転校生に恋をした一年間6【op2ch】

siitakepan
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元スレ

前後の話はこちらで

その1

家に帰るとすぐにパソコンで電子ピアノを購入した。
しかし部屋が散らかりすぎてピアノを置く場所がない。
俺は部屋の大掃除を始めた。

掃除中ハマーから電話が掛かってきた。

ハマー「なんで急に帰ったんだよ」
俺「悪い、訳は今度説明する!」
ハマー「絶対だぞ」
俺「おう!」

ハマー「やけに嬉しそうだなww」
俺「まあなww」

大掃除は夜までかかった。

その2

5月7日(290日目)

休み時間、担任のところへ行った。

担任「好きなことは見つかったか?」
俺「はい。ピアノです」
担任「ピアノ?なんでピアノが好きなんだ?」
俺「長井が弾いたピアノを聴いて、それで好きになりました」

担任「・・・そうか。じゃあ将来はピアノに関する職業に就くのか?」
俺「そのつもりです。今はそのことについて調べています」
担任「おお、いいじゃないか。先生も調べておくよ」
俺「ありがとうございます」

どうやら宿題は合格したらしい。

その3

5月9日(292日目)

放課後、担任から呼ばれた。

担任「安藤、ピアノに関われる良い職業があるぞ」
俺「なんですか?」
担任「ピアノ調律師だ」
俺「先生も!?」

担任「え!?じゃあお前・・・」
俺「はい。俺、ピアノ調律師になろうと思います」
担任「なんだ。最初から俺が心配することはなかったんだなww」
俺「そんなことないっすよ。心配してくれて嬉しかったです」

担任「今度三者面談があるから、その時に詳しく話そう」
俺「そうですね」
担任「でも安藤、そんな簡単に決めていいのか?」
俺「はい」
担任「分かった」

簡単に決めたわけがない。
自分なりにちゃんと考えたんだ。

その4

夜、俺は両親にピアノ調律師になることを伝えた。

反対されると思ったけど案外すんなり受け入れてくれた。
まあ『子供には自由を』みたいな教育だったから別に不思議じゃなかった。

理由を訊かれて、
ピアノが好きになった
今からピアニストにはなれない。
でもピアノに関わりたい。
と言ったら納得してくれた。

深く訊いてこなくて助かった。
親には長井のことをあんまり言いたくなかったからな。

でも急に長井がうちに来なくなったことは疑問に思っただろう。

その5

5月11日(294日目)

ピアノが届いた。

一緒に頼んでいたピアノ初心者用の本を見ながら弾いて楽しんだ。
たぶん一日中弾いていたと思う。

その6

5月17日(300日目)

三者面談

担任はピアノ調律が学べる学校をたくさん調べてきていた。
俺も調べていたが、それ以上だった。

長く話し合った末、ようやく一つの学校に絞れた。
その学校の入試は早くからやっていて、なんと7月から試験が行われていた。
(この前聞いた話だともうこんなに早くやっていないらしい)

俺はこの7月の試験を受けることにした。
母親や担任からはもっと遅くてもいいんじゃないかと反対されたけど、とにかく早く合格したかった。
今の状態からの変化がほしかった。

試験内容は聴力診断などの適性審査と、ピアノの実技、
そして音楽に関する知識、いわゆる楽典の筆記試験の三つだった。

国語、数学、理科、社会、英語の試験がないことは俺にとって嬉しかった。

しかし重要な問題が残っていた。
俺は楽譜が全く読めないのだ。
おまけにピアノ初心者ときたもんだ。

ということで楽典の猛勉強とピアノの猛特訓が始まった。

その7

5月18日~7月4日(301日目~348日目)

もうこれでもかってほどに楽典の勉強とピアノを練習した。
試験では好きな曲を一曲披露ということだったから、久石譲の『Birthday』にした。
最初は『あの夏へ』にしようと思ったけど、それはやめておいた。
言葉では言い表しにくいけど、長井が弾いた『あの夏へ』を忘れそうだったんだ。
俺が弾くことによって上書きされるような、そんな気がした。

ピアノを弾いている時だけは長井のことを忘れられた。
皮肉なもんだよな。

俺がピアノにのめり込めばのめり込むほど、
長井が夢に出てくることも少なくなっていった。

http://www.youtube.com/watch?v=Sm839ZXHU1A

その8

7月5日(349日目)

ハマーとラーメンを食った後、一緒に俺の家に行った。
そして俺の髪を黒く染めるのを手伝ってもらった。

俺「サンキュー、一人じゃやりにくいんだよ」
ハマー「親にやってもらえよ」
俺「めんどくさいんだって」
ハマー「ほんとお前の親はお前に無干渉だなww」
俺「俺はそっちのほうが楽でいい」

ハマー「ラーメンおごってもらわなかったら絶対こんなことしないぞ」
俺「試験明日なのに髪が茶色のままだったからな」
ハマー「もし合格したら、一人暮らしだな」
俺「ああ、何百キロもこの家から通えないよww」

ハマー「暇だったら遊びいってやる」
俺「しょうがないな」
髪を染め終わった後はいつも通りスマブラをした。

その9

7月6日(350日目)

飛行機やら電車やらを使って志望校へ行った。

不安だったけど妙にワクワクした。
知らない土地だったからかな。
いや違うな、猛勉強・猛特訓の成果が試されるからだ。

受験生は俺以外にも何人かいた。
筆記試験はその人たちと一緒に受け、適性審査とピアノ実技は一人ひとり呼び出されてやっていくというものだった。

筆記試験は可もなく不可もない出来だった。
適性審査も終わらせ、あとはピアノ実技のみとなった。

その10

俺ははっきり言って本番に弱い。
ピアノの前に座った時、俺の手は猛烈に震えていた。

俺「えっ、えーと、グランドピアノなんですね」
試験管「?もちろんそうですけど」
俺「ですよねー・・・ww」

やばい、グランドピアノなんて弾いたことないぞ。

試験管「では『Birthday』お願いします」
俺「は、はい」

いつも通り、家にいると思って弾いた。
音や鍵盤の重みの違いに初めはとまどったが、すぐに慣れてきた。

そして無事、詰まることなく弾き終わることができた。

その11

やっとすべての試験が終わった。
試験の結果は約二週間後に郵送されるということだった。

学校を出て、宿泊先のビジネスホテルに着くと俺はすぐに寝てしまった。
心身ともに疲れたのは久しぶりだ。

次の日は観光して帰った。
もちろんハマーへのお土産は買った。

その12

7月18日(362日目)

ハマーと街に遊びに行った。
二人で人ごみの中を歩いていると急にハマーが後ろを振り向いた。

俺「どうした?」
ハマー「おい、あれ」
俺「ん?」

ハマーの視線の先に目をやると、
そこには一人でこちらに背を向けて歩く長井がいた。

すれ違ったんだろう。
長井の歩くペースが変わらないことからたぶん俺たちに気付いていない。
髪は少し伸びていた。

俺「・・・行こうぜ」
ハマー「いいのか?」
俺「うん」

俺たちはまた歩きはじめた。

その13

7月19日(363日目)

変な夢を見た。

俺はニット帽にマフラーをしていたから季節は冬だと思う。
場所は俺の家の前の海岸で、夜の暗いその海岸沿いをただ一人で歩いていた。

水平線上には長井の地元で見た山々が並んでいた。
普段そこには何もないんだけど夢の中の俺はそのことを不思議に思わなかった。

しばらくすると、爆音とともに水平線上に並んだ山々が一斉に噴火を始めた。

すぐに俺がいるところまで火山灰が降ってきた。
その火山灰はキラキラ光っていて、まるで星のようだった。

あまりの美しさに感動していると、火山灰はあられに変わった。
体にビシビシと打ち付けるあられに耐えられなくなって
俺は自分の家に転がり込んだ。

家に入ると、長井が玄関に突っ立っていた。
長井は俺の顔を見るなり、あられが降り続く外へ飛び出していった。

そこで目が覚めた。
目が覚めて気付いたが、玄関に立っていたのは間違いなく長井ではなかった。
顔が全く違っていたんだ。
それなのに夢の中の俺はその人を長井だと思っていた。

ほんと夢って不思議。

その14

7月22日(366日目)

長井と出会って一年後、
俺はどうしてもやっておきたいことがあった。

今日がその一年後かを確認するため、日記を開いた。

日記を見ると、やはり今日がちょうど長井と出会って一年後だった。
それだけ確認して閉じるはずだったのに、ついつい読んでしまう。

するとこの一年間のことが鮮明に蘇ってきた。
長井と仲良くなり、別れて、立ち直るまでのすべてが。

俺は日記を閉じ、机の引き出しから赤い液が入った小さなビンを持って海岸へ向かった。

海岸に着くと、俺はビンを海に向かって思いっきり放り投げた。

太陽の光を反射して海がキラキラ光っている。
見飽きていたはずの光景なのになんだかその時は感動した。

砂浜に座り込み、ポケットに入れていたiPodを取り出してクラトゥを聴いた。
クラトゥはやっぱり最高だ。

今まで聴けなかった分を取り戻すかのように、満足いくまで聴き続けた。

その15

家に帰ると、一通の茶封筒が郵便受けに届いていた。
茶封筒には合格通知書と書かれている。

やっと届いたんだ。
俺は恐る恐る茶封筒を開いた。

そこに入っていたのは『合格』と書かれた証明書だった。
俺は両手を高く上げ「やったーーー!!!」と叫んだ。
そしてピアノの電源を付け、『あの夏へ』を弾いた。

まだ長井のことは好きだったけど、自分の中でやっと区切りがつけられた。

この一週間後くらいに始めたバイト先でホモの先輩にケツを狙われそうになったのはまた別のお話。

その16

これで終わりです
今まで読んでくれてありがとう!

簡単にまとめるとただの片思いの話だったな

その17


おつかれ!
今長井さんが仮に現れたらどうする?


長井にはちゃんと面と向かって謝りたいしお礼も言いたい
でもそれを言われても長井はまったく嬉しくないよな

だからどこかで見かけても、俺は何もしないと思う
このモヤモヤは一生ついてくるものとして受けとめてる

その18

じゃあそろそろ落ちます

最後に一言
長井、ありがとう!お前の幸せを心から願っているよ!
みんなもありがとう!

ばいばい
転校生に恋をした一年間

関連リンク

https://matome.naver.jp/odai/2141662219396226301
2019年10月02日