エボラ、感染拡大のペースが大幅に減速、一方でウイルスが突然変異で治療薬の無効化の恐れ

–trip–
エボラ出血熱のワクチン2種に有望な結果が確認され、西アフリカで、間もなく臨床試験の開始予定が発表された。その一方で、エボラ出血熱の治療薬を無効にする恐れがあるとの研究論文が米国微生物学会のオンラインジャーナルmBioにて発表された。
現在、感染者が確認されている国
シエラレオネ
リベリア
ギニア
イギリス

現在、新たな感染者の確認はないが、終息の宣言が出ていない国。
アメリカ:感染者4人、死者1人

エボラウイルス病の患者数は21,724人、死亡者は8,641人。
FORTH|新着情報|エボラウイルス病の発生状況 (第3週)

流行3か国では828名の医療従事者の感染が報告。このうち、499名が亡くなっている。(3か国の他に、18名の感染と7名の死亡)
FORTH|新着情報|エボラウイルス病の発生状況 (第3週)

感染拡大の勢いが鈍る、3カ国の感染数が8月以来の最低を記録

1週間当たりの新規感染者数が減少

世界保健機関(WHO)は、過去1週間のエボラ出血熱の拡大状況について、最も深刻な3カ国で新たに確認された感染例がここ数カ月で最も少なくなったと発表。
エボラ熱、拡大深刻な3カ国の感染数が数カ月で最低に=WHO (ロイター) – Yahoo!ニュース

リベリアでは、1週間当たりの新規感染者数が昨年8月と9月には300人だったのに対し、先週はわずか8人にまで減少。
エボラ熱の拡大ペース、大幅に減速 WHO (AFP=時事) – Yahoo!ニュース

ギニアは42人、シエラレオネは184人で、いずれも昨年8月以来、最も少なかった。
感染拡大、勢い鈍る=西アフリカのエボラ熱—WHO (時事通信) – Yahoo!ニュース

エボラの流行で、去年から閉鎖されている現地の学校にも動きが

3カ国では、学校が封鎖されている
・ギニア
・リベリア
・シエラレオネ

リベリア教育省は5日、エボラ出血熱の感染拡大を食い止めるため閉鎖していた国内の全学校について、3月に授業を再開すると発表した。再開は6カ月ぶり。
時事ドットコム:リベリアの学校、半年ぶり再開へ=エボラ熱対策で閉鎖

ギニア政府は、エボラ出血熱の感染拡大によって2014年8月から「休校」になっていた学校を、再開。
ギニアで学校が再開された – あらかるとの記事置場(STAP QUEST中)

シエラレオネは、教育科学技術省に、可能な限り最短で学校再開にむけた整備をするよう指示したと述べた。時期については発表していない。
エボラ孤児1万4,000人以上−はしか予防接種・学校再開にむけて | 日本ユニセフ協会 | エボラ出血熱緊急募金 | ユニセフ情勢レポート

感染者がの増加が鈍る一方、感染対策に資金と天候の問題

雨期の悪天候が感染対策を妨げる問題

世界保健機関(WHO)、エボラ出血熱の感染拡大が続いてきた西アフリカ3カ国の現状について、ここ3週間の感染者が過去3~4カ月で最少水準になった。
エボラ感染者「確実に減少」=WHO (時事通信) – Yahoo!ニュース

一方で、現地はこれから雨期に向かうため、悪天候で感染対策が妨げられる恐れがあると指摘。「依然非常に危険な状況だ」と楽観を戒めた。
エボラ感染者「確実に減少」=WHO (時事通信) – Yahoo!ニュース

資金の確保不足の問題

このままのペースでは、WHOのエボラ熱対応資金は2月半ばに底を突くと話し、感染が止まると考えられている時期は最善のシナリオでもその4-5カ月先。
エボラ感染拡大防止にピンチ、2月に資金尽きる恐れ-WHO – Bloomberg

エボラ熱への取り組みでWHOは向こう6カ月に3億5000万ドル(約410億円)を必要とするが、9000万ドルしか確保していない。
エボラ感染拡大防止にピンチ、2月に資金尽きる恐れ-WHO – Bloomberg

WHOはエボラ出血熱を巡る状況は依然として極めて危険だとして、今後数か月間のエボラ対策費の2億5000万ドル(約290億円)が早急に集まらなければ、今までに得られた成果はすぐに失われるだろうと警告。
シエラレオネ、国民の移動制限などを解除 エボラ新規患者が減少 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

西アフリカで、間もなく臨床試験の開始予定

世界保健機関(WHO)

1月9日、世界保健機関(WHO)は、エボラ出血熱向けワクチンの効果を試す後期の臨床試験について、西アフリカのリベリアで1月末、シエラレオネとギニアでは2月に開始する。
エボラ熱で後期臨床試験、西アフリカで1月末から開始−WHO (Bloomberg) – Yahoo!ニュース

・2種のワクチンに有望な結果が確認された

試験的に投与される2種のワクチン
英製薬大手グラクソ・スミスクラインの「ChAd3」。
米医薬品大手メルクが開発しカナダ公衆衛生局が
製造した「VSV-EBOV」。

(この画像はイメージです)

ワクチンの初期試験で、2つのワクチンに有望な結果が出た事を明らかにした。1つは、米医薬品大手メルクとニューリンクが開発したワクチン、もう1つは英製薬大手グラクソスミスクラインのワクチン。
CNN.co.jp : エボラワクチンの臨床試験、アフリカで間もなく開始

グラクソ・スミスクラインのワクチンおよびニューリンク・ジェネティクスとメルクが共同開発したワクチン約2万7000人分を投与すると説明。
エボラ熱で後期臨床試験、西アフリカで1月末から開始−WHO (Bloomberg) – Yahoo!ニュース

これら2種のワクチンは、スイス、マリ、ガボン、英国、ドイツ、カナダ、米国など世界各国で、安全性を確認するためボランティアへの試験的投与が行われてきた。
エボラワクチンの第3相臨床試験、近く西アフリカ3か国で開始 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

一方、エボラウイルスの突然変異で治療薬無効化の恐れが指摘

mBio
米国微生物学会のオンラインジャーナル。

米国陸軍感染症研究所、ハーバード大学のシステム生物学研究センター、マサチューセッツ工科大学の人工知能研究所、米国国立感染症研究所などの研究者達によって作成された論文が発表された。

ウイルスは時間がたつと自然に突然変異を起こすため、これは治療薬が期待通りの十分な有効性を示さなくなることを意味する恐れがあると論文は指摘。
エボラウイルス、突然変異で治療薬無効化の恐れ 米研究 (AFP=時事) – Yahoo!ニュース

現在臨床試験が進められている治療薬の作用を阻害する可能性のある変異を研究チームは新たに10個発見したという。
エボラウイルス、突然変異で治療薬無効化の恐れ 米研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

10個の遺伝子変異のうちの3個は、ギニア、シエラレオネ、リベリアの3か国を中心に拡大してきた現在の流行が進む間に出現したもの。
エボラウイルスにある突然変異の恐れ 治療薬も無効化か – ライブドアニュース

変異が生じる頻度が高い場合、「診断テスト」と「実験的治療」の有効性を鈍らせる可能性が有る、と研究者は指摘している。
エボラウイルスの変異は急速 – あらかるとの記事置場(STAP QUEST中)

エボラウイルスに感染すると、どういう事が起きるのか・・・

エボラウイルス

体に侵入すると細胞内に入り込み、自己複製、細胞を破壊、特定のタンパク質(エボラウイルス糖タンパク質)を作りだす。
【エボラ出血熱】ウイルスに感染すると、人体でどんなことが起こるのか?

このたんぱく質はエボラウイルス糖タンパク質と呼ばれ、血管内で細胞に付着。それにより血管透過性が高まり、血管から血液が流れだす。このウイルスは体内の血液を凝固する能力に異常を引き起こす。
エボラ出血熱 症状 初期

出血性の症状が見られない患者にも血管からの出血がおこるようになり、出血性ショックから次第に死に至る。
【エボラ出血熱】ウイルスに感染すると、人体でどんなことが起こるのか?

現在のエボラ出血熱の状況について

・シエラレオネ

シエラレオネ

23日、西アフリカのシエラレオネ政府は、エボラ出血熱の新規患者が減少したことを受けて、感染拡大時に導入した国民の移動制限措置などを解除した。
シエラレオネ、国民の移動制限などを解除 エボラ新規患者が減少 (AFP=時事) – Yahoo!ニュース

感染拡大を抑制するため国民の約半数に移動制限を課していたほか、国内14行政区のうち6行政区と多数の首長区(伝統的な首長が支配する地域)を封鎖していた。
シエラレオネ、国民の移動制限などを解除 エボラ新規患者が減少 (AFP=時事) – Yahoo!ニュース

・イギリス イギリス国内初の感染確認

ロイヤル・フリー・ハムステッド病院

イギリスで12月29日、西アフリカから帰国した医療関係者がエボラ出血熱に感染したことが確認された。イギリス国内での感染確認はこれが初めて。
エボラ出血熱感染 イギリス国内で初の確認 | 日テレNEWS24

重体に陥っていた女性看護師の容体が改善した。患者は英スコットランド・グラスゴー在住のポーリーン・カファキーさん(39)。
CNN.co.jp : 英国でエボラ熱診断の看護師、容体が改善

イギリスの規制当局によって幅広い公衆衛生対策が行われている。その対策はヒースローからスコットランドに飛んだ飛行機の全乗客をも対象としている。
FORTH|新着情報|エボラウイルス病 - イギリス

公衆衛生当局は可能性のある接触者全員について調査を行っている。ハイリスクの接触者は見つかっていない。
FORTH|新着情報|エボラウイルス病の発生状況 (第3週)

・アメリカ 感染国に渡航歴のある乗客が、機内で体調不良

ハッケンサック大学医療センター

1月19日エボラ出血熱の流行国に最近渡航した経験のある乗客が、米ユナイテッド航空便でニュージャージー州のニューアーク国際空港に到着後、病院に入院した。
米空港に到着した乗客が入院、エボラ流行国から入国 (CNN.co.jp) – Yahoo!ニュース

慎重を期すために、この乗客は同州のハッケンサック大学医療センターに入院して詳しい検査を受ける。
CNN.co.jp : 米空港に到着した乗客が入院、エボラ流行国から入国

ユナイテッド航空の広報は、ベルギーのブリュッセルからニューアーク空港に19日午後に到着した便に乗っていた乗客のうち1人の具合が悪くなり、医療従事者が対応したことを明らかにした。
CNN.co.jp : 米空港に到着した乗客が入院、エボラ流行国から入国

・アメリカ シエラレオネで活動していた、医療関係者が帰国後入院

ネブラスカ医療センター
アメリカで、生物学的封じ込め施設がある病院は4カ所。

西アフリカ・シエラレオネのエボラ出血熱多発地域で活動していた米国の医療関係者1人(氏名不詳)が、エボラ熱患者3人を治療したネブラスカ州の病院に1月4日午後入院。
米医療関係者が入院 エボラ熱で経過観察 – WSJ

患者は21日間の経過観察中、血液検査などでエボラ熱の症状が現れるかどうか厳重に観察される。
米医療関係者が入院 エボラ熱で経過観察 – WSJ

ネブラスカ医療センターの同施設では昨年9月以降、リベリアで感染した医師とカメラマンが治療を受けて回復したが、11月にはシエラレオネで重症に陥って運ばれた医師が死亡した。
CNN.co.jp : エボラ感染「高リスク」の米医療従事者が帰国、入院へ

・エボラ出血熱の終息が宣言された国

マリ
2015年、1月18日に終息宣言が発表。

感染者8人、死者6人。

1月18日、マリ政府は、感染の終息宣言を行い、対応に当たってきた医療スタッフや国際的な支援に感謝の意を表明した。
西アフリカのマリ エボラ出血熱の終息宣言 NHKニュース

マリでは昨年10月に最初の感染者を確認、8番目の感染確認国となった。8人の感染者のうち6人が死亡した。
マリ、エボラ出血熱の終息宣言 – 国際ニュース : nikkansports.com

潜伏期間の倍にあたる42日間、新たな患者が確認されなかった。
マリ、エボラ終息宣言…42日間新患者確認せず (読売新聞) – Yahoo!ニュース

セネガル
2014年、10月17日に終息宣言が発表。

感染者1人。

ナイジェリア
10月20日、終息宣言が発表。

感染者20人、死者8人。

スペイン
12月 2日、終息宣言が発表。

感染者1人。

どうして今回の流行まで大手製薬会社は治療薬開発をしなかったのか

経済的な理由・・・
(この画像はイメージです)

新薬の開発には通常、数百億円という巨額の資金が必要になる。ウイルスの基礎研究に始まり、実験室で抗ウイルス効果のある薬剤が発見され、良好なデータがでれば動物実験へと移行する。
エボラ出血熱の治療薬が簡単にできない理由 少ない患者数、しかもアフリカ中心で製薬会社が開発に二の足:JBpress(日本ビジネスプレス)

エボラが最初に確認された1976年から既に38年が経過。実験室内での抗ウイルス薬やワクチンの研究開発が世界中の研究者によって進められてきたが、未だに動物実験の段階までしか至っていない。
エボラ出血熱の治療薬が簡単にできない理由 少ない患者数、しかもアフリカ中心で製薬会社が開発に二の足:JBpress(日本ビジネスプレス)

エボラ出血熱は、あまり裕福でない、比較的少数の人々がかかる病気であり、利益優先の企業にとってはそれほど大きな投資対効果が得られない、というのが主な理由だという。
エボラ出血熱、なぜ大手製薬会社は治療薬開発に本腰を入れないのか?

https://matome.naver.jp/odai/2142184382713914601
2015年02月08日