川崎中1殺害事件 実名報道について

ayaka514
川崎中1殺害事件において、逮捕された少年の主犯格とみられる18歳の少年の実名と顔写真が週刊新潮において掲載されました。本来、少年法により実名報道は禁止されているため、このことについては色々な意見が溢れています。

週刊新潮が実名報道

3月5日発売の「週刊新潮」(新潮社)が、神奈川県川崎市で起きた中1男子殺害事件を報じる記事中で、逮捕された3人の少年のうち、主犯格と見られる18歳の少年の実名と顔写真を掲載している。
「週刊新潮」が18歳少年の実名を報道する理由 (BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり) – Yahoo!ニュース

なぜ実名報道に踏み切ったのか

筑波大学名誉教授の土本武司氏は、
「現在の少年法が出来たのは昭和23年のこと。空腹に負けて店頭からパンを万引きして飢えをしのいでいたような非行少年を想定していたのです。しかし、最近は大人顔負けの残虐な犯罪を犯すケースが出てきました」
「週刊新潮」が18歳少年の実名を報道する理由 (BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり) – Yahoo!ニュース

「週刊新潮」が最大の根拠としたのは、2000年2月に確定している大阪高裁判決である。
「堺市通り魔殺傷事件」で、月刊誌「新潮45」が19歳の犯人の実名を報じたところ、著者が名誉毀損で訴えられたケースだ。大阪高裁は、「少年法61条は罪を犯した少年に実名で報道されない権利を付与していると解することはできず、表現行為が社会の正当な関心事で、その内容と方法が不当なものでない場合には違法とはならない」と判示しているのだ。
「週刊新潮」が18歳少年の実名を報道する理由 (BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり) – Yahoo!ニュース

「週刊新潮」酒井逸史編集長は、「今回の事件の残虐性と社会に与えた影響の大きさ、そして主犯格とされる18歳の少年の経歴などを総合的に勘案し、実名と顔写真を報道しました」と語る。
「週刊新潮」が18歳少年の実名を報道する理由 (BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり) – Yahoo!ニュース

少年法61条について

情報の正確性を担保するために、報道は実名報道が原則とされる。しかし、犯罪被害者の人権、風評被害の恐れ、プライバシーの権利との調整などを考慮し、人物に関する情報が匿名で報道されるケースも多い。また、犯罪報道では、被疑者が未成年である場合、少年法61条において、本人を特定できる情報を出版物に記載することが禁じられている。しかし、罰則がないために、被疑者が未成年の殺人事件がおきると、一部のメディアでは実名での報道が行われることもある。
被疑者の実名を報じる週刊誌も 少年法と実名報道をどう考える? ノンフィクションライター 藤井誠二 (THE PAGE) – Yahoo!ニュース

少年法61条は、非行(犯罪)を犯した未成年者を推知することかできる情報──実名や容貌、住所、学校名等──を新聞やその他の出版物に載せてはならないと定めた条項だ。
被疑者の実名を報じる週刊誌も 少年法と実名報道をどう考える? ノンフィクションライター 藤井誠二 (THE PAGE) – Yahoo!ニュース

この報道を受けた日本弁護士会連合会の会長の声明(全文)

本年3月5日発売の「週刊新潮」は、2月20日に神奈川県川崎市で中学1年生男子の遺体が発見された事件について、被疑者である少年の実名を挙げ、顔写真を掲載した。

これは、少年の犯行について氏名、年齢等、本人と推知することができるような記事又は写真の報道を禁止した少年法61条に反する事態であり、誠に遺憾である。

少年法は、少年が成長途中の未成熟な存在であることに鑑み、「健全育成」の理念を掲げている(1条)。凶悪重大な少年事件の背景にも、少年の成育歴や環境など複雑な要因が存在しており、少年のみの責任に帰する厳罰主義は妥当ではない。そして、少年による事件については、本人と推知できるような報道がなされると、少年の更生と社会復帰を阻害するおそれが大きいことから、事件の内容や重大性等に関わりなく、そのような報道を一律に禁止しているのである。
日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:少年の実名等報道を受けての会長声明

国際的に見ても、子どもの権利条約40条2項は、刑法を犯したとされる子どもに対する手続のすべての段階における子どものプライバシーの尊重を保障し、少年司法運営に関する国連最低基準規則(いわゆる北京ルールズ)8条も、少年のプライバシーの権利は、あらゆる段階で尊重されなければならず、原則として少年の特定に結びつき得るいかなる情報も公開してはならないとしている。

少年の実名等の報道については、2000年2月29日大阪高裁判決や、ネット上で既に実名等の情報が拡散していること、更には被害者側が実名等で報道されることとの対比なども議論されている。しかし、上記大阪高裁判決は、民事上の賠償責任までは認めなかったものの、少年法61条の趣旨を尊重した抑制的な対応を報道機関に求めており、また、ネット上での情報拡散については、プライバシー権等の侵害など、それ自体の違法性が問題となり得る。そして、名誉・プライバシー権保護の理念は、被害者とその遺族についても尊重されなければならないことはいうまでもない。
日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:少年の実名等報道を受けての会長声明

もとより、憲法21条が保障する表現の自由が極めて重要であるとしても、少年の実名等が報道に不可欠な要素とはいえない。事件の背景・要因を正確かつ冷静に報道することこそ、同種事件の再発を防止するために不可欠なことである。

当連合会は、2007年11月21日付けで少年事件の実名・顔写真報道に関する意見書を発表したほか、これまでなされた同様の報道に対し、少年法61条を遵守するよう重ねて強く要請してきた。それにもかかわらず、今回同じ事態が繰り返されたことは極めて遺憾である。

当連合会は、改めて報道機関に対し、今後同様の実名報道・写真掲載をすることのないよう要請する。

2015年(平成27年)3月5日
日本弁護士連合会
会長 村 越   進
日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:少年の実名等報道を受けての会長声明

他の有識者の意見

人権派で知られる元日弁連会長の宇都宮健児弁護士はこう述べる。
「少年法の精神は、社会復帰することを前提に考えている。その際、実名や顔写真が出回っていた場合、更生の障害になる可能性が高いわけです。だから、報道は慎重に扱ってほしいということです」
「週刊新潮」が18歳少年の実名を報道する理由 (BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり) – Yahoo!ニュース

「人権と報道・連絡会」世話人の浅野健一氏が話す。
「もちろん、実名報道には反対です。しかし、何でも匿名を守るべきだとは思いません。問題なのは、日本の大手メディアがひたすら少年法を絶対視して、どんな事件でも未成年は匿名としてしまっていることです。批判が怖くて思考停止しているのです」
「週刊新潮」が18歳少年の実名を報道する理由 (BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり) – Yahoo!ニュース

田沢弁護士は、「少年が犯したものであっても、重大な犯罪であれば、当然に社会の関心事ではあることは否定しません。しかし、だからといって、その少年の実名や容ぼうそのものまで明らかにすべき『社会的利益』があるのかどうかは、個人的には正直、疑問に思います」と話していた。
殺人容疑「19歳女子大生」の実名・写真を載せた「週刊新潮」——違法でないのか? (弁護士ドットコム) – Yahoo!ニュース

Twitterによる反応

ウエサン@nerv8874

家族を殺された被害者の死ぬまで続く計り知れない悲しみ苦しみを先にどうにかしてやれよ。加害者の保護は二の次でいいんだよ。「少年実名報道」に日弁連会長が遺憾声明「報道に不可欠ではない」(全文)(弁護士ドットコム) – Yahoo!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-…

かも@お夏@22jbkxsyy

@yasucolin
わたしもそれでいいと思ってます!長崎の同級生殺害とかそうですよね、残酷なことしといて実名報道はされない…ネットでは名前出てたのでもう少年法の意味ないと思います……

T@k€Σ!@Takezo_Sucre

Reading:18歳の実名・顔写真掲載 「週刊新潮」に批判 NHKニュース nhk.jp/N4I74CGv
凶悪事件を犯した少年を大人と同じ裁判にかける事と週刊誌に実名報道する事は当然別の話。実名報道までを正当化することは無理があると思う。
少年の実名報道 日弁連が遺憾 – Y!ニュース (2015年3月5日(木)掲載) news.yahoo.co.jp/pickup/6151922 #少年犯罪

弁護士たちは法を守れば満足なのか?
おかしな法律を是正するための訴えはしないのか

リーマン@MineZrx

いつまでたっても被疑者優勢の法律は、治らないな… <週刊新潮の「少年実名報道」に日弁連会長が遺憾声明「報道に不可欠ではない」(全文)> nico.ms/nw1479683 #niconews

oyanirami@oyanirami

今後ないように要請すると言うことは、今回は認めるということか。じゃ、なぜ今回は容認するのか。日和見か(笑)→週刊新潮の「少年実名報道」に日弁連会長が遺憾声明「報道に不可欠ではない」(全文)(弁護士ドットコム) – Yahoo!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-…
川崎市の中1殺害事件で週刊新潮が18歳少年の実名と写真掲載し「事件の残虐性と社会に与えた影響の大きさ、少年の経歴などを総合的に勘案し、実名と顔写真を報道しました」と言うとるがそれはちゃうで。あんなもん読者を対象にした商売や。

みなおみ香緒@MinaomiKao

被害者側が実名報道であることが問題なら、マスコミがそろって匿名報道に切り替えればいいんじゃないの? …と思うけど、昨今のマスコミは被害者の「善人度」を上げるような報道しかしないし、無理だよね(゚_゚)(。_。)

智成@777Cats

『事件の残虐性と社会に与えた影響の大きさ、少年の経歴などを総合的に勘案し、実名と顔写真を報道しました。』って、判断材料がそれで良かったのか考えるべき。

綾神刹那@417kei

こう言った擁護が少年犯罪の凶悪化に繋がっていく事も考えた方が良いでよ?
週刊新潮の「少年実名報道」に日弁連会長が遺憾声明「報道に不可欠ではない」(全文)(弁護士ドットコム) – Yahoo!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-…
https://matome.naver.jp/odai/2142555733449999101
2015年03月05日