世界で初めて臓器を自己再生させることに成功!

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エジンバラ大学のクレア・ブラックバーン博士の研究チームは、マウス胚性線維芽細胞(MEF細胞)を遺伝的に改変してFOXN1タンパク質を発現させ免疫作用を持つ胸腺というリンパ器官の幹細胞様組織に導入することで、衰えた胸腺を再生させることに成功しました。

世界で初めて臓器を自己再生させることに成功

分裂・分化することでさまざまな細胞に成長する可能性を秘めた幹細胞から人工的に臓器を作り出す研究が進む中で、正常に機能するよう臓器を自己再生させることに世界で初めてイギリスの研究チームが成功しました。
世界で初めて臓器を自己再生させることに成功 – GIGAZINE

エジンバラ大学Medical Research Council centreのクレア・ブラックバーン博士の研究チームは、マウス胚性線維芽細胞(MEF細胞)を遺伝的に改変してFOXN1タンパク質を発現させ免疫作用を持つ胸腺というリンパ器官の幹細胞様組織に導入することで、衰えた胸腺を再生させることに成功しました。この再生した胸腺はT細胞を作り出し正常な臓器として完全に機能したとのこと。
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胸腺は健康な免疫系に必要です

胸腺

胸腺(きょうせん、英: thymus)は胸腔に存在し、T細胞の分化、成熟など免疫系に関与する一次リンパ器官。胸小葉とよばれる二葉からなっており、胸骨の後ろ、心臓の前に位置し、心臓に乗るように存在する。

T細胞

T細胞(ティーさいぼう、T cell、T lymphocyte)とは、リンパ球の一種で、骨髄で産生された前駆細胞が胸腺での選択を経て分化成熟したもの。細胞表面に特徴的なT細胞受容体(T cell receptor;TCR)を有している。末梢血中のリンパ球の70〜80%を占める。名前の『T』は胸腺を意味するThymusに由来する。
胸腺はT細胞(免疫系の一部)を生産します。

これまでもオーストリアの研究チームがES細胞や皮膚細胞を使って人間の脳細胞を増殖させ成長させることに成功するなど、幹細胞から人工的に臓器の細胞を作ることには成功していましたが、臓器を正常に機能させることはできていませんでした。そのため、今回、エジンバラ大学の研究チームが作り出した胸腺は世界で初めて「正常に機能する」人工の臓器ということになります。
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これによって何が起こる?

胸腺は臓器の中では比較的単純な構造を持つものだと言えますが、この再生技術を他の臓器や人体で用いるためには、細胞の増殖プロセスを制御して癌細胞化することを防ぐ仕組みの開発などが必要であることから時間がかかるとのこと。しかし、機能の衰えた胸腺を人工的に再生できれば、老齢に伴い胸腺が縮小し免疫機能が低下する症状を克服できたり、生まれながら胸腺が機能しない子どもが骨髄移植をせずに済んだりするため非常に大きな期待が寄せられています。

ブラックバーン博士は今回の成果について、「非常にエキサイティングな進歩であり、再生医療の広い分野に応用できる可能性がある」と述べており、再生医学のさらなる進歩が期待できそうです。
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臓器移植が必要な人は大勢いる

再生医学

再生医学(さいせいいがく、英語: tissue engineering)とは、胎児期にしか形成されない人体の組織が欠損した場合にその機能を回復させる医学分野である。この分野における医療行為としては再生医療(さいせいいりょう)とも呼ばれる。

再生医学における今までの成果(一部)

・切手サイズの組織を3000倍に増殖させることに成功
・犬、豚などを使った実験で、あごの骨の細胞から完全な歯を再生することに成功(歯胚再生)
・虚血性心筋症の男性患者の心臓組織に、本人の骨髄細胞を移植する再生医療に成功
・骨髄中の間葉系幹細胞と呼ばれる接着性の細胞を骨芽細胞・脂肪細胞・軟骨細胞に分化誘導できることに成功
・臓器を自己再生させることに成功 new!

再生医療における最近のニュース紹介

iPS肺胞細胞、取り出しに成功 京大のグループ

iPS細胞で呼吸の空気交換を担う肺胞の細胞を効率よく作って取り出すことに、京都大のグループが世界で初めて成功した。肺胞の細胞を作ったという報告はあったが取り出す技術はなかった。肺の病気の原因や効果的な薬の研究に応用でき、将来の再生医療につながる成果と期待される。
朝日新聞デジタル:再生医療に関するトピックス

筋肉再生スイッチを発見 京大マウス分析、難病治療に期待


https://matome.naver.jp/odai/2140910253116341801/2140910417918785903
激しい運動などで傷ついた筋肉を再生する細胞のオン・オフを切り替えるスイッチ役の物質を、京都大が見つけた。まだマウスの段階だが、人間でも確認できると、筋ジストロフィーなど筋肉の難病の治療につながる可能性がある。
https://matome.naver.jp/odai/2140910253116341801
2014年08月27日