英国の海岸、イーストボーンの桟橋で大火災

nofrills
イングランド南東部、イーストボーンという海に面した町。海岸線を縁取る白亜の断崖でも有名なここには、19世紀にレジャー産業が根付きだしたころからある桟橋があります。重要な建築物として保存すべき物件の指定も受けています。この桟橋が、炎に飲まれました……

イーストボーンの桟橋 Eastbourne Pier

イーストボーンは、先史時代から人が居住してきたものの大都市化はせず、19世紀半ばに鉄道が来て海浜リゾート地として整備されるまでは、小さな村がいくつかあつまったような程度だったそうです。

映画や音楽ビデオ、環境映像などによく出てくるイングランドの白亜の海岸。イーストボーンから西へ、ブライトンにかけての海岸線です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Birling_Gap#Birling_Gap

ロンドンからは鉄道で1時間半くらい。コーチ(長距離バス)もあります。ロンドンでふと思い立って日帰りで海を見に行く、なんてことをする場合の候補地のひとつ(ここのほか、ブライトン、フォークストーンなどがあります)。

海岸線を歩く親子連れの向こうのほうに見える海に突き出した構造物が、桟橋 (pier) です。

Tripadvisor Eastbourne Pier
桟橋の入り口(陸のほう)に建物があり、先端にも大きな建物があります。
桟橋の入り口。現在はファストフードの店やアミューズメント・パーク(ゲームセンター)が入っているそうです。
遠く、桟橋の先端にも大きな建物があります。

Tripadvisor Eastbourne Pier
https://en.wikipedia.org/wiki/Eastbourne_Pier

1860年代に計画・建設され1870年にオープンしたこの桟橋は、長さ300メートル。当時の技術の粋を集めた建築物で、桟橋の最先端部には劇場やバーを擁する建物が建てられました。


Tripadvisor Eastbourne Pier
19世紀当時の流行の「オリエンタルな様式」の優美な建物です。

1970年の火災で最後の劇場が閉鎖され、その後はアミューズメント・パークや飲食施設、バー&クラブとしてイーストボーンの人々や遊びに来る人々に親しまれてきました。

その桟橋が、燃えた。

第一報。日本との時差は、夏時間で8時間(日本で午前0時=現地は午後4時)。
陸地に近い、桟橋のエントランスの建物が黒煙をあげています。
Sky Newsの第一報では「小さな火事 small fire」と言っていましたが、ぜんぜんsmallではなさそうです。
消防隊が懸命の消火活動。
風も強いんですね。「全員無事に退避できているとよいのだが」
出荷前の桟橋。
http://twitter.com/satosan_uk/status/494503591798112256 に「またひとつ、失うのはいやだ」とあります。

ブライトンのWest Pierのことだと思います。

「子供のころ、ここのゲーセンの1ペニーのスロットでよく遊んだ。つらい」
「もうもうと立ち上る黒い煙が見える。ヘリの音もする」
「こんなふうになっていくのを見ているのはつらくてたまらない」

Josh@JoshuaJPE

I’m not quite sure why, but seeing a Pier on fire really upsets me #eastbournepier pic.twitter.com/tkHuplw8y5
「どういうわけか、桟橋の火災でひどく気分が落ち着かなくなっている」
「全焼する前になんとか、食い止めてほしい。ブライトンの西桟橋みたいになってしまうのは残念すぎる」
焼け落ちたブライトンのウエスト・ピア。もうずっと昔に安全上の理由で施設は閉鎖され、立ち入り禁止になっていたそうですが、こんな姿をさらしているのも無残。

しかも、焼け落ちたところに今年の初春の嵐で、桟橋の残骸がさらに崩壊するというひどい状態。

kila@kilamarie

Actually heartbreaking watching the smoke fill the sky. #Eastbournepier
「煙が空を満たしていくのを見ているのはつらい」
「道路は通行止め、ヘリが上空を飛び、救命ボートが出されている。目撃者は、火の勢いが強くて制御不能なように見えるといっている」
「悲しすぎる」とイーストボーンの地域情報アカウント。「誰もけがをしていないことを祈りましょう。消防隊には大感謝」
Twitter / CiaranTrotter: More pics #eastbournepier …
こちらもイーストボーンの情報のアカウント。「ひどいことになってしまいました。再建のためにできることがあれば何でもします」
「また桟橋が燃えたとは」
むー。これはつらい写真。。。

Henry le Frigg@leFrigg

@DailyMirror Is this the curse of a pier upgraded to Grade 1, with owners consequently unable to find buyer? Seems quite common. #Eastbourne
「桟橋が保存指定建造物のGrade 1にアップグレードされ、買い手が見つからなくなるとこういうことになる」という事実はあるんでしょうか……調べてみないとわかんないですね。

この桟橋はGrade Iではないはずなんですが、ともあれ、Grade物件に指定されると、基本、外見が変わるような改造はできないし、それどころか保存しなければならなくなるので、オーナーは大変なんです。。。

「ヘイスティングスの桟橋のように救えたらよいのだが」
サリー州の警察の人。「イースト・サセックスの同僚たちにお見舞い申し上げます」
ううう…(;_;)
「ほとんど鎮火したが、この先どうなるのだろう」
風が強そうですが、こんな真上までヘリを飛ばしたんですね。
「イーストボーン桟橋修復基金を立ち上げました」と地域メディア。
「子供のころからずっと見てきた桟橋がこんなふうに燃えてしまって」

NPAS Redhill@NPAS_Redhill

#eastbournepier photo taken only 4 days ago by NPAS Redhill crew. Shocking loss to SE coast @bbcsoutheast @itvnews JM pic.twitter.com/3rVNwfpBS4
「わずか4日前の撮影」

……そして日没後

「まだ燃えてる」
「今日は少し泣いても恥ずかしいとは思わない。今は亡き祖父と一緒に、あの桟橋で何日を過ごしたことか」
「崩落はしていないから、再建できるのでは」

そして、現地、夜明け

ncd@ncdtweetz

A beautiful and sad morning in Eastbourne. #eastbournepier #eastbourne @VisitEastbourne pic.twitter.com/nQ08J0XPHj
Wow.
ブライトンの地域紙が写真の使用許可を求めている。

ncd@ncdtweetz

@brightonargus yes of course, please do.
快諾。

Sovereign FM@sovereignfm

NEWS: More pictures and videos from yesterday’s fire on #EastbournePier here: sovereignfm.com/fire-eastbourn… #eastbourne

ncd@ncdtweetz

#eastbourne has been gifted the most beautiful sunrise. Almost as if compensation for its loss. #eastbournepier pic.twitter.com/Wc3emdfbMQ
「イーストボーン、こんなに美しい日の出はないというくらいの日の出。あたかも、桟橋火災での損失を埋め合わせるかのように」
「ぼくの子供のころの思い出の一部が失われてしまった。あの構造物は、21世紀のものに置き換えてほしい。ヴィクトリア朝のものを、現代の材料と工法で」

こういう「娯楽施設としての桟橋」の建設技術って、伝わってるんですかね。非常に19世紀的なもののように思えるのですが……

「現場にはまだ消防隊がいる」
地方議会の議員さん。「落ち込んでばかりもいられない。復興計画を立てましょう」
「また保全指定物件が火事で破壊された。まるで、指定されると燃えることになっているかのようだ」

いや。きっと指定されてなくて燃えてる建物のほうが多いと思います・・・

What Fish?@what_fish

Proud old lady but like a phoenix she will be back im sure #eastbournepier #eastbourne pic.twitter.com/GlHQ1CNjwx
遠景。きれいですね。

Sovereign FM@sovereignfm

The view people are waking up to of #EastbournePier this morning after yesterday’s fire. CREDIT: Ian Kirwan ow.ly/i/6p3a3

John Francis@jfilm53

#eastbournepier
How many couples danced
The summer nights away
The laughter and the merriment
Will come again one day
詩にして表現。

How many couples danced
The summer nights away
The laughter and the merriment
Will come again one day

「イーストボーンにはよく行く身として、あのようなランドマークが燃えているのを見てショックだった。復興基金が用意されたら寄付をしよう」
「1980年代にイーストボーンにすんでいた大叔母のことを思い出している」
「140年の歴史が、燃えてしまった」
確かに、あれだけの火が出て、桟橋の先のほうへの延焼を食い止めたのはすごいですよね。風向きが逆だったらどうしようもなかったかもしれない(写真見る限り、風は概して海から陸のほうに向かっていたようです)。

アップデート

https://matome.naver.jp/odai/2140679810820331901
2014年08月10日