【閲覧注意】美しい悪魔の世界

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悪魔とは

悪魔(あくま)は、特定の宗教文化に根ざした悪しき超自然的存在や、悪を象徴する超越的存在をあらわす言葉である。

悪魔は、仏教では仏道を邪魔する悪神を意味し、煩悩のことであるとも捉えられる。キリスト教ではサタンを指し、神を誹謗中傷し、人間を誘惑する存在とされる。サタン以外の西洋文化の悪霊(デーモン)も現代日本語では一般に悪魔と呼ばれたりする。イスラム教においては悪魔はシャイターン、イブリースと呼ばれる。

宗教によっては神に敵対するものを指し、他宗教の神々への蔑称ともなる
悪魔 – Wikipedia

ストラス:王子

ストロス (Stolos) あるいは ソラス (Solas)とも呼ばれる。ヨーハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』(1577年)によると、26の軍団を指揮する地獄の大君主である。72人の悪魔たちの性質を記したグリモワール『ゴエティア』でも36番目に紹介されており、同様の記述が見られる。

ゴイサギの姿で現れるが、召喚者の前では人間の姿も採るという。コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』ではフクロウの姿で現れるとされ、頭に王冠を戴いたフクロウのような挿絵が描かれている。

ストラスは天文学や薬草学、宝石に関する知識に優れ、召喚した者にその知識を授けるという。

フェニックス:侯爵

ヨーハン・ヴァイヤーの著した『悪魔の偽王国』や、作者不明のグリモワール『レメゲトン』の第1部「ゴエティア」には、鳥のフェニックスのような姿で現れるというフェニックスという名の悪魔が記載されている。「ゴエティア」では「ソロモン72柱の悪魔」の一角を担う序列37番の大いなる侯爵とされる。アレイスター・クロウリーの出版した『ゴエティア』では「Phenex(フェネクス)」 の綴りになっている。不死鳥のフェニックスと区別して悪魔のフェニックスを「フェネクス」と呼ぶ場合もある。

詩作に優れており、話す言葉も自然に詩になるが、人間の姿を取った時は、耳を塞ぎたくなるほど聞き苦しい声で喋るという。

ハーゲンティ:長官

ハゲンティ(Hagenti)と呼ばれることもある。 『ゴエティア』によると、地獄の33の軍団を率いる序列48番の大総裁。

最初はグリフォンの翼を持つ力強い牡牛の姿で現れるが、命じれば人間の姿にもなれる。人を博識にする他、金属を黄金に変えたり、ワインを水に、水をワインに変えたりできる。

ウアル:公爵

ウヴァル(Uvall)、またはヴアル(Vual)、ヴォヴァル(Voval)、は悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』によると、地獄の37の軍団を率いる序列47番の強大にして大いなる公爵。かつては能天使であった。

最初は力強いヒトコブラクダの姿で現れるが、望めば人間の姿にもなれる。エジプトの言語で話すがその口調は完璧ではないとされる。女性の愛をもたらし、過去・現在・未来について語る。敵味方の間に友愛の情を生じさせることもできるという。

ザレオス:伯爵

サレオス(Saleos)は悪魔学における悪魔の一人。サロス(Sallos)、ザレオス(Zaleos)またはザエボス(Zaebos)とも呼ばれる。
『ゴエティア』によると、地獄の30の軍団を率いる序列19番の偉大にして強力な公爵。一方、『悪魔の偽王国』によれば、大伯爵とされる。

公爵の宝冠をかぶり、ワニに乗った雄々しい兵士の姿で現れるが、その立ち振る舞いは穏和である。男女間に愛情を芽生えさせることができる。

アロケル:公爵

アロケル(Allocer、Alocer)、またはアロケス(Alloces)、アロカス(Alocas)、は悪魔学における悪魔の一人。

立派な馬にまたがった、燃えるような目を持つ真っ赤なライオンの頭を持った兵士の姿で現れる。その目を覗き込んだ者は自分の死に様が見えるとされ、ショックでしばらく目が見えなくなると言われる。その話しぶりはしゃがれて大きいという。天文学や教養学を教え、また優れた使い魔を与えてくれる。

バラム:王

バラム(Balam)は、悪魔学における悪魔の一人。

40の軍団を指揮する大いなる力強き王である。

召喚者の前に、三つの頭を持った姿で現れる。第一の頭は牡牛、第二の頭は人間、第三の頭は牡羊である。蛇の尾を持ち、燃えるように真っ赤な両目を持ち、凶暴な熊にまたがっている。また、その拳にオオタカ(『悪魔の偽王国』では単に「タカ」)を乗せている。

しわがれた声で語り、過去と現在と未来について正確な答えを述べ、人を不可視にし賢くさせる能力がある。『悪魔の偽王国』によると、堕天する前は主天使であった。

コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』ではバラン(Balan)と記述され、アレイスター・クロウリーとマグレガー・メイザースが編集した版のゴエティアにはBalamの他にBalaamという綴りも書かれている。

フラウロス:侯爵

フラウロス(Flauros)は、悪魔学における悪魔の一人。

ハウラス(Hauras)、ハウレス(HauresまたはHavres)とも呼ばれる。『悪魔の偽王国』によると、20軍団を率いる強力な公爵である。

召喚すると、最初は恐ろしく力強い豹の姿で現れるが人間の姿も取る。炎のような目を備えた恐ろしい表情をしているとされ、コラン・ド・プランシーが書いた『地獄の辞典』の挿絵では、立ち上がった豹人間のような姿で描かれている。

過去、現在、未来全ての質問に対して正しく答える力を持つが、魔法陣の三角形の中にいないとフラウロスは必ず嘘をつく。魔法陣の中にいるときは、世界の創造や神聖な事柄、さらには、いかにして悪魔が堕天したのか喜んで語る。また、召喚者の敵を全て焼き尽くす力を持つ。命じれば他の悪魔たちによる誘惑から守ってもらうこともできる。

ヴァプラ:公爵

ウァプラ(Vapula、ヴァプラ)、またはナフラ(Naphula)は、悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』によると、地獄の36の軍団を率いる序列60番の偉大にして強大なる公爵。

グリフォンの翼を持ったライオンの姿で現れるとされる。あらゆる手作業を器用にさせたり、哲学をはじめとする学問に精通させる。

オロバス:王子

オロバス(Orobas)は、悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』によると、地獄の20の軍団を率いる序列55番の偉大なる君主。

最初は馬の姿で現れるが、命じられれば人間の姿になる。過去・現在・未来のあらゆる事物について答え、召喚者に地位を与え、敵味方からの協力をもたらす。また神学における真理や創世における真実を教えてくれる。オロバスは召喚者に対しては大変誠実で、他の霊からの攻撃から守ってくれるともいう。何者も欺くことがないとも言われる。

コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』ではオロバスの挿絵に直立した馬の姿を用いており、この意匠は後世盛んに知られるようになった。

アイム:公爵

アイムまたはエイム(AimまたはAym)は、悪魔学における悪魔の一人。アイニ(Aini)またはハボリム(Haborym)とも呼ばれる。

『ゴエティア』によると、26の軍団を指揮する序列23番の地獄の大公爵。

蛇、額に星を2つ付けた人間、猫の3つの頭を持ち、毒蛇にまたがった人間の姿で召喚者の前に現れる。手に火のついた松明を持ち、その松明で城砦や都市に火を放つ。人を賢明にし、また、隠された物事に関する質問に対して真摯に答えてくれる。

フレッド・ゲティングズは、松明と3つの頭からこの悪魔をエジプト神話に由来するものと推測しており、猫の頭を持つバステトとの関係を示唆している。

アンドラス:侯爵

アンドラス(Andras)は、悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』によると、30の軍団を指揮する序列63番の大侯爵。

天使の身体に黒い鳥の頭を持った姿で現れる。頭については、『ゴエティア』および『悪魔の偽王国』はゴイサギ、コラン・ド・プランシーはフクロウ、フレッド・ゲティングズはカラスとそれぞれ述べている。手には鋭い剣を携え、黒い狼にまたがっている。

アンドラスは召喚者を仲間ともども皆殺しにしようとするため、注意しなければならないという。一方、召喚者に敵を皆殺しにする方法を教えるという説もある。能力としては、不和をもたらす力を有している。

アムドゥスキアス:公爵

アムドゥスキアス(Amduscias)は、悪魔学における悪魔の一人。

アムドゥキアス(Amdukias)、アムブスキアス(Ambuscias)、またはアムドゥシアス(Amdusias))と呼ばれ、『ゴエティア』によると29の軍団を率いる序列67番の地獄の公爵である。

召喚者の前にユニコーンの姿で現れるが、求められれば人間の姿にもなれる。その際、トランペットをはじめ、あらゆる楽器の音が後から鳴り響くという。注文に応じて木々を曲げたり傾けたりでき、他にも優れた使い魔を与えてくれるともされる。

後世では音楽的な性格をもつ悪魔とされ、音楽会を開いたり、音楽的な才能を与えてくれるとされることもある。

ヴォラク:長官

ウァラクまたはヴァラク(Valac)は、悪魔学における悪魔の一人。

ウォラクまたはヴォラク(Volac)とも呼ばれる。

『ゴエティア』によると、30の軍団を率いる序列62番の地獄の大総裁。

『ミュンヘン降霊術手引書』でもウォラク(Volach)という名前で登場しており、27の軍団を率いる大総裁であるという。

召喚者の前に、頭を二つもったドラゴンにまたがった、天使の翼をもつ少年の姿で現れる。召喚者に財宝のありかを教えるとされる。また蛇の現れる場所を教え、召喚者に害を与えずにもたらすともいわれる。

ガミジン:侯爵

ガミジン(GamiginまたはGamygyn)は、悪魔学における悪魔の一人。

サミジナ(Samigina)とも呼ばれる。『ゴエティア』によると序列4番の地獄の大侯爵。30の悪魔の軍団を率いるという。

召喚されると、小さなウマもしくはロバの姿で現れる。人間の姿を取ると、しわがれた声で話す。諸学問に関する知識を与え、罪に死した者の魂を呼び寄せる力を持つ。召喚者の質問に明瞭に答えようとし、また、召喚者の望みを叶えるまでその元に留まるとも言われている。

ヴィネ:王(伯爵)

ヴィネ(Vine)、またはヴィネア(Vinea)は悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』によると、地獄の36の軍団を率いる序列45番の偉大なる王にして伯爵。

黒馬にまたがり手(前足)に毒蛇を持ったライオンの姿で現れる。秘められた事物や魔術師の存在を探り出し、過去・現在・未来について知る。命じられれば塔を建造したり、逆に堅固な城壁を倒壊させたり、水域を嵐を伴い荒れさせることもできる。

フォカロル:公爵

フォカロル(Focalor)は、悪魔学における悪魔の一人。

フォルカロル(Forcalor)あるいはフルカロル(Furcalor)とも呼ばれる。『ゴエティア』によると序列41番の地獄の大公爵。30の悪魔の軍団を率いるという。

召喚されると、グリフォンの翼を持った男の姿で現れる。風と海を支配し、人々を溺死させ、軍艦を転覆させる力を持つ。しかし、召喚者によって命じられない限りは人を傷つけようとはしないという。1000年後に第七座天使に復位することを望んでいるとされる。

『大奥義書』に登場する悪魔であるルキフゲ・ロフォカレ(Lucifuge Rofocale)の名前の後半部分は、フォカロルとアナグラムの関係にある。

ラウム:伯爵

ラウム(Raum、Ralm またはライム(Raim,Raym))は、悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』によると、30の軍団を率いる序列40番の地獄の大いなる伯爵。

召喚者の前にカラスの姿で現れるが、望めば人間の姿にもなる。王侯の屋敷から財宝を盗み出し望みの場所へ移動させたり、都市を破壊したり、人の尊厳を大いに貶めることができるという。また過去・現在・未来の情報を教えたり、敵と和解させたりもできるとされる。

カイム:長官

カイム (Caym または Caim) は、悪魔学における悪魔の一人。
カミオ (Camio)とも呼ばれる。
『ゴエティア』によると72人の魔神の一人で、30の軍団を従える序列53番の大総裁。元は天使の階級であったとされる。

ツグミまたはクロウタドリ(きわめて近縁)の姿で現れるが、鋭い剣を持った人間の姿も採る。『地獄の辞典』には「羽飾りをかぶって、孔雀の尾をつけた人間の姿で現れることもある」ともあり、剣を持った鳥の姿と鳥の着ぐるみを着た男のような姿の2種類の挿絵が付けられている。

人間の姿では、燃え盛る灰もしくは石炭の中で答えるという。

鳥、牡牛、犬、その他の動物の言葉、さらには水の音までも理解できるようにする力を持つ。また、未来の出来事に対する最良の対応を教えてもくれる。

優れた弁論家であり、コラン・ド・プランシーによれば、ルターの論争の相手はカイムだったという。

フルカス:騎士

フルカス(Furcas)は、悪魔学における悪魔の一人。

グリモワールの一つである『ゴエティア』によると、フルカスは20の軍団を率いる序列50番の地獄の騎士である。アーサー・エドワード・ウェイトはフルカスの爵位を公爵としている。

白髪と長いあごひげをたくわえた、残忍な老人の姿で現れる。手には鋭い槍を持ち、青ざめた馬に乗っている。哲学や修辞学、論理学、天文学、手相、火占術などを教えてくれるという。

コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』においては、「フォルカス(フォーラス、またはフルカス)(原題:Forcas (Forras, Furcas))」という項目で紹介されている。項目名および内容は、『悪魔の偽王国』や『ゴエティア』において別個の悪魔として紹介されているフォラスとの混同が見られる。

マルコシアス:侯爵

マルコシアス(Marchosias)またはマルコキアス(Marchocias)は、悪魔学における悪魔の一人。

『ゴエティア』および『悪魔の偽王国』に列挙された魔神の一人で、30の軍団を指揮する地獄の大いなる侯爵である。『ゴエティア』では35番目に、『悪魔の偽王国』では31番目に記載されている。名前は俗ラテン語で侯爵を意味する”marchio”に由来する。

『ゴエティア』によるとグリフォンの翼と蛇の尾を持ち、口からは炎を吹く狼の姿で現われ、召喚者の命令によって人間の姿になるという。強力な戦士であり、全ての疑問に正しい回答をする。また、取引をする召喚者に対してとても誠実である。

元は主天使であり、かつて主人だったソロモン王に1200年後に第七の玉座に戻りたかった、と話した事が『ゴエティア』には記述されている。『悪魔の偽王国』でも同様の記述があり、彼がこの願望に惑わされた、という記述があるがソロモン王に話したとは書かれていない。

アスタロト:公爵

アスタロト(Astaroth)は、ヨーロッパの伝承に伝わる悪魔の一人。種々の魔術や悪魔学の文献において高位の悪魔として扱われる。アシュタロト(Ashtaroth)、アステロト(Asteroth)とも呼ばれる。日本語ではアスタロス、アシュタロスとも表記される。
アスタロトは悪魔学における著名な悪魔の1人である。セバスチャン・ミカエリス、ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ、ヨーハン・ヴァイヤーらが、悪魔学に関する著作の中でアスタロトについて言及している。また、グリモワールと呼ばれる中世後期から近世にかけてヨーロッパで民間に流布していた魔術書にもその名がしばしば見られる。これらの文献において、アスタロトは悪魔たちの支配者階級に位置するものとみなされている。

アグリッパによると、アスタロトはギリシア語ではディアボロス(中傷者)と呼ばれ、ヨハネ黙示録に出てくる「我々の兄弟たちを告発する者」と同一視される。ヴァイヤーによれば、過去と未来を見通す能力を持ち、質問者に教養学を教授する。また、天使の創造やいかにして天使たちは堕天したかについても語るが、彼自身は自らの意志で堕天したのではないとも語る。

13世紀に編まれた聖人伝説集『黄金伝説』では、最果ての地であるインドの神殿に祀られていた異教の偶像神の名としてアスタロトが登場する。かの地を訪れた使徒バルトロマイがその寺院に宿泊すると、どんな病も直すと嘘をついていたその神像の中の魔神は、以後沈黙してしまったという。
ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』(1577年)によると、アスタロトは40の悪魔の軍団を率いる強壮な大公爵である。72人の悪魔たちの性質を記したグリモワール『ゴエティア』でも29番目に紹介されており、同様の記述が見られる。これらの文献では他にも王や君主とされる多くの悪魔が紹介されており、アスタロトは大公爵ではあるが特別大きく取り上げられているわけではない。別のグリモワール『大奥義書』でも大公爵とされているが、この文献ではアスタロトを皇帝ルシファー・君主ベルゼビュートと並ぶ地獄の支配者の1人として扱っている。『真正奥義書』というグリモワールでもルシファー・ベルゼビュートと並ぶ3人の支配者の1人であり、サルガタナスおよびネビロスという配下の大悪魔とともにアメリカに住まうとされる。

グリモワール『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』においては、8人の下位君主(Eight Sub Princes)と総称される有力な悪魔の1人である。グリモワール『教皇ホノリウスの奥義書』ではルシファーと同じく1週間の各曜日に呼び出す7人の悪魔の1人として紹介されており、水曜日に召喚するとされている。この王および他の王たちの恩寵を得るために召喚されるという。
アグリッパの『隠秘哲学』(1533年)によれば、悪魔の位階において告発者(羅:Criminatores、英:Accuser)あるいは審問官(羅:Exploratores、英:Inquisitor)と呼ばれる第8位階の君主であるとされる。フランシス・バレットの『メイガス』(1801年)においても「告発者と審問官の王」とされている。セバスチャン・ミカエリスの『驚嘆すべき憑依の物語』(1612年)によれば、第1階級の悪魔の1人であり、堕天した座天使の位階の君主である。怠惰を司り、その対抗聖者は聖バルトロマイであるという。一方、ルイス・スペンスの『オカルティズムの事典』によれば、熾天使の地位にあったという。

カバラにおけるクリフォトでは、ケセドに対応するGamchicothの長としてアスタロトの名が挙げられている。

コラン・ド・プランシーが地獄の宮廷を紹介するところによれば、アスタロトは地獄帝国の大主計である。

召喚されると、巨大なドラゴン、あるいはドラゴンに似た獣にまたがり、右手に毒蛇を持った天使の姿をとる。コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』でもこの記述にしたがった挿絵がつけられている。口からは毒の息または耐え難い悪臭を吐き出すため、間近に寄らせるのは危険とされる。蝿の王ベルゼブブのそばに、ロバの姿で現れることもあるという。『真正奥義書』によれば、黒白の色をした人間の姿で現れることもある。

ベリト:公爵

ベリト(Berith)は、ヨーロッパの伝承あるいは悪魔学における悪魔の一人。ベアル(Beal)、ボフリ(Bofry)、ボルフリ(Bolfri、Bolfry)とも呼ばれる。
ベリトは、旧約聖書にも登場するシケム(シェヘム、現在のナーブルス)の人々が偶像として崇めた神バアル・ベリト(Baal Berith)に由来すると考えられている。同じくバアル・ベリト神に由来すると考えられている悪魔であるバルベリト(Balberith)と同一視、あるいは別名とされる。

イギリスで発見されたグリモワール『ゴエティア』およびネーデルラント出身の医師・文筆家であるヨーハン・ヴァイヤーが記した『悪魔の偽王国』によると、ベリトは赤い衣服と王冠を身につけ、赤い馬にまたがった兵士の姿で現れる。

『ゴエティア』によると、ベリトは26の軍団を率いる序列28番の地獄の公爵である。『悪魔の偽王国』にも同様の記述が見られる[1]。召喚者が頼めば、ベリトは過去・現在・未来の質問に真摯に回答してくれる。また、金属を黄金に変える力、および人を尊厳をもって飾る力を持つ。しかし、ベリトはしばしば嘘を付くため信用してはならないという。ベリトと話す際には、指輪を用意し、『ゴエティア』に記されている別の悪魔ベレトと同じように相対しなければならないとされる。

一方、セバスチャン・ミカエリスによれば、バルベリトは第一階級の悪魔の一人として殺人と冒涜を司り、聖バルナバの敵対者である。堕天して悪魔となる前は智天使の君主であったという。また、コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』の「地獄の宮廷」の項によれば、バールベリトは皇帝ベルゼビュートの王族および大高官の一人であり、諸同盟の指導者とされる。

ベリアル:王

ベリアル(Belial、Beliar、Berial)は、悪魔、堕天使の一人。その名は「無価値なもの」、「悪」、「反逆者」を意味するとされている。
聖書にも登場している高名な悪魔であるベリアルは、悪魔学においても重要視され、多くのグリモワールにおいて名を挙げられている。

『ゴエティア』によると、序列68番の強大にして強力な王であり、80軍団を率いている。ルシファーに次いで創造された天使であり、天上にあってはミカエルよりも尊き位階にあったと自ら語るという。また、ベレト、アスモダイ、ガープと並んで72人の悪魔達を率いていたとされる。燃え上がる戦車に乗り、美しい天使の姿で現れる。地位や敵味方からの助力をもたらし、また、優れた使い魔を与えてくれるとされる。しかし、ベリアルは召喚者が生贄を捧げないと要求に対して真実を答えようとしないという。

ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパの『隠秘哲学』によれば、悪魔の位階において「不正の器」と呼ばれる第3位階の君主であるとされる。

『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』ではルシファー、レヴィアタン、サタンと並んで4人の上位君主(Four Superior Princes)として名を挙げられている。

コラン・ド・プランシーが『地獄の辞典』で地獄の宮廷を紹介するところによれば、ベリアルはトルコ大使であるという。

パイモン:王

パイモンまたはペイモン(Paymon, Paimon)は、ヨーロッパの伝承あるいは悪魔学に登場する悪魔の1体。
パイモニア(Paimonia)とも呼ばれる。マグレガー・メイザースは『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』というグリモワールへの注釈で、パイモンの名はヘブライ語の”POMN”(=「チリンチリンという音」)に由来すると推測している。

アグリッパによれば、ラビ(ユダヤ教神学者)たちはパイモンをアザゼルまたはアザエルと呼んでいたという。メイザースは、アザゼルとしている。

イギリスで発見されたグリモワール『ゴエティア』によると、パイモンは序列9番の地獄の王である。一部は天使からなり一部は能天使からなる200の軍を率いており、ルシファーに対して他の王よりも忠実とされる。彼自身は主天使の地位にあったという。

イギリスの文筆家・政治家レジナルド・スコットが記した『妖術の開示(原題:The Discoverie of Witchcraft)』1655年版では、パイモン、バティン、バルマを呼び出し、その恩恵を受ける方法が書かれている。この書によれば、パイモンは空の軍勢に属し、座天使の位階の16位にあるという。Corban およびマルバスの配下にあるという。

『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』では8人の下位君主(Eight Sub Princes)と総称される有力な悪魔の一人である。

15世紀に記されたと考えられているグリモワール『ミュンヘン降霊術手引書』でも、女性の愛を得るための魔術の中で、他の有名な悪魔であるベリアルやアスタロトとともに呼びかけの対象として名前が挙がっているが、特に地位に関する明確な記述はない。

現れる際には、王冠を被り女性の顔をした男性の姿を取り、ひとこぶ駱駝に駕しているとされる。また、トランペットやシンバルなどの楽器を携えた精霊たちを先導として現れる。最初に現れた際にパイモンは大音声で怒号のように話すため、服従させない限り召喚者はパイモンの話を理解できないという。生贄により召喚された際には、ベバル(Bebal)とアバラム(Abalam)(またはラバル(Labal)とアバリム(Abalim))という二人の王を従え、時として25軍団の能天使たちを伴う。

人に人文学、科学、秘密などあらゆる知識を与えるといわれ、大地がどうなっているか、水の中に何が隠されているか、風がどこにいるのかすら知っているという。召喚者に地位を与え、人々を召喚者の意思に従わせる力も持つ。また良い使い魔を用意してくれるともいう。

グラシャ=ラボラス長官

グラシャ=ラボラス(Glasya-Labolas)は、悪魔学における悪魔の一人。
カークリノラース(Caacrinolaas)、カーシモラル(Caassimolar)とも呼ばれる[1]。『ゴエティア』によると、36の軍団を指揮する序列25番の大総裁。

『大奥義書』によれば、ネビロスの支配下にあるという。『地獄の辞典』では、「ネビロス(あるいはナベルス)がときどき乗用に使う従僕にすぎぬとされている。」と紹介されている。

召喚されると、グリフォンのごとき翼を持った犬の姿で現れるという。人文科学の知識を与える一方で、殺戮の達人でもある。過去と未来のことをよく知り、また、人を透明にする力も持っている。

モラクス:伯爵(長官)

モラクス(Morax)は、悪魔学における悪魔の一人。
マラクス(Marax)あるいはフォライー(Foraii)、フォルファクス(Forfax)とも呼ばれる。

『ゴエティア』では72人の悪魔の21番目として記述されている[4]。大いなる伯爵にして総裁であり、36の軍団を率いている。『大奥義書』によれば、サルガタナスの支配下にあるという。

召喚した者の前に男の顔を持つ大きな雄牛のような姿で現れるという。また、天文学やその他の教養学に精通させ、使い魔を与え、薬草や宝石が持つ力についての知識を与える能力がある。

フレッド・ゲティングズは著書『悪魔の事典』のモレクの項目において、モレクは牛頭を持つ人型の像の中に現れる神であるとし、モラクスと関連付けている。

バルバトス:(伯爵)公爵

バルバトス (Barbatos) は悪魔学における悪魔の一人。
『ゴエティア』によると30の軍団を率いる序列8番の公爵。『悪魔の偽王国』によれば伯爵にして公爵である。

『大奥義書』によれば、サタナキアの支配下にあるという。『ミュンヘン降霊術手引書』においては、バルバルス(Barbarus)という名前で紹介されており、36の軍団を率いる伯爵にして公爵であるという。

トランペットを持った四人の王を従えて、狩人の姿で現れるとされる。コラン・ド・プランシーはバルバトスを「ロビン・フッドの変形」とみなしている。太陽が人馬宮にあるときに、四人の高貴な王と彼らが率いる軍隊を伴って現れるともいう。

もとは力天使とも主天使ともいわれる。魔術師の財宝の隠し場所を知っていたり、動物の言葉を理解することが出来るなどの能力を有する。また、過去と未来をよく知り、友情を回復する力を持つともいう。

アモン:公爵

アモン(Amon, Aamon)は、ヨーロッパの伝承あるいは悪魔学に登場する悪魔の1体。
ネーデルラント出身の医師・文筆家であるヨーハン・ヴァイヤーが記した『悪魔の偽王国』、イギリスの地方地主レジナルド・スコットが記した『妖術の開示』、およびイギリスに古写本が残存しているグリモワール『ゴエティア』によれば、40個軍団の悪魔を配下に置く序列7番の大いなる侯爵であるとされる。

また、18世紀頃に流通していたグリモワール『大奥義書』によるとサタナキアという悪魔の配下にあるという。

悪魔の君主の中で最も強靭であるとされる。口元から炎を吐き出しヘビの尾を持つ狼の姿で現れるが、魔術師が人間の姿を取ることを命じると、口元から犬の牙を覗かせたワタリガラスまたはゴイサギの頭を持つ男性の姿を採るという。コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』の挿絵ではフクロウの頭と狼の胴と前足、蛇の尾を持つ姿が描かれている。

自分を召喚した者に過去と未来の知識を教え、人同士の不和を招いたり逆に和解させたりできるという。

アガレス:当方の公爵

アガレス(Agares)は、悪魔学における悪魔の1人。
アグレアス(Agreas)とも呼ばれる。 クロコダイルに乗り手にオオタカをとまらせた老人の姿で現れるとされる。かつては力天使の階級に属していたとされる。

逃亡者を戻ってこさせる能力や、地震を起こす能力をもつとされる。また、あらゆる言語を教えることができる。現世的なものおよび超自然的なもの両方の尊厳を破壊する力も持つ。

『ゴエティア』によると、31の軍団を指揮する序列2番の大公爵。『悪魔の偽王国』でも2番目に紹介されている。地獄の東方の勢力に属するという。

『大奥義書』によれば、ルキフゲ・ロフォカレの支配下にあるという。

バエル:当方の王

バエル (Baël, Bael) はグリモワールや悪魔学における悪魔(精霊)の一人。

『レメゲトン』の第一書『ゴエティア』に記載された72人の悪魔の一人であり、同書によると、東方を支配し、66の軍団を率いる序列1番の大いなる王である。

『大奥義書』でも、6人の上級精霊に仕える18人の下位精霊に名を挙げられており、ルキフゲ・ロフォカレの支配下にあるという。

さまざまな姿で現れ、ヒキガエル、猫、または人間に似た姿、もしくはこれら全てを併せ持った姿を取るという。コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』の挿絵では、ネコ、王冠を被った人間、ヒキガエルの頭をもった蜘蛛の姿で描かれている。しわがれた声で話し、人を不可視にしたり、知恵を与えたりする力を持つという。戦いに強いと言われることもある。

ベルゼブブ:大公

ベルゼブブ (Beelzebub) は悪霊(デーモン)の君主の一名である。ギリシア語形ベルゼブル (Beelzebul) の名で新約聖書『マタイ福音書』などにあらわれる。旧約聖書『列王紀』に登場する、ペリシテ人(フィリスティア人)の町であるエクロンの神バアル・ゼブブ(バアル・ゼブル)と同一とされる。

ベルゼバブ、ベールゼブブとも表記される。新約聖書にもその名がみえる。この名はヘブライ語で「ハエの王」(一説には「糞山の王」、「糞の王」)を意味する。

本来はバアル・ゼブル (בַעַל זְבוּל)、すなわち「気高き主」あるいは「高き館の主」という意味の名で呼ばれていた。これはおそらく嵐と慈雨の神バアルの尊称の一つだったと思われる。 パルミュラの神殿遺跡でも高名なこの神は、冬に恵みの雨を降らせる豊穣の神であった。一説によると、バアルの崇拝者は当時オリエント世界で広く行われていた、豊穣を祈る性的な儀式を行ったとも言われる。

近世ヨーロッパのグリモワールではフランス語形ベルゼビュート (Belzébuth)の名でもあらわれる。彼は大悪魔で魔神の君主、あるいは魔界の君主とされるようになった。 地獄においてサタンに次いで罪深く、強大なもの。権力と邪悪さでサタンに次ぐと言われ、実力ではサタンを凌ぐとも言われる魔王である。ベルゼブブは神託をもたらす悪魔と言われ、また、作物を荒らすハエの害から人間を救う力も持っている。この悪魔を怒らせると炎を吐き、狼のように吼えるとされる。

かつて、天界では最高位の熾天使で、天界の戦争においては、ルシファーの側近として戦ったという説話が創られた。また、蝿騎士団という騎士団をつくっており、そこにはアスタロトなど悪魔の名士が参加しているとされる。

パランジェーヌの「ゾディアコ・ヴィテ」によると巨大で、王座もそれなりに巨大、炎の帯を額に巻き頭には大きな角が二本ある。足はアヒル、尻尾は獅子、全身が真っ黒であったとされる。顔は眉毛はつりあがり、目をぎらつかせていたとあった。 また、ジル・ド・レは、ベルゼブブが豹の姿に変わるのを見たという。

ルシファー(サタン):大王

ルシファー (Lucifer) は、明けの明星を指すラテン語であり、光をもたらす者という意味をもつ悪魔・堕天使の名である。正統キリスト教、特に西方教会(カトリック教会やプロテスタント)において、堕天使の長であるサタンの別名であり、魔王サタンの堕落前の天使としての呼称である。

「ルシファー」は英語からの音訳で、古典ラテン語読みではルキフェル、ルーキフェル(羅: Lūcifer)、その他日本ではルシフェル(仏: Lucifer[註 1], 西: Lucifer, 葡: Lúcifer)、ルチーフェロ(伊: Lucifero)、リュツィフェール(露: Люцифе́р)などとも表記される

正統キリスト教の伝統においては、ルシファーは堕天使の長であり、サタン、悪魔と同一視される。神学で定式化された観念においては、悪魔はサタンともルシファーとも呼ばれる単一の人格であった。

悪魔にルシファーの名を適用したのは教父たちであった。たとえばヒエロニムスは金星を指すラテン語であったルーキフェルを、明けの明星としての輝きの喪失に悲嘆することになる、かつて大天使であった堕天使長の名とした。この光の堕天使としてのルシファーの名がサタンの別称として普及したが、教父たちはルシファーを悪魔の固有名詞としてでなく悪魔の堕落前の状態を示す言葉として用いた。キリスト教の伝統的解釈によれば、ルシファーは元々全天使の長であったが、神と対立し、天を追放されて神の敵対者となったとされる。

天使たちの中で最も美しい大天使であったが、創造主である神に対して謀反を起こし、自ら堕天使となったと言われる。堕天使となった理由や経緯については様々な説がある。神によって作られた天使が神に背いて堕天使となったという考えは、旧約偽典ないしキリスト教黙示文学の『アダムとエバの生涯(英語版)』にみられる。その中で悪魔はアダムに向かって、自分は神の似姿として作られたアダムに拝礼せよという命令を拒み、そのために神の怒りを買って天から追放されたのだと語る。『クルアーン』にもこれに類似した話があり、イブリースは粘土から作られたアダムに跪拝せよという神の命に背いて堕落したと数箇所で述べられている。キリスト教では悪魔は罪によって堕落した天使であるとされ、オリゲネス、アウグスティヌス、ディオニュシオス・アレオパギテス、大グレゴリウス、ヨハネス・ダマスケヌスらは天使が罪を犯すという問題について論じた。大グレゴリウスやセビーリャのイシドールスは、罪を犯して堕落する前のサタン(=ルシファー)はすべての天使の長であったとし、中世の神学者たちも、サタンはかつて最高位の天使である熾天使か智天使の一人であったと考えた。

ルシファーの名の悪魔たるゆえんは、旧約聖書「イザヤ書」14章12節にあらわれる「輝く者が天より墜ちた」という比喩表現に端を発する。これはもともと、ひとりのバビロニア王かアッシリア王(サルゴン2世かネブカドネツァルであろうと言われる)について述べたものであった。キリスト教の教父たちの時代には、これは悪魔をバビロニアの王になぞらえたものであり、神に創造された者が堕ちて悪魔となることを示すものと解釈された。堕天使ないし悪魔とされたこの「輝く者」は、ヒエロニムスによるラテン語訳聖書において、明けの明星を指す「ルキフェル」の語をもって翻訳された。以上の経緯をもってルシファーは悪魔の名となったとされる。

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