レコードジャケットと美術の関係
当時、レコードを買うことは、音楽を買う行為と同時に「ジャケット」を買うことでもあり、それを眺めたり飾ったりするためのものでした。
http://zip2000.server-shared.com/rockartmuseo.html
LP盤とシングル盤は第二次世界大戦後の1940年代後半に実用化、1950年代を通じて急速に普及していきました。
試聴が珍しかった当時、棚に並べられた数多くのジャケットを手に取って、音ではなくジャケットデザインで購入を決めるのは決していい加減な方法ではありませんでした。それ故にレコードにとってアートワークはとても重要なものだったのです。
30センチ四方のレコードジャケットというサイズ感が、彼らの作品発表欲を満たすキャンバスであった点も見逃せない。
現代アートの伝説〜アンディ・ウォーホル|TAP the COLOR|TAP the POP
また時期を同じくして、同時代性を強く求め、従来の「美術」や「芸術」の作品概念に囚われない前衛的で新しい芸術表現である「現代美術」も徐々に注目を集めていきました。
そんな時代的な背景もあり、活躍の場を求める現代美術の作家、インパクトのあるジャケットが必要だったミュージシャンの思惑が一致し、媒体がレコードからCDに変わっても今日まで続くことになりました。
ウォーホルのプロデュースの下で制作されたVelvet Undergroundのデビューアルバム。バナナ絵のジャケットからバナナ・アルバムとも呼ばれます。
The Rolling Stones自身によって設立されたレーベルよりリリースした初のアルバム。ジャケットには本物のジッパーが取り付けられ、それを開くとブリーフが印刷されたカードボードが出るデザインとなっています。
イギリスにおけるポップ・アート運動『ブリティッシュ・ポップ』を代表する1人。
『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のアートワークで知られ、自身の80回目の誕生日を祝し、同ジャケット・デザインのリ・ワーク・ヴァージョンを発表したことでも話題になりました。
世界初のコンセプト・アルバム”といわれるThe Beatlesの8作目の公式オリジナル・アルバム。架空の演奏会終了後の集合写真というコンセプトに、さらに歴史上の有名人を加えたもの。全てセットを組んで制作され、撮影には2週間の期間を要しました。
1968年のグラミー賞(Best Album Cover部門)受賞作。
Paul Wellerのソロ3作目のアルバム。ソロ転向後のアルバムとしては初めて、全英チャートで1位を獲得した代表作。
ピーター・ブレイク同様に、イギリスにおけるポップ・アート運動『ブリティッシュ・ポップ』を代表する1人にして、最も重要とされた作家。
代表作である『一体なにが今日の家庭をこれほどまでに変化させ、魅力的にしているか』というポップアートの先駆的作品とされています。
The Beatles唯一の2枚組オリジナルアルバムで、自身が設立したアップル・レコードから発売された最初のアルバム。サイケデリック調の派手なデザインのジャケットが多かった当時、真っ白なジャケットにタイトルをエンボス加工しただけのシンプルなデザインは話題を呼びました。
のちのポップアートにも手法的、理論的に大きな影響を与えた美術運動「ネオダダ」を代表する作家。
寄せ集められた雑多な日常の物体と、大振りの激しい筆致による描法が結びついた、彫刻でもない絵画でもない作品「コンバイン・ペインティング」で有名です。
『Remain in Light』で一躍脚光を浴びたTAKING HEADSの5枚目のアルバム。LP初回盤のデザインはラウシェンバーグによるもので、このデザインによりグラミー賞を受賞しています。
(通常版およびCD版のジャケットはボーカルのデヴィッド・バーンによる制作)
花などのスティルライフ、ポートレート、ヌード、セックスなどの写真で1980年代に一世を風靡した写真家、作家。
1989年に42歳の若さで亡くなるまで、性の解放や同性愛者の社会的権利など、当時の時代背景や社会問題と切り離せない作品を残しました。
パンクの女王と呼ばれるPatti Smithのデビュー作。このジャケットはスミスと共同生活を送っていたこともあるメイプルソープによる撮影です。
ポップアートの旗手にして現代アートの偉大なる伝説として、今もあらゆるカルチャーに影響を及ぼす人物。
大量消費社会をテーマに表現した商業絵画のウォーホルと大量生産されるレコード。この相性の良い関係から多くの名アートワークを生み出しました。