スロバキアの世界遺産一覧

name_to_name
スロバキア共和国の世界遺産「ヴルコリニェツ」から「カルパティア山脈地域のスロバキア側の木造教会群」まで、文化遺産5件・自然遺産2件・合計7件。旅行、観光の参考に。

目次


ヴルコリニェツ
バンスカー・シュチャヴニツァ歴史地区と近隣の工業建築物群
レヴォチャ歴史地区、 スピシュスキー城及びその関連する文化財
バルデヨフ市街保護区
カルパティア山脈地域のスロバキア側の木造教会群
アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群


カルパティア山脈のブナ原生林とドイツの古代ブナ林群

文化遺産 5件

ヴルコリニェツ

1993年に登録された世界遺産(文化遺産)。スロバキア中部にあるニーズケー・タトリ山中の小さな村落である。この村落には、中世以来の中央ヨーロッパ山岳部に住むスラブ民族の伝統的な木造建築物がそのまま保存されていることから、世界遺産に登録された。実際に人々が生活する村落が世界遺産として登録されたのは、2011年3月現在、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(日本)と「ホローケーの古村落とその周辺地区」(ハンガリー)を含め3件である。◇英名はVlkolínec
ヴルコリニェツ(ヴルコリニェツ)とは – コトバンク

スロバキアの中部、山の中にひっそりと佇む村。ヴルコリニェツ。狼を仕留める猟師達の村として昔から知られる。ヴルコとはスロバキア語で狼という意味。この村のはじまりは10世紀といわれ、文献に出てくるのは14世紀末である。
スロバキアの山岳部に多く見られる典型的な木造家屋が45戸保存されている。
世界遺産|第240回 ヴルコリニェツ ON AIR HIGHLIGHT

1835年に建てられた木造家屋。切り妻屋根が特徴である。小さな穴は、煙出し用というよりは明かり取りのためのもの。煙突のない屋根は、暖炉やオーブンの煙によっていぶされ耐久性が増すように工夫されている。
世界遺産|第240回 ヴルコリニェツ ON AIR HIGHLIGHT

この村に生まれ育ったエミリアさん、88歳。エミエリアさんの朝は小屋から鶏を出すことからはじまる。夫と息子を亡くし一人暮らし。家畜の世話と農作業で、春から秋まで重労働の日々が続くという。寒い冬が、唯一体を休めることが出来る安息の季節。
世界遺産|第240回 ヴルコリニェツ ON AIR HIGHLIGHT

村の唯一の教会、聖母教会。20世紀半ばまで、ここには電気もなく村人は何世紀もの間孤立した生活を送っていた。周囲の厳しい自然に囲まれ、人々の生き方は神への忠誠と隣人への愛に貫かれていた。2000年のクリスマスイブ、教会のミサは村人と近隣から集まった人々で溢れていた。
世界遺産|第240回 ヴルコリニェツ ON AIR HIGHLIGHT

バンスカー・シュチャヴニツァ歴史地区と近隣の工業建築物群

1993年に登録された世界遺産(文化遺産)。バンスカー・シュティアヴニツァはスロバキア中部にある町。12世紀半ばに起源を持つオーストリア=ハンガリー二重帝国時代(1867~1918年)にかけて、金・銀・銅の採掘とその精錬で発展した。ちなみに、バンスカーはスロバキア語で「鉱山」を意味する言葉である。1627年には火薬による採掘が始まり、1762年にはマリア・テレジアにより、この町にヨーロッパ初の鉱山技師養成専門学校が設立された。17~18世紀に最盛期を迎えたが、19世紀後半から鉱業は衰退を始めた。旧市街には、シュティアヴニツァ新城、聖カタリーナ聖堂、アントル教会、旧市庁舎、トリニティ広場など、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックの建築様式の遺構が残されている。◇英名はHistoric Town of Banská Štiavnica and the Technical Monuments in its Vicinity
バンスカー-シュティアヴニツァ歴史都市と近隣の工業建築物群(バンスカーシュティアヴニツァれきしとしときんりんのこうぎょうけんちくぶつぐん)とは – コトバンク

レヴォチャ歴史地区、 スピシュスキー城及びその関連する文化財

1993年に登録、2009年に登録内容が変更された世界遺産(文化遺産)。スピシュスキー城は、スロバキア東部のプレショフ州、ブラニスコ山麓にある中世の城。現在は廃墟となっているが、中欧では最も規模が大きい城の一つである。この一帯にはスラブ人の国、大モラビア帝国があったが、10世紀初頭にハンガリー王国により征服された。この城は、12世紀にロマネスク様式の石城として築かれた。その後13世紀半ばに、ロマネスク様式の宮殿と3つの本堂のあるロマネスク・ゴシック様式の聖堂が建設され、1470年頃に後期ゴシック様式の礼拝堂が建設された。その後、この城の城主だったサポヤイ家は16~17世紀の典型的な後期ルネサンス様式の宮殿に変えている。しかし、1780年に火災に遭い、それ以降廃墟となった。20世紀初め、城郭の一部が修復され、広範囲にわたる考古学調査が行われた。再建された城郭部分は現在スピシュスキー博物館となっている。
レヴォチャ歴史地区、スピシュスキー城及びその関連する文化財(レヴォチャれきしちく、スピシュスキーじょうおよびそのかんれんするぶんかざい)とは – コトバンク

城下町のスピシュスカ・カピトゥラには、スピシュスカ・カピトゥラ聖堂、聖マルティン大聖堂、ゴシック様式のジェヘラ聖霊聖堂などがある。2009年にレヴォチャ歴史地区が追加登録され、登録遺産名も変更された。◇英名はLevoČa, Spišský Hrad and the Associated Cultural Monument
レヴォチャ歴史地区、スピシュスキー城及びその関連する文化財(レヴォチャれきしちく、スピシュスキーじょうおよびそのかんれんするぶんかざい)とは – コトバンク

バルデヨフ市街保護区

2000年に登録された世界遺産(文化遺産)で、スロバキア東部、プレショフ州の都市。市街には歴史的建造物が多数残り、1247年創建の聖エギディウス聖堂、1505年建造のタウン・ホールのほか、町の中央広場の周囲にはゴシック様式とルネサンス様式の住宅が良好な保存状態で現在に伝えられている。このほか、18世紀に建てられたユダヤ教の礼拝堂が残るユダヤ人街区があり、これらの建造物のある地域が市街保護区となっている。バルデヨフの町は、13世紀半ばからハンガリーとポーランドとの交易の要衝として栄えた。14~15世紀にかけて造られた要塞の施設を含めて世界遺産に登録されている。◇英名はBardejov Town Conservation Reserve
バルデヨフ市街保護区(バルデヨフしがいほごく)とは – コトバンク

カルパティア山脈地域のスロバキア側の木造教会群

2008年に登録された世界遺産(文化遺産)。スロバキアのカルパチア山地の山間部に、3つの宗派の古い木造キリスト教会が共存している村落がある。ここはラテン系の文化とビザンチン文化の境界にあった地域で、16世紀から18世紀にかけて建設された2つのカトリック教会、3つのプロテスタント教会、3つのギリシア正教(正教会)の教会がある。中央ヨーロッパの小さな村の中に、このように3つの宗派の宗教施設が共存している例はたいへん珍しい。◇英名はWooden Churches of the Slovak part of the Carpathian Mountain Area
カルパチア山地のスロバキア地域の木造教会群(カルパチアさんちのスロバキアちいきのもくぞうきょうかいぐん)とは – コトバンク

自然遺産 2件

アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群

1995年に登録、2000年、2008年に登録内容が変更された世界遺産(自然遺産)。ハンガリー北部のアグテレック地方に広がるカルスト地形(アグテレック・カルスト)とスロバキア南部のスロバキア・カルストにまたがる、カルパティア山脈一帯に点在する700以上の洞窟群である。ハンガリー、スロバキア両国共有の世界遺産として登録されている。この洞窟群のなかに、ヨーロッパ最大の鍾乳洞バラドゥラ=ドミツァ洞窟がある。全長25kmの洞窟で、国境を越えて両国にまたがって伸びており、ハンガリーではバラドゥラ洞窟、スロバキアではドミツァ洞窟と呼んでいる。一帯は、ハンガリー側は国立公園に、スロバキア側は景観保護地区に指定されている。洞窟群のなかには、長い年月を経て自然に造形された鍾乳石などが存在する。◇英名はCaves of Aggtelek Karst and Slovak Karst
アグテレック-カルストとスロバキア-カルストの洞窟群(アグテレックカルストとスロバキアカルストのどうくつぐん)とは – コトバンク

ハンガリーとスロヴァキアの国境地帯。カルスト台地の地下には、7000を超える鍾乳洞が広がる。地底を切り開いたのは雨水だ。大地にしみ込んだ水は石灰岩を溶かし、数百万年かけて地下に空洞を造る。そこに水に溶けた石灰分が染み出し、鍾乳石を生むのだ。洞窟のわずかな環境の違いが、多彩な鍾乳石を誕生させる。
世界遺産|第380回 アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群 ON AIR HIGHLIGHT

ゴンバセツカ洞窟。「ストロー」と呼ばれる中空の鍾乳石が、この洞窟の名を知らしめた。直径5mmほどの薄い管は、3mにも達する。ストローが詰まると外側に結晶が付き、太い「つらら石」になる。1cm成長するのに100年かかる。洞窟の白はカルシウム、赤は鉄、黒はマンガンが鍾乳石に溶け込んだものだ。
世界遺産|第380回 アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群 ON AIR HIGHLIGHT

ドブシンスカ氷穴。全長1.2kmの氷でおおわれた洞窟は、1年を通じて氷点下の世界だ。40万年前の氷河期に、天井が陥没して地表から閉ざされ、冷気が封じ込められた。水滴はゆっくりと古い氷を溶かし、5000年かけて新しい氷を作り出す。氷の結晶‥‥自然の造形は、繊細な美しさを極める。
世界遺産|第380回 アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群 ON AIR HIGHLIGHT

オクチンスカ洞窟。奇妙な形のアラゴナイト‥‥あられ石。かつては植物の化石だと考えられたが、純然たる鍾乳石だ。何故アラゴナイトがこのような形の結晶になるのかは、未だ解明されていない。人間の一生は、鍾乳洞の神秘を探るには短すぎるのだ。地球の胎内で数百万年くり返された営みは、今も続いている。
世界遺産|第380回 アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群 ON AIR HIGHLIGHT

カルパティア山脈のブナ原生林とドイツの古代ブナ林群

2011年に拡張登録された世界遺産(自然遺産)。ヨーロッパの東部、スロバキアとウクライナにまたがるカルパチア山脈の原生ブナ林群は、世界最大のブナの原生地域で、東西185kmにわたって原生ブナ林が存在する。しかもブナ一種の優占林のみならず、カエデ、カシ、裸子植物などの混交林も多い。さらに植物群落に関しては、ウクライナ側だけでも100種類以上が確認され、ウクライナ版レッドリスト記載の動物114種も生息しており、生物多様性維持という観点からも重要な存在である。
カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林(カルパチアさんちのブナげんせいりんとドイツのこだいブナりん)とは – コトバンク

一方、ドイツの古代ブナ林群は、5つの森林で構成されている。この古代ブナ林群は、陸上生態系の後氷期から現在までの進化の代表例であり、北半球におけるブナ林の拡大のプロセスを理解する上で不可欠な存在である。スロバキアとウクライナの原生ブナ林群29,278haは、すでに2007年に自然遺産として登録されており、今回新たにドイツの古代ブナ林群4,391haが追加された。ドイツ、スロバキア、ウクライナの3ヵ国にまたがるこの遺産は、「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」と名称が変更となった。◇英名はPrimeval Beech Forests of the Carpathians and the Ancient Beech Forests of Germany
カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林(カルパチアさんちのブナげんせいりんとドイツのこだいブナりん)とは – コトバンク

https://matome.naver.jp/odai/2144081997789824001
2018年06月10日