登場人物・キャスト
各話あらすじ
第1話 「三千拝の願い」
寺に預けられ、母親を全く知らずに育った少女ファン・ジニ(チニ)。赤いチマをはきいい香りがするお母さん、その面影だけを頼りに母親を探し出したいと思っている。ある日、チニは妓生たちの宴席を見て、その舞に魅了される。鮮やかな衣装に美しい舞。気持ちが昂り、チニは舞が習える教坊を訪ねる。教坊には、琴の名手でありチニの母親、ヒョングムがいた。彼女は、辛い妓生の道を我が子に歩ませたくないがゆえに、チニを寺に預けていたのだ。しかし母親の思いとは裏腹に、チニの才能を見抜いた行首ペンムは、チニを妓生の道へと誘ってしまう。
第2話 「妓生(キーセン)への道」
母親に出会えたチニだったが、そこは教坊、妓生の養成機関である。母親のヒョングムは、我が子に辛い妓生の道を歩ませたくない思いで、チニを教坊に置くことを拒む。だが、チニは自分が捨てられたと感じ傷ついていた。母と離れることを嫌がり泣きつく娘を見て、ヒョングムはもうチニを遠くへやることなどできなかった。 ようやく教坊に籍を置くことができ、修練に励むチニ。やがて月日は流れ、生まれ持つ芸の才能と美貌を兼ね備えた優秀な童妓へと成長した。そんな彼女の前に、ある両班の子弟が現れる…。
第3話 「まごころ」
ウノは、チニと会ってから彼女への想いが増すばかり。一方のチニは、異性の事などまるで興味がない。その芸に対する情熱と才能は並々ならぬもの。舞の稽古が始まると、舞に必要な〝足の感覚〟を掴むため、ペンムには内緒で綱渡りを教わりに行く。そして大市が立つ日に、チニは人前で華麗な綱渡りを披露する。途中、ペンムがやってくる姿が目に入り、チニは動揺して綱から転落。その始終を見ていたウノが受け止めに下に入り、二人はもつれる。その瞬間、互いの唇が触れ合ってしまう…。
第4話 「初恋」
松都教坊にも選上妓(都へ送るため選別された優秀な童妓)を献上するお達しが来た。だがペンムは、全国の教坊の妓生に芸を競わせて女楽を選ぶべきだとソン長官に提案する。チニもペンムの意気を感じ、都の女楽行首メヒャンに対しても怯まない。欲しいものは、自らの芸で感動させ“王様が流す涙”だと言い切る。しかし稽古に専念するつもりの彼女の心は、ウノへと動き出していた。二人の距離は日に日に近づいていく。それを覚ったウノの母は、教坊まで出向きチニを呼びつける。そしてウノの目の前でチニを平手打ちする。
第5話 「許されぬ定め」
ウノの母は教坊でチニを呼びつけ平手打ちする。それでも悪びれない態度に激昂したウノの母は、熱湯をチニの顔にかけようとする。そこへ間一髪割って入り、熱湯を浴びながらもチニをかばうペンム。童妓の不始末の責任は行首である自分にあると言って、何とかその場を取りもった。妓生と両班の恋は、決して許されない定め。きっぱりウノとの恋を終わらせる決心をしたチニだが、そんな思いはウノには関係なかった。ウノはチニに指輪を送り永遠の愛を誓う。そして二人は口づけを交わすのだった。
第6話 「変わらぬ契り」
チニと結婚するために母を説得するというウノ。彼との恋を断ち切る覚悟だったチニだが、心が揺れてしまう。教坊では競演に先立って宴が開かれることになり、童妓たちはそこで水揚げをしなければならない。ますます動揺するチニと同じく、童妓仲間のソムソムも水揚げの話で悩んでいた。それでも女楽に絶対になると言い切る彼女の決意が、迷っているチニを後押しする。カウンに呼び出されウノとの愛を分け合おうと言われても、チニはそれをきっぱりと拒否する。そして、コムンゴの弦を切り、ある決心をする。
第7話 「決意」
チニの決心は、ウノのために全てを投げ打ち、妓生にならずに水汲みになることだった。それをペンムに告げると、ペンムが条件を出してきた。近々催される宴でチニが誰かの目に留まったら髪飾りを渡すこと。もしウノがその人から髪飾りを奪い取ったらチニの好きなようにさせると言う。ペンムはウノの覚悟が見たいのだった。一方のウノは、オムスからチニが水揚げすると聞き、チョン・チュクの元へ嘆願書を届けに行く。その内容は、厳しい両班の法に背いてまでも、チニを妻として迎えるというものだった。
第8話 「髪かざり」
チニと結婚するというウノの嘆願書を見て、二人の関係を断ち切らせようと計略を巡らすチョン・チュクは、予定されていた宴を早めることにする。
水揚げを控え不安がる童妓たち。中でもソムソムは、下男のチャンイに好意を抱きつつも、貧しい家族を助けるために玉代を得なくてはならないという葛藤に苦しんでいた。そして宴の前夜、チャンイから送られた髪飾りを着けたまま、彼女は自らの命を絶ってしまう。翌日の宴。チニが奏でるコムンゴに感銘したキム判書が水揚げを申し出てくる。そこへ都から駆けつけたウノが割って入る。
第9話 「雨の別れ」
父親であるキム判書が、チニを水揚げすると名乗り出たところに待ったをかけたウノ。ペンム(キム・ヨンエ)は父と闘えと煽るが、結局ウノは父に剣を抜くことは出来ない。こうしてチニはペンムとの勝負に負けてしまう。
だが娘の恋を案じるヒョングム(チョン・ミソン)が、チニとキム判書の座敷に来て眠り薬入りの酒をキム判書に飲ませる。その隙にこの町からウノと一緒に出るよう促す。チニは教坊を抜け、土砂降りの雨の中ウノを待つ。その頃ウノは、母への置手紙を書いていたが、母に気づかれ、母は命を賭してウノを止めようとする。母を死なせることができないウノは…。
第10話 「冷たい月」
ウノが死んでから四年。チニはミョンウォルという妓生名で、その名を轟かせていた。だが、ウノが見とれ他の誰にも見せたくないといった舞を、チニは決して舞おうとはしなかった。チニは今も初恋の想いは引きずったままで、ウノとの仲を引き裂いたペンムへの憎しみもいまだ消えてはいない。
そんなミョンウォルは、ウノの命日に自棄になって川へ入り入水自殺を図るが、ある男に助けられる。その男はキム・ジョンハン(キム・ジェウォン)という両班で、明国の外圧から郷楽(朝鮮固有の音楽)を守るという任務を、国王直々に任されるほどの人物だった。
彼は礼曹判書の職に就き、郷楽を廃止しようと考える明の使臣チャンを思い留まらせるため宴を準備するが、チャンの意思は変えられそうにない。その宴に突然、ミョンウォルがコムンゴを持って現れる。しかし、チニはコムンゴではなく、詩で明の使節チャンと勝負することになる。
第11話 「ふたつの面影」
ミョンウォル(チニ)の詩に感動した明の使節チャンは、彼女の下衣に詩をプレゼントするが、なんとチニはそれを破いて燃やしてしまった。死に値する所業と怒る使節チャンにチニは何と答えるのか?郷楽を廃止しようと考えていた使節チャンだったが、ミョンウォルのこの才知と詩心に感心し、考えを改め朝鮮を後にする。
彼女の手柄に礼を言おうとしたキム・ジョンハンだが、ミョンウォルの素直でない態度を見て思わず手をあげてしまう。だがミョンウォルが抱える苦しみを見て取ったジョンハンは、彼女を気にかけるようになる。ミョンウォルも、ウノの面影とジョンハンの姿が重なって見えてくる。そんなミョンウォルは舞うことを拒み続けてきたが、ペンムに復讐するため、メヒャン(キム・ボヨン)を訪ねて剣の舞を習いたいと願い出る。
第12話 「剣の舞」
メヒャン(キム・ボヨン)から教えを乞う剣の舞を披露する宴で、ペンムと勝負することになったミョンウォル。ペンムが退妓するか、自分が官婢になるかを賭け、この4年遠ざかっていた舞で勝負することになった。母ヒョングムは、ウノのために封印してきた舞を、ペンムへの復讐のために利用するのをやめさせようとするが、もはやミョンウォルの決心は止めることはできない。
メヒャンはミョンウォルの才能に目を付け、彼女に付きっ切りで特訓を課す。日ごとに上達していくミョンウォルを目の当たりにし、始めは嘲笑って女楽や松都教坊の妓生たちはその成長ぶりに愕然とする。そしてそんな彼女に一泡吹かせようと一計を案じる。ある夜、何者かが妓生生命を絶とうと、稽古に励むミョンウォル目掛けて丸太を放つ。彼女を気にかけてその様子を見ていたジョンハンが気付き、彼女をかばう。