「和服+ロリィタ」から生まれるカワイイスタイル 「和ロリ」「和ゴス」の世界

seni_seviyorum
和洋折衷から新たな価値を生み出すのは日本のお家芸。和装とロリィタの融合から生まれ、国内外で進化し続ける「和ロリ」スタイル、どんどん洗練されてきました。調和のとれた和ロリとは。洋服ベースの服飾文化にどんな要素を取り入れて「和」を表現するのか。和ロリの美をじっくり堪能してみましょう。
振袖のような袖、帯らしき意匠、白い靴下は足袋デザイン。赤い鼻緒の下駄を履いている。

着物ではない。しかし和風の可愛らしさに溢れている。

これが、「和ロリ」などと呼ばれているファッションである。

前回、「アジアンテイストロリィタは和ロリだけじゃない、中華風もある」という趣旨でまとめを作成したところ、「そもそも和ロリってなんぞ」という反響があった。

そこで今回は、「和ロリ」についてまとめようと思う。

目次
1.和ロリとは (p.1)

2.和ロリの美
・伝統的衣装と現代的価値
・着物とロリィタの親和性

3.「和ロリへの不思議な違和感」の正体
(p.2)
・民族衣装であるがゆえの戸惑い
・和洋折衷の難しさ
チャイナドレスとの違い
・和ロリの美的完成度

4.いろんな和ロリ・和ゴス etc (p.3)

1.和ロリとは

和ロリとは、「和風ロリィタファッション」、及びその着用者のこと。

和装の中でも小紋や振袖、浴衣などの形をベースにしたものが多い。羽織や女袴の着姿をベースとするものも見られる。

特にゴスロリ要素が強ければ和ゴスロリ、ロリ要素よりゴス要素が強ければ和ゴスなどと呼ばれるものもある。

和ロリでは、ロリィタに

「着物風の袖」
「帯(帯締め・帯揚げの意匠含む)」
「着物風の衿(えり)」
「和柄」
「草履、下駄風の履物」
「組紐、つまみ細工など和風の飾り」

などを取り込むことによって「和」が表現される。

2.和ロリの美

■ 伝統的衣装と現代的価値

東アジアに西洋文明が押し寄せたとき、日本と中国の服飾文化は異なる選択をした。

中国は、旗袍を「西洋的価値観を取り入れ色っぽく、美しく」見えるよう作り替え、チャイナドレスを作った。

日本は、それまでしどけなく緩く着付けていた着物を「西洋人が見ても恥ずかしくないよう端正に」見えるようかっちり着付けることにした。現代「正統」とされる着付け方の成立である。
着物は、柄や素材に西洋の影響を取り入れはしたが、形態や着姿がドレスに近づくことはなかった。

文明開化の時代、和装は、西洋的価値観(後の日本人の価値観)にそぐう装い方に変化する選択肢をこのとき捨てたのである。

言わずもがな着物は日本の民族衣装である。
しかし普段着として着物を着る人は少ない。一般には正装として、あるいはお祭りの装いなどとして着られる程度である。
この原因の一つには、着物が現代のファッション価値観や日本人の平均体格にそぐわないものとなっているせいもあるだろう。

現代の日本人は洋服を着て日常生活を送り、体型に関する美の基準も欧米的なものになっている。

豊かな胸元、鎖骨の浮いた美しいデコルテ、くびれた腰、長い脚で颯爽と歩く姿。これらの美的価値観と着物は、残念ながら相容れない。

胸の大きな女性が着物を着ると着太りし、帯はウエストを寸胴にしてしまう。

着物は美しい。ただし、この美は絶対的なものではない。
洋装的価値観で日常生活を送る人にとっては、着物は、日常における理想の自己像をデザインするために着る服には向いていないのだ。

かつて和服は日常であり、人々の生活着だったからこそ、人々の生活様式の変化に合わせて進化し続けてきた。
洋服の広まりとともに、和服は日常着から「伝統文化」となる。そして日常服でなく伝統美として「正統な形」が言われるようになった時点で、着物は進化しづらくなってしまった。

だからこそ、「和風を纏いたい欲求」と「現代的美的価値観を満足させる服を着たい欲求」を共に叶えるものが、正統から道を外れたところで批判を浴びながらも生まれる。

それが和ロリであり、和ゴスであり、花魁風であり、といった新興和装文化である。

新興和装を身に纏う人々は、和服文化を破壊するために着物を改造しているのではない。

むしろ、和風を愛しつつ現代的審美眼を満足させる道を模索する、進化を止めた服飾文化に進化の派生ルートを与えるパイオニアであると思う。

私にとって左の画像はとても美しい。

私には、和ロリが和装文化の破壊とは思えない。

■ 着物とロリィタの親和性 補完しあう和洋

日本では、「和洋」は対立概念のように捉えられている。
確かに和と洋はだいぶ異なるものだが、しかしただひたすら対極にあり反発しあうもの、というわけではない。

ある点では似通って親和性が高く、ある点では互いの欠点を補完しあう。
和洋の服飾は、うまく融合させればとても美しいものを生む。完成度の高い和ロリではそれが表現されている。

「着物の姿勢」が継承してきた美
パニエで膨らませたスカートのラインは、着物風の衿にもよく似合う。
これは、このシルエットが「正座」を想起させるためだろう。

もともと着物は「正座」の美しさを映えさせるデザインをしている。(というか、和装で美しく見える所作として洗練されたのが正座)

帯の下から膝に向かって角度が変わるシルエットは、着物的なデザインとそもそも相性が良い。

和ロリドレスでパニエを着用する場合、その服装はきっと普通のロリィタ以上に「背筋の伸びた端正な姿勢」で美しく映えるであろうことを意識しておきたい。

着物では表現できなかったボディライン
明治以降の着物は、かっちりと直線的なボディラインを作る。身体のメリハリは目立ちにくい。

それによって和の慎み深い上品さが表れるが、洋装の「露出はしないがボディラインを綺麗に見せる」ことで生まれる独特のエレガンスは表現できない。

和ロリでは、洋装のエレガントなボディラインを纏うこともできる。
広がるスカート、バッスルスタイル、プリンセスライン…着物ではなしえなかったあらゆるシルエットをデザインできる。

現代では女子大生の卒業式スタイルとして知られる「女学生風の女袴」スタイル。
個人的に、このままでもかなり好きな和装のひとつである。

しかし、「着物+袴」が「女学生らしく、活動的で、見苦しくなく、礼節ある装い」を目指すだけでなく、もしも「着物と洋装の融合」を実現しようとしていたら。

下の形こそが完成形だと思う。

帯とリボンとコルセット
ロリィタファッションでは、コルセットやハイウエストスカートなど、胸下や腹部を覆って締める装いも珍しくない。
女性着物の帯はこのコルセットの形に応用しやすい。

帯の部分をコルセットデザインにすることで、和装ならではの「寸胴なボディライン」を回避できる。
また、明るい上衣を着るとき特有の「着太り」を押さえこんでくれる。

そして、写真のような絢爛な和柄を自然に取り入れることができる。

そして、着物はそもそも背に「魅せる結び」を背負う服装である。

バックスタイルに大きなリボンを背負うようなデザインも、和風としてごく自然に取り入れられる。

姫袖と着物袖
左の、末広がりな形の袖。

ロリィタの中でも、特に甘ロリ・姫ロリなどのジャンルでよく見られる袖である。 ロリィタ界では「姫袖」、アパレル用語としては「パゴダスリーブ」「フレアスリーブ」「ベルスリーブ」などと呼ばれる。

姫袖は着物の袖と印象が似ている。

和ロリでは、「姫袖のついた着物風ワンピ」「フリルのついた着物袖」といった形で、うまく融合している作品も多い。

帯揚げ・おはしょり 「ちょっと見せる布」とフリル
着物姿の上半身には、「ちょっと布が見えている」部分が多い。
衿元を飾る半衿や伊達衿、帯周りを飾る帯揚げやしごき(画像にはないが、帯の下を飾る)、帯下に除く着物の折り返しである「おはしょり」。

重ね着ファッション同様、この「ちょっと見える布部分」で色を添えるのが和装コーディネートのポイントである。

この部分は、ロリィタ的なフリルや縁取りと融合させやすい。

ちょっとごちゃごちゃしているが、例としてわかりやすいので参照する。

左の写真の和ロリでは、帯風のコルセットの中央に着物の柄と同じ布が一筋入れられている。帯締めのように、帯の中央を横切ることで「胴部分をのっぺり長く見せない」効果がある。

また、帯の上下、帯揚げやからげ紐の来る位置に薄ピンクのフリルを添えている。

そして、帯の下、ピンクのバイアステープで縁取られた着物地が何層か重なっている。
おはしょり(着物の折り返し部分。上の写真で、帯の下の着物を折っている部分)に似た意匠となっている。

フリル・レースの縁取り効果
着物は美しい直線のラインで構成されている。衿、袖、裾など。

だが、着物だけでは、柄によってはその直線の美しさが際立たないことがある、という妙なジレンマを抱えている。

絵に描くとどんな柄でも美しいが、実物ではそうもいかない。柄によっては、着物の輪郭がぼけて、衿のyの字が見えなかったり、袖が胴に同化してしまったりする。(無地より、やや大ぶりで一様な柄物にありがちな見え方である)

半衿や伊達衿を使って衿のyの字を強調することもできる。しかし、浴衣など比較的気軽な和装ではあまり取り入れられていない。

和ロリでは、着物の輪郭に合わせてバイアステープやレース、フリル、パニエのチラ見せ等、「地の布とは異なった色」を配置することで、着物を構成する美しい直線ラインを強調することができる。

左の和ロリを見てほしい。

くすんだ色味で多色・大柄の、大正ロマンっぽい雰囲気の和柄である。着物として着るにしても、着こなしが難しそうな柄。

この和ロリでは、半衿のような白フリルと、掛衿を思わせる紅色の衿でyの字を強調。袖にも縁取りとフリルを配し、袖と胴の同化を防いでいる。

地の柄を考慮すると、この縁取りがなければ衿のyの字が目立たない。遠目には「着物をベースにしている」ことすら伝わらなかっただろう。

補足:
江戸時代にも、「着物の衿を縁取る」美意識はあった。

江戸時代、着物の衿に黒繻子をかけるのが流行した。(黒掛襟)
これは「着物の汚れ・傷みを防ぐ」実用的な用途以外に、「着姿が粋だから」と好まれたらしい。

今でも、時代劇での町娘や、芸妓さんの装いにその名残をとどめている。

今より緩く着物を着つけていた江戸時代だが、着物の衿元にくっきりした輪郭を持ってくると美しく見えるのは変わりない。

左図の天海祐希に似た美人も、黒掛襟で着姿をぐっと引き締めている。

「気品」と「慎しみ」
ゴシック・クラシックなど典型的なロリィタは、どこか「令嬢っぽさ」「貴族的な雰囲気」を想起させるコーディネイトが多い。
中途半端でないロリィタは皆、人形のように可愛らしいだけでなく上品である。

その上品さを醸しだす要素の一つが、ロリィタならではの「肌をあまり露出しない」装い方だろう。
アニメキャラとは異なり、ロリィタは積極的に肌を露出しない。

スカートの丈が短ければハイソックス等を履き、半袖ドレスを着るときは長手袋で腕を覆う。胸の谷間を露出するロリィタは(パンク系やカメコ狙いはともかく)あまりいない。各社ブランドのロリィタ向けドレスも、露出を想定しないものが多い。

肌を露出しないロリィタ価値観は、着物を洋服化したとき、ちょうど良い気品の保ち方を提案してくれる。

和ロリにおいてスカート丈が膝丈になる場合、大抵靴下やロングブーツと合わせられる。
着物風の袖であることが多いため、腕もあまり露出しない。
「着物風の衿」を見せることで和を表現するため、和風の新興服飾文化としては衿元の着崩しも少ない。

和ロリは、ものによっては本当に上品な仕上がりになっている。
ロリィタにも和装にも、もともと「あまり肌見せしない」価値観があり、「着物を洋服化したときにうっかり肌見せしてしまいそうな部分を、ロリィタ流にカバーしてくれている」からだろう。

3.「和ロリへの不思議な違和感」の正体

二次元の世界では、和ロリ的な服を着たキャラクターも少なくない。

和ロリ風衣装を着せると、着物に付随する「古風」「あまり活動的でない」などの付加的イメージは伴わずに、「和風」をキャラクターデザインに取り入れることができる。

しかし、現実の「和ロリ」はいまいち注目を浴びない。
異装なのでそもそも少ないのは当然。しかし、存在感を放つ異装文化としてまだまだ発展・成熟しきっていない感がある。
より正確に言うと、まとめ主的には日本の和ロリはまだ本気出してない。

ここは日本。着物の本場、そして異装文化の本場。
それなのになぜ和風異装としての和ロリがあまり脚光を浴びないのだろう。

まとめ読者の中には、もしかしたら、かつて和ロリに関心を持ったことがある人もいるかもしれない。
そのとき「あえて和ロリを着る意義がわからなくなってやめた」人はいないだろうか。

「和風が好き、可愛いロリィタ服も好き。しかし和ロリでなくていい気がする」
「和風なら本格的な着物を、ロリィタならロリィタ服を着ればいい気がする」

その心情はどこから来るのかを考察したい。

■ 民族衣装であるがゆえの戸惑い

着る機会が減ったとはいえ、日本人にとって着物は、「正装や祭り着として着ることもある伝統文化・生活の一部」である。

伝統であるがゆえに「正しい着方」に従うことをマナーとして背負わされもする。

花魁風など、新興和装文化への風当たりは依然として強い。レース重ねなどの現代的な着方に眉を顰める人もいる。人によっては、薔薇やヒマワリなどの柄さえ「伝統的でない」と咎めるだろう。

着物が民族衣装であるがゆえに、「着物としての正しい形」からあえて外れている意義を問うてしまうのだ。
伝統は、伝統であるだけで美と讃えられる権威を持つ。 一方で「正統の形でない」ものを見ると、それが良いものかどうか審美する以前に「邪道」「異端」と排除する偏見を抱えることになる。

日本人の場合、「着物ではなくあえて和ロリを着る意義」を確立しにくい。

「着物ではなく、和ロリ固有の服飾世界観を追及している」ことを意識しない限り、和ロリは「正統派でないもの」にすぎなくなってしまう。

日本人が和ロリを極めようと思ったら、和ロリを「自国の民族衣装もどき」ではなく「和の要素を取り入れたロリィタ的価値観の服」として、自国の伝統文化からいったん切り離し、客観的にその和風な可愛らしさ・美しさを追求する、新たな向き合い方が必要だ。

少なくとも、和ロリを「愛国心の表現」「伝統の尊重の表現」とするのは難しい。
和ロリには、「着物ではなく、和ロリである意味」が要る。

「ジャポネスク(日本趣味、日本憧憬)」の表現としての和ロリ
一方、着物文化の外にいる人にとって着物は「日本という異国」を表すアイコンの一つとなる。

「着物的なもの」は彼らにとって「伝統的なもの」ではなく「日本的・異国的なもの」である。

外国人にとって着物は民族衣装ではないため、伝統に縛られる必要はない。思う存分「自分が表現したい価値観」に合わせて改造できる。

着物ならではの「動きにくさ」「着物が作る体型」に従う必要はない。「着物のいいとこどり」をして着ることができる。

ちなみに、「日本では民族衣装をいじると非難されるが欧米ではそうではない」という話ではない。

参考までに、ドイツでも保守的な地域では、民族衣装「ディアンドル」を現代風に改造することに対し批判がある。
https://matome.eternalcollegest.com/post-2133923641860066701

一方で、「本物の着物」が持つ排外性から逃れることもできる。

全ての民族衣装について言えることだが、ある民族衣装を着る正当性を最も持っているのは、その衣装文化圏の民族である。

外国人にとって、着物にどんなに関心をよせようとも、着物は「他の民族の民族衣装」であることに変わりはない。

衣裳を纏うことは誰でもできる。他の民族の民族衣装をまとうことで、その民族への同化意識、共感を表現することはできる。
しかし、別の民族の民族衣装はある意味「借り物」に過ぎず、「自分の民族的アイデンティティと合致する(と誰もに承認してもらえる)」衣装にはならない。

本物の民族衣装は、美しく残酷な無言の排外性を秘めている。

その民族に対し正当な着方や伝統の遵守を課す一方、他の民族にとっては「永遠に自分の体の一部にはならない何か」である。

ロリィタが日本で盛大に発展したのとは対照的に、和ロリ・和ゴスは国内よりもむしろ海外でこそ発展している感がある。

それはやはり、「着物を民族衣装としない人達」にとって、着物モチーフの服が「日本趣味、日本憧憬の表現」となりうるからであり、民族衣装であるがゆえの心理的束縛を受けないからであり、そして「自分達が和風を纏う正当性を問わない」衣装であるからだろう。

■ 和洋折衷の難しさ チャイナドレスとの違い

中国では、租界を中心に西洋文化が流入した結果、華洋混合の文化が誕生した。
その一つとしては花開いたのが、チャイナドレスである。

しかし日本では、開国の後も戦後まで、かなり長期にわたり、上流階級や職業婦人を除けば、女性の装いは和装が一般的だった。

アクセサリーや着物の柄に洋風の影響が入りはしたが、西洋の美的価値観は着物の着姿にはあまり影響を与えなかった。
「見苦しくないよう」おはしょりを作る着姿が一般化しただけで、着物にボディラインが表れるような変化はなかった。

別まとめ(https://matome.eternalcollegest.com/post-2140695662436430401)で既に述べたが、チャイナドレスは中国古来の民族衣装ではなく、ある程度の洋化を受け入れた結果の形なのである。

チャイナドレスは既に洋装の価値観を反映しているので、ロリィタ化させるのも容易であった。

伝統の保持そのものは大切である。
服飾文化の遺産が今日まで引き継がれてきたのは実にありがたい。

しかしロリィタ発展の一点だけで語るとすれば、着物はチャイナドレスのような「洋化への段階」を踏んでいないのである。

着物をロリィタ化させる上では、和装がこれまであまり洋装の価値観に歩み寄っておらず、かなり開きのあるものであることを念頭に置かねばならない。

和装だから洋装と相容れないのではない。
和装を洋装と融合させる試みはこれからなのだ。

ロリィタ化の点で言えば、スタートダッシュの時点でチャイナドレスは一段階有利ではある。

その代り和装文化は「着物独自で保持してきた美」の遺産をかなり保持している。これらをうまくロリィタに反映する試行錯誤は、おそらくこれからの和ロリの課題である。

■ 和ロリの美的完成度

和ロリへの違和感を作り出している要因として他にも上げられるのは、「美的完成度の低い市販品があふれかえっていること」だろう。

楽○などで和ロリとして売られる衣服の中には、目も当てられない様相を呈しているものも少なくない。

和ロリにありがちな失敗について考えてみたい。

衿の合わせが逆
これが和ロリでなく「カシュクールデザイン」なら無視すべき事案だが、和ロリでは無視できない(と、まとめ主は思う)。

和ロリが根ざす服飾文化(和装文化)において、「袂が逆」は「死装束」を表す。和風要素が多い服だけに、和ロリで前身頃の合わせを逆にすると「ぎょっとする」メッセージを発してしまう。
和ロリがそのルーツに「和の伝統服飾文化」を背負っている以上は配慮したい。

簡単に覚えるとしたら、「前から見てyの字になる」が正しい。(鏡では逆になるので注意)

あえて「死装束和ロリ」を着たいとか「自分としては衿の合わせは逆の方が美しいと思う」とか、意図がない限りは意識したいポイントであると思う。

何も知らず、何も意図せずに衿を逆に重ねるのは、せっかくの「和」なのに…となんだか惜しまれる。

柄・色彩の調和
これは「和ロリ」特有の懸案事項と言うよりは、着物コーディネート感覚の有無がものを言いそう。

「可愛いワンピース」には見えるけど、「和」もしくは「ロリ」としてはちょっと疑問。

「大ぶりの柄×大ぶりの柄」「鮮やかな色×鮮やかな色」で干渉しあってしまい、遠目には何を着ているのかちょっとよくわからない。

50ドルならしょうがない範囲かもしれないが、”improved(改善した)”キモノと呼べるのか。
欧米的にはこれで十分「和風美」なのかもしれないが。

他にも、

「素材がペラッペラでテカテカで安っぽい」
「ディテール雑すぎ」
「花魁風を意識して帯の結びを前に持ってきた結果、全体のバランスが死ぬほど悪い」
「和とロリで既に要素が混交しているのに、更にそこに『魔女っこ風』とか『海賊風』とかいろんな要素を詰め込みすぎて何を表現したいのかわからない」

など、和ロリを布製ゴミにしてしまう要因は多々考えられる。

しかし、素材とデザインに本気を出して作られた和ロリは決してその他のロリィタジャンルに対し見劣りしない。

子供向け和ロリドレスの完成度
七五三・お宮参りなどを想定し、子供向けに作られた「着物風ドレス」は、市販品でもかなり美的完成度の高いものが売られている。

用途が用途なので高めの価格帯で作ることができるためか、素材もデザインもかなり本格的だ。

これらの子供向け和ロリドレスの完成度を見ると、素材とデザイン、完成度を意識すれば、和ロリはかなり美しいものができるだろうと思う。

私的見解だが、和ロリはコスプレ衣装メーカーのものよりも、和ロリ製作を専門とする人の作品や着物リメイクの方が美しいものが多い。

和ロリに興味のある方は、通販サイトやコスプレ衣装店でぐぐるだけでなく、和ロリ職人のサイトを覗いてみるのもいいと思う。

量産品でない和ロリは安価ではないが完成度が高い。
面白半分に和風を楽しむためではない、独特の価値観・世界観の確立された和ロリを見ることができる。

また、「着物リメイク」「着物ドレス」から探すと、少なくとも安っぽいものはない。

素材が高価なため、ロリィタと言うよりはフォーマル仕様のドレスが多いが、和洋折衷の美しい例として参考になる。

4. いろんな和ロリ・和ゴス etc

和の黒ゴス。

角度によって浮かび上がる桜模様と、黒一色の中で冴える朱色の帯締め。

抑えた色味で粋を作り上げるのは、和装の得意分野の一つだと思う。

逆に白無垢風。
『メタモルフォーゼ』より。

大正ロマン風の大胆な色・柄使い。
その名も「ハイカラ小町」だそうな。

着こなしにはだいぶセンスが問われそうだが、「大正ロマン風ロリィタ」、なんだか素敵だ。

粋とカワイイが共に花開く可能性を感じる。

単体でだいぶ華やかな極彩色のスカート。着方を誤ると目に痛い色彩の爆発になってしまいそうだが、コーディネートによっては驚くほど洗練されたものになる。

ミリタリー風のジャケットでかっちりとしたフォーマルさを、レースのジャボで繊細な優雅さをプラスすると、意外なくらい全体のバランスがいい。

地味にならず、けばけばしくならず、無骨にならず、華美にならず。
センスの良さってこういうことなのだなぁ…としげしげ眺めた。

個人的な感想として、変にはしゃいでいるシーンよりも正座したりお茶をいただいているシーンの美しさが胸に突き刺さる。和ロリが持つ固有の世界観は、「ロリ」より「和」の部分で強烈に花開くのだろう。

あと、個人的に、「赤い和傘」は雨の日には大変美しいが、日傘として持つと顔映り・着物の色味が悪くなることがわかり大変興味深かった。動画中盤のクリーム色の花柄和傘の方が顔色は良く見える。

押さえた色使いと重厚な帯周りがかえって「普通に着て歩ける正当な衣装ですが何か」という自然な雰囲気を醸すコーディネート。
かっこいい。
パンキッシュ、ポップな雰囲気。

このようなデザインであれば、逆にした衿のあわせもかえって辛口感といかロックテイストというか、アウトローっぽさを醸してくれて似つかわしいですね。

ジャンルとしては和風スティームパンク。

しかし和ロリの世界にも参考にできる点が多い。
惜しみない本物志向は、異装が直面しがちな「中途半端さ」「ちぐはぐさ」を超越しひとつの世界観を確立させる。

服とは表現である、そのことを実感させてくれる。

質感はチープだけど配色(特に紺と赤の使い方)が素敵
謎の新撰組っぽさ。

着物風ワンピースに、「羽織」風の上着を合わせたもの。羽織と着物の愛称を考えれば当然だが、体型を出さない割にとてもバランスが良い。

衿と衽(おくみ:着物の前面部分)の間にフリルを入れたもの。

首から肩へなだらかに下りるラインの間にフリルが跳ね上がり、遊び心のあるシルエットに。

和柄ビスチェ。

普通のクラシックなブラウスの上に着るなどすれば、ロリィタファッション・クラシックスタイルの中に自然に和要素を取り込めると思う。

水墨画風に竹の描かれたコルセット。

わびさびロリ。

和柄のジャンスカ。

着物の形に拘泥しなくとも、「和柄」「和の配色」だけで和を表現する和ロリも結構ある。

潔いほどシンプルな黒地に、コルセット風の豪華な帯を合わせたファッション。

僧ロリとか、何かニュージャンルを生みそうな和ロリ。

スタイリッシュなロング丈。

黒地×豪華な帯は、着物文化としては「留袖」の着こなしに似ている。

実際に留袖からドレスを作り直した例がこちら。

パニエを入れてスカートをふっくらさせてみたい。

巫女ロリ。
紅白配色が似合うのも和ロリの強み。
和ロリでは珍しいパフスリーブ。

着物袖を洋風デザインに変えるだけでも随分印象が変わる。「着物」への固定観念を打破するデザインが生まれそう。
和ロリはまだまだ開拓の余地、挑戦の可能性がかなり残っていると思う。

フレンチスリーブの浴衣和ロリ。
チャイナ風の襟と振袖の合体した和華洋ドレス。

一種の迫力すら感じる。

着物そのものをロリィタ風に着るタイプの和ロリももちろんいる。
丈の足りない着物の中に姫袖ブラウスを着用。

ロリィタ感のある袖口に。

見事な白プリーツ。

ドレススタイルと袴スタイルが綺麗な形で合体。

パニエの入っていない和ロリは、普通のワンピースのような印象。

そのままカジュアルとして着られそうな気もする。

着物+エプロンの「和メイド」を更に洋装化し、和ロリメイドにすると左のようになる。
ものすごく自然でかっこよくすらある着こなし。

定着しさえすれば、和ワンピースはカジュアルワンピースとしても着られるのではないか…と思う。

ロリィタというよりはゴシック、パンクな雰囲気。

このコルセット帯が作り出す和風造形美には、応用の可能性を感じる。
スカートをアシンメトリーにして、片方で比較的着物的に下へ流れるラインを、もう片方で横にふわっと広がるフレアラインを作っている。

ステージ衣装の和ゴス。

ロリよりむしろゴス、パンクの領域においては、完成度の高い和風衣装が数多くみられる。

和パンクロリィタ風のコーディネイト。
「和風スティームパンク」のジャンルから。

着物をジャケットのように羽織る着方。
臙脂色の着物が見事にスティームパンク世界観に溶け込んでいる。

着物の下にスタンドカラーのブラウス・シャツを着ると案外似合う。 男性着物の例としては、明治大正の「書生スタイル」に見られるコーディネートである。

着物の歴史が生み出してきた様々な着方を定石として踏まえ、発展させるのが新興和装のコツなのかもしれない。

参考

MONJA
http://u.jimdo.com/www47/o/s16caf827841ee6f8/img/i6d0cbbfdb005065d/1391477951/thumb/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%BB%92%E3%81%AE%E5%88%87%E3%82%8A%E6%9B%BF%E3%81%88%E3%81%8C%E4%BD%93%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%92%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%8F%E9%AD%85%E3%81%9B%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99.jpg

MONJA-古布mode-|yaplog!(ヤプログ!)byGMO
http://yaplog.jp/monja2010/

Intermission.,Ltd
http://www.intermission.info/

作品一覧 Shiki – iichi(いいち)
http://www.iichi.com/shop/shiki

https://matome.naver.jp/odai/2140695303533715101
2017年05月01日