを区別できないということが実証されました。
「現代の楽器と大差なし」と判断された貴重な楽器が持つ本当の価値とは – GIGAZINE

現代のバイオリンが、数億円のストラディバリウスに匹敵することは否定しない
「現代の楽器と大差なし」と判断された貴重な楽器が持つ本当の価値とは – GIGAZINE

■有名、高価な理由

・考え方の違う古い時代に高精度に作られていた

当時のヴァイオリンに対する考えは、装飾楽器などの例外を除いて、単なる「実用品楽器」です。従って、それっぽい音が出れば満足する人がほとんどだったのです。当時はヴァイオリンという楽器がその後数100年の使用に耐えうる楽器と思っていた人は誰一人としていませんでしたから(多分、ストラディヴァリでさえそう思ってはいなかったでしょう)、バカ丁寧に製作されたヴァイオリンは少なかったのです。
http://www.sasakivn.com/werkstatt/qa/strad.htm

「音さえ良ければそれでよい」と考えられていたヴァイオリン製作において、徹底的に手抜きしないで「精度の高い楽器」を作り続けたのがストラディヴァリだったのです。事実、彼の楽器は当時から素晴らしい楽器として評価されていたのです。
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その後の自然淘汰によって、良い楽器だけが生き残り、博物館などの例外を除き、そのような程度の低い楽器は壊れたり廃棄処分にされてこの世から姿を消していったのです。ヴァイオリンの「自然淘汰」です。
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・後の時代の流れとマッチ

当時のヴァイオリンの弦は現代とは全く異なる裸のガット弦です。そして演奏形態も宮殿で演奏したり、または小人数での演奏会だったでしょう。現代のように100人以上のオーケストラをバックに、1,000人以上の観客を前にして演奏するなどということは考えられないことでした。当時のヴァイオリンは現代で言う「バロック・ヴァイオリン」と思ってもよく、現代と比べると非常に弱々しい音だったでしょう
http://www.sasakivn.com/werkstatt/qa/strad.htm

このような中でストラディヴァリは発音量を上げることによって、結果的に音質も良くしようと考えたのでしょう。具体的には、楽器中央部分の面積を増やし、響板の隆起を低くしました。このような設計にした場合、張力の小さなガット弦を張った場合には、高倍音の出にくい単調な音色になりやすいのです。しかし、音量は出やすいので、別な意味での音色的なセッティングが可能になるのです。
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その後時代は大きく変わりました。産業革命によるスチール弦の発明。商業主義の発達(?)による大規模な演奏会形態の誕生。ヴァイオリンもこの波の影響を避けることができませんでした。というよりも、「改良」によって積極的に参加していったのです。
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過去〜現在まで製作されている多くの楽器がストラドの型をもとに製作されていること。→ストラドを越えるオリジナルを製作することはできても、それを流行させることは難しい。
バイオリン、ストラディバリウスはなぜ後世にも超える作品は… – Yahoo!知恵袋

丁寧に仕上げられ頑丈につくられていた→近代になってネックを高くする改造にも耐えることができた。ストラドはある程度、時代の先取りをしていたのでしょう。ストラディバリウスの時代、シュタイナーの方が高く評価されていたのですが、楽器の改造によってほとんどが駄目になってしまったとのことです。
バイオリン、ストラディバリウスはなぜ後世にも超える作品は… – Yahoo!知恵袋

簡単にまとめると、彼の「技術力」と「時代背景」のかみ合わせです。
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・有名な演奏者が使用

競って有名な演奏者が所有し、その付加価値も上がっていきました。すなわち、後世になるほどストラディヴァリの評価は高まり、それが「ストラディヴァリ神話」にもなったというわけです。
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有名な奏者が使っていたとか、そういった部分の価値が大きいかもしれません。
なぜストラディヴァリウスなど古いヴァイオリンがあんなに高い値で… – Yahoo!知恵袋

・骨董的価値

長い時間が経っても元の姿のままで、何一つ失うことなく存在しているのはなぜか。それは、この楽器が受け継いできた歴史であり、奏でてきた音楽の存在であり、昔の芸術家によって創られた作品は「その物体だけではなく、その魂の中に存在し続けるのです」とナイルズさんは語ります。

「科学的な答えではないって?でも、私たちはアーティストなんです。歴史やイマジネーションは芸術の一部です。そしてわれわれも、歴史の一部を作っているのです」と語るナイルズさんの言葉は、芸術が持つ意味そのものを教えてくれるようです。
「現代の楽器と大差なし」と判断された貴重な楽器が持つ本当の価値とは – GIGAZINE

もしもストラディヴァリの生きた時代が違っていたらどうだったでしょう?私の考えでは、もしもストラディヴァリの生きた時代が100年前後していたのなら、彼が全く同じ楽器を作ったとしても、現代における彼の評価はなかったのではないかと考えます。事実、ストラディヴァリの後には彼と同じくらい高い技術の製作者は何人もいました。

また現代の製作技術も、製作理論、製作道具の発達によって、ストラディヴァリをはるかに超えるレベルなのです。しかし、「時代背景」が異なるのです。従って、非常に高いレベルの製作であるにもかかわらず、ストラディヴァリのようには評価されません。しかしこれは仕方のないことです。
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・適切な数がある

現存しているのは600〜700台くらいです。多過ぎると価値が下がるし、少なすぎても演奏して評価してくれる人が少なくなるので、ある程度の数が残っていることも名器のポイント
バイオリン、ストラディバリウスはなぜ後世にも超える作品は… – Yahoo!知恵袋

・適切なコレクターと楽器商がいた

タリシオという人がいなければ、現在の貴重な名器は存在しなかったかもしれません。彼はイタリア中の名器をかき集めており、彼が死んだときに、ヴィヨームがそれを二束三文で購入し、有名な演奏家に高く売りつけていたのです
バイオリン、ストラディバリウスはなぜ後世にも超える作品は… – Yahoo!知恵袋

タリシオは根っからの収拾屋で、イタリア中から独特の嗅覚で名器を探し出し、時々バリに現れては、楽器商ヴィヨームのもとに持ち込んで販売していた。ヴィヨームは買ったヴァイオリンを修理、大改造しては売りに出していた。収拾が生きがいだったタリシオは、多くの在庫を手元に残し、売り惜しみつつ、とうとう2梃のヴァイオリンを抱えたまま孤独死することになる。
http://homepage2.nifty.com/koyo47/CB/CB120410Stradivarius.html

1854年、ヴィヨームは、しばらく現れないタリシオが死んだに違いないと直感し、10万フランを持って現地に駆けつけた。タリシオの自宅扉をこじあけ中に入ると、ソファに彼の遺体があり、部屋中に200梃ものストラドがあったと伝えられる。何という光景だろう。即座に所有権のある妹夫婦に7万5千フランを現金で提示して売却を了承させ、追い銭として妹に4150フランを握らせた。実はこれらは100万フランは下らない名器ばかりだったが、まんまと遺族を騙してしまったという分けだ。

ヴィヨームは、前から聞いていた幻のヴァイオリンを捜索したが、なかなか見つからなかった。最後に部屋の隅にあるふるぼけたキャビネットに近付いた。上の引き出しはすべて空っぽだった。だが一番下の引き出しを開けると、カタカタと音がして美しいヴァイオリンが姿を表した。それはタリシオが言っていたように、たった今作られたばかりのように見える至高のヴァイオリン、メシアだった。

ヴィヨームはこれらをパリに持ち帰り、改造を加えては少しづつ売りに出し、やがて数百万フランの冨を手にすることになる。
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■まとめ

「ストラディヴァリは魔法の楽器ではない」ということを書いてきました。このことに対してストラディヴァリの熱狂的なファンからは、「なに偉そうなことを言っているんだ!」と怒られそうです。しかし誤解しないでください。私はストラディヴァリの技術が大したことはないと言っているのではありません。その逆です。

ストラディヴァリを神の領域に祭り上げることは、彼の本当の評価にはつながりません。我々一般の領域に引き戻して評価することこそが、彼への最大の敬意だと思うのです。
http://www.sasakivn.com/werkstatt/qa/strad.htm

https://matome.naver.jp/odai/2145225636590747901
2018年03月11日