名古屋刑務所リンチ殺人事件

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2001~02年、刑務官らが集団暴行で受刑者3人を死傷させたとされる刑事事件。革手錠付きベルトで腹部を締め、受刑者2人が死傷したとされる「革手錠事件」と、肛門(こうもん)に消防用ホースで放水して受刑者1人を死亡させたとされる「放水事件」とがある。

名古屋刑務所リンチ殺人事件

2001~02年、刑務官らが集団暴行で受刑者3人を死傷させたとされる刑事事件。革手錠付きベルトで腹部を締め、受刑者2人が死傷したとされる「革手錠事件」と、肛門(こうもん)に消防用ホースで放水して受刑者1人を死亡させたとされる「放水事件」とがある。両事件で刑務官ら計8人が特別公務員暴行陵虐致死などの罪で起訴され、6人が一審、二審で有罪判決を受けた=上告中。
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事件のあった名古屋刑務所
名古屋刑務所リンチ殺人事件
名古屋刑務所リンチ殺人事件
名古屋刑務所
〒470-0208 愛知県みよし市ひばりヶ丘1の1
TEL:0561(36)2251

名古屋刑務所受刑者暴行死傷事件

2002年11月8日、名古屋地検特捜部は、本事件に関わったとされる名古屋刑務所の副看守長M被告等の刑務官5人が特別公務員暴行陵虐致死傷の疑いで逮捕される。

副看守長Mと看守Oは2002年5月27日に名古屋刑務所において、懲らしめ目的で男性受刑者の腹部を革手錠で強く締め付け、外傷性腸間膜裂傷で死亡させたとされた。また2002年9月25日には、5人の刑務官副看守長M、看守O、看守S、看守長W、看守Iが、副看守長Aと共謀して全治70日の外傷性腸管膜損傷などの重傷を負わせた。この2件の容疑により、検察は、特別公務員暴行陵虐致死傷及びほう助罪で刑務官らを起訴した。

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革手錠暴行訴訟の原告弁護団。手前は元受刑者の証言をもとに作られた革手錠
名古屋刑務所受刑者暴行死傷事件

名古屋刑務所受刑者放水死事件

2001年12月14日午後2時頃に愛知県西加茂郡三好町にある名古屋刑務所の保護房で男性受刑者が死亡する事件が発生。その後の捜査で当時の副看守長Bが男性受刑者の肛門に消防用ホースで放水したために、肛門や直腸に傷を負わせて死亡させたとして逮捕。元副看守長A、元看守部長Cも受刑者のズボンを下ろすなどしたとして逮捕された。その後、副看守長は特別公務員暴行陵虐致死罪、看守部長は特別公務員暴行陵虐致死ほう助罪で起訴された。A副看守長も、ズボンを下ろすなどして放水をしやすくするように手助けをしたとして起訴されている。

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名古屋刑務所受刑者放水死事件
名古屋刑務所リンチ殺人事件

裁判経過

Aの裁判

A被告は、革ベルトの事件について大筋で起訴事実を認めて、懲らしめ目的だったことについてのみ、職務上のことだったと否定。また、別件で起訴されていた放水をしやすくするために手助けをして受刑者を死亡させたとする放水死事件に関しては、受刑者のズボンは脱がせたが、放水があったとは思わなかったとして、共謀や死亡との因果関係について争った。これに対して検察側は、暴行に関して懲らしめ目的であり、放水についても事前に知っていたと主張した。
2004年3月31日、名古屋地裁(石山容示裁判長)は、懲役2年執行猶予3年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。判決では、2002年9月の革ベルトにより受刑者が死亡させたた公務員暴行陵虐致傷罪と、2001年12月に起きた放水死事件での公務員暴行陵虐致致死ほう助罪について認定。動機が懲らしめ目的だったことも認定した。その後、A被告は有罪判決が確定した。

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革手錠
名古屋刑務所リンチ殺人事件

5人の裁判(名古屋刑務所受刑者暴行死傷事件)

Aとは別日程で裁判が行われていた特別公務員暴行陵虐致傷罪と特別公務員暴行陵虐致傷ほう助罪で起訴された5人は無罪を主張。弁護側は、死傷原因について、受刑者が転倒したことで金具が腹に食い込んだためとして、革ベルトとの因果関係を否定。また、革ベルトは受刑者から暴行を受けないためで、ベルトのきつさも問題なかったとして、職務行為だったと主張した。

2007年3月30日、名古屋地裁(伊藤納裁判長は、)刑務官4人を執行猶予付きの有罪判決を言い渡し、S被告には無罪判決を言い渡した。Mは懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)、Oは懲役2年執行猶予3年(求刑懲役3年6カ月)、Wは懲役2年執行猶予3年(同懲役2年6カ月)、Iが懲役1年執行猶予3年(同懲役1年6カ月)とされた。判決では、革手錠のベルトをきつく締めたこといよって死傷したと認定。苦痛により受刑者を従わせて規律を維持するために革手錠を使用したとして、違法性を認めた。S被告に対しては、関与はしたが、経験の浅さから職権だと認識していた可能性を認めた。この判決に対して、有罪判決を受けた被告らは控訴した。S被告に対しては、検察が控訴を断念して無罪判決が確定した。

2010年2月26日、名古屋高裁(下山保男裁判長)は、刑務官4人の控訴を棄却。

2012年5月23日、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は、上告を棄却。被告の有罪判決が確定した。

【民事裁判】

元受刑者2人と死亡した受刑者の遺族の3人は国家賠償法に基づき、国と刑務官等の計11人に計約1億8000万円の損害賠償を求めて提訴。2010年5月25日、名古屋地裁(戸田久裁判長)は、革手錠のベルトで締め付けた行為の違法性と、革ベルトによる死傷との因果関係を認定して、刑務官5人と国の責任を認めて計8910万円の支払いを命じる判決を言い渡した。遺族らが求めた元刑務官らへの賠償については棄却して、賠償責任は国が負うとした。その上で国は一部の元刑務官に賠償額を請求できる求償権を認めた。刑事裁判では起訴されていなかった2001年から2002年にかけて受刑者をPTSDにさせた容疑についての責任も認めた。

2012年1月24日、名古屋高裁(中村直文裁判長)は、1審判決を支持して国と刑務官5人の控訴を棄却した。 この判決に国は上告を断念、元刑務官らは、革手錠と死亡には因果関係がないとして上告した。

2012年10月5日、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は、元刑務官らの上告を棄却。この判決で、1、2審の、国の賠償責任・元刑務官個人への賠償請求の棄却と国が一部の元刑務官に賠償金の請求ができる求償権を認めた判決が確定した。

有罪判決確定後、有罪判決を受けた元刑務官4人は再審請求した。4人は新証拠として「傷はベルトを締め上げただけではできず、転倒した際に、手錠の部分が、腹にくいこんでできたものだ」とする医師の鑑定結果を提出した。

2013年12月10日、名古屋地方裁判所(松田俊哉裁判長)は、再審請求を棄却[2]。判決では新証拠として提出された医師による鑑定結果は、上告審の最高裁判所に提出されていたとして、新証拠としては認められないとした。

再審請求棄却となった4人は11日付で、名古屋地裁決定を不服として名古屋高裁に即時抗告した。

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B、Cの裁判(名古屋刑務所受刑者放水死事件)

2005年11月4日に名古屋地裁(柴田秀樹裁判長)の判決があった。元副看守長Bに懲役3年、執行猶予4年(求刑・懲役4年)、元看守部長Cに懲役1年2月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)の有罪判決を言い渡された。判決では「放水直後の出血や傷の形状から、死因は放水による直腸裂開と強く推認できる」と述べて放水との因果関係を認定。一方で、検察側が懲罰目的だったと主張していたが、「体に付着した汚物を除去する目的で直接放水をした」として懲らしめ目的の放水であったとは認められないとした。弁護側がこの決定に控訴した。

控訴審で弁護側は、傷は受刑者が自らプラスチックでつけたもので、一審で認定されたホースの水圧は温水洗浄便座とほぼ同じ水圧で肛門や直腸に傷を負うはずはないとして無罪を主張した。2008年10月の名古屋高裁では、一審判決を破棄したうえで改めて元副看守長Bに懲役3年、執行猶予5年、元看守部長Cに懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。判決では、検察側による放水実験などから死亡と放水の因果関係を認定した。一審判決で証拠として採用された検察側の放水実験で弁護側は「実験を録画したビデオから『圧力あげろ』という声が聞こえた後に水圧が明らかに上がっている」として証拠から外すように求めていたが棄却された。この判決に弁護側は上告した。

2011年6月28日に最高裁第三小法廷は2人の上告を棄却して有罪判決が確定した。

死亡した男性の遺族は、国に慰謝料などの計約8800万円の賠償を求めた提訴。2006年11月30日、京都地裁(山下寛裁判長)は、国に約3900万円の支払いを命じる判決を言い渡した。判決では、被告の主張するように、放水が洗浄目的だったとしても違法行為だったと指摘したうえで、「刑務官らは故意に違法な放水をし、受刑者を死亡させた」と認定した。

2008年1月30日、大阪高裁(若林諒裁判長)も、一審判決を支持。判決では、衰弱していた受刑者の状態や放水の水圧の高さから考えて、放水でけがをした可能性は否定できないと指摘。刑務官側の受刑者自身の行為でけがをしたという主張を退けた。

2008年11月27日、 最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は、国には賠償額分を請求できる「求償権」がないことの確認を求めたA、Bの上告を受理しない決定をする。これによって、1、2審の遺族に慰謝料など約3900万円の支払いを国に命じた判決と、国が2人に3900万円の支払いを請求できるという判決が確定した。

弁護団の北口雅章弁護士などが会見を開き、2012年3月2日に元副看守長と看守部長の二人が名古屋高裁に再審請求したことを明らかにした。河村たかし名古屋市長や杉浦正健弁護士(元法務大臣)も同席している。弁護団は新証拠として放水時の水圧で傷がつかないことを示す専門家の鑑定書、受刑者がプラスチック片で自ら傷つけたた事を示す刑務所職員が作成した書類などを提出した。
2014年3月27日、名古屋高裁(石山容示裁判長)は再審支給を棄却。3月28日、弁護側は再審請求棄却決定について名古屋高裁に異議を申し立てた。

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2015年04月08日