古典・名作のガイドブック7選(聖書、フランス文学、歌舞伎、etc)

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物語との出会いがさらに楽しくなる、ガイドブックをまとめました。読書ライフの充実にお役立てください。
赤坂治績「知らざあ言って聞かせやしょう ー心に響く歌舞伎の名せりふ」
歌舞伎に出てくる名台詞を掲載し、その意味や背景を丁寧に紹介する。それぞれのセリフは大きな字で書かれているのでとても読みやすい。

私は本書を読んでから、たまたま歌舞伎を見る機会があった。知っているせりふに出くわすと、音声ガイドを気にせず役者に見入ることができて、舞台をじっくり楽しむことができた。

どの項を開いてもすばらしい台詞ばかりで、そのまま朗読したくなる。日本語の美しさもあらためて感じることができる。

鹿島茂「悪女入門 ファム・ファタル恋愛論」
ファム・ファタルとは直訳すれば「運命の女」。
男を眩惑する魔性の女たちの魅力を、フランス文学の名作とともにひもとく。
とりあげられる作品は、「マノン・レスコー」「椿姫」「ナナ」など傑作ぞろい。
それらをもとに、女たちの恋愛テクニックが解説されるが、なるほどと思わせるものもあり、疑問に思うものもあり、自分なりに想像しながら楽しく読める。
ドナルド・キーン「日本文学を読む」
本書の魅力は、何よりもキーン博士の率直な物言いだ。
谷崎潤一郎や太宰治を評価する一方で、夏目漱石を「日本の古典であるが、(略)世界の古典にはなかなかなれないと思う」と評したり、「いわゆるプロレタリア文学には傑作が一つもない」と断言したりするなど、遠慮のない表現がじつに痛快である。
外国人の目から見た評価でありながら、「そうだよなぁ。そうかもしれないなぁ」となぜかとてもうなずける。

私に言わせると、衒学的な遊戯の中で最も下らないものは「影響狩り」である。誰かが何かの影響があったと言い出した場合、それに対し影響が全然なかったと証明することはむずかしい。
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阿刀田高「旧約聖書を知っていますか」
古典というのは得てして、人名が煩雑で読みにくい。
それを筆者は「アイヤー、ヨッ」の掛け声で解決する。なんとこれはアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフという、旧約聖書中の重要人物の頭文字を並べたものなのである。
語呂合わせと言っていいのか分からないが、本書はこうしたユーモアたっぷりの解説で、旧約聖書の世界に案内してくれる。

筆者は古典の案内所をほかにも書いているが、この本の語り口がもっともやわらかく、肩肘張らずにリラックスして読めると思う。

曽野綾子「心に迫るパウロの言葉」
新約聖書の入門書はたくさんあるが、その内容は多くが福音書中心(つまりイエス・キリストの生涯)である。
「キリスト教」を本当の意味で築いた使徒パウロについては、わずかに触れられるに過ぎない。

本書は新約聖書の大部分を占める「パウロの手紙」の言葉を引用して解説する。
教義に関わるような重要な箇所というより、誰の心にも響く普遍的な文章が取り上げてあって、とても読みやすい。

私はパウロの不屈の生涯を知って、大いに励まされる思いがした。

井波律子「三国志演義」
歴史小説の大作「三国志演義」の面白さを、史実と照らし合わせながら、さらに掘り下げてたっぷり語る。

赤壁の戦い後に、敗走する曹操を関羽が見逃す「華容道」のエピソードが、演義のフィクションだという話など興味深い。この関羽と曹操の描き方が、物語を重層的なものにしているのだ。

三国志の魅力がさらに深まる一冊。

『演義』には、劉備・関羽・張飛の三人の義兄弟の絶対的な信頼関係をはじめ、諸葛亮と周瑜のような不倶戴天のライバル関係など、まことに多種多様な人間の関係性が描かれているが、この曹操、関羽、そして張遼にみられる、敵対矛盾を越えて相互に認め合う関係性のありかたは、とりわけ鮮烈な印象をあたえる。こうした関係性を描くことにより、『演義』は、曹操を仇役に仕立てて事足れりとする、単純な「勧善懲悪」の物語の域を脱しているともいえよう。
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石川忠久「漢詩への招待」
本書でとりあげられる漢詩はなんと百四十余首!
それだけの量ともなると、一つ一つの詩の紹介はコンパクトにまとめられている。逐語的な解釈は少なくしてある分、そのエッセンスを凝縮した解説が添えられていて、とても濃い内容になっている。

何よりも、石川先生の他の著作にたがわず、漢詩への深い愛が伝わってきて、うきうきした楽しい気持ちになる。

漢詩といえば唐の時代に傾きがちだが、本書では古代から明・清に至るまで通史的にとりあげられていて、多くの詩に親しむことができる。

読んだ人ごとに、きっと好きな詩が見つかる。

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https://matome.naver.jp/odai/2143082867107548601
2016年10月27日