概要
Mozillaは10月1日、「Matchstick」と呼ばれる Firefox OS を搭載した小型HDMIストリーミングデバイスを発表しました。
Mozilla、Firefox OSを搭載したHDMIストリーミングデバイス「Matchstick」を発表、Androidアプリからの利用にも対応 | juggly.cn
Matchstickは、Firefox OSスマートフォンに続く同OSを搭載した新しいフォームファクター。
HDMI型のスティックでTVに直接接続すると、テレビの大画面にスマートフォンやタブレットで再生している動画や操作中のゲーム画面をそのまま出力することができます。
Mozilla、Firefox OSを搭載したHDMIストリーミングデバイス「Matchstick」を発表、Androidアプリからの利用にも対応 | juggly.cn
Mozilla版Chromecastといえそうな製品です。
リリース時点では「ネットフリックス」「パンドラ」などストリーミングサービスが見られる「コアセット」も提供予定。モジラアップストアから数百本のアプリが対応する見通し。
ASCII.jp:Firefox版Chromecast「マッチスティック」が資金募集中
CPUはRockchip 3066(デュアルコアCortex-A9プロセッサー搭載)、メモリーは1GB(DDR3 SDRAM)。
ASCII.jp:Firefox版Chromecast「マッチスティック」が資金募集中
これ以外にストレージは4GB、Wi-Fiは802.11 b/g/n(2.4GHz帯)です。
Rockchip 3066は中華系タブなど安価な商品に多く採用されているSoCで、大体Tegra 3と同程度の処理性能があります(2年近く前のSoCなので型落ち感は否めませんが)。
スペック的にはChromecastと同程度と考えていいでしょう。
先日KDDIが公開したFirefox OSベースの開発ボード「Open Web Board」に仕様が近いです。
Rockchip 3066を採用しているなど類似点が多く、開発用と思われるUSB端子と通信モジュールを搭載している点くらいしか違いがありません。
特徴
Matchstickが特徴的なのは、そのオープンさです。開発者向けサイト (英語) では API が全て公開されています。こちらを利用することで、Matchstick に対応したアプリを作成することができます。
Matchstick: Firefox OS 搭載のストリーミングデバイス | Mozilla Japan ブログ
またAPIと同様に、ハードウェアの情報もオープンとなっています。仕様だけではなく、回路図までも入手可能です。
Matchstick: Firefox OS 搭載のストリーミングデバイス | Mozilla Japan ブログ
APIにはAndroid/iOS用も提供されているので、Android/ iPhoneユーザーでも楽しめる製品になります。
Mozilla、Firefox OSを搭載したHDMIストリーミングデバイス「Matchstick」を発表、Androidアプリからの利用にも対応 | juggly.cn
ハードウェア・ソフトウェア・開発環境、全てオープンソースというのが最大の特徴です。
OSに縛られず使用できるのはユーザーにとっても開発者にとっても魅力的ですね。
マッチスティックによれば「オープンなリファレンスデザインによって、アプリ開発者自身が経済圏を回せるようなエコシステムを作れるハードウェアにしたい。それこそChromecastが目指していたものではないか…… =)」。
ASCII.jp:Firefox版Chromecast「マッチスティック」が資金募集中
すでにリファレンス版として250種類のプロトタイプが開発できるそうだ(一例が下写真)。
ASCII.jp:Firefox版Chromecast「マッチスティック」が資金募集中
なお、ドングルはFirefox OSのデバイスだけでなくiOSのiPhoneやiPad、Android OSのスマートフォンなどでも使えるため「いつでも他のプラットホームへ浮気いただけます」とのこと。どうせなら二股かけてみたい。
ASCII.jp:Firefox版Chromecast「マッチスティック」が資金募集中
将来性
Mozillaは、単なるインターネットブラウザ提供元以上の存在として知られることに強い関心を持っている。
モジラ、ストリーミング端末「Matchstick」を提供へ–小売価格は25ドル – CNET Japan
Mozillaはここ2年の間にFirefox OSを利用してスマートフォンへと事業の多様化を進めており、さらに多くのデバイスやユーザーにオープンなウェブ標準が支持されることを期待してMatchstickを展開する。
モジラ、ストリーミング端末「Matchstick」を提供へ–小売価格は25ドル – CNET Japan
「Web技術(Firefox OSはHTML5でアプリ開発ができる)の活用は、これまでの特定OS向けの開発環境に依存せず、新たな開発者の拡がりに繋がり、アプリ市場の裾野が広がると思います。
KDDI、Firefox OSベースの開発ボードをハッカソンなどで無償配布へ | マイナビニュース
開発者の拡がりは、Mozillaが力を入れている若年層からのWeb開発者教育というところにも繋がる。小さい頃からアプリ開発に触れることで、Webが持つ新たな世界、IoT(Internet of Things)・WoT(Web of Things)の世界を、より手軽に実現できます。
KDDI、Firefox OSベースの開発ボードをハッカソンなどで無償配布へ | マイナビニュース
HTML5でアプリ開発ができるFirefox OSは、本物のオープンソースOSですし、そういったものが拡がると、今まで組み込み機器の連携しかやってこなかった人がWeb開発の世界に足を運んでくれるし、逆もまた同じ。
KDDI、Firefox OSベースの開発ボードをハッカソンなどで無償配布へ | マイナビニュース
そうしてFirefox OSの世界に触れた人たちが”Firefoxスマホ”を目にすれば、何かできるかもと期待を持ってもらえるし、実際に親和性も出てくると思っています」
KDDI、Firefox OSベースの開発ボードをハッカソンなどで無償配布へ | マイナビニュース
気になる価格は?
Firefox OSをベースにしたストリーミングスティック端末MatchStick。驚くべきはその価格、なんと12ドル(約1,200円)。ライバルChromecastの35ドル(約3,500円)から大幅に引き下げてきましたね。
Chromecastのライバル、Mozillaからの刺客「MatchStick」 : ギズモード・ジャパン
Chromecastは国内だと大体4500円くらいで売られています。
安さの秘密は…実は現在MatchStickはKickstarterにてクラウドファンディングが進行中だから。
つまり今、プロジェクトサポーターとして購入すると12ドルなのですが、資金調達完了後に商品化されると価格は25ドル(約2,500円)となります。これでも、Chromecastよりも10ドル安いのですけれどね。
Chromecastのライバル、Mozillaからの刺客「MatchStick」 : ギズモード・ジャパン
Kickstarterとはクラウドファンディングによる資金調達手段を提供している企業です。
総出資額が目標額に届けば製品化に至ります。
10月3日現在、すでに目標額を大きく上回る出資を得ており、高い注目が集まっている事が分かります。
また、価格もかなり安く設定してあり、「MatchStick」本体を購入できる最低出資額は12$(約1,300円)…ですが、こちらは既に受け付けを締め切っています。
Mozilla、ストリーミングスティック端末「MatchStick」の出資者を募集中!Chromecastの対抗馬となるか!? | アンドロイドアプリならオクトバ
現在本体が手に入る最低出資額は18$(約1,900円)ですが、米国以外の発送には+5$が必要です。Kickstarterでの締め切りは2014年10月30日までとなっているので、興味のある方は早めにチェックした方が良さそうです。
Mozilla、ストリーミングスティック端末「MatchStick」の出資者を募集中!Chromecastの対抗馬となるか!? | オクトバ
出資が目標額に達したので製品化されるのはほぼ確実です。
※出資は既に終了したので、実際に手に入れるには製品版を待つこととなります
発売は確定的と思われていたが、突然の発売断念発表
「Matchstick」の開発チームは米国時間8月3日、リリース予定だった同製品の発売を断念したと発表した。
「Firefox OS」ベースのストリーミング端末「Matchstick」、発売を断念 – CNET Japan
Matchstickの開発者はKickstarterページで、「われわれは2015年の大半、『Firefox OS』をベースとしたデジタル著作権管理(DRM)の開発に苦戦してきた。開発当初は手ごたえがあったものの、今後もDRMの開発を続行することは、長く厳しい道のりになるということが分かった」と説明している。
「Firefox OS」ベースのストリーミング端末「Matchstick」、発売を断念 – CNET Japan