30年前に発見されていた生物
遡ること約30年前、1986年にオーストラリア近海でキノコ型の奇妙な生物2種が発見された。
その外見から”エイリアン・マッシュルーム”と呼ばれており、最近になりようやく命名、登録された。
エイリアン・マッシュルームは何者なのか?
科学誌「PLOS ONE」によると、この2種類の生物は完全なる新種だという。
それぞれ「デンドログランマ・エニグマティカ(Dendrogranma enigmatica)」「デンドログランマ・ディスコイデス(Dendrogranma discoides)」という学名がつけられた。
専門家によると、およそ6億年以上前に存在し、絶滅した古代生物群に似た特徴を持っているとのこと。だが現存する動物、生物のどの分類にも属さないそうだ。
フロリダ大学で海洋生物の研究をしている、神経生物学者のレオニッド・モローズ氏は、これら新種がもし古代生物の子孫であれば、種の系統樹を完全に覆す可能性を指摘している。目に見える形で現存する、初めての古代生物となりうるのだ。
この30年間の捕獲数はゼロ
発見されたのは水深400~1,000メートルの深海で、体は半透明で、大きさは小さく2センチほどしかなく、キノコの柄のように見える部分が口で、円盤状の傘にかけて伸びている管状部分は消化器官だという。
円盤状の部分は柔軟性が無く、推進力を与えるような手段もないため、泳ぐことはできなかったと推測される。また、口の周りを囲む突起物から分泌される粘液で微生物を捕えたと考えられている。
口から粘液を出して、微生物を捕らえて食べているようだ。クラゲによく似た外見をしているが、関係性はないとのこと。また、残念ながらこの30年間は捕獲されていない。
今のところ解明は不可能か
採取された際にホルマリン漬けにされた上にエタノールに浸されて保存されてしまったため、遺伝子解析がほぼ不可能になってしまった。
遺伝子情報がないと、どの種類に属すのか知ることは困難である。外見から判断して、進化の初期に分岐した古代生物に近いとジャスト氏は言う。
30年間も目撃情報もない幻の生物であるので、再び発見されて解明されるのを待つしかない。