赤ちゃんは選択肢のないままテレビを見ている
現在の日本では、ほとんどの家庭にテレビがあります。内閣府の消費動向調査(2015年度3月調べ)によりますと、一般家庭のテレビ普及率は97.5パーセントに達しているそうです。
今や日本の国民の生活になくてはならないものの一つになってきていますね。ではそのテレビは、誕生したてから1才くらいまでの乳児にどのような影響を与えるのでしょうか。
誕生したての赤ちゃんの視力はまだ光を感じる程度ですが、耳は聞こえています。ですのでテレビがついていると、より刺激の強いテレビの音に耳を傾け、やがて視力が高まると目もそちらに注目するようになります。
乳児の頃は、自分の意志で強くテレビを見たがることはありません。親が見せているか、家族の見ているテレビ、もしくはつけっ放しになっているテレビを選択肢のないまま「見せられている」状態です。
テレビが赤ちゃんに与えるデメリット
言葉の発達を妨げる
テレビは会話や声は聞こえてくるものの、こちらの問いかけや話しかけには、応えてくれません。ですので会話が一方通行になり、コミュニケーション能力が育たず、言葉の発達を妨げるもことにも繋がります。
情緒が不安定になる
赤ちゃんの意識は、部屋の中の様子や家族の声より刺激の強いテレビへと引きつけられます。そうすると母親の声にも反応を示さなくなり、視線を合わせにくくなり、人との関わりも減ってきます。やがて注意力の低下や情緒が不安定になることも起こり得ます。
夜泣きの原因になる
赤ちゃんによっては、6ヵ月くらいから夜泣きが始まる子もいます。テレビから発せられるブルーライトは睡眠を妨げ、一概には言えませんが就寝前や長時間のテレビの視聴が、夜泣きの原因のひとつにもなるという説もあります。
テレビは活用次第で有効に使える
誕生したての赤ちゃんの脳は非常に柔軟で、外部からの小さな働きかけでも大きな影響が出ます。故に悪害も幼い時ほど、マイナスの作用は大きくなるのです。テレビが乳児に与えるマイナスの影響を考えると、できるだけテレビを見せない方がよいでしょう。
……とは言うものの、日々多忙な親にとっては、赤ちゃんがテレビを見ているとその間、家事が捗るのでありがたいですね。
そして珍しい動物や遠い外国の風景を見ることができたり、また躾の助けになる番組もあります。ですのでテレビは上手に活用すると有効的でしょう。
テレビを上手に活用するコツ
番組を決める
動物や小さな子供が出てきたりするものや、幼児向けの教育番組など、子供の成長に有益な番組をピックアップして見せるようにしましょう。
時間を決める
朝の家事が忙しい時間帯だけ、または見せたい番組があるときだけなど、時間を決めて見せましょう。
テレビを見ているときも話しかける
子供がテレビを見ているとき「大きなぞうさんね!」「お姉さんが歌っているね」「○○ちゃん、楽しそうね」など言葉をかけるようにしましょう。
適切な位置から見せる
テレビから距離を離し、なるべく正面から見せましょう。テレに画面の約3倍離れた距離から、上目使いにならないような位置が適切だと言われています。
乳児期のテレビ環境が、後のテレビとの関わり方を決めていく
テレビを見せること自体が悪害なのではなく、テレビを見せておくとおとなしくしているので、ついつい親はテレビを長時間見せっ放しにしてしまうことがいけないのです。
この時期の赤ちゃんは、多くの情報を頭にインプットし、ファイルしていきます。テレビばかり見せる環境で育てていると、やがて自分の意志で行動ができるようになったとき、気がつけばテレビを見ている、という状況になり、これからの成長のさまざまな妨げになっていきます。
赤ちゃんのテレビ環境を親が充分配慮し、ママにとっても子供にとっても嬉しい、有益な活用法でテレビのある生活を送りたいですね。