漫画家が恐れるらしい顔出ししない天才漫画家「羽海野チカ」の正体は?!

ties.mirai
名作「ハチミツとクローバー」を描いた漫画家ウミノさんは顔だしNGの作家さんです。彼女が描いた漫画からあふれ出るようなエネルギーと暖かさは一体どこから来るのでしょうか?その才能をちょっとだけ解剖してみたいと思います。もしかすると漫画の申し子のような人かもしれません。

8月30日東京都足立区生まれ。デザイナー、イラストレーターなどを経て2000年、CUTiE Comic(宝島社)にて「ハチミツとクローバー」でデビュー。同誌が2001年に休刊となったため作品ごとYOUNG YOU(集英社)へ移籍するが、そのYOUNG YOUも2005年をもって休刊。次なるコーラス(集英社)への移籍をもって無事最終回を迎えた。掲載誌不遇のデビュー作であったが、2003年には第27回講談社漫画賞にて少女部門を受賞。アニメ化、ドラマ化、実写映画化など様々なメディアミックスもなされ、一般層にも届く大ヒットを記録した。現在はヤングアニマル(白泉社)にて棋士の先崎学監修の下、将棋を題材とした作品「3月のライオン」を連載中。
羽海野チカの記事まとめ – コミックナタリー

小学生の頃からキャラクターデザイナーや漫画家になる夢を抱いており[2]、美術系の高校の時、「ぶ〜け」に一度だけ作品投稿し掲載されたが[3]、卒業と同時に株式会社サンリオへ就職[4]し、キャラクターグッズのデザインを担当し、勤務外に同人誌活動をする[3]。 就職してからの3年後、独立しフリーへと転進[4]し、キャラクターイラスト(イラストレーター)やグッズデザイナー等を手掛ける。
しかし、同人誌活動は継続し[3]、漫画家への夢をあきらめず、コミックマーケット参加時代には大手サークル「BLUE on BLUE」(高村薫パロ)や、SLAM DUNK同人誌を発行しサークルを1人で回し、見かねた読者が度々手伝うこともあったが、コミケ帰りには友達がいなく一人で泣いて帰ったと雑誌CONTINUE SPECIAL 48-49P で回答している。
羽海野チカ – Wikipedia

2007年からは、『3月のライオン』を連載開始。2010年、第1回ブクログ大賞マンガ部門、2011年にはマンガ大賞と第35回講談社漫画賞一般部門、2014年に第18回手塚治虫文化賞マンガ大賞をそれぞれ受賞している。
羽海野チカ – Wikipedia

調べたところ羽海野さんは現在49歳と思われます。30過ぎてからのデビューだったそうです。

主要作品は「ハチミツとクローバー」と連載中の「3月のライオン」

ハチミツとクローバー

美術大学を舞台に、いわゆる「青春群像劇」を、ハイテンションなエピソードや静かな感動シーンを通じてとらえていく。恋愛に不器用な大学生達の報われない恋模様や、自分の才能や生き方について迷う若者達の姿を描いている。
ハチミツとクローバー – Wikipedia

本作は、過去に友達のいなかった作者の「こうだったらよかった」という妄想から生まれたという

最終回については様々な意見と反響があったが、この後の萩尾望都『ゴールデンライラック』のような展開を意識したと発言している[3]。また、それぞれの片思いの恋愛を描く一方で、美術というモンスターに取りつかれたはぐみをめぐる物語がもう一つの軸としてある、とも指摘されている[2]。
ハチミツとクローバー – Wikipedia

3月のライオン

東京の下町に一人で暮らす、17才の将棋のプロ棋士=桐山零。彼は幼い頃、事故で家族を失い、深い孤独を抱えた少年だった。そんな彼の前に現れたのはあかり・ひなた・ももの3姉妹。彼女たちと接するうちに零は・・・。様々な人間が、何かを取り戻していく優しい、物語です。
『3月のライオン』羽海野チカ | 白泉社

前作「ハチミツとクローバー」を描き終え、新しい作品を描き始めようとしたとき自分で、もうこの先は、何をどんな風に描いても「ハチクロ」のようには喜んではもらえないのだろうなと思ってしまいすくんでしまいました。
たくさんたくさん考えた末、「あの人ハチクロだけで終わっちゃったよね」と言われないためには、ハチクロと同じカラーの作品を描くのではなく、もう一度何もかも一からやり直すくらいの覚悟が必要だと思いこの「3月のライオン」を描き始めました。無我夢中で描き続け・・・(略)
マンガ大賞2011は「3月のライオン」に決定/現在の「いじめ」エピソードは親族の実体験 – 見えない道場本舗

羽海野チカのマンガの才能って具体的にどんなもの?

「絵がかわいく見える線、というものが存在しているので、その線を覚えれば絵はかわいく描ける」と語ってたそうです
羽海野チカという人は「漫画家が恐れる漫画家」らしい。ゴッチかボックか、ヒョードルかフリーザか… – 見えない道場本舗

「キャラの性格はしぐさと動作で、2コマあれば表現できる」「黒澤映画と手塚治虫の「ブラック・ジャック」はすごく研究した。七人の侍の、個々の強さの差を表現する場面(あの「不意打ちテスト」のことです)はすごいし、BJはあのページ数で、あそこまで話を展開できるのがお手本」
マンガ大賞2011は「3月のライオン」に決定/現在の「いじめ」エピソードは親族の実体験 – 見えない道場本舗

「作中のキャラは『○○という人間はこう言い、こう動くだろう』じゃダメ!自分が『○○』になって『俺はこう言う!』じゃなきゃ!!」
マンガ大賞2011は「3月のライオン」に決定/現在の「いじめ」エピソードは親族の実体験 – 見えない道場本舗

羽海野先生って、取材したものから、どこを拾うかっていうチョイスがすごくうまいと思うんですよ。たとえばライオンの中で、勝った方が声が小さい、というシーンが出てくるんですよ。負けたほうはサクサク答えるんだけど、勝ったほうは疲れきっていて、対局中、勝ちがほぼ決まった段階からミスらないようにしないといけないから、勝者のほうが緊張感があるみたいなエピソードがあって、それを取材で拾ってくる能力がすごい。
羽海野チカという人は「漫画家が恐れる漫画家」らしい。ゴッチかボックか、ヒョードルかフリーザか… – 見えない道場本舗

糸井  そうやってさ、表現されないまま、
心の中だけに描かれていく漫画って、
いっぱいあるんだね。
羽海野 はい。そしていつかチャンネルが合って、
ちょうど作品の波と合うと、
「じゃあ、あの話を。彼女の話を」
とかって描けるんです。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

糸井重里さんとの対談より

羽海野 意外に小さいこと全部覚えたまま生きていて。
小学校の頃からのストックを
いっぱい持ってるので、
全部使い切って死ねるのかがわからない。
漫画は、回数が限られているので、
もったいないなぁ。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

人生そのものが「才能」?!

羽海野 はい。いっぱい残っています。
でも、全部忘れないでストックされているので、
漫画描く時はとてもいいんです、
いま辛い子たちが読むのにちょうどいい話を、
ちょうど解決策が見つかった頃提示できるのは。
「その傷はこうやって治しましたよ、
今傷口はこんなですよ」って。
糸井 見せられる。
羽海野 これもこの間、ツイッターで読んだんですけど、
「今こういうことされて
こんなに辛い。傷を見て」
っていうのが子どもの作品で、
「ぼくはこういうふうに治しましたよ」って、
治った傷口を見せて言うのが
大人の作品だって。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

でも、ウミノさんは使い分けられるそうです。

「3月のライオン」のいじめられている子をかばうエピソードは姪っ子さんの実話

羽海野氏がいう「3月のライオンは…まだ車で言えば、3速の段階かな」
・一同「?」
・「(ハチクロではやったけど)まだライオンでやってないことがあるから」
森、吠士氏は→形容や比喩でなく、リアルな物理的現象として「 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」したと回想する…
・まだ変身段階を2つも残している、ということで森氏は以後、彼女に「フリーザ様」との異名をつけた。
羽海野チカという人は「漫画家が恐れる漫画家」らしい。ゴッチかボックか、ヒョードルかフリーザか… – 見えない道場本舗

糸井  終わるんだっていうのはわかるんですか?
自分の描いてる物語はここで終わりにするんだって。
羽海野 私、まだこれが2つ目の物語なんですけど、
その時自分が悩んでることをテーマにすると、
私、悩みのストッパーがないので、
答えが出るまで悩み続けるんですね。
よーく熟成されるから、
悩みをテーマにしておけば、
きっと普段悩んでることを描けばいい。
たぶん私の悩みが解決された時、
この男の子の悩みも解決されるんでしょう。
その時に一緒に終わろうねっていう。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

糸井  その頃に新しい悩みが出てくるんだね、じゃあ?
羽海野 そうなんです。
連載って7年ぐらいかかるんですけど、
7年後に自分がたどり着きたい心境を
ラストシーンに、一応設定してあるんです。
糸井  おぉー、しびれるね、それは!
羽海野 そこの境地に私がなんとか
7年後までに行かないとって、
やってるんです。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

マンガの申し子…。

糸井  羽海野さんの、その視線の先にあるものは、
ずっと、ぶれないものなんですか?
羽海野 なかなか悩みの一番でっかいとこって
そんなに変わらないので。
だから、この主人公と一緒に悩んで、
なるべく一緒にゴールしたいなぁと思って。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

やっぱり人生が才能で、才能が人生になっている、この人は。

ウミノのマンガへの姿勢は?

読んでもらうために描いています
ジョジョの露伴先生とおんなじです
それ以外はもう重要ではないんです
羽海野チカブログ ~海の近くの遊園地~ -2ページ目

羽海野 なるべく、大きな話と小さなお話って
分けないで入れようと思っているんです。
小さなお話で世界ができているんで、
その小さなお話をなるべく真剣に描いて、
大きなお話も真剣に描こうって。
あんまり重さに違いがないようにしたくて。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

向き合い方が素直なんですね。

糸井  感じない振りをしちゃだめだしね。
あれはこの主人公の素質を感じますね。
その直前まで、直前までの彼の居方、
つまり「生きるにはプロになるしかなかった」
っていうのって、
いやだけどやってる商売の典型で、
それこそ娼婦なんですよ。
羽海野 そうですね。よく聞かれるのが、
「漫画好きですか?」。
答えようがないんですけど、
読者さんは私に
「大好きです」って言ってほしいんですね。
糸井  言ってほしいんですよね。
羽海野 「大好きです」っていう言葉を期待して
みんな質問を投げかけてくれるんですけども、
口から出ないんですね。
それで、それを描きたいなと思って。
最後に、ちゃんと自分の気持ちに
折り合いがつくとこまで描いてあげたいなと。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

単純ではないプロの心…。「大好き」だけでは言い表せないものがあるのでしょうね。マンガが「好き」というかウミノさんそのものなのかも。

ウミノのきもち

ハチクロはお友達を持った事の無い人間が妄執のような憧れだけで描き続けた「お友達のいる世界」の物語だったのですが、描き上げた頃には沢山の共同作業や沢山の人との打ち合せを経て、本当に人と話せるようになっていて、なんとお友達までができていたのが人生の素晴らしい所だと、心からおもいます。
羽海野チカという人は「漫画家が恐れる漫画家」らしい。ゴッチかボックか、ヒョードルかフリーザか… – 見えない道場本舗

森見さんの小説だいすきたろうです。

そしてたろうちゃんは
乙女の文庫化のとき
解説を描かせていただけて(書く能力がなかったために、お願いして描かせていただきました!)
天に届く程足が地から浮きました

もう、樋口師匠と一緒にふわふわでした

お金なんかちょっとでふわふわ、と、ウチのファーファの巨大ぬいぐるみも
真っ黒な目でつぶやいていました
羽海野チカブログ ~海の近くの遊園地~ -2ページ目

ファーファのぬいぐるみがつぶやく…、何てかわいい!ウミノさんのこういうところ、こういう表現好きです。

1/私は、弁が立つ方では無く、なんといったらいいのか、 上手く言葉になかなか出来なかったのと、 私がもし、変な事を言ってしまって、かえって、漫画を大事にしている方達、みんなの足をひぱってしまったらどうしようとか…そんなことで色々悩んで中々書き出せないでいたのですが…

2/「東京都青少年健全育成条例改正案」には、私は反対です。
羽海野チカブログ ~海の近くの遊園地~

5/どうして、こんなに慌てて決めようとされているのでしょうか。 漫画を好きなひとは日本にも、世界にも 沢山 沢山 沢山 いて、なのに、なぜ、こんな、うやむやのうちに、規制して、見えないように、されようとしているのかが、解りません。 なにより、「いつも不意打ち」で恐いのです。
羽海野チカブログ ~海の近くの遊園地~

8/そう想像せずにはいられません。きっと皆が萎縮して、漫画の世界が小さくなっていってしまうと思うのです。漫画は世界に誇れる、日本の大切な文化だと、私は固く信じています。こんなに大事なものを、小さくしてしまうかもしれないものには、私は、反対です。
羽海野チカブログ ~海の近くの遊園地~

やわらかな言葉で気取らず繊細に、でもしっかりと言葉を紡ぎ、漫画への愛と世の中への意見を語る羽海野さん。こういう言い方で主張されると胸を打たれます。こんなところにも彼女の視点や感性、言葉の感覚が表れているように見えます。

糸井  乗っけてるものは多いですよね。
主人公の「自分もお返ししなきゃ」っていう部分、
羽海野さんの心情を感じるんですよね。
羽海野 プロ同士だったら、
一方的に甘い汁を吸わせてもらう環境は
絶対おかしいと思うので。
糸井  それそれそれ。
羽海野 すごく大きな人に声をかけてもらっても、
自分は見込まれたから
声をかけてもらったわけであって、
私がもう1回返せるものがあると見込んだから、
声かけてくれたんであって。
じゃあ、何返そうって。
相手のために何かしたいと思う。
それがないと、
お仕事っていつか行き詰るなぁと。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

何だろう…、寂しい子供のようで、熟成された大人のような方ですね、ウミノさんは。

羽海野 いっぱいいっぱいになってると
自分がてっぺんなんですけど、
てっぺんよりてっぺんは、いるので、
そっちを見るとちょっと落ち着くところもあって。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

てっぺんにいくと追われるだけの立場でもありますからね。てっぺんの位置を維持し続けるのは苦しそうな事ですし…。でも、ウミノさんが言っているのはそんな単純な話ではないか。

ウミノのこんな一面

墨汁ごくごくごく
「墨をのんだような気持ちになった」というモノローグを書いた事があるので、書いた者として、実際にはどんなカンジなのか知らないといかんなと思って飲んでみた。でも、家には製図用のパイロットのインクしかなかった。ごくごくも無理だった。一口ではいた
羽海野チカという人は「漫画家が恐れる漫画家」らしい。ゴッチかボックか、ヒョードルかフリーザか… – 見えない道場本舗

死にますよ…。

糸井  アシスタントの方々が
一緒に暮らしてるっていう生活は、
結構長く続いてたんですか?
羽海野 はい。月に6日間ぐらいなんですけれども、
いつでも誰が入ってもいいように
しておくっていうのって結構‥‥。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

羽海野 で、結構平気なものだなって思って。
それでもう今は、
「みんな来ればいい」ってできるようになった。
でも、みんなをいっぱい呼んだ日に限って
お料理を失敗するんです、私。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

お料理は「気負い」がマイナスになってしまうのでしょうか?作家さんとか芸術家さん、漫画家さんとかって表現の世界でしか実力を見せるのが得意ではないものなのでしょうか?

交友関係

羽海野 わたし、家の近所に友達がいないんですね。
引っ越してきた町なので。
だから、しゃべるのって、
マッサージ屋のお姉さんか、
近所のお洋服屋のお姉さんなんですよ。
糸井  あぁ、心のマッサージ。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

結構「オトモダチ」に敏感ですね。

糸井  堺くんとは
『ハチクロ(ハチミツとクローバー)』の映画で
お知り合いになってるわけですよね。
羽海野 そうです。映画で花本先生を演っていただいて。
今もメールをやりとりさせて
いただいているんです。
ほぼ日刊イトイ新聞ー恋、みたいなもの。

堺雅人さんと気が会ったのでしょうか?奥さんの管野美穂さんともお知りあいだったりして。

ハチクロの映画で羽海野さんが堺さんをいたく気に入ったそうです。

羽海野チカさんと萩尾望都様の対談です。ハチクロのはぐちゃんは萩尾様の作品に出てくるメリーベルからきているそうです。

羽海野チカさんとよしながふみさんとの対談。詳しくはマンガで。

第18回度手塚治虫文化賞贈呈式とヤマザキマリさんとの公開対談に白のドレスで登場

デザイナーの丸山敬太さんのオーダーメイドドレス。ウミノさんは「勇気の甲冑」と。胸の下が切り替えになっている中世風デザイン。

なんとなく心のすべて、記憶、経験、人生の全てがマンガに生かされている人なのかなと感じました。マンガに捧げているというより、自然にそういう流れの人生になっているような…。彼女の作品を読むととても情緒豊かでありながら描き手の賢さを感じます。熱心で真っすぐでカミサマに「マンガを描きなさい」と言われたような人だと思いました。

https://matome.naver.jp/odai/2144125465528734701
2015年09月18日